ネット泳法
私は最近、在日外国人の方々が作っているブログばかり巡っています。 なぜ、日本人の所に行かないのかというと、サイト運営をもう四年くらいやっていて、大体のパターンが分かってしまっているので、ブログでもまた同じ事をするのが億劫だからです。
サイトを四年やって、随分たくさんの人達と知り合いましたが、三年以上交流が続いている人は、現在一人だけ。 大体、長くて一年、短ければ一ヶ月くらいで縁が切れてしまいます。 ネット上では、他人と知り合うのは非常に簡単ですが、『簡単に得たものは、簡単に失う』 という格言通り、交流が長く続く事は稀です。 喧嘩別れした人もいますが、ほとんどは、少しずつ疎遠になって行くパターンでした。 サイトを作ったはいいが、運営に疲れてしまい、サイトを閉めるのと同時にネット交際もやめてしまうという人を何人も見ました。
知り合う相手は、元来、共通の趣味を持っている人なわけですが、一つの趣味に無限に話題があるというわけではないので、その内、喋る事がなくなってしまうのです。 今はほとんど聞きませんが、三年くらい前までは、盛んに 『オフ会』 というのが開かれていました。 ネットで知り合った相手に、現実に会ってみる会合です。 この風習が急速に廃れたのは、ネット上で抱いていたイメージが崩れる事が多く、オフ会を敬遠する人が増えたからでしょう。 俳優のような整った容姿の人物を期待していたのに、ひきこもり、若しくは、ホームレス寸前みたいな相手が登場すると、「あっ!」 と心で叫んで、瞬間的に現実に引き戻されるというわけですな。
現在、ブログを始めて、ネット交際に夢中という人も多かろうと思いますが、サイトでもブログでも、人付き合いのパターンは同じだと思いますから、大きな期待は抱かない方が良いです。 特に、恋人探しの類は、ネットが最も不向きな領域で、ネット上で知り合って結婚に漕ぎつけたという事例はほとんど聞きません。 私はこの四年間で数百ヶ所の個人サイト・ブログを見て回りましたが、そういう事例は一件しか見ませんでした。 なぜか? 理由は明白です。 ネットだと、顔を見ないでしょ。 オフ会と同じで、一度会った途端に、夢が崩れてしまうんですな。 もちろん、『人は外見よりも中身』 ですが、ネット交際では、その中身が出過ぎるのも、裏目に出ます。 異性探しに夢中な人ほど、自分がどんな人間か知らせようと思って、考えている事を全部書いてしまうので、どの程度の人間性なのか、相手にバレてしまうのです。
サイト運営でつくづく嫌になった事といえば、アクセス数に振り回される事です。 カウンターという奴、あれは悪魔の考えた設備ですぜ。 今日は何人来ただの、明日は何曜日だから、もう少し来てくれるだろうだの、そんなせせこましい事ばかり考えている自分を発見すると、情けなくなって来ます。 サイトが流行るかどうかは、検索エンジンに掲載されるかどうかで、ほとんど決まってしまうので、サイトの出来不出来なんて関係ないんですよ。 気にするだけ、時間と労力の無駄! お客を増やしたければ、自分の方からマメに巡回するしかありませんが、一日一軒ずつ書き込んで回るにしても、一週間で一巡として、せいぜい7~10人程度のつきあいです。 それ以上増やすとなれば、一日のネット時間を長くするしかないですが、心身ともにどんどん不健康になっていきます。 たとえ、ブログにカウンター設置サービスがあっても、付けない方が、断然楽しいブログ生活を送れると思います。
ネット交際には付き物ですが、行った先で口論など起すと、もう最悪ですな。 パソコンの電源を入れるのも嫌になります。 大人同士の場合は、相手が折れるなんて事は、まあ、あり得ません。 日本の文化には議論の習慣が根付いていないので、ただただ攻撃し合うだけの泥仕合になる事がほとんどです。 論争をしている所があったら近づかない。 巻き込まれるので、仲裁もしない方がよいです。 また、冗談が通じる仲でなければ、からかうような事もしないのが無難でしょう。 自分は気の利いた会話をしているつもりでも、相手は青筋立てている事があるので、要注意です。
もし、喧嘩になってしまった場合は、自分がゲストだったら、もうそこへ行かないのが最善の対処法です。 「逃げた」 なんて誰も言いませんから、大丈夫。 個人サイトや個人ブログは、公開型掲示板などと違って交流のサークルが狭いので、悪い噂が立つなどという事は起こりえないのです。 一方、自分がホストだった場合は、「もう、コメントは書かないで下さい」と言って相手を追い出してしまえば、それで終わらせられます。 冷たいようですが、長くやっていると、そういう事件は必ず起こりますから、覚悟しておいた方がよいでしょう。
前回書いたように、ブログの場合、一行コメントでも許されるので、なるべく軽いコメントをあちこちに残して回るのが良いと思います。 書き込まれる側も、必ずしも長文コメントを望んではいないはずです。 だって、長文コメントには、長文レスを返さなければならないので、時間を取られるものね。 一回のコメントは、長くても5行くらいに押さえて、その分、何回も顔を出すようにした方が、喜んでくれるんじゃないでしょうか。
政治や思想、宗教についての記事だった場合、たとえ感想があってもコメントは打たない方がいいと思います。 その種の分野では、人それぞれ微妙に考え方が違っており、しかも微妙だからといって、決して譲歩しないので、意見がぴったり一致するという事はまず無いです。 喧嘩別れの元になるので、触らぬ神に祟り無しと考えて、無視してあげるのが良いでしょう。 もっとも、余りにも考え方が隔たっている場合は、自然に足が向かなくなりますけど。
コメントの極意ですが、「とにかく、誉めていれば間違いない」 というのは真理だと思います。 貶すくらいなら書かない方がずっと良いですから。 しかし、ただ誉めているばかりだと、ホストから 「こいつは、大した事が無い奴だ」 と下位扱いされますから、時々 『同意』 を入れると良いです。 「私も同じ意見です」 という奴ですな。 これなら、ホストを立てつつ、対等である事も主張できます。 反対意見である場合は、コメントを打たないという手があります。 そして、余りにも反対意見が多い場合は、その人は付き合う相手ではないわけです。
総括しますと、現実世界でもネット上でも、他人と付き合っていれば、良い事と同じくらい悪い事も起こります。 良い事は素直に喜び、悪い事はあまり気にしない事ですかね。 たとえ、一人の人から嫌な目に合わされても、他の人も同じような目であなたを見ているという事はありえないですから、また別の交際を求めて行けばよいわけです。 軽いコメントだけで泳いでいけるブログは、そういう事がやり易い世界だと思います。
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