2007/12/09

ツラ

  テレビを見ていると、「こんなに醜い女が、なぜ美人扱いされているんだ?」と驚愕する事がよくあります。 「それほどの美人ではない」とか、「どちらかというと普通の顔だろう」といった次元の話ではなく、はっきりきっぱり明らかに「ブス!」としか思えない顔なのに、世間的には美女で通っているのです。 そんな時には、「自分の感覚がおかしくなったのか?」と深く静かに悩むわけです。

  顔の良し悪しの問題というのは、あまり大っぴらに口にすると、名誉毀損になりかねないので、他人の同意を求めるのが憚られるのですが、割合感性が近いと思われる人に、こっそり、「あの女、ブスだよね」と訊ねてみると、「そう? 結構可愛いと思うけど」などという予想外の返事が返って来て、更に動揺する事もしばしばあります。 そんな場合にも驚くのは、微妙な差ではなく、美人とブスの両極端に別れてしまう事が多い点です。 同じ人物を見ているのに、この差はなんざんしょ?

  もう10年位前ですが、配属された職場に二人の同年輩の人がいて、山口智子さんと松下由樹さんのどちらが美人かという言い争いを始め、私に裁定を求めてきた事があります。 私は、(失礼ですが)どちらも美人だと思っていなかったので、テキトーにはぐらかす以外にありませんでした。 次に、5年くらい前の話ですが、ネット上のある掲示板で、モーニング娘の話題が出て、誰が可愛いかという話になりました。 私は詳しくなかったので、漠然とした記憶から、「一人、妙に可愛い子がいますね」と書いたら、ある人が、「ああ、それは、○○さんでしょう。 あの子は可愛いですからね」と名前を教えてくれました。 暫くしてから、その名前の人物をテレビで確認したのですが、私の念頭にあったのとは別の人でした。 しかも、「これが可愛い? どこが?」というような顔で、目の下がヒクヒク引き攣るのを抑えられませんでした。 美女に対する感覚とは、かくも個人差が大きいものなのです。

  こうなって来ると、美人には客観的基準など存在せず、見る側の感覚によって異なると考えるのが妥当でしょう。 思うに、味覚や音楽の感覚などと同じで、幼い頃に親の意見や周囲の環境により刷り込まれた感覚が、その人の美人観を決定するのではありますまいか? 母親に似た女性を好む者や、その真逆を好む者がいますが、母親に対する好悪感情が、その人の美人観に影響しているのは間違いありません。 子供番組に出て来る≪お姉さん≫が美人の基準にされる事も多いです。 その頃に人気があって、しょっちゅうテレビに出てきたタレント・女優さんなんかも対象にされます。 ≪三つ子の魂百まで≫の適用を受け、幼い頃にインプットされた美人の基準を元にして、その後の人生において、美人とブスを選り分けて行くわけです。 つくづく、個人的感覚の領域ですなあ。

  つまりねえ、誰か美人だ、かれがブスだというような言い争い自体に、意味が無いんですな。 人によって感覚が違うんだから。 腹が立つのは、「○○は美人だ」とか、「△△はブスだ」といったように、他人に決め付けられる事なのです。 自分が美人だと思っている人の事をブス呼ばわりされれば、誰だってムカっと来るわな。 基準が無い世界の話なんだから、そんな事で言い争っても決着などつくわけが無いのであって、詮無い事なのよ。 自分の感覚を傷つけられたくなかったら、その種の話には関わらないのが一番。


  と、以上の事を重々承知した上で、以下は他愛の無い個人的感想なんですが・・・・・

  フィギュア・スケートの、○○○○や△△△△はブスだよねえ! あんまり醜いんで、突然テレビ画面に出て来られると、ビックリしちゃうね。 ○○○○なんて、「○○○。ー」なんて愛称で呼ばれてるけど、なまじ可愛いっぽい愛称を付けられたばかりに、余計に醜さが際立って、吐き気すら催す有様。 誰だよ、「○○○。ー」なんて呼び始めた馬鹿は。 どう見たって、薹が立ったおばさん面だろうが。 信じられんな、まったく。 また、△△△△の歯並びの悪い事。 テレビに映る職業なんだから、歯の矯正くらいせなあかんで。 今時、男のお笑い芸人ですら歯の修正は必須だというのに、何考えとんのかねえ。 フィギュア・スケートという種目、基本的に、「自分は美女だ」という前提で演技するため、それをブスがやっているだけでも滑稽なんですが、ブスのくせこいて、自分を美人だと思い込んでいる奴がやっていると、もう直視に耐えない醜態と化してしまいます。 悪い事は言わん、ベールで顔を隠せ。 その方が点数が上がる。

  次。 ブス・ユニバース。 あれにもビックリしたなあ。 ミス・ユニバースというのは、≪世界一の美女≫を選ぶという趣旨で行なわれているわけですが、まったく逆の、≪世界一のブス≫を選んだんじゃないかと思い、唖然としてしまいました。 ≪宇宙戦艦ヤマト≫風に表現すると、イスカンダルに行くつもりで、ガミラスに来てしまったといった所でしょうか。 美人に基準は無いと書きましたが、日本人男性で、◇◇◇の事を美人だと感じた者は一人もいないんじゃないかと思います。 十人並みですらなく、はっきりとブスの領域だと言えると思います。

  たぶん、審査員のほとんどが、黄色人種じゃなかったんでしょうね。 人種間で、美人の基準に大きな開きがある事は、アメリカ映画に出て来る黄色人種女性の顔を見ればよくわかります。 もし東アジアであれば、女優どころか、コンビニのバイトにも雇ってもらえないようなドブスが、チャーリーズ・エンジェルなんぞやっておるのを見ると、笑うな吐くなっつー方が無理でんがな。 つまりね、異人種の人達には、黄色人種の美人・ブスの違いがまったくわからないんですよ。 単に吊り目だというだけの理由で選んでいる可能性高し。

  それにつけても、ブス・ユニバースには困った。 同県出身者なので、県内のテレビ番組に出て来る機会が多いんですが、あの顔を何度も見せられたんじゃ、飯も食えません。 ブスの顔というのは、一度見ただけで脳裏に焼き付いて、夢にまで出て来るから、始末におえぬ。 審査員の奴ら、黄色人種の美醜が分からないんだったら、最初から候補から外せよな。 すっごい迷惑なんだからよ。 また、日本のマスコミの奴らも、腹の底では、「こりゃまた、どえらいブスが選ばれたもんだな」と驚いているくせに、単に同国人の栄誉だというだけで、持て囃すのはよせよ。 実際にはブスなんだから、テレビ・コメント的に無理に誉めたって、限界があるだろうが。 こういう珍事が発生してしまった場合、慌てず騒がず、無視するのが唯一の対策です。

  この世のブスどもよ。 別に死ねとは言わん。 家から出て来るなとも言わん。 基本的人権はもちろん尊重する。 しかし、これだけは守っていただきたい。 頼むからテレビに出て来るのだけはやめてくれ。 こちとら、わざわざ気分を悪くする為に、テレビをつけているんじゃないんだ。 あんたらだって、ブ男ばかりテレビに出て来たら、気持ち悪いだろう? 同じ事だ。 同じ事なんだ。 お願いだから、分かってくれ。


  極端なブスの例はこのくらいにしておいて、もう少し普通の話にしましょうか。

  モーニング娘は典型的ですが、10代の子供を美女扱いするのは、ほどほどにしておいた方が無難です。 デビューした時には、輝くばかりの美少女だったのに、20歳過ぎると、「なんじゃ、こりゃ?」というような顔になってしまうケースが非常に多い。 たとえば、現在、10代20代の人達で、薬師丸ひろこさんを見て、美人だと思う人は、まーずいないと思いますが、20年くらい前、薬師丸さんが、日本を代表する美女として君臨していたと聞いたら、驚く以前に、理由が分からず、戸惑うばかりでしょう。 人間の顔というのはね、変わるんですよ。

  よく、「子役は、そのまま成長すると変な顔になる」と言われます。 その例はいくつも挙げられると思います。 性別に関係なく、「こんな可愛い子がこの世にいるのか!」とまで思わしめた子供が、大人になると、妙に間の抜けた顔になって、端役を拾って辛うじて食い繋ぐだけの俳優になってしまうのは、大変よくあるケース。 逆に、はしのえみさんや、石田ゆり子さんみたいに、30歳近くなってから人気が出始める人というのもいますが、そういう人は、若い頃には注目を集めるような顔ではなかったのです。 人間の顔というのはね、変わるんですよ。

  美人のまま大人になってしまったから、もう安心だと思ったら大間違い。 大人になってからブスになるケースも当然あります。 非常に多いのが、鼻が隆起して、鷲っ鼻になるケース。 10代の頃に鼻筋が真っ直ぐ通っていた子は、往々にして、20歳過ぎると魔法使いのおばあさんになってしまいます。 次に、顔が伸びてくるケース。 10代の頃、ちょうど良い長さの顔だったのが、だんだん伸びて来て、頬骨が出た馬面になって行きます。 あれも悲惨だなあ。 しかし、奇妙なもので、その時点で醜くなっていても、以前美人だったという前歴があると、いつまでも美人として扱われる事が多いです。 人間というのは、先入観に大きく影響されながら生きているんですな。

  うちの母は、韓国ドラマのファンで、ケーブル・テレビのデジパック契約を入れて、日がな一日、韓ドラを梯子見していますが、「最近は、日本の女優が美人に見えなくなった」と言っています。 それは私も同感で、韓国のドラマや映画をある程度見た人なら、みな同じ感想を持つと思います。 見たところ、韓国の女優さんには、ある一定の美人基準があって、それをクリアしないと、デビューできないようですな。 たとえば、顔が平たいと、その段階で没です。 撮影技術が進んでいる為に、あらゆるアングルで撮られる事を考慮して、立体的な顔立ちの女性を優遇しているのでしょう。

  日本では、正面から見た顔立ちがオーケーなら、横顔には拘らない傾向があり、かなりペッタンコな顔の人でも、美人で通ります。 たまに撮影アングルの関係で、上を向いたりすると、「げっ! こんなに平たいのか!」と引いてしまいますが、それは仕方ないと許容されてきたんですな。 ちなみに、マンガ・アニメでも、日本では横顔がテキトーに描かれます。 写実的に描くと醜くなるので、ごまかしてしまうのです。 作者と読者の間には、「こういう横顔が描いてあれば、それは美人の顔なのだ」という暗黙の了解があり、それ以上の事は気にしません。 でも、外国人はそうは感じないと思います。

  この、横顔の平たさという奴、気付かないうちは何とも思わないのですが、一度誰かから指摘されると、妙に気になり始めます。 そして、日本の女優さんを一人一人チェックしていくと、八割方落ちてしまうのです。 それまで美人に見えていた人が、ある日を境にブスにしか見えなくなります。 とはいえ、日本女性に立体的な顔立ちの人がいないわけではありません。 女優を選ぶ時に、平たい顔を除外しない為に、平たい顔の割合が多くなるというだけの話です。


  話は変わりますが、最近は、醜い子供が減ったように見えます。 私の父も、「外で遊んでいる子供を見ると、昔みたいに悪い顔の子がいなくなったな」と言っています。 これ、偶然でも気のせいでもないのであって、実際に顔がよくなりつつあるんですよ。 原因は、恋愛結婚が増えた事です。 いいなづけ婚や見合い結婚が大半だった頃には、容姿は最重要条件ではなかったのですが、恋愛結婚の時世には、どうしても顔のいい人間が有利になります。 これは、どうしようもないですな。 ブスやブ男が結婚できなくなった結果、まずまずの顔以上の人達だけが子孫を作れる状況になり、自動的に子供達の顔立ちも良くなってきたというわけです。 残酷? 理不尽? いやいや、恋愛結婚が主流の社会では、みんなそうなんですよ。 恋愛結婚制度を長く続けていると、ブス・ブ男が淘汰されて行くのです。


  随分好き放題に書いてきましたが、冒頭部に書いたように、顔の美醜には、客観的な基準というものがありません。 ここで貶した顔も誉めた顔も、あくまで私個人の感覚に基いたものなので、誤解なきよう。 いや、これだけザクザク書いてしまうと、誤解のしようがねーか。 特に中盤の個人吊るし上げがヤバそうだ。 よし、こうしよう! 今回の私の意見は、この時点ですべて取り消します。 読んだ人も、全部忘れて下さい。 他へ行って吹聴して、あとでどうなっても、私は一切関知しません。