外し続けて30年
現在、≪上海モーターショー2007≫が開かれているのですが、ある日本の新聞社の記事を読んで、げんなりしました。 中国の民族資本メーカーの新型車が日本車に似ていると言うのです。 この種の指摘は五年ほど前から、耳にタコが出来るほど聞かされていて、ほとほとうんざりしました。 もちろん、この種の記事を繰り返し繰り返し書く、大馬鹿記者どもに呆れ果てているのです。
車のデザインが外国車に似ている事を一番口にしてはいけないのは、日本人です。 私は四半世紀前から車のデザインに興味を持ち、当初かなりのめりこんだ方ですが、その頃の日本車などといったら、9割は見るに耐えない没個性デザインでした。 没個性デザインというのは、日本人デザイナーが線を引いた車で、ドイツ車やイタリア車のパクリか、さもなければ何とも形容のしがたい醜い物体(これを当時の評論家達は≪日本的デザイン≫と呼んでいました)ばかりでした。 嘘だと思ったら、80年代の車の総合カタログを手に入れて、見てみなさい。 ちなみに、残りの一割は外国人デザイナーが手掛けた車で、それらは段違いに洗練されていたので、デザインに詳しい人間なら一目でそれと分かりました。
当時、日産のパルサーなどは、「オペルの丸写し」と言われるほどそっくりで、日本の自動車評論家ですら、「赤面する」と書いていたほどですが、一般の日本人は馬耳東風で、そんな泥棒デザインの車でもよく売れていました。 外車のデザインを盗用している事に対して、恥を感じてないんですな。 ちなみに、海外で日本車がよく売れていたのは、何かにつけ大雑把なアメリカ市場に限った事で、ヨーロッパ市場では、「パクリ車」として二級品としか思われていませんでした。 実はこれは、今でもさして事情は変わっていません。(他に日本車を多く見る外国というと、ロシアやパキスタン、ペルーなどですが、これらの日本車は中古車や廃車の横流し品で、日本車の新車が売れているわけではありません。 捨て値で手に入り、メンテすればそこそこ動く車だから人気があるのです)
マツダRX-7はポルシェ924のパクリ、日産シルビアはピニンファリーナのパクリ、トヨタに至っては、≪日本的デザイン≫の頭目クラウンを除けば、オリジナル・デザインを持たないのが社風になっていて、「どの国の会社の車だろうが、売れた車のデザインをパクる」という方針を堅持していたくらいです。 私らの世代が、「トヨタが販売台数世界一」といったニュースを聞くと、サラダ油でも飲まされたような嫌~な気分になるのは、その頃の事を知っている上に、トヨタが現在もその方針を捨てていない事が分かるので、泥棒が町内会長になってしまったような理不尽さを感じるからです。
日本車で一番最初にデザインで独自性を獲得したのはマツダでしたが、ヨーロッパ人は目敏くそれに気付き、マツダ車だけがヨーロッパで評価されていました。 というか、マツダ社内にヨーロッパ・デザインを理解したデザイナーがおり、「ヨーロッパで評価されるには独自性が必要だ」と考えて、産みの苦しみで努力したんでしょう。 ただ、当時の日本人にはヨーロッパ的デザインを理解できる人間が少なく、90年代のバブル崩壊期には大苦戦に陥り、結局フォードの傘下に入ってしまいました。 そういえば、日本の新聞やテレビでは、自動車メーカーの≪日本勢≫という時に、日産やマツダを当然のように含めていますが、正確には、日産はルノー傘下ですから≪フランス勢≫、マツダはフォード傘下ですから≪アメリカ勢≫に分類すべきです。 それに、≪日産・ルノー・グループ≫といった言葉も間違っています。 経営権を持っているのはルノー側で、日産はその傘下に過ぎませんから、単に≪ルノー・グループ≫とすべきです。 下らん民族意識で誤まった知識を流布するのはやめましょう。
あまり意識されていませんが、日本の自動車メーカーの中で、唯一日本人によるデザインに拘り続けているのが、ホンダです。 もちろん、所詮同じ日本人なので、パクリもやるわけですが、最終的には日本風・ホンダ風に処理して仕上げます。 この為に、ホンダ車は、ネームプレートの類が全部外されていても、ホンダの車である事がはっきり分かります。 また、紛う方なく日本車である事も分かります。 ただ、ここが肝腎なんですが、ホンダ車のデザインは決して美しくはありません。 日本人の三次元造形下手がもろに出てしまって、どうにも平面的なのです。 実際に出来る車はもちろん立体ですが、平面を継ぎ合わせたような立体になります。 往来に出て、ホンダ車のデザインをしげしげ観察して御覧なさい。 いかに稚拙な立体造形であるかが分かるから。 ちなみに、車の全体のスタイルを吟味する場合、水平位置から見るのではなく、建物の二階から見下ろしてみると、形の良し悪しがよくわかります。 それまでカッコいいと思っていた車が、恐ろしく不恰好に見えて、一気に幻滅したりするので面白いですよ。
デザインの事ばかり言って来ましたが、動力性能や品質など、日本車が性能面で何とかヨーロッパ車に追いついたのは、90年代に入ってからです。 ただし、追いついただけで、追い抜いたわけではありません。 今でもです。 追い抜けなかったんですな。 (昨今、「ハイブリッド車の開発で抜いた」という意見がありますが、私はあのハイブリッドというシステムを≪まやかし≫だと思っています。 燃費の良さで浮く燃料代よりも、ハイブリッド・システムを積む為の超過額の方が高いのでは、意味が無いからです。 同じ排気量の車で、普通のガソリン車よりハイブリッド車が100万円高価だったとすると、100万円分燃料を節約できなければなりませんが、普通のドライバーでは、それだけ乗る前に車を手放すはずです。 全く得などしていないのです。 その上、生産段階で100万円分余分にエネルギーを投入しているので、環境への付加は普通の車よりむしろ高いのです。 「地球に優しい」が聞いて呆れる。 これが≪まやかし≫でなくて何でしょう?)
さて、冒頭の新聞記事の話に戻りますが、こういう記事を書いている記者達は大概、技術音痴です。 「ネジはどちらに回せば締るか」といった基本的知識すら持ち合わせていません。 新聞記者というのは全員ガリガリの文系ですから、知っている方がおかしいと考えるべきでしょうか。 読んでいる新聞に≪科学技術欄≫があっても、決して鵜呑みにしてはなりません。 必ず眉に唾をつけて読むべきです。 自分は全然分かっていないのに、「頭のいい俺ですら分からないんだから、どうせ読者も分からないだろう」といった下司丸出しの発想で、超が付くほどいい加減な記事をデッチ上げる記者が多いからです。(最近も新型デジカメの紹介記事で、「複数の対象にピントを合わせられる機能が付いた・・・」という文を目にしましたが、カメラの原理を知っている者なら、そんな芸当が出来るはずが無い事はすぐ分かります)
また文系というのは、人から聞いた科学技術関係の≪噂話≫を疑いもせず丸呑みにするという特徴があります。 典型的な例が、80年代頃に盛んに新聞記事に登場した、「秋葉原に並んでいる電子レンジには、アメリカの最先端軍事技術より優れた技術が使われている」という形容です。 最近でこそ、秋葉原が電器街でなくなってしまったので目にしなくなりましたが、当時はこの形容を何回読まされたか分かりません。 この記者ども、本気でそう信じていたのです。 馬鹿か? 技術が何たるか全然分かっていない! 電子レンジの技術と軍事技術は全然別物だ! どっちが優れているかなんて何を基準に判断するんだ? そんな最低限の理屈もわからないのか! それともなにか? 電子レンジが作れると自動的に巡航ミサイルやステルス戦闘機も作れるのか? やってみろ、お前!
技術音痴である上に、日本車の辿って来た、みっともなくも恥かしい≪パクリの歴史≫を知らないのです。 ほんの20年前の事だから、たとえ若い記者でも、子供の頃から車を見ていれば分かったはずなのですが、大方興味がなかったんでしょう、文系だから。 現在の日本車を見ていても、「トヨタ・マークXのヘッドライトはベンツのパクリだ」くらい、よほどのボンクラでも気付くと思うんですが、大方、車のデザインなんか全然興味がなくて、外国車と日本車のパクリ相関図が頭に入ってないんでしょうなあ。 もしくは、≪パクリの歴史≫を知らないのではなく、知っているくせに、「日本車がやったパクリは大した罪ではない」と自分に都合のいい判定をぶちかましているのかもしれません。 「自分には甘く、他者には厳しく」は、≪自慰主義者≫の十八番ですから。
こんな≪資格外≫のやつらが、「中国車は日本車のパクリだ」といって、空き巣でも捕まえたかのような勢いで怒っているのですが、私に言わせれば、周回遅れの陳腐な批判としか思えません。 中国メーカーが≪完全パクリ≫で車を作っていたのは、初代かせいぜい第二世代までで、現在続々と登場している第三世代では、むしろ独自路線にシフトしているのが見て取れます。 この記者ども、丸々10年前の感覚で物を言っているのです。 日本車は60年代に本格的に作り出してから30年間も≪完全パクリ期間≫があった上に、90年代に性能面でトップに並んでからもう20年近くたっているのに、未だにパクリは無くなっていません。 それに対し、中国の民族資本メーカーは、本格的に車を作り出してからまだ10年もたっていませんが、既にパクリ期間を脱しようとしているのです。 いやしくも自動車関係の記事を書く者なら、そちらの方を観察すべきでしょう。 出来ないか、ボンクラ過ぎて?
また、こういう馬鹿記者どもが最後に付け加えるのが、「パクリしか出来ない中国の自動車メーカーはその内コケる」という一文です。 あのなあ、かれこれ50年近くパクリを続けて来た日本のメーカーがコケてないのに、なんで中国のメーカーだとコケるんだ? こういう記者は最初から偏見を持っていると思われます。 とにかく中国が気に食わなくて仕方がないわけです。 端から頭が偏っているような奴に国際経済情勢の分析なんて出来るわけないんですが、よく雇うよなあ、新聞社も。 どういう入社試験してるんだろう? 大体、人物像が想像できるでしょう? 根拠も無いのに日本人を優れた民族だと信じ込んでいて、外国人はすべて貶す。 特に中国や韓国といった経済面で日本のライバルになっている国は糞味噌に貶す。 韓流ブームや華流ブームなど生理的に嫌いで、ドラマも映画も一本も見た事ないくせに、ただただ貶す。 頭の中は憎悪だの侮蔑だの、そんなドロドロした悪意ばかり詰まっていて、腐った脳味噌が耳から流れ出して、肩にボタボタ垂れ落ちている始末。 そういうやつらが、こういう記事を書いているんですよ。
こういう連中は、車の事だけでなく、経済全般についても、「中国はその内コケる」と延々と言い続けてきました。 改革解放が始まった70年代後半から、ずっと言ってたんじゃないでしょうか? そして、どなたもご存知のように、その予測は全部外れて来ました。 さすがに、30年間もずっと予測が外れ続けてきたら、「自分には未来予測の能力が無い」と自覚しそうなものですが、この馬鹿ども、全く懲りずに、まだ同じ事を繰り返しているのです。 馬鹿は死ななきゃ治らないから、恐らく死ぬまで的外れの予測を公表し続けるのでしょう。
ちなみに、私の予測では、中国の民族資本メーカー三社(奇瑞・吉利・力帆)の販売台数は、それぞれ10年以内に、トヨタを除く日本メーカー全てを抜くと見ています。 (実は、もし90年代後半のアジア通貨危機が無ければ、日本メーカーはまず韓国メーカーに抜かれていたと思うのですが、少々順序が狂ったわけです。 もし通貨危機とストライキが無ければ、現在のヒュンダイとトヨタの立場は入れ替わっていたと思います。 日本メーカーの優位はその程度のものに過ぎません)
中国の国内販売台数は、今後も倍々ゲームで増える事が予想されますが、その際、民族資本は価格的にも民族感情的にも有利なので、トップ3を占めるようになるでしょう。 どの会社も400万台超えに10年はかからないと思います。 中国車が輸出を本格化させれば、日本車は、性能・品質面ではすぐに追いつかれるのに対し、価格面では太刀打ちできないので、一敗地に塗れると思います。 トヨタも例外でなく。 今のトヨタの隆盛を見ていると、それが砂上の楼閣とはとても信じられませんが、その実、未来には暗雲しか見えません。 日本メーカーに生き残る道があるとすれば、日本を捨てて中国に本社を移し、中国メーカーになる事ですが、恐らく実行できる会社は無いと思います。
面白いので、大馬鹿記者どもの予測と、私の予測のどちらが当たるか、楽しみに見ていてください。 私は中国の発展に関しては30年間当て続けてきた人間なので、30年間外し続けてきた連中に負ける気はしません。
車のデザインが外国車に似ている事を一番口にしてはいけないのは、日本人です。 私は四半世紀前から車のデザインに興味を持ち、当初かなりのめりこんだ方ですが、その頃の日本車などといったら、9割は見るに耐えない没個性デザインでした。 没個性デザインというのは、日本人デザイナーが線を引いた車で、ドイツ車やイタリア車のパクリか、さもなければ何とも形容のしがたい醜い物体(これを当時の評論家達は≪日本的デザイン≫と呼んでいました)ばかりでした。 嘘だと思ったら、80年代の車の総合カタログを手に入れて、見てみなさい。 ちなみに、残りの一割は外国人デザイナーが手掛けた車で、それらは段違いに洗練されていたので、デザインに詳しい人間なら一目でそれと分かりました。
当時、日産のパルサーなどは、「オペルの丸写し」と言われるほどそっくりで、日本の自動車評論家ですら、「赤面する」と書いていたほどですが、一般の日本人は馬耳東風で、そんな泥棒デザインの車でもよく売れていました。 外車のデザインを盗用している事に対して、恥を感じてないんですな。 ちなみに、海外で日本車がよく売れていたのは、何かにつけ大雑把なアメリカ市場に限った事で、ヨーロッパ市場では、「パクリ車」として二級品としか思われていませんでした。 実はこれは、今でもさして事情は変わっていません。(他に日本車を多く見る外国というと、ロシアやパキスタン、ペルーなどですが、これらの日本車は中古車や廃車の横流し品で、日本車の新車が売れているわけではありません。 捨て値で手に入り、メンテすればそこそこ動く車だから人気があるのです)
マツダRX-7はポルシェ924のパクリ、日産シルビアはピニンファリーナのパクリ、トヨタに至っては、≪日本的デザイン≫の頭目クラウンを除けば、オリジナル・デザインを持たないのが社風になっていて、「どの国の会社の車だろうが、売れた車のデザインをパクる」という方針を堅持していたくらいです。 私らの世代が、「トヨタが販売台数世界一」といったニュースを聞くと、サラダ油でも飲まされたような嫌~な気分になるのは、その頃の事を知っている上に、トヨタが現在もその方針を捨てていない事が分かるので、泥棒が町内会長になってしまったような理不尽さを感じるからです。
日本車で一番最初にデザインで独自性を獲得したのはマツダでしたが、ヨーロッパ人は目敏くそれに気付き、マツダ車だけがヨーロッパで評価されていました。 というか、マツダ社内にヨーロッパ・デザインを理解したデザイナーがおり、「ヨーロッパで評価されるには独自性が必要だ」と考えて、産みの苦しみで努力したんでしょう。 ただ、当時の日本人にはヨーロッパ的デザインを理解できる人間が少なく、90年代のバブル崩壊期には大苦戦に陥り、結局フォードの傘下に入ってしまいました。 そういえば、日本の新聞やテレビでは、自動車メーカーの≪日本勢≫という時に、日産やマツダを当然のように含めていますが、正確には、日産はルノー傘下ですから≪フランス勢≫、マツダはフォード傘下ですから≪アメリカ勢≫に分類すべきです。 それに、≪日産・ルノー・グループ≫といった言葉も間違っています。 経営権を持っているのはルノー側で、日産はその傘下に過ぎませんから、単に≪ルノー・グループ≫とすべきです。 下らん民族意識で誤まった知識を流布するのはやめましょう。
あまり意識されていませんが、日本の自動車メーカーの中で、唯一日本人によるデザインに拘り続けているのが、ホンダです。 もちろん、所詮同じ日本人なので、パクリもやるわけですが、最終的には日本風・ホンダ風に処理して仕上げます。 この為に、ホンダ車は、ネームプレートの類が全部外されていても、ホンダの車である事がはっきり分かります。 また、紛う方なく日本車である事も分かります。 ただ、ここが肝腎なんですが、ホンダ車のデザインは決して美しくはありません。 日本人の三次元造形下手がもろに出てしまって、どうにも平面的なのです。 実際に出来る車はもちろん立体ですが、平面を継ぎ合わせたような立体になります。 往来に出て、ホンダ車のデザインをしげしげ観察して御覧なさい。 いかに稚拙な立体造形であるかが分かるから。 ちなみに、車の全体のスタイルを吟味する場合、水平位置から見るのではなく、建物の二階から見下ろしてみると、形の良し悪しがよくわかります。 それまでカッコいいと思っていた車が、恐ろしく不恰好に見えて、一気に幻滅したりするので面白いですよ。
デザインの事ばかり言って来ましたが、動力性能や品質など、日本車が性能面で何とかヨーロッパ車に追いついたのは、90年代に入ってからです。 ただし、追いついただけで、追い抜いたわけではありません。 今でもです。 追い抜けなかったんですな。 (昨今、「ハイブリッド車の開発で抜いた」という意見がありますが、私はあのハイブリッドというシステムを≪まやかし≫だと思っています。 燃費の良さで浮く燃料代よりも、ハイブリッド・システムを積む為の超過額の方が高いのでは、意味が無いからです。 同じ排気量の車で、普通のガソリン車よりハイブリッド車が100万円高価だったとすると、100万円分燃料を節約できなければなりませんが、普通のドライバーでは、それだけ乗る前に車を手放すはずです。 全く得などしていないのです。 その上、生産段階で100万円分余分にエネルギーを投入しているので、環境への付加は普通の車よりむしろ高いのです。 「地球に優しい」が聞いて呆れる。 これが≪まやかし≫でなくて何でしょう?)
さて、冒頭の新聞記事の話に戻りますが、こういう記事を書いている記者達は大概、技術音痴です。 「ネジはどちらに回せば締るか」といった基本的知識すら持ち合わせていません。 新聞記者というのは全員ガリガリの文系ですから、知っている方がおかしいと考えるべきでしょうか。 読んでいる新聞に≪科学技術欄≫があっても、決して鵜呑みにしてはなりません。 必ず眉に唾をつけて読むべきです。 自分は全然分かっていないのに、「頭のいい俺ですら分からないんだから、どうせ読者も分からないだろう」といった下司丸出しの発想で、超が付くほどいい加減な記事をデッチ上げる記者が多いからです。(最近も新型デジカメの紹介記事で、「複数の対象にピントを合わせられる機能が付いた・・・」という文を目にしましたが、カメラの原理を知っている者なら、そんな芸当が出来るはずが無い事はすぐ分かります)
また文系というのは、人から聞いた科学技術関係の≪噂話≫を疑いもせず丸呑みにするという特徴があります。 典型的な例が、80年代頃に盛んに新聞記事に登場した、「秋葉原に並んでいる電子レンジには、アメリカの最先端軍事技術より優れた技術が使われている」という形容です。 最近でこそ、秋葉原が電器街でなくなってしまったので目にしなくなりましたが、当時はこの形容を何回読まされたか分かりません。 この記者ども、本気でそう信じていたのです。 馬鹿か? 技術が何たるか全然分かっていない! 電子レンジの技術と軍事技術は全然別物だ! どっちが優れているかなんて何を基準に判断するんだ? そんな最低限の理屈もわからないのか! それともなにか? 電子レンジが作れると自動的に巡航ミサイルやステルス戦闘機も作れるのか? やってみろ、お前!
技術音痴である上に、日本車の辿って来た、みっともなくも恥かしい≪パクリの歴史≫を知らないのです。 ほんの20年前の事だから、たとえ若い記者でも、子供の頃から車を見ていれば分かったはずなのですが、大方興味がなかったんでしょう、文系だから。 現在の日本車を見ていても、「トヨタ・マークXのヘッドライトはベンツのパクリだ」くらい、よほどのボンクラでも気付くと思うんですが、大方、車のデザインなんか全然興味がなくて、外国車と日本車のパクリ相関図が頭に入ってないんでしょうなあ。 もしくは、≪パクリの歴史≫を知らないのではなく、知っているくせに、「日本車がやったパクリは大した罪ではない」と自分に都合のいい判定をぶちかましているのかもしれません。 「自分には甘く、他者には厳しく」は、≪自慰主義者≫の十八番ですから。
こんな≪資格外≫のやつらが、「中国車は日本車のパクリだ」といって、空き巣でも捕まえたかのような勢いで怒っているのですが、私に言わせれば、周回遅れの陳腐な批判としか思えません。 中国メーカーが≪完全パクリ≫で車を作っていたのは、初代かせいぜい第二世代までで、現在続々と登場している第三世代では、むしろ独自路線にシフトしているのが見て取れます。 この記者ども、丸々10年前の感覚で物を言っているのです。 日本車は60年代に本格的に作り出してから30年間も≪完全パクリ期間≫があった上に、90年代に性能面でトップに並んでからもう20年近くたっているのに、未だにパクリは無くなっていません。 それに対し、中国の民族資本メーカーは、本格的に車を作り出してからまだ10年もたっていませんが、既にパクリ期間を脱しようとしているのです。 いやしくも自動車関係の記事を書く者なら、そちらの方を観察すべきでしょう。 出来ないか、ボンクラ過ぎて?
また、こういう馬鹿記者どもが最後に付け加えるのが、「パクリしか出来ない中国の自動車メーカーはその内コケる」という一文です。 あのなあ、かれこれ50年近くパクリを続けて来た日本のメーカーがコケてないのに、なんで中国のメーカーだとコケるんだ? こういう記者は最初から偏見を持っていると思われます。 とにかく中国が気に食わなくて仕方がないわけです。 端から頭が偏っているような奴に国際経済情勢の分析なんて出来るわけないんですが、よく雇うよなあ、新聞社も。 どういう入社試験してるんだろう? 大体、人物像が想像できるでしょう? 根拠も無いのに日本人を優れた民族だと信じ込んでいて、外国人はすべて貶す。 特に中国や韓国といった経済面で日本のライバルになっている国は糞味噌に貶す。 韓流ブームや華流ブームなど生理的に嫌いで、ドラマも映画も一本も見た事ないくせに、ただただ貶す。 頭の中は憎悪だの侮蔑だの、そんなドロドロした悪意ばかり詰まっていて、腐った脳味噌が耳から流れ出して、肩にボタボタ垂れ落ちている始末。 そういうやつらが、こういう記事を書いているんですよ。
こういう連中は、車の事だけでなく、経済全般についても、「中国はその内コケる」と延々と言い続けてきました。 改革解放が始まった70年代後半から、ずっと言ってたんじゃないでしょうか? そして、どなたもご存知のように、その予測は全部外れて来ました。 さすがに、30年間もずっと予測が外れ続けてきたら、「自分には未来予測の能力が無い」と自覚しそうなものですが、この馬鹿ども、全く懲りずに、まだ同じ事を繰り返しているのです。 馬鹿は死ななきゃ治らないから、恐らく死ぬまで的外れの予測を公表し続けるのでしょう。
ちなみに、私の予測では、中国の民族資本メーカー三社(奇瑞・吉利・力帆)の販売台数は、それぞれ10年以内に、トヨタを除く日本メーカー全てを抜くと見ています。 (実は、もし90年代後半のアジア通貨危機が無ければ、日本メーカーはまず韓国メーカーに抜かれていたと思うのですが、少々順序が狂ったわけです。 もし通貨危機とストライキが無ければ、現在のヒュンダイとトヨタの立場は入れ替わっていたと思います。 日本メーカーの優位はその程度のものに過ぎません)
中国の国内販売台数は、今後も倍々ゲームで増える事が予想されますが、その際、民族資本は価格的にも民族感情的にも有利なので、トップ3を占めるようになるでしょう。 どの会社も400万台超えに10年はかからないと思います。 中国車が輸出を本格化させれば、日本車は、性能・品質面ではすぐに追いつかれるのに対し、価格面では太刀打ちできないので、一敗地に塗れると思います。 トヨタも例外でなく。 今のトヨタの隆盛を見ていると、それが砂上の楼閣とはとても信じられませんが、その実、未来には暗雲しか見えません。 日本メーカーに生き残る道があるとすれば、日本を捨てて中国に本社を移し、中国メーカーになる事ですが、恐らく実行できる会社は無いと思います。
面白いので、大馬鹿記者どもの予測と、私の予測のどちらが当たるか、楽しみに見ていてください。 私は中国の発展に関しては30年間当て続けてきた人間なので、30年間外し続けてきた連中に負ける気はしません。
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