2005/08/19

いのしし村

  さて、土肥を後にした私は、伊豆半島の内陸にバイクを向けました。 伊豆半島の道というのは、葉っぱの外縁と葉脈のように走っているので、海岸沿いのどの街からでも、内陸へ入る道があります。 土肥から山の中へ入って行くと、修善寺と天城湯ヶ島の中間くらいの場所に出ます。 土肥も修善寺も天城湯ヶ島も、今では全部、伊豆市ですが、道路標識は、元のままの表示になっています。 まあ、当然ですな。 だから、市長村合併は何かおかしいって言うんですよ。

  半島の中心を走っている国道136号に入って、しばらく南下しますと、『浄蓮の滝』 から間もない所に、『天城いのしし村』 があります。 今でこそ伊豆半島には、亀やら猫やらペンギンやら、一種類の動物を取り上げたテーマパークが犇いていますが、その中でも 『いのしし村』 は古参組に入ります。 私が子供の頃にはもう 『猪レース』 が評判の呼び物になっていたんですから、いかに古いかが分かろうというもの。 数年前に創立者が亡くなって、経営母体が他へ移ったらしいですが、今でも人気のある観光スポットである事に変わりはありません。

 浄蓮の滝を過ぎると、左手に突然この看板が現われるので、うっかり通り過ぎてしまう場合もあります。 この写真は、南側から撮った物。 ちょっと分かり難いですが、手前にあるのが私のバイクです。

 駐車場は、無料で、そこそこ広いです。 何せ交通不便な所ですので、そんなに観光客が押し寄せるという事もなく、大概は駐車できると思います。 ただ、バイク専用駐車場はありません。 適当に隙間を見つけて停める事になります。

 中に入って、最初に出会う雄のイノシシ。 雄にはキバがあり、面構えが違うので、直ぐに分かります。 イノシシの体長は、大きくても1.2m程度だそうですから、こやつは最大の口に入ります。 見るからに、ストレスが溜まっていそうな態度でした。

 こちらは、園の中の方にいた雌イノシシ。 雄よりずっと温厚な感じがします。 犬などと違い、ひっきりなしに地面の匂いを嗅ぎ、エサを探しています。 「ブーブー」 という泣き声は、エサの匂いを嗅ぐ時の鼻の音なんですね。

 アップ。 鼻がすらっと長いので、何となくバクを思わせます。 イノシシというのは、かなりカッコいい動物です。

 こちらは、ミニブタ。 比較すると、イノシシのスマートさが際立ちます。 やはり、自然は偉大ですな。 隣にいるのはヤギの子。 なぜか同居してます。

 こちらは、大人の雌ヤギ。 『いのしし村』 とは言うものの、いろんな動物がいます。 ヤギも雌の方が顔付きがすっきりしていますね。

 性別不明のロバ。 ロシナンテのイメージから、非常に可愛い動物のように思われていますが、間近で見ると、ちと怖いです。 こうして見ると、馬に近い事が分かりますね。

 何、これ? 最初見た時は、有袋類かと思ったんですが、『ラーマ』 という南米のネズミ類だそうです。 カピバラの仲間かな? 足が長いのが特徴。 でも、如何にも臆病そうで、ほとんど動きません。

 イノシシ博物館、『ぼあぼあ』。 ここまでデザインしなくても、看板かければ、分かるって。 まあ、経営者の勝手ですが。

 世界のイノシシ類の揃い踏み。 大陸によって生息している種類が違うそうです。 左から、イノシシ、カワイノシシ、イボイノシシ、一番向こうは、アメリカ大陸のイノシシですが、名前を忘れてしまいました。

 イノシシの頭蓋骨。 実に博物館らしい展示物。

 世界各国のイノシシの民芸品。 これも動物系テーマパークではよく展示されていますが、見てそんなに面白いものではありません。

 『猪ショー』 もやってました。 恐らく、水族館でやっている 『アシカ・ショー』 が原形だと思います。 駄目役のイノシシを登場させたりして、笑いを取りながら進んでいきます。 橋渡り、滑り台、サッカー、樽乗りなどを見せてくれます。 お客も大概は協力して、笑い所では笑い、うまい芸を見せたら拍手します。 しかし、小さい子供というのは正直というか、残酷というか、配慮が足らず、「下らなーい!」 などと、言わなくてもいい事を聞こえよがしに言います。 また親も注意しません。 明らかに営業妨害ですから、そういう奴らは親子一緒に摘まみ出してやるのが良いと思います。

 ヤギと触れ合う家族連れ。 こういう光景は、大変微笑ましいですな。

 一方こちらは、『猪レース』 に群がる欲の亡者ども。 入場券に連勝単式の数字が印刷されていて、当ると景品がもらえるのですが、誰一人として権利を放棄する者がいません。 さして広くもない園内にこんなに人がいたとは驚きです。

 イノシシのゲート。 かなり本格的に出来ています。 条件の統一など、管理は厳格です。 恐らく、外れた客の中に怒り出す人がいるので、その対策なのでしょう。 係員の動作は機敏で無駄が無く、イノシシに負けず劣らず、訓練が行き届いている感じがします。

 『猪レース』 発走! 猪突猛進と言いますが、凄い早さです。 同じ伊豆半島の、河津町にある 『アンディー・ランド』 では、『亀レース』 をやっていますが、その原形になったのが、この 『猪レース』 です。

 下り坂のコーナーでも、ノーブレーキで突入して行きます。 イノシシの運動能力は、想像を絶するものがあります。 迫力は凄いですが、あまりにも速くて、ほんの15秒程度で終わってしまうので、たっぷり二分以上かかる 『亀レース』 に比べると、何となく呆気ないです。 ちなみに、私の番号は外れました。

 『猪レース』 だけかと思っていたら、夏季限定、『猪・水泳レース』 もやってました。 何でもやらせるのう、いのしし村! こちらは、会場入り口で団扇を200円で売っていて、それを買った人だけが、好きなイノシシに賭けられるという方式を取っていました。 ほとんど全員が買うので、時間が掛かって、始まるのが大幅に遅れました。 全く、どいつもこいつも、欲の皮ばかり突っ張らせおって・・・。 もちろん、私は買いませんでした。 イノシシの泳ぎを見たかったのです。

 ゴール! 「イノシシが泳ぐといっても、足が細いから、速いはずがない」 と思っていたんですが、とんでもない思い違いで、犬よりずっと速かったのにはびっくりしました。 イノシシ恐るべし! 離島にもイノシシがいるそうですが、泳いで渡ったという説が信じられるような光景でした。

 施設の関係上、泳ぎ終わった後は、客席の中を通って帰ります。 たぶん、みんな雌でおとなしいんでしょうが、それにしても、世間で害獣扱いされている動物とは思えませんな。 大変よく馴らされています。 怖がっている女性が写っていますが、彼氏の手前のポーズでしょう。 そんな緊張した雰囲気ではなかったです。

 最後に見つけた、『ウリ坊』。 三ヶ月以上たっているのか、もう縞が消えていますが、まだまだ可愛いですね。

 帰り道に見かけた 『天城ドーム』。 山の中に忽然とドームの屋根が見えてきたので、びっくりしました。 近づいてみると、野球場ではなく、総合スポーツ施設の中にある室内競技場でした。 それでもかなり大きいです。 構造を見る限り、屋根も開くようです。 金が掛かったでしょうねえ。 作ったからには、どんどん使わなきゃ、損ですな。


  帰りは、国道136号で、真っ直ぐ北上する予定だったんですが、天城から修善寺に向う途中、早くも渋滞しているのを見て気が変わり、来たのと同じコースで帰る事にしました。 しかし、この判断が大失敗。 地図で見れば分かりますが、距離にして二倍以上の遠回りになるのです。 『いのしし村』 を出たのは2時半だったのに、家に着いたのは5時でした。 時間はいいとしても、腰が痛くなってまいりました。

  目的地にはちゃんと行ったし、見るべき物も見たので、まずまずの旅行だったと言っていいと思います。 でも、気になった事もあります。 近年ますます顕著になりましたが、観光地で大勢の人の中に入ると、女も男も香水の匂いをプンプンさせている者が多くて、辟易してしまうのです。 あまりにも臭いので、同じコースを歩いていられません。 やはり、恋人同士にそういう臭い奴らが多いですが、「一緒に旅行に来るほど親しいなら、もう香水なんていらないんじゃないか?」 と思います。 いや、口に出して説教なんかしませんがね。