2007/01/14

風前の灯

  何と言うか・・・・一年くらい前に比べると、明らかに筆が鈍りました。 そもそもこの≪心中宵更新≫は、時事コラムとしてスタートしたわけで、時事ネタさえあれば、いくらでも書けるようになっているんですが、最近はとんと書く気が起こりません。

  時折り指摘しているように、読み手の半数以上がろくでもない連中だと分かってしまった為に、真面目に文章を物そうという気が失せた事も大きく響いています。 そうそう、先日、再度実施した≪三無能の扱き下ろし≫ですが、結果は上々で、翌日からまた閲覧数が半分になりました。 やはり時々清掃する必要があるようですね。 それにしても、本当にブログ閲覧者の半数は、学生・フリーター・ひきこもりなんですなあ。 こうと数字で証明されてしまうと、改めて空恐ろしさを感じます。 ネット世論なんて、人間の出来損ないどもの戯言なんですねえ、つくづく。

  で、書く気が失せた理由の続きですが、他に、私自身が歳をとって、世の中の行く末に対して興味を失ってしまった事があります。 昔は私なりの理想的社会像というのがあり、そこへ向かって進んで行くように努力しようという意欲がありました。 しかし、世界の状況を観察し続けている内に、私の考えていた理想形には、限界、もしくは根本的な矛盾がある事が分かってきたのです。 たとえば、自由と平等を両立させるのはほぼ不可能ですし、環境保護と経済発展を両立させるのも不可能です。 世の中というのは≪いいとこ取り≫ができないようになっているんですな。

  平等を達成したソ連は崩壊してしまいましたし、自由世界を勝利に導いたと思われたアメリカは、見境のない侵略国家になってしまいました。 EUは≪王道≫を進んでいると思われましたが、トルコの加盟に赤信号が点き、このままでは単なる≪ヨーロッパ地域主義≫に終わってしまう恐れが濃厚となりました。 特にアメリカに限界が見えてしまった事は痛いです。 中国・インドなどはアメリカの後を追っているので、アメリカが駄目という事は、その後に続く国々もすべて同じ穴に落ちるという事になります。

  民主主義が信じられなくなったのも厳しいです。 ≪衆愚≫とはよく言った。 馬鹿だらけの社会で民主主義を実行しても、馬鹿な政治にしかならないんですな。 私が高校生くらいの頃は、民主主義といったら錦の御旗、それさえ維持されていれば、他の全ての問題が解決するとさえ思われていましたが、いまや隔世の感があります。 アメリカの対外政策にせよ、日本の周辺諸国に対する政策にせよ、「自国民の支持さえあればどんな事をやってもいい」という考え方がありありと見て取れますが、それを動かしている民衆一人一人が、政治・歴史・哲学・思想・その他もろもろの知識・教養など微塵も持ち合わせていない、凄まじいばかりの大馬鹿揃いとあっては、震え上がるなという方が無理無体であらしゃんすか? こんな馬鹿どものケダモノじみた妄想で世界政治が動いていたのでは、人類の破滅もそう遠い事ではないと思われます。

  最近ふと思うんですが、地球って人間がいなくなれば、今より遥かに美しくなるんじゃないですかねえ? 鑑賞者がいなければ美も醜もないという事は承知の上で言っているんですが、やっぱり人間は地上の汚物のような気がするんですよ。 身近な所で言うと、この日本ですが、私、日本人はおよそ醜悪な民族だと思いますし、日本の街並みも世界最低レベルに醜いと思うんですが、もし人間が一人残らずいなくなったとしたら、日本列島は素晴らしく美しい島々になるのではないかと思うのです。 すなわち、≪美しい日本≫は金輪際実現不能だが、≪美しい日本列島≫なら、日本人が全員死んでしまうか、国外に放逐されれば実現可能というわけです。 想像して御覧なされ。 自分の住んでいる街から家も道路も何もかも無くなって、一面緑に覆われている景色を。 それはそれは素晴らしいと思いませんか? 正に≪神の国≫だね。 人間さえいなければね。

  いやはや、本来リベラリストの私にこんな事を思わせるようでは、人間の価値も地に堕ちたなあ。 その昔、「人間一人の命は、地球よりも重い」なんて言葉がありましたが、今となっては馬鹿馬鹿しくて笑ってしまいますな。 そもそも人間全部が地球の上に乗っかってんだから、たかが一人の人間の命が地球よりも重いはずがないでしょうが。 誰が言ったんだ、そんな世迷言? 熊が撃ち殺されても、「猟友会のジジイどもが死ねばいいのに」と思うものね。 人間なんてそれこそ掃いて捨てるほどいるのであって、熊の方がよっぽど貴重だよ。

  ああ、しかし、自分自身が人間のくせこいて、こんな自己否定みたいな事ばかり考えていてはいかんなあ。 何か、人間の素晴らしさを思い起こさせてくれるような事はないかなあ。 ・・・・ないなあ。 アメリカ映画はろくなの無くなってしまったし、日本のアニメも質の低下が甚だしい。 小説なんて全然面白くないし、漫画は衰退著しい。 ゲームなんて廃れに廃れて、未だにゲーム機買ってる奴らの気が知れないし、スポーツなんて最初から興味ないし、趣味も出来る事はやりつくした。 学問も、オウム事件以来、科学者が胡散臭く見え始めて、信用できなくなってしまいました。 科学・技術の進歩が人類を救えるなんてとても思えませんな。 むしろ社会の崩壊を助長しているではありませんか。 いやはや、前後左右上下どちらを見ても真っ暗闇だ。 それでも死ぬ気にはならないから不思議なもんです。 つまりその、自ら進んで死ぬほどの積極的意欲も湧いて来ないんですな。