2006/11/19

悪質レビュアー

  ≪Amazon≫の≪カスタマー・レビュー≫や、ネットショッピングの≪口コミ≫などを読んでいると、固定焦点カメラについて根本的な思い違いをしているレビュアーがいて、固定焦点カメラ愛用者としては苦々しい気分にさせられる事が多いです。

  現在売られている固定焦点のデジカメは、大抵一万円前後かそれ以下なので、「安かろう悪かろう」と、ボロ糞に言われています。 「ケータイ・カメラより画質が悪い」だの、「オークション写真もろくに撮れない」だの、「無名メーカーの製品を買うのは金をドブに捨てるようなもの」だの、言いたい放題。

  これらのレビュアーの中で、実際にそのカメラを購入した者は、「安いから買った」に決まっているわけですが、そのくせ、「安いから駄目カメラだ」と言うのは、自家撞着しています。 また、買ってもいないくせに、推測で貶している者もいますが、言うまでもなく、使用経験がない者にレビュアーの資格はありません。

  そもそも、これらの批判の中には、単なる無知から出ている物がかなり多いです。

  まず、画質はほぼ画素数によって決まるので、300万画素以上ある今の固定焦点カメラが、ケータイより画質が悪いという事はありえません。 大体ケータイのカメラは全て固定焦点式ではありませんか。 ケータイのメーカーはカメラの製造など出来ませんから、カメラ部分は外註しているわけですが、恐らく註文先は固定焦点カメラのメーカーだと思います。 出所は同じなんですよ。 同じ性能なら、片手で使うケータイより、両手保持のカメラの方がブレない写真が撮れます。 劣るわけがないのです。

  次に、「オークション写真を撮ったらボケた」などというのは、それこそ固定焦点方式について無知な証拠です。 いや、カメラ自体について無知なのです。 固定焦点カメラは最短撮影距離が長いですから、ブツ撮りに使うのがそもそも間違いなのです。 恐らく、≪パンフォーカス≫も≪被写界深度≫も何も知らんのでしょう。 こういういい加減な連中は、マクロ・モードの切り替えをやっているかどうかも疑わしいです。 事によったら、説明書さえ読んでいないのではありますまいか? いますよね、電気製品を買うと、箱も説明書も全部捨ててしまって、中身だけしか残さない奴。 その類の疑いが濃厚です。

  最後の、「無名メーカー云々」も随分と大雑把な話で、有名メーカーのブランドでも、外国のメーカーからOEM供給されている製品がいくらもあると聞いたら、こいつら何と言うでしょうか? フィルム時代からそうですが、ほとんど同じ機能のカメラを複数の国内メーカーがほぼ同時期に販売する事がありました。 今でもそういう製品はたくさんありますが、それらはみなOEM供給品です。 このいい加減なレビュアー達は、日本の有名メーカーのほとんどが、ほんの10年前までデジカメを全く作っていなかった事を知らないのです。 いくら、キャノンだってニコンだって、いきなり新技術に手を出して、10年そこらでトップになれるわけがないでしょうが。 外から買ってるんですよ、技術も製品も。

  ちょっと技術解説しますと、固定焦点カメラというのは、ピント合わせにパンフォーカス原理を利用しているカメラの事です。 パンフォーカス原理というのは、レンズの焦点距離と絞りをある一定の関係にしてやると、被写体全体にピントが合う現象の事です。 固定焦点カメラの場合、最短撮影距離から無限遠まで、全域にピントが合います。 厳密に言うと本当にピントが合うのは一点だけなので、パンフォーカスは、「ピントが合っているように見える」だけなんですが、人間の目が区別できないので問題ないというわけです。

  この方式はレンズの焦点距離と絞りを設定するだけですから、フォーカシング・カメラに比べると格段に単純な構造で作る事が出来ます。 当然値段も安くなります。 可動部分が無いのでモーターを省く事が出来、軽量化にも寄与します。 ピント合わせに電気を使わないので、電池の持ちも良いです。 また、オート・フォーカスのように測距時間がかかりませんから、早く撮る事が出来ます。 ピントのズレを気にする必要が無いので、AFロックなど出る幕がなく、撮りたい物に向けてただシャッターを押すだけで済むという気楽さがあります。  マクロ撮影や望遠撮影などは好事家しかやりませんから、一般ユーザーが普通に記念写真や家族写真を撮る分には一向に差し支えなく、むしろ簡単に撮れるのです。

  問題は、一般のカメラ・ユーザーばかりか、写真を趣味にしている人でさえ、固定焦点方式の存在を知らない者が少なくない事です。 「今売っているカメラは、みんなオート・フォーカスだ」と思い込んでいます。 だから、同じ使い方をして、失敗写真の山を築くのです。 とにかく、最短撮影距離がフォーカシング・カメラより長い事だけは頭に入れておかないと話になりません。 また、マクロ・モードがあったとしても、合焦範囲が非常に狭いので、ほとんど使い物にならない事も承知しておかなければなりません。

  固定焦点カメラはフィルム時代からたくさんあって、低価格帯を受け持ってきました。 一世を風靡した≪使いきりカメラ≫もこの方式です。 この世に存在する機械や道具には、何にでも一長一短あるのであって、「まるで使い物にならない」などという事はありえません。 何の取り得もない方式であれば、とうの昔に淘汰されているはずです。 買ったばかりで壊れてもいないのに、うまく撮れないのであれば、それは使い方が間違っている可能性がある事を、まず疑うべきです。 自分の無知が原因なのに、機械のせいにして扱き下ろすなど逆恨みもい所ではありませんか。

  自分のブログで、自分一人でブツクサ言っているだけなら、どんないい加減な事を言おうが構やしませんが、カスタマー・レビューのような、他人様に影響を与える場所で、ろくに知りもしない事をさも経験者ぶって書きたてるその無頼ぶりには、呆れ果てて物も言えません。 おまえら、ゴロツキか? また、言われているメーカーもメーカーで、自社の製品がどこでどんな事を言われているか、調べればすぐに分かるのですから、サイト運営者に抗議して外させればいいのです。 いや、むしろ同じ場所で、レビュアーの無知を指摘し、大恥掻かせてやればいいのです。