2008/01/06

モテない理由

  映画≪間宮兄弟≫を見ました。 どうしても見たかったというわけではなく、ムービープラスでやっていたのを、たまたま終わりの15分だけ見かけ、何となく気になっていたら、翌日の深夜に地上波で放送されるという偶然に恵まれたので、録画して最初から見直したという次第。 配役にせよ、撮影場所にせよ、低予算と一目で分かる、いかにも今風のセっコい日本映画ですが、面白いとか何とか言うより、取り扱っているテーマがいろいろと考えさせられるものでした。

  ネット上の映画評を読むと、「≪電車男≫に続く、オタクに希望を与える映画」などと書いてありますが、そういうのを≪型に嵌め込みたがる月並みな批評≫というのであって、間宮兄弟程度では、オタクの内に入りません。 それに、この兄弟、生活の目標を恋人の獲得に置いており、そんなのはオタクとは言えんでしょう。 奥手だというだけで、やっている事は、ナンパそのものです。 ナンパするオタクなんて、聞いた事ないよ。 大体、これだけ積極的に働きかけが出来るなら、もっと早く彼女が見つかってるんじゃないですかね?

  ほぼ原作通りに映画化されているらしいですが、という事はつまり、原作者が独身男性の現実を知らんのでしょう。 10代20代をまるまる女っ気無しに生きて来た男が、30代になってから、ナンパなんて出来るわけがないでしょうが。 そんな事が出来るなら、若い頃にやってるよ。 まあ、作家が世間知らずなのは珍しい事ではないとして、カレー・パーティーに誘われた女二人が、さして考えもせずにOKする所がまた奇妙。 普通、断りませんか? 二人とも性関係にある彼氏がいるのに、ナンパ以外に解釈のしようがないパーティーの誘いに乗るはずがないではありませんか。 「下心があると思われたら困る」といったような間宮兄弟のセリフがありますが、何を寝ぼけているのか。 下心無しで、独身女性を自宅パーティーに誘う男なんぞ、この世にいるわけがありません。 下心が無いんなら、誘う相手は、公園で昼寝している爺さんでも何でも構わんではありませんか。 独身男性が独身女性を誘う時、し・た・ご・こ・ろ・があるのは、あ・た・り・ま・え・です!

  当然の事ながら、女の方も、男に下心があるのを承知の上でなければ、OK出来ないはずです。 その気もないのに、カレーが食べたいだけで、ホイホイ出かけて行く女なんていませんよ。 もし、暴行でもされたら、「カレー・パーティーだと言うから行ったのに」じゃ、言い訳にもなりません。 いや、現実に、ストーカー被害で大騒ぎしている連中には、そういう言い訳をする奴らがいますが、ガキの戯言ですな。 自分の警戒心が足りなくて、ストーカーの罠に嵌まっていながら、「警察が守ってくれない」が聞いて呆れる。 んじゃ、警察は、どこまであんたらの世話をすればいいのよ? 棺桶に入るまで、ボディーガードするのか?

  それに、異性と交際している勤め人というのは、休日にスケジュールを空けられないものです。 平日は仕事、休日は交際相手と会わなければならないのですから、呑気にナンパに引っ掛かっている閑などありますまい。 映画やドラマを見ていると、「こやつら、一体、どこからこの時間を捻り出しているんだ?」と首を傾げたくなる設定が頻繁に出て来ます。 平日に仕事が終わった後、彼氏彼女と街で落ち合って、夜中まで遊ぶといった場面が大変多いですが、毎日そんな事やってたら、体力使いきって、死にますぜ。 かくして、どんなにアツアツだろうが、会うのは休日がメインになるわけですが、同性の友人達とのつきあいもあるのですから、休日の予定はキツキツのギリギリになりがちです。 どこの誰とも分からない兄弟に誘われて、カレー・パーティーに出かけて行くような時間なんぞ作れるものですか。

  間宮兄弟の母親役で中島みゆきさんが出演しているんですが、そのセリフの中に、フラれた息子達に向かって、「女の人にモテなくたって、大した事じゃないから」という発言があります。 何をヌケヌケと言うか、この母親は! 30代で結婚もしていない、彼女もいないとなれば、もう始終頭の中で警報が鳴り響いているほどの危機的状況ではありませんか。 大体、子供が交際相手を見つけられない原因の95%は、親に責任があります。 恋愛結婚の時代に於いて、最も重要なのは外見、特に顔ですが、顔の良し悪しなど、親の責任でなければ誰の責任だというのか、教えておくれよ、おっかさん、てなもんです。 自分がまずいツラに産んでおきながら、「女の人にモテなくたって・・・」などとよく言えるな。 恋愛結婚の時代に彼女が出来ないという事は、結婚出来ない、子供も出来ないという事ですぜ。 その重大さが分かってて言ってるのかね?

  そういう事を無神経に口にする親ほど、自分達は見合いで結婚しているんですよ。 呆れるよねえ。 これを読んでいる人の中にも、いい年して独身の人が相当いると思いますが、「早く結婚しろ」などと、親や親戚に言われた事があるでしょう。 そう言われたら、きっぱりと、「そんな事言うなら、もっとモテる顔に産めよ」と言い返してやりましょう。 もう二度と言われなくなるから。 見合い結婚全盛期に見合いで結婚した連中には、恋愛結婚時代がどんなに厳しいものか、実感として想像できないのです。

  中には、「自分で相手を見つけらないなら、見合いをすればいいじゃないか」と食い下がってくる奴がいると思いますが、そういう場合は丁重に、「じゃあ、縁談を探してきて下さい」と答えましょう。 ふふふ、まあ、絶対見つけて来れないね。 今時、縁談なんぞ、転がっているものかね。 すると、「結婚相談所へ行け」などと言われるかも知れませんが、そう来たら、「結婚相談所は詐欺が多い。 詐欺師に金をくれてやるような真似は出来ないから、かかる経費を全額負担してくれるか?」と訊き返してやりましょう。 親だったら二度と「早く結婚しろ」なんて言わなくなるし、親戚だったら、それ以降、梨の礫になるから、見てて御覧なさい。

  間宮兄弟、最後の最後には、向かいのマンションの姉妹と、ちょっと脈があるような展開で終りますが、現実にはありえないですねえ。 自分で自分の顔がいいと思っているような女性の場合、彼氏との関係がうまく行かなくなったくらいで、他の男に自分を安売りしたりはしません。 その気になれば高く売れるものを、安売りするわけがないではありませんか。 それに、一度フった男に自分からもう一度近づく女というのもあまり例を知りませんな。

  ああ、そうそう、男性の方に忠告しておきますが、女性に一度フラれた場合、それ以上その人に付き纏ってはいけませんぜ。 30年くらい前までなら、「一押し二押し三に押し」は有効だったんですが、時代は変わりました。 今それをやると、ストーカーとして警察に通報されます。 マジマジ。 そういえば、子供の世界で、ラブレターという習慣が廃れてしまったのを知ってますか? なぜか? 今の女の子というのは、靴箱にラブレターが入っていると、先生の所へ持って行くんですよ。 即ストーカー扱いになるのです。 自分が好きな男の子から来たラブレターなら狂喜乱舞しますが、そんな偶然はまず起こりません。 女の子が好きな男の子というのは、大抵モテる子と決まっており、モテる男の子は、自分からラブレターを書いたりしないからです。 かくして、誰も書く奴がいなくなったんですな。 ちなみに今の子供は、「告る(こくる)」と言って、直接言葉で告白するようですが、想像するに、凄絶な自爆を遂げる者も多いでしょうな。 南無阿弥陀仏。

  悩める男性諸君よ。 「なぜ自分はモテないのか?」と思ったら、まず己の顔を疑うべし。 目鼻立ちの造作が悪くないのにモテないとしたら、歯並びを疑うべし。 それも問題ないのにモテないとしたら、背の高さを疑うべし。 デブやヤセは、はなから問題外。 頭の良し悪しも全く関係ありません。 というか、意外なようですが、社会人になってしまうと、馬鹿の方がモテます。 女性から見ると、操縦し易いかどうかが重要な鍵になって来るので、自分より頭のいい男にかしずいて、アゴで使われるより、馬鹿を捉まえて、下僕扱いした方が得と考えるのです。 これまた、昔と違っているのは、女性の置かれている社会的立場でして、昔は男に養ってもらわなければ生きていけなかったのが、今は自力でも生きていけますから、求める男性像が変わってしまったんですな。 かくして、頭はいいが顔が悪いという男性達が結婚できなくなり、社会全体の知能レベルが低下し始めたわけですが、まあ、それはしょうがないねえ。

  顔も頭も悪いけどモテるという男性たちがいます。 それは有名人。 別にテレビに出るような人でなくても、一定の集団内で、いい意味で有名になっている男性は、それだけでモテます。 女性の中には、「有名な男と一緒にいれば、自分も有名になれる」と算盤を弾く人が少なくありません。 お笑い芸人など、「こんなまずいツラで、どうしてあんなに美人の奥さんがいるんだ?」と思わせる例が多いですが、答えは単純、有名人だからです。

  金で釣るという手もありますが、この手は、当然の事ながら、資本がなければ出来ません。 ≪援助交際≫の存在を見ても分かるように、金に転ぶ女性はたくさんいます。 金持ちの奥さんを見ると、若い頃、水商売をしていたという人が多いですが、あれはつまり、網を張って、金持ちがかかるのを待ってたんですな。 そういえば、男の中には、金の使い方を間違えている奴が結構います。 指輪だのブランド物だの、滅多やたらにプレゼントしまくる馬鹿がいますが、効果ゼロ。 貰ったその足で質屋に売りに行かれるのがオチです。 だからねえ、女性というのは、自分が欲しくない物を貰っても、ちっとも嬉しくないのよ。 金を直接やった方が、ずっと喜ばれます。 物をプレゼントをするなら、何が欲しいか訊いてから、一緒に買いに行けば良いのです。 それを繰り返していれば、女性を捉まえられます。

  最後に人柄ですが、これはもう、全然・全く・金輪際、何の関係もありません。 女性は男の人柄なんぞ、まるっきり見ていません。 また見抜く能力もありません。 だから、ドメスティック・バイオレンスで、顔が変形するほどボコボコに殴られたりするのです。 街行くカップルを呼び止めて、「彼氏のどんな所が好きですか?」と訊くと、大抵の女性が、「優しいところ」などと答えますが、アホ丸出しだね。 交際し始めた頃に、男が女に優しいのは、あ・た・り・ま・え・です。 最初からぶん殴ってたら、獲物が捉まらんだろうが。 出だし、優しい所しか見ないので、すっかりそういう男だと思い込んで、交際したり、結婚したりしますが、「もう、本性出しても大丈夫だろう」と思うと、殴る男は殴り始めるんですな。 殴るだけでは収まらず、あばらが折れるまで蹴るというから恐ろしい。 人柄を見抜く能力があれば、そんな男に引っ掛かる女なんていないって。

  また、本当に男の人柄が良くても、女の方が腐れきっている場合、結局うまく行きません。 「あんたはお人好しだから、あたしの言う通りにしないと、すぐに人に騙されちゃうよ」とか吹き込んで、亭主の交友関係をメチャメチャにしてしまう女房というのが結構います。 もう、悪魔を家に引き入れたようなもんだね。 男の方も、女の人柄を見抜く能力が無いんですな。 そもそも、異性交際の目的は、ぶっちゃけて言えば、「セックスがしたい」の一点に尽きますから、他の部分なんて目に入らないんですよ。 セックスするのに、人柄なんて関係ないもんね。 あはははは! 身も蓋もないが、生物学的真理だから、致し方ない。

  相手を選んだ理由に、「趣味が共通しているから」と答える人達は多いですが、実際には稀なケースだと思います。 男と女ではもともと趣味の傾向が違っていますし、また趣味は時間が経てば変わっていきますから、いつまでも同じ趣味ではいられないのが現実です。 周囲にいる夫婦を観察してみれば、同じ趣味を楽しんでいる人達などいないでしょう? 夫婦で一緒にやっている事といえば、散歩か旅行くらいが関の山。 家庭内の話題にしてからが、子供がいれば子供の事、犬を飼っていれば犬の事、あとは近所の噂話といった所で、それぞれ自室を持っていれば、同じテレビ番組すら見ていません。 単に趣味が同じというだけで、付き合い始めた男女は、結婚まで行かない内に分かれているんじゃないでしょうか。 何といっても、異性交際の目玉は、≪セックス≫ですから、文字通り、趣味のいい事など言っていられないのです。

  ≪間宮兄弟≫から随分離れてしまいましたが、最後に引き戻しましょう。 この映画、決してつまらなくはないです。 森田芳光監督の作品の中では、ごく初期の作品群に近い雰囲気を持っていて、見ていて心地よい気分にさせてくれます。 脇役の配役がちょっとアンバランスですが、難というほどではありません。 ただし、これらの評価は、あくまで、映画という夢の世界での話としてならです。 現実的でもなければ、オタク向け映画でもないので、オタクの方々、間違えて真似などしないように。 レンタル屋の女性店員をナンパなんぞしたら、一生消えない悪夢のような思い出を作る事になりますよ。 ひっひっひ。