2025/11/23

時代を語る車達 ⑰

  出かけた先で撮影した車の写真に、個人の感想的な解説を付けたシリーズです。 今回から、後文を廃止して、4台目の解説文で、終わりにします。 わざわざ、後文で纏めるほどの内容ではないので。





【ルノー・2代目カングー】

  ルノーの、2代目カングー。 2007年から、2021年まで、生産・販売されていた車型。 デザインの印象は、初代と、ほとんど変わりません。 カングーは、もしかしたら、日本国内で最もよく見るフランス車なのではありますまいか? トヨタ・ファンカーゴに似ていますが、初代カングーは、1997年の登場で、ファンカーゴは、1999年からですから、ファンカーゴが、初代カングーを真似たのは、疑いないところ。

  この種の、ユーティリティー車は、車内容積の縛りがあるので、似たような形状になり易いですが、それを勘定に入れても、ファンカーゴは、初代・2代目カングーに似ていると思います。 パクリと言っても、特に言い過ぎにはならないくらい。 もっとも、こういう車は、使い勝手の良し悪しでナンボなので、細部のデザインを云々しても、意味はないです。

  この写真の車、色が褪せているように見えますが、然にあらず、黄色とオレンジ色のツートンなんですな。 この車を選ぶ人は、たぶん、目立ちたがりだと思うので、こういう色合いの方が、気分がアガるんでしょうな。 私の趣味からは遠い世界の話ですが、理屈だけでなら、理解できます。

  ところで、カングーって、3ナンバーだったんですねえ。 すると、税金も高いわけだ。 車のイメージ的に、金持ちが乗る車という感じがしませんが、お金に余裕がないと、維持できない車だったんですなあ。 知らなかった。




【ソフト・トップ車と置き場所】

  上は、BMW・3代目Z4で、2019年から、現行。 下は、マツダ・4代目ロードスターで、2015年から、現行。

  なんで、二台一絡げ扱いなのかというと、私が、スポーツ・カーに、興味がないからです。 一家言どころか、マイナス一家言もありません。 興味がないのに、なぜ、撮って来たかというと、ソフト・トップ車の置き場所について、ちょっと、意見があるからです。

  この二台とも、露天駐車ですが・・・、駄~目だって、雨曝しは。 ソフト・トップは、防水処置はしてあるものの、所詮、布製なので、雨風を受けたら、どんどん、ヤレて、見る見る、劣化。 やがては、ボロボロになってしまいます。 破れが出たら、雨漏りで、目も当てられない事になります。

  50年代頃の英米映画を見ると、主人公、もしくは、相手役が乗っている車が、軒並み、オープン・カー。 もちろん、スポーツ・カーです。 それが許されたのは、彼らが、貴族、事業家、資産家、高収入の著名人など、裕福な階層に属していたからです。 金持ちですから、屋敷には、堅牢な車庫があるのであって、露天駐車などしません。 出かける時には、基本的に、オープンで乗り、ソフト・トップは、出先で雨に降られてしまった時に、やむなく使う為のものだったのです。 その程度の出番なら、布製でも、そこそこ、長もちすると思います。

  ソフト・トップは、本来、露天駐車を前提にした装備ではないんですな。 乗りたい気持ちは分かるし、所有したい気持ちも分かりますが、それは、社会的に成功し、車庫がある屋敷に住めるくらい、裕福になってからにした方がいいんじゃないでしょうか。 もちろん、車本体を買うお金があれば、何を選ぼうが、当人の勝手ですが、ソフト・トップ車の正しい保管場所について、知識がある者から見ると、露天駐車は、大変、大変、非常に、非常に、貧乏臭く見えてしまうのです。 そこが、月極駐車場なら、尚の事。

「ヤレたら、張り換えればいい」

  それも、どうかと思います。 たぶん、仰天するほど、お金がかかりますよ。 また、ソフト・トップの張り換えなんて、どこの整備工場でも、滅多にやらない事ですから、慣れた整備士がいません。 「あっ! 破いちゃった!」なんて事になっても、整備工場側で、弁償してくれるかどうか怪しいもの。 こっそり、キットを購入し直した分を、手間賃に加算して、請求して来るかも知れません。 自動車業界では、客を騙すのは日常茶飯事ですから、やられかねませんな。

  ≪名車再生 クラシック・カー・ディーラーズ≫という、車のレストアをする番組で、時折り、ソフト・トップの張り換え作業をやりますが、テレビ番組にレギュラー主演するほど腕がいい整備士でも、大いに、てこずっている様子。 そういう、超が付く難物なんでしょう。 キットが買えるとしても、「自分でやる」なんて、間違っても思わない事です。 さんざん頭を抱えた末に、キットを駄目にして、元の木阿弥になる姿が目に見えるようだ。 敗北感は、半端ないでしょうな。

  オープン・カーにも、ハード・トップがありますが、あれもねえ。 金属製の開閉機構を積むのだから、途轍もなく重くなるに決まっているんですよ。 軽い事が、性能に大きく関わって来るスポーツ・カーを、わざわざ、重くしていて、どうする? それほどまでにして、オープン走行に拘る理由が分からない。

  結局、一般人が選べるのは、タルガ・トップか、Tバー・ルーフくらいのものでしょうか。 とにかく、ソフト・トップの露天駐車は、やめときなさいって。 惨めになるだけだから。 土台、雨が多い日本の気候じゃ、オープンで走るなんて、ほとんど、やらないんでしょう? 買って、最初の一回か二回で、開閉の面倒臭さにうんざりしてしまって、後は、手放すまで、閉めっ放しだった、なんて例は、ザラにあると思います。 そうなる自分を予測できる人は、最初から、オープン・カーを買わないのが、一番ですな。




【トヨペット・3代目コロナ】

  函南町・日守にある、露天の車置き場に、もうだいぶ以前から置いてある、トヨペット・3代目コロナ。 1964年から、1970年まで、生産・販売されていた車型。 古い・・・。 よく、残っているものです。 この写真だと、分かり難いですが、ネットで検索してもらえば、割と特徴的なフォルムなので、「ああ、これか」と思う人も多いのでは?

  私が子供の頃、兄と同年の友人が、近所に住んでいて、確か、その家の車が、これだったのでは? いやいやいや、記憶が定かではありませんな。 とにかく、私が子供の頃には、よく見かける車でした。

  その頃のデザインとしては、スラント・ノーズで、子供の目にも、カッコ良く映っていました。 当時、アメリカ車を真似た、鮫形フォルムが流行っていて、コロナも、次の4代目では、それっぽくなってしまうのですが、鮫形は、子供の目には、グロテスクにしか見えませんでしたから、比較して、スラント・ノーズの、この車が、カッコ良く見えたのだと思います。

  ちなみに、スラント・ノーズというのは、車の前端を、横から見た時に、上より下が前に出る角度で、傾斜がついている形の事。 垂直になっているものや、下より上が前に出ているものには、特に、名称がないようです。

  この車、2018年の、4・5月頃に流されていた、三菱UFJ銀行のテレビCM、「カード・ローン バンクイック パッキング篇」で、出張の旅に出かける男性(阿部寛さん)の車として、赤いのが使われていました。 綺麗にレストアすれば、欲しがる人もいる事でしょう。 雑草に埋もれさせておくのは、惜しい。




【三菱・6代目ミラージュ】

≪写真上≫
  三菱の、6代目ミラージュです。 日本国内では、2012年から、2023まで販売されていた車型。 ミラージュは、かつては、カローラ・クラスのサイズでしたが、この6代目は、一回り小さくなり、排気量も、1リットルと、1.2リットルと、リッター・カーになりました。

  この車のいいところは、大きさの手頃感ですかね。 両親と、小学生以下の子供二人くらいの家族が出かけるには、最も使い易いサイズだと思います。 親子四人というのは、1960年代後半、マイ・カー時代が始まった頃の、平均的な家族構成ですが、当時 売れていた、初期のカローラ、サニー、ファミリアなどに近いサイズなのです。 日本人の体格は、その頃より大きくなりましたが、前席の大人が普通に乗れれば、後席は子供ですから、狭いという事はありません。

  デザインは、特に絶賛するほどではありませんが、まあ、今風のハッチ・バック車のそれですな。 安定感よりも、躍動感を重視している点は、時代に迎合していますが、迎合し過ぎて、SUV風に流れなかった点は、評価できます。 纏まりは、極めて良いです。

≪写真下≫
  後ろ姿。 リヤコンの形も、いいです。 昨今、どのメーカーの、どの車種も、鰹節みたいな形のリヤコンばかりになってしまいましたが、こんな風に、さりげない個性を盛り込もうと思えばできるのだという、証明になっています。 バック・ドアの、プレス・ラインも、車体側面のそれと、セットになっていて、悪くない。

  私は、エアロ・パーツは、全般に嫌いなんですが、この車のバック・ドア上のスポイラーは、違和感がありませんな。 むしろ、とってしまうと、悪くなるような気がしないでもなし。