2008/01/13

増えるリコーダー

ソプラノ・リコーダーの所有数が増え続けています。 去年の11月に再開した時には、アルト一本、ソプラノ一本だけだったのが、たった三ヶ月の間に、ソプラノの方が、八本になってしまいました。 吝嗇家なので、「よし、安く買える物だけコレクションしよう」と思って、百円ショップの物から買い始め、100円が三本、420円が一本、1155円が三本、1260円が一本というのが現状。 千円以上の四本は、国内メーカー四社の最廉価版を一本ずつ買ったもの。

ダイソーABS 白
ダイソー ラメスケ 黄
成近屋 白
キョーリツ RK-50
アウロス 303A
ヤマハ YRS-28BⅢ
全音 スタンダード モデル SB
スズキ SRE-505

  おっと、書き始めてから、こんな事を言うのもなんですが、今回の話題、興味が無い人の方が圧倒的に多いと思うので、「リコーダーなんか知らんわ」と思ったら、ここまでで読み止めにして下さい。 というわけで、以下、一本ずつ講評を。


≪ダイソーABS 白≫
 105円 中国製 ジャーマン式 掃除棒付き

  これは、二年前に買ったものですが、今でも同じ商品が100円ショップの≪ダイソー≫で売っています。 ラベルには、≪たて笛(お手入れ棒付)≫とあるだけで、特に名前は付いていなかったので、私が勝手に呼び名を付けました。 100円とは言うものの、楽器として作られた製品なので、材質はABS樹脂で、千円以上の品と変わりません。 そこそこ良い音色が出ますが、素晴らしいと言うほどではなく、プラスチック・リコーダーとしては平凡な音です。

  ソプラノ・リコーダーの音域は、c2から、d4まで出ます。 c2というのは、ピアノで言うと、ほぼ中央に位置するドより、一オクターブ高いドの事。 d4は、ピアノの中央のレより三オクターブ高いレの事。 つまり、下から上まで、二オクターブとちょい出るわけです。 製品によって、低音が出易い物、高音が出易い物、どっちも出易い物、どっちも出難い物がありますが、≪ダイソーABS 白≫の場合、低音重視ですな。 笛の裏側にあって、左手の親指で押さえる穴の事を≪サムホール≫と言いますが、e3(ミ)から上の高音では、この穴を少しだけ開けます。 ≪ダイソーABS 白≫では、サムホール半開きの音域に入ると、かなり苦しくなります。


≪ダイソー ラメスケ 黄≫
 105円 台湾製 ジャーマン式 運指表付き

  これも、ダイソーです。 正式な商品名は、≪クリアカラー たて笛(ラメ入)≫とありますが、言い難いので、これまた勝手に呼び名をつけました。 つまり、スケルトンでして、しかもラメが入って、キラキラしているんですな。 どう見てもパーティー・グッズの外見なんですが、これが吹いてみると、どうしてどうして、ちゃんとした楽器の音が出るのです。 材質はポリスチレンですが、≪ダイソーABS 白≫よりも、音色は良いです。 低音から中音域まで、しっかりした音が気持ちよく出ます。 これだけの音色が出る笛を、パーティー用に使って、一晩で捨ててしまっては、勿体ないですな。

  惜しむべきは、スケルトンでラメ入りという点。 この音で、白か茶色があれば、文句無いんですがねえ。 色は他に、赤と青がありましたが、どれもあまりいい色ではなかったので、なるべく目立たない色にしようと思って、黄色を選びました。 ラベルの裏が取扱説明書になっていて、運指表も印刷してありますが、縮小のし過ぎで見難いです。


≪成近屋 白≫
 105円 中国製 ジャーマン式 掃除棒付き

  これは、100円ショップの≪セリア≫で買った物。 楽器ではなく、注意書きにオモチャと断ってありました。 ≪成近屋≫というのは、楽器メーカーではなく、オモチャ関連の商社の名前らしいです。 オモチャなので、音色はお世辞にも誉められたものではありません。 ダミ声のような音で、低音域は何とか出ますが、左手を開け始めると、もう音が割れ始めます。 楽器として使うとしたら、低音域だけで吹ける曲専用にするしかないですな。 材質は不明ですが、ABSでないことは確か。

  しかし、乳白色のボディーは、大変美しく、見ていて惚れ惚れするほどです。 頭部管の正面に、≪NARICHIKAYA≫という手書き風の金文字が入っており、どことなく、大正ロマンを感じさせる風貌。 デザインも良いので、置き物として飾っておくだけでも面白いと思います。 ちなみに、同じデザインで、スケルトン・タイプもあり、私は緑色のを見た事があります。


≪キョーリツ RK-50 白≫
 420円 ジャーマン式 掃除棒・運指表付き

  この製品は、ネット・ショッピングで検索を掛けると、一番安い値段で引っ掛かるリコーダーです。 最も安い所では280円というのがありましたが、ネットで買うと、送料や支払手数料で、結局千円以上になってしまうので、二の足を踏んでいた所、最寄のホームセンターで420円で売っているのを発見し、これ幸いと購入しました。 キョーリツという会社は、楽器関連の商社兼メーカーですが、この≪RK-50≫は、輸入品のようですな。 ただ、生産地は不明。

  色は白、青、赤、緑があり、私が買ったのは白ですが、厳密に言うとシルバーです。 材質そのものに光沢があるんですが、その材質のせいか、成型時のマーブルがあちこちに出ていて、外見はとてもじゃないけど、綺麗とはいえません。 吹き口の表側や穴の周囲などに、割れているように見える跡まであります。

  しかし、吹いてみると、これがビックリ。 えもいわれぬ、≪しとやかな音≫が出るのです。 「本当にプラスチック・リコーダーか?」と思うほど、囁くように落ち着いた音色。 ラビュームと呼ばれる振動板を厚くして、わざと息を通り難くしているようなのですが、小さい音が出るリコーダーというのは、騒音対策上、貴重なので、悩んでいる方は、試しに買ってみるのも良いと思います。 ただし、おとなしい笛だけに高音域は苦手で、レを超えると、音がかすれてしまって、著しく出難くなります。

  運指表が付いていて、これも縮小し過ぎなんですが、≪ダイソー ラメスケ≫のそれよりははっきり見えます。 運指表とその説明文が、≪ダイソー ラメスケ≫とほとんど同じなのは、偶然とは思えないので、たぶん、何か原典があって、それを写しているんでしょう。


  以上、四本は全部、ジャーマン式の運指です。 下から順に一穴ずつ開けて行くと、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・・・と上がっていく方式。 日本の小学校で習うリコーダーは、このジャーマン式が大多数です。 ジャーマン式の他にバロック式という運指方式があり、伝統的なリコーダーは、そちらが正式。 日本では旧文部省の方針で、単純に覚えられるジャーマン式の方が普及したんですが、それはあくまで、日本ローカルの標準でして、外国ではバロック式の方が普通です。 上の四本は、全部外国のメーカーが作っている製品ですが、日本の事情に合わせて、ジャーマン式を輸入しているんですな。 バロック式も輸入すれば面白いと思うんですが、知らない人が買った場合、「音程が変だぞ」となってしまうので、その辺は致し方ないところですか。

  どれも安い笛ですが、それぞれ特徴があって、大変面白いです。 もっとも、如何に安いといっても、色違いまで揃えようという気にはなりません。 色が違っても、金型が同じなら、同じ音色しか出ませんからのう。 本数を増やすのが目的ではないわけだ。


  ああ、疲れた。 今回、写真を多く入れたものだから、手間がかかり過ぎて、作文エネルギーが尽きました。 残りの四本の紹介は、来週か、事に因ったら、更に先に延ばす事にします。