2007/03/18

お国料理

  ≪ぐるナイ・ゴチ≫を欠かさず見ているんですが、お店によって番組の最後に、「通常営業ではリーズナブルなメニューもあります」というテロップが出る事があります。 あれは、高級店と思われたい反面、値段が高い店と思われたくないんでしょうな。 実際問題として、一品5000円もするような店に入れる人はそうそういないと思います。 中華料理では、フカヒレやアワビなど高級食材を使った料理を頼まなければそんなに高くなりませんが、フランス料理やイタリア料理の場合、日本で営業している専門店の大半は、ぼったくっているようです。 特にフランス料理は明治以来、伝統的に高価で、安い店というのはあまり聞きません。 

  フォアグラやトリュフを使わなければそんなに高くなるはずがないんですが、日本国内で普通に手に入る食材で作った料理でも、仰天するような値段が付けられています。 一番驚くのはフランス人らしく、「ただの料理にこんな値段は馬鹿げている!」と呆れ返るらしいです。 では、安くすれば大繁盛するかというと、そうでないから困るんですな。 フランス料理を食べに行くお客というのは、パーッと散財してリッチな気分を味わうのが最大の目的なので、安い店には来ないというのです。 高級を装えば装うほどお客が来るのだから、値段がどんどん高くなるという次第。 見事な悪循環です。

  中華料理やイタリア料理に比べて、フランス料理のメニューというと代表的な品目をぱっと思いつきませんが、庶民感覚から遠くて、家庭料理に入って来ていないからでしょう。 フランス料理の事を特定の品目ではなく調理方法と捉えれば、身近にあるいろんな食材に応用できると思うんですが、惜しいことです。

  そういえば、フランス料理の事を「フレンチ」と呼ぶ人が多いですが、ちょっと考えれば気づく事、「フレンチ」は英語です。 フランス語では、「キュイズィーヌ・フランセーズ」ですから、強いて略すなら「フランセーズ」とすべきでしょう。
  中華料理は、中国語では、「中国菜・中菜・中餐」などと言います。 「料理」という単語はありますが、「整える・処理する」という意味しかありません。 ちなみに、「飯店」というのはホテルの事で、レストランは、「菜館・餐庁」と言います。 これは日本で勘違いされている中国語の典型例になってますな。
  イタリア料理をイタリア語で何というのか、和伊辞典を持っていないから分かりません。 残念。 その内、入手する予定。


  そうそう、日本政府が、外国で営業している日本料理店の認証制度を作ろうとしていたのを諦めたそうです。 過大な光熱水費で渦中の人になっている農水相が提案した事なので、「ヤバい・・・」と思って引っ込めたのかもしれませんが、もともと無茶苦茶な計画だったので、ポシャって幸いでした。 外国の事を批判する前に、まず自分の国の事を省みるべきです。 そんな厳密な事を言い出したら、日本国内の外国料理店のほとんどは、看板を外さなければならなくなります。 ラーメン屋なんてどうなるのよ? 外国料理を勝手にアレンジしている点では、日本が一番度が過ぎているんじゃないですかね?

  この件に絡んで、新聞記事に「世界中に広まった日本料理が・・・」といった表現が目立ちましたが、「え? いつの間にどんな日本料理が世界中に広まったの?」と驚いてしまいました。 そもそも、日本料理とはいいますが、特徴的な調理法があるわけではなく、世界各地にある土着料理の域を出ません。 寿司や天ぷらのような特定品目の店が、外国の大都市に点在して、主にその地に住んでいる日本人を常連客として営業していますが、その程度のレベルでは、世界に広まったとはいえないでしょう。 日本料理店に限らず、世界の大都市には大抵の民族の料理店があるものです。 健康ブームで、豆腐が世界的に着目されているのは事実ですが、ちょっと考えれば気づく事、豆腐は中国食材です。 誉められたからといって、借り物を自分の物だと思い込むのは、非常に愚かしいですな。