ロボットアニメの落日
これはひどい・・・・。
いやその、某テレビ局の深夜アニメ枠で放送している≪コードギアス・反逆のルルーシュ≫というロボットアニメの事です。 もうそろそろ終わりが近いと思うんですが、今までずっと見ないで来たのを、先日あるイラストレーターの個人サイトを覗いていたら、「結構面白い」と書いてあったので、「ほう。 じゃあ、試しに見てみるか」と思って、先週一度見て見たのです。 感想は×。 しかし一話だけで判断するのもまずいと思い、今週も見てみました。 その感想は、××。 こーりゃ、お話にならんでしょうが、あーた。
詳しい人はご存知と思いますが、伝統的に日本のアニメの中心的なジャンルだった巨大ロボット物は、≪エヴァンゲリオン≫の後、かれこれ10年も迷走を続けています。 ≪エヴァ≫があまりにも印象強い作品だった為に、他のアニメ監督達が軒並み感覚を狂わされてしまい、どんな話を作っていいのか分からなくなってしまったんですな。 ≪エヴァ≫のパクリ系か、≪ガンダム≫の焼き直し系、さもなければ、開き直った子供向けの三種に整理されてしまい、他のオリジナルタイプが全く出て来なくなりました。 しかも、絵やストーリーの品質は年を追うごとに落ちる一方です。 SFアニメのファンとしては、涙なくしては見られぬ有様。
それでも、SF設定がちゃんと敷いてあれば、まだ見られるのです。 たとえば、昨年(2006年)の夏に放送した≪ゼーガ・ペイン≫ですが、ロボットがCGで戦闘場面には何の魅力も感じられなかったものの、SF設定の方はしっかりしていました。 シリーズ構成の配分がもうちょっと巧ければもっと面白くなったと思いますが、まあ最近のロボットアニメとしては上出来の口に入るでしょう。 キャラターデザインも巧かったし、全体的に見て悪い印象は残っていません。
それに比べると、同じサンライズの作品でも、≪コードギアス≫は、何かしら批評を加えるのをためらわれるくらいレベルが低いです。 この感覚は何といいましょうか、著名な演劇評論家が、幼稚園のお遊戯会に招待されて、≪桃太郎≫の批評をさせられるような情けなさと通じるものがあります。 あまりにも馬鹿臭くて、真面目に貶す気にもならないのです。
それでも貶さないと、このひどさは伝わらないから貶しますが、この話を考えた奴は、頭の中が小学校高学年程度のレベルで止まっていると思います。 いや、最初から子供向けに作ったというなら、それでも一向に構いませんが、作品の世界設定を見るに、ガンダムやエヴァと同様、学生以上を対象にしていると思われるから、話の稚拙さが殊更に際立ってしまって、この上なくグロテスクなのです。
物語を大雑把に説明しますと、世界の三分の一を支配している≪ブリタニア≫という国から、占領下にある≪日本≫を独立させるレジスタンスの話なんですが、この設定を聞いただけで、熱が出てきます。 実は私、このアニメの放送が始まる前に、一応テレビ局のサイトを覗いて梗概だけ読んでいるんですが、その時点で嫌な予感に襲われ、「こんなの見てもしょうがないな」と思って、無視してきたのです。 その予感は正しかったんですな。 見なきゃ良かった。 つくづく他人の薦めなんぞに惑わされるもんじゃないです。
≪ブリタニア≫というのは、名前から見て分かるように、明らかにイギリスの事ですが、他に≪中華連邦≫、≪EU≫などという名前が出てきて、現在の国際社会を摘み食い的にもじっているのが分かります。 それでいて、支配者ブリタニア人は、18世紀頃の王室・貴族なのです。 なんじゃ、こりゃ? 未来というより、異次元世界のつもりなのかもしれませんが、それにしても、この組合せは異様です。 恐らく、この話の原案を考えた人物は、猛烈なヨーロッパ・コンプレックスの持ち主で、しかもヨーロッパの代表というと、イギリスしか思いつかないのでしょう。 日本をヨーロッパ文明に侵略された国だと考えているから、この種の発想が出て来るのだと思います。
実際には、日本を侵略した外国は、有史以来、モンゴルだけなんですが、漠然とした歴史知識しか持っていないから、こんなねじくれ曲がった思い違いが生まれて来るのです。 このアニメ、イギリス人が見たら、まず吹き出し、次にムカムカしてくるでしょうな。 日本を侵略など一度もした事がないばかりか、明治の近代化ではなにくれとなく世話をしてやり、その上、第二次世界大戦では日本に戦争を仕掛けられた側なのに、侵略者のイメージで扱われてしまっているのですから。 現実問題として、このアニメを見た日本の子供はみんな、「イギリスは日本を侵略した過去がある」と思い込む恐れがありますから、イギリス大使館は、正式に抗議をした方が良いです。 「まあ、創作の世界だから・・・」などと甘く見ていると、誤解がどんどん増幅します。 一旦、国際問題になれば、アニメの監督達も、無神経な作品を作らないように気をつけるようになるでしょう。
世界設定も不気味ですが、絵がまた、ど下手。 まともに描いてあるのは頭と顔だけで、首から下はデッサン狂いが甚だしく、手足を長く見せたいばかりに針金人形と化しており、もはや人間の形態になっていません。 少女漫画的と言えば言えますが、それでも70年代の感覚ですな。 このキャラクター原案は、≪カードキャプター・さくら≫と同じグループがやっているんですが、よくもまあここまで腕が落ちたなと呆れ返ります。 サンライズもサンライズで、こんなキャラデで、ロボットアニメを作ろうという神経が分かりません。 そういえば、≪ガンダム・シード≫の二シリーズも、首から下がひょろひょろでしたが、 大丈夫か、サンライズ? どうしてまた、こんな≪描けない奴ら≫にキャラデを任せるのか、とんと理解できません。 他にうまい人はいくらでもいるでしょうに。
更に情けないのがメカデザインで、まるっきり、子供向けロボット・ヒーロー物のそれなのです。 話はきな臭い戦争物なのに、動いているのは子供のオモチャ。 一体誰がそんな物を面白いと思うのよ? また、動かし方も全く芸が無く、その上雑です。 昔と違って、製作者達に巨大ロボットを動かしたいという欲望が欠けているから、アニメの動きに迫力が現れてこないんですな。
思うんですが、こんな話しか思いつかないというなら、無理にロボットアニメを作る必要はないんじゃないですかね? どうせ、深夜放送で大した人数は見ていないんですから、作っても作らなくても同じでしょう。 また、このアニメの製作に関わった人達に聞いてみたいんですが、あんたら、本当にこんな低レベルの作品を作りたくてアニメの世界に入ったの? 違うでしょう? もっとゾクゾクするようなリアルで迫力があるアニメが作りたかったんじゃないの? こりゃちょっと、ひどすぎるで。 自分で分かるでしょうが。
いやその、某テレビ局の深夜アニメ枠で放送している≪コードギアス・反逆のルルーシュ≫というロボットアニメの事です。 もうそろそろ終わりが近いと思うんですが、今までずっと見ないで来たのを、先日あるイラストレーターの個人サイトを覗いていたら、「結構面白い」と書いてあったので、「ほう。 じゃあ、試しに見てみるか」と思って、先週一度見て見たのです。 感想は×。 しかし一話だけで判断するのもまずいと思い、今週も見てみました。 その感想は、××。 こーりゃ、お話にならんでしょうが、あーた。
詳しい人はご存知と思いますが、伝統的に日本のアニメの中心的なジャンルだった巨大ロボット物は、≪エヴァンゲリオン≫の後、かれこれ10年も迷走を続けています。 ≪エヴァ≫があまりにも印象強い作品だった為に、他のアニメ監督達が軒並み感覚を狂わされてしまい、どんな話を作っていいのか分からなくなってしまったんですな。 ≪エヴァ≫のパクリ系か、≪ガンダム≫の焼き直し系、さもなければ、開き直った子供向けの三種に整理されてしまい、他のオリジナルタイプが全く出て来なくなりました。 しかも、絵やストーリーの品質は年を追うごとに落ちる一方です。 SFアニメのファンとしては、涙なくしては見られぬ有様。
それでも、SF設定がちゃんと敷いてあれば、まだ見られるのです。 たとえば、昨年(2006年)の夏に放送した≪ゼーガ・ペイン≫ですが、ロボットがCGで戦闘場面には何の魅力も感じられなかったものの、SF設定の方はしっかりしていました。 シリーズ構成の配分がもうちょっと巧ければもっと面白くなったと思いますが、まあ最近のロボットアニメとしては上出来の口に入るでしょう。 キャラターデザインも巧かったし、全体的に見て悪い印象は残っていません。
それに比べると、同じサンライズの作品でも、≪コードギアス≫は、何かしら批評を加えるのをためらわれるくらいレベルが低いです。 この感覚は何といいましょうか、著名な演劇評論家が、幼稚園のお遊戯会に招待されて、≪桃太郎≫の批評をさせられるような情けなさと通じるものがあります。 あまりにも馬鹿臭くて、真面目に貶す気にもならないのです。
それでも貶さないと、このひどさは伝わらないから貶しますが、この話を考えた奴は、頭の中が小学校高学年程度のレベルで止まっていると思います。 いや、最初から子供向けに作ったというなら、それでも一向に構いませんが、作品の世界設定を見るに、ガンダムやエヴァと同様、学生以上を対象にしていると思われるから、話の稚拙さが殊更に際立ってしまって、この上なくグロテスクなのです。
物語を大雑把に説明しますと、世界の三分の一を支配している≪ブリタニア≫という国から、占領下にある≪日本≫を独立させるレジスタンスの話なんですが、この設定を聞いただけで、熱が出てきます。 実は私、このアニメの放送が始まる前に、一応テレビ局のサイトを覗いて梗概だけ読んでいるんですが、その時点で嫌な予感に襲われ、「こんなの見てもしょうがないな」と思って、無視してきたのです。 その予感は正しかったんですな。 見なきゃ良かった。 つくづく他人の薦めなんぞに惑わされるもんじゃないです。
≪ブリタニア≫というのは、名前から見て分かるように、明らかにイギリスの事ですが、他に≪中華連邦≫、≪EU≫などという名前が出てきて、現在の国際社会を摘み食い的にもじっているのが分かります。 それでいて、支配者ブリタニア人は、18世紀頃の王室・貴族なのです。 なんじゃ、こりゃ? 未来というより、異次元世界のつもりなのかもしれませんが、それにしても、この組合せは異様です。 恐らく、この話の原案を考えた人物は、猛烈なヨーロッパ・コンプレックスの持ち主で、しかもヨーロッパの代表というと、イギリスしか思いつかないのでしょう。 日本をヨーロッパ文明に侵略された国だと考えているから、この種の発想が出て来るのだと思います。
実際には、日本を侵略した外国は、有史以来、モンゴルだけなんですが、漠然とした歴史知識しか持っていないから、こんなねじくれ曲がった思い違いが生まれて来るのです。 このアニメ、イギリス人が見たら、まず吹き出し、次にムカムカしてくるでしょうな。 日本を侵略など一度もした事がないばかりか、明治の近代化ではなにくれとなく世話をしてやり、その上、第二次世界大戦では日本に戦争を仕掛けられた側なのに、侵略者のイメージで扱われてしまっているのですから。 現実問題として、このアニメを見た日本の子供はみんな、「イギリスは日本を侵略した過去がある」と思い込む恐れがありますから、イギリス大使館は、正式に抗議をした方が良いです。 「まあ、創作の世界だから・・・」などと甘く見ていると、誤解がどんどん増幅します。 一旦、国際問題になれば、アニメの監督達も、無神経な作品を作らないように気をつけるようになるでしょう。
世界設定も不気味ですが、絵がまた、ど下手。 まともに描いてあるのは頭と顔だけで、首から下はデッサン狂いが甚だしく、手足を長く見せたいばかりに針金人形と化しており、もはや人間の形態になっていません。 少女漫画的と言えば言えますが、それでも70年代の感覚ですな。 このキャラクター原案は、≪カードキャプター・さくら≫と同じグループがやっているんですが、よくもまあここまで腕が落ちたなと呆れ返ります。 サンライズもサンライズで、こんなキャラデで、ロボットアニメを作ろうという神経が分かりません。 そういえば、≪ガンダム・シード≫の二シリーズも、首から下がひょろひょろでしたが、 大丈夫か、サンライズ? どうしてまた、こんな≪描けない奴ら≫にキャラデを任せるのか、とんと理解できません。 他にうまい人はいくらでもいるでしょうに。
更に情けないのがメカデザインで、まるっきり、子供向けロボット・ヒーロー物のそれなのです。 話はきな臭い戦争物なのに、動いているのは子供のオモチャ。 一体誰がそんな物を面白いと思うのよ? また、動かし方も全く芸が無く、その上雑です。 昔と違って、製作者達に巨大ロボットを動かしたいという欲望が欠けているから、アニメの動きに迫力が現れてこないんですな。
思うんですが、こんな話しか思いつかないというなら、無理にロボットアニメを作る必要はないんじゃないですかね? どうせ、深夜放送で大した人数は見ていないんですから、作っても作らなくても同じでしょう。 また、このアニメの製作に関わった人達に聞いてみたいんですが、あんたら、本当にこんな低レベルの作品を作りたくてアニメの世界に入ったの? 違うでしょう? もっとゾクゾクするようなリアルで迫力があるアニメが作りたかったんじゃないの? こりゃちょっと、ひどすぎるで。 自分で分かるでしょうが。
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