2007/11/25

外国語を書く

  私は、一昨年の秋から、昨年の秋まで、約一年間、フランス語のブログを持っていました。 今考えると、自分がフランス語のブログをやっていたのが、遠い異次元世界の出来事のようで、まったく実感が湧きません。 今の私は、フランス語を書く事はおろか、読む事も侭ならないレベルに落ちてしまっているからです。

  毎週一回更新していたのですが、日曜日に更新するので、土曜日に仏作文していました。 内容は日本に関する時事ネタで、他愛の無いものばかりですが、ありふれた日本紹介のような文は面白くないので、日本に対して間違った幻想を抱いているフランス人の蒙を啓く為に、日本文化の批判を中心にしていました。 まあ、この≪心中宵更新≫と似たようなものですな。 ただし、外国語の作文には膨大な時間と労力を必要とするので、長さは、いつも20行くらいでした。 いや、20行というと、短く聞こえるでしょうが、自分でやってみんさい。 仏語が分からない人は、英語でもいいから。 とんでもない大仕事だという事が分かりますぜ。

  まず、日本語で文章を書いて、それを一文ずつフランス語に訳して行くのですが、そのブログを続けている期間中、毎週土曜日の午前はそれだけで潰れていました。 今にして思うと、勿体ない事をしていたものです。 そのブログ、ちょっと不愉快ないざこざがあって、二三回更新を休んだのをきっかけに、やめてしまい、その後半年間放っておいたら、ブログ・サービスの規約かなんかで、ブログごと強制削除されてしまいました。 一年の悪戦苦闘の結実も、今や跡形もありません。 原文は取ってありますが、時事ネタが多かったので、今更別のブログに復活させるのも意味の無い話です。

  それに、日本のブログだと、英語以外の言語表示が出来ない所が多いのです。 フランス語もドイツ語もスペイン語も、ローマ字以外に、文字の上下に付ける補助記号を使うのですが、日本のブログは、それがほとんど使えません。 ハングルも出ない、簡体字も繁体字も出ない、それ以外の文字は尚出ない。 日本語と英語だけ表示できればいいと思っているのだから、おったまげます。 グローバル化のグの字も分からぬと見え、ほとんど文化鎖国状態なのです。

  話を戻しますが、外国語の作文というのは、少しずつでもいいから続けている事が肝要で、一度やめると、あれよあれよと見る間にゼロ状態まで戻ってしまうんですな。 そこで、すぐに思いつくのが、≪一行日記≫の類です。 毎日、一行ずつ、外国語で日記をつけていれば、自然に日常的な単語が頭に滲み込むだろうという算段です。 ところが、これですら、実行するのは難しいです。 たった一行でも、外国語で書くとなると、辞書を引いたり、機械翻訳サイトの結果と対照したりしていると、15分くらいはかかります。 しかも、読むのは自分だけなので、翻訳する意義が稀薄と来たもんだ。 ちょっと忙しい日には、「ああ、今日はパスだ」と妥協してしまって、それが何度か重なる内に、やめてしまうんですな。

  では、「相手がいればいいだろう」という事で、「外国人のブログにコメントを打ったらどうか?」と企むのも、割とよくある思いつき。 ところがねえ、これが、もっと苦しいんですよ。 まず、コメントを書き込んだにも拘らず、返事が来ないというブログがごちゃまんとあります。 日本人でもそういう運営者はいますが、外国人でも、「コメントは所詮コメント。 返事なんか書きたくなければ書かなくてもいいんだ」と考えている輩はたくさんいます。 そもそも、ネット交友の何たるかが全く分かっておらず、掲示板やブログを現実世界の友人との連絡場所に使っている人間がかなりの割合に上るのは、由々しき事ですな。 アホか? 現実世界の友人とは、メールで話せ。 ネット上の他人と話さないんじゃ、ネットを使う意味がねーだろが。

  返事が来ないのに、コメントを打ち続けるのは、ストーカーくらいのものですから、当然打ち切らざるを得なくなります。 しかし、もっと怖いのは、律儀に返事が返って来た場合です。 外国語で。 これがねえ、何が書いてあるのか分からないんですよ。 特にフランス人の文章は分かりません。 ≪エスプリ≫と言いますが、まあ、英米圏で言う≪ジョーク≫ですな。 個人間でやりとりする文は、そのエスプリを基本にして書かれるので、冗談なのか本気なのか、区別がつかないのです。 しかも、こちらが、それに返事を書く場合も、エスプリを求められます。 フランス人にしてみると、エスプリを踏まえていない文など、読むに値しないらしいのです。 日本人同士でも、冗談が含まれた文は、相手の真意が読み取り難いのに、それがフランス語でっせ。 読めますか? 返事が書けますか? 下手な事を書けば、どんどん誤解の溝が広がって行きます。 当然怒らせてしまう事もあります。 さながら、地雷原だね。

  日本に興味があるフランス人を見つければ、ある程度、エスプリを抑えた会話も出来ますが、そういうフランス人には、アホが多いです。 つまりその、アニメ・マンガを見て、日本に興味を持ったという連中なので、どうしても知能が一般平均より劣る。 ガキのまんまなんですな。 これ、フランス人に限らず、他の国の人でも同じですから、頭に入れておいた方が良いです。 それでも、まだ日本語を習おうとか考えている人はいい方で、英米圏出身者だと、日本語を習う気など毛頭ないという人がほとんどです。 先頃、某語学会話塾の不正事件が話題になりましたが、その講師達の大半を占める英米圏出身者が、日本語を全然理解できないのは、割と有名な話。 そもそも、本国に帰れば、職にも就けないような無能な連中ばかりで、ただ母語が英語だというだけの理由で外国で英語講師をやっているのですから、日本語を習うつもりも能力も、はなっから無いんですな。 一口で言うと、アホの集団です。 アホを掴まえて、「先生、先生」持ち上げているんだから、すごい光景だ。

  探してみると分かりますが、在日英米人が作っているブログを見ると、顔がひきつりますぜ。 まず、数そのものが異様に少ないですが、恐らく、ブログを立ち上げるだけの知能がないんでしょう。 次に、作ったとしても、運営が出来ません。 最初の一二回更新しただけで、ネタがなくなってしまって、その後何年も放置されているというのも珍しくない。 もちろん、コメントが来てもうっちゃらかし。 日本人のブログでもそういう所はよく見ますが、共通項は、≪アホ≫なんですよ、アホ。 英米人に比べると、フランス人のブログは、ずっとレベルが高いです。 中には、日本人ではとても作れないような、知性が高いものもあります。 フランスの高等教育というのは、凄いんですなあ。 もちろん、英米圏にもフランスに負けない高等教育を受けた人達はいるわけですが、そういう人達は、日本には来ないのです。

  おや、今回のテーマは何だったっけ? そうそう、外国語を書けるようになるのは難しいという話でしたね。 つまりね、いい方法は無いんですね。 結局は、≪喋る・聞く≫と同じように、その国に住むしかないのかもしれません。 日本にいながらにして、外国語を習得するのは、≪読む≫だけに目標を絞った方が、確実という事でしょう。