2007/01/04

折り畳み自転車

  私は常に、何かしら欲しい物がないといられない性質のようです。 一種の神経症だと思いますが、買物依存症とはまた別口のようで、やたらめったら何でも買いたがるというわけではありません。 また、買えば満足して欲望がしばらく鎮まるというわけでもないのです。 買った途端にそれに対する興味が冷めてしまって、ろくに使いもせず、うっちゃらかし。 心は次の獲物を求めて、またぞろ欲望が膨らみ始めます。 つまり、買う事よりも、欲しがる事に目的があるのだと思われます。 困った病気で、買わなければいつまでも落ち着かないし、買ったら買ったで面白くもなんともないのですから、もう処置なしですな。

  ここの所、振り回されているのは折り畳み自転車です。 自分のサイトを半写真サイトに改造したのをきっかけに、写真を撮りに行く機会が増えたのですが、それに乗じて、「車で遠出して、スーパーやホームセンターなどの駐車場に停め、そこを中心に折り畳み自転車で近隣を回れば、撮影の行動半径が広がるではないか」という口実を捻り出し、「ならば、折り畳み自転車を買わずばなるまい」と欲望の標的に祀り上げたというわけです。

  一旦思い立つと、欲望の奴隷になりますから、頭の中は折り畳み自転車でいっぱいです。 新聞の折り込みチラシをチェックしたり、近隣のホームセンターや大型自転車店に現物を見に行ったり、ネットで安い通販品を探したり、閑さえあればそんな事ばかりしています。 車種もほとんど決定し、店には無いので、ネットで註文するばかりの所まで追い込みましたが、そこまで来て、ハタと思い止まりました。 なぜって? だって、本当は折り畳み自転車なんて必要ないんだもの! わはははは! そーなんですよ、こんなに欲しがっているのに、論理的に考えると全然必要ないんです! いや、必要ないどころの話ではなく、あると邪魔なのです。 無理やり使うと、腰を痛めて地獄を見る危険性すら否定できません。 無い方が断然いいのです。

  折り畳み自転車があれば良くなる点というと、先に挙げた、「撮影の行動範囲が広がる」というたった一つしかありませんが、悪い点はうようよ思いつきます。 

「小さ過ぎて、身長が高いと乗りにくい」
「タイヤが小径なので、スピードが出ない」
「可動部分が多いので、強度が低く壊れ易い」
「使いにくい割には最低でも一万円前後と高い」
「すぐ飽きる可能性があるが、飽きたらしまう所がない」
「車への上げ下ろしが重い為、腰を痛める」
「車を使わなければならないほど遠くまで撮影に行く気がない」
「遊びの為に車を使って、事故でも起こしたら目も当てられない」
「そもそも車が借り物」
「店の駐車場を前線基地にするという方法は、徒歩でも代用可能」
「店の駐車場を車置き場にするのは、公衆道徳上好ましくない」
「私の写真は下手物が多く、遠くまで行かなくても、近所で撮れる」

  どうだ、これだけ並べれば、どう考えても買わない方が得だろう!

  ・・・・というのは、頭で論理的に考えた時の結論でして、これだけマイナス要素があるにも拘らず、まだ諦めきれないから、病気だというのです。

  たぶん、一度か二度、試してみれば、心身ともに納得すると思うんですよ。 実際に折り畳み自転車を車に載せて出かけ、店の駐車場で下ろして、その辺を走ってみる。 そしてまた積み込んで帰って来る。 これをやってみれば、「こんなきつい事は何度も出来ないな」と思うはずなんです。 うちの近所で、資源ゴミの日に、折り畳み自転車を捨てる人がいないもんですかね?

  実は、我が家には、数年前まで折り畳み自転車があったのです。 母が退職後しばらくの間、親戚のやっているローソンにパートに行っていた事があるんですが、その時、ローソンの懸賞に応募して、折り畳み自転車が当たったんですな。 タイヤは16インチ。 青いボディーに白い文字で≪LAWSON≫と入った奴で、家人は「ローソン自転車」と呼んでいました。 ところが、これが異様に乗り難い。 私は一度だけ、1キロばかり離れたビデオ・レンタル屋に乗って行った事があるんですが、いくら漕いでも歩くより遅く、しかも折り畳み部分のレバーにズボンの裾が引っ掛かって、何度も転倒しそうになる始末。 一回で懲りました。 母も何回も乗らなかったと思うんですが、なぜか我が子のように大事にして、暫くの間は自分の車に積んで走っていました。 懸賞で大物が当たったのが嬉しくてしょうがなかったんでしょうな。 ところが、全然使わないものだから、やがて車から下ろしてしまい、家の自転車置き場に普通の自転車と並べて置くようになりました。 よせばいいのに、荷台や前籠、バッテリー・ライトなどを買って来て後付したりして。 母は、「乗る時に籠や荷台がないと困るから」と言っていましたが、なにせ乗りにくいものだから、誰も使いません。 その内、メッキ部分が錆びてきて、ただただ醜く邪魔な粗大ゴミに変貌していきました。 ああ、無残ですねえ。 そのままの状態で、3年くらいうちにあったでしょうか。 ある時、兄夫婦が転勤先でアパートの二階に引越しをし、兄嫁が折り畳み自転車が欲しがっているという情報が入りました。 母は渡りに舟とばかりに、ローソン自転車をやってしまいました。 これで一巻の終わり。 もっとも、兄嫁がローソン自転車を二階に上げ下ろしして使っていたかどうかは不明です。 えらい重い代物でしたからのう・・・・。

  かくのごとく、私は折り畳み自転車にいい印象が無いのです。 やれやれ、またまたマイナス要素が増えてしまいましたな。


  買ってもいないのに、あれこれ批評するのは資格無しというもので、ここから先は参考程度に読んでいただきたいのですが・・・・。

  折り畳み自転車という製品は、普通の自転車の代用にはならないと思います。 あまりにも扱いにくく、乗りにくいからです。 もし置き場所があるのなら、普通の自転車の方が圧倒的に有用です。

  置き場所がなくて折り畳み自転車にせざるを得ないという場合、高くても軽い物を選ばないと、持ち運びで腰を悪くしてしまいます。 高い物が必ず軽いというわけではないのですが、安い物が重いのは確実です。 アルミフレームで2万円以上しても、かなり重い物があるので、必ず重量は確認した方がよいと思います。 ネット上で探すなら、複数の通販ショップを当たってスペックを見比べないと、数字が食い違っている場合があります。

  6段変速機がついている物が多いですが、全く使えないと思うので、変速無しのものがあれば、そちらの方が少しでも軽くなって良いです。 なぜ6段変速が駄目かというと、一番小さいギアでさえ普通の自転車より遅いので、それより大きなギアなど出る幕がないのです。 メーカーが高級そうに見せる為に無理にくっつけているだけなんですな。

  タイヤは大きければ大きいほど速く進めますが、あまり大きいと折り畳み自転車の利点がなくなってしまうので、20インチくらいが妥当だと思います。 16インチだと、全然進みません。 22インチというのがありますが、ここまで大きくなると、重すぎて、折り畳んで持ち運ぶのは自殺行為という領域に突入すると思います。

  ハンドルには、折り畳めるタイプと、ただ縮められるだけのタイプがあります。 もちろん、後者の方が安いのですが、バッグに入れる時にはハンドルを抜かなければならず、ますます扱いが面倒になります。

  泥除けには、普通の自転車タイプと、マウンテンバイク・タイプがあります。 もちろん、後者の方が軽いですが、丈が短いので、雨上がりの道を走ると、泥水が背中まで跳ね上がってくる場合があるそうです。 痛し痒しですな。