2010/03/21

箱根・大涌谷

今週は、6日出勤なので、またまた、この記事を書く時間がありません。 まったく、平日は毎日、定時前に終わっているのに、どうして土曜に出勤せねばならないのか、とんと解せません。 予め定められた会社の勤務カレンダーに従っているわけですが、仕事が少ない時に、そんな一年以上前に決めた予定を杓子定規に守る必要は無いと思うのですよ。 柔軟性ゼロ。

  というわけで、困った時は、読書感想文か、紀行文に限るわけですが、紀行の方が、まだまだストックが溜まっているので、そちらで行きましょう。 今回紹介するのは、2008年の5月1日にバイクで行った、≪箱根・大涌谷≫です。 例によって、当時の日記から引き写します。


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2008/05/01 木晴曇

  朝起き。 しかし、昨夜靴下を履かずに寝たためか、寒気がして動きが取れずに、二度寝する。 9時頃起きて、ざっと新聞を読み、15分頃にバイクで出発。 目的地は、三島の箱根旧東海道だ。 服装は、白ジャンパー、普段ズボン、メットは夏用。 通勤用黒ナップザック。 ≪平安朝文章史≫を入れていく。

  9時半頃、三島図書館に到着し、本を返す。 これで当面、ここを利用する事はあるまいと思う。
 昨夜印刷しておいた、≪三島夢街道マップ≫を見ながら、箱根旧東海道に入るが、すぐに諦めた。 急傾斜は致し方ないとしても、石畳が多く、とてもバイクで走れる道ではなかったのだ。 初音台口で国道一号線に合流すると、目的地を変更して、箱根に向かった。

  箱根神社の前を通過し、≪箱根園≫まで行って、行き止まりに気付き、引き返す。 前にも似たような事をしていたような記憶がある。 一旦、神社の駐車場にバイクを停め、駒ヶ岳への登り口を探すが、そんなものは無いらしい。 横手の坂道を登って行ったら、拝殿の横に出ただけだった。 境内をざっと眺めて、依然来た時と変わっていない事を確かめた後、バイクに乗り、元箱根方面へ戻る。 途中で左に曲がり、小涌谷地区を経て、大涌谷へ向かった。 道端の地図を確認しながら進んだ。 

  大涌谷に来たのは、20年ぶりだ。 駐車場は2輪100円だった。 金を払いたくなくて、引き返そうとすると、係のおじさんに手招きされて、一方通行だから駄目だとのこと。 駐車場に入れなくても、適当な所に停めておけば良いという指示を受けたので、これ幸いと、路肩に停めて、谷へ向かった。 噴煙地までは、片道20分くらい歩く。 人でごった返しているが、聞こえて来る言葉は、中国語が多い。 黒玉子は、6個入り500円。 そんなには食べられないし、バイクでは持って帰る事もできない。 噴煙地の写真だけ撮って引き上げた。
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  えーと・・・、ここまでで半分なんですが、家に帰って来るまでに寄った所を全部出すと、写真の枚数が多くなり過ぎるので、二回に分けて、続きは来週という事にします。 前にも書きましたが、写真をアップするのに、結構な手間が掛かるので、一遍に何十枚もというわけには行かんのですわ。

  日記の内容を補足すると、≪朝起き≫というのは、文字通り、「朝起きた」という意味ですが、連休中の事とて、起きるのが遅くなる事もあるため、「普通に、朝、起きた」という意味で書いたもの。 ちなみに、私が休みの日に普通に朝起きる時間は、大体、6時頃です。

  ≪平安朝文章史≫というのは、4月20日に、三島図書館で借りた本の事です。 沼津の図書館に無かったので、わざわざ三島の図書館まで行き、利用者カードまで作って貰って、借りた本。 貸し出し期限まで、まだ日がありましたが、読み終わっていたので、三島へ行くついでに返してしまおうとしたわけ。

  ≪三島夢街道マップ≫というのは、確か、三島市のサイトか、観光協会のサイトからプリント・アウトした地図の事。 結構、細かい地図でしたが、いかんせん、旧東海道をバイクで走る計画そのものが頓挫してしまったため、全く役立てる事が出来ませんでした。 残念。

  ≪初音台口≫は、その付近の地名。 新興住宅地の入り口で、「はつねだいぐち」と読みますが、まあ、それは、どうでもいいか。 三島市は広大な箱根の裾野を開拓して、住宅地として売り出し、かなり人口を増やしました。 ≪初音台≫は、そんな中の一つです。 ちなみに、箱根山で、静岡県に属するのは、箱根峠まででして、よくテレビで紹介される、箱根の観光地は、関所跡も、芦ノ湖も、大涌谷も、ほとんど全て、神奈川県内にあります。

  ≪箱根園≫は、≪箱根プリンスホテル≫の付属施設で、水族館や、駒ケ岳へのロープ・ウェイ乗り場、芦ノ湖の遊覧船乗り場などが敷地内にあり、複合観光施設になっています。 「箱根に来たけど、どこを見ればいいのか分からん」という人は、とりあえず、ここへ行けば、半日くらい楽しく過ごせます。 水族館は、山の上とは思えないほど充実しているので、一見の価値あり。 ただ、私は前に一度来ていたので、この時はパスしました。

  ≪大涌谷≫は、「おおわくだに」と読みます。 箱根山は、大昔は、富士山に匹敵するほどの大火山でした。 上半分が陥没して巨大なカルデラが出来、その中心からもう一度噴火して出来たのが、駒ケ岳や神山、冠ヶ岳などの連山。 その北側の中腹にあるのが大涌谷で、今でも山の斜面から噴煙が上がっています。  「箱根に来たけど、どこを見ればいいのか分からん」という人は、とりあえず、ここへ行けば、帰ってから、家族・友人・知人相手に、「箱根は火山なんだよ」と、薀蓄を語る事ができます。 ここの名物は、硫黄泉で茹でた、≪大涌谷黒玉子≫。


  補足がやけに長くなってしまいました。 いい加減くどいので、以下、写真でご案内。 一枚目は、三島図書館からになります。



  ≪三島市立図書館≫が入っている、≪三島市民生涯学習センター≫。 入口から建物まで距離があるので、広い敷地を想像しますが、実は駅近くの住宅地の中にあり、「よく、こんな所に敷地を確保できたなあ」と感心するほど、建て込んでいます。



  三嶋大社前の道を東へ真っ直ぐに行くと、箱根旧東海道に入ります。 これは、街道の入り口にあった地図ですが、誤解を招きそうな描き方になっています。 奥が富士山となれば、手前の緑の山々が箱根という事になりますが、箱根旧街道は、箱根に登る道であって、富士山と箱根の間を通る道ではないのです。 実際に、富士山と箱根の間を通っているのは、国道246号線です。



  箱根旧街道の入口にある、≪愛宕坂≫。 三島から箱根峠までの道は、基本的にすべて坂であるにも拘らず、わざわざ、≪~坂≫という名前がつけてあるという事は、この部分がとりわけ生半可でない坂である事の証拠なのでしょう。 実際、どえりゃあ勾配の坂で、ローギヤでなければエンストを起こしかねない所でした。 「箱根八里は馬でも越す」わけですが、荷車はとても無理ですな。 江戸時代以前は、陸路よりも、海路が多く利用された理由がよく分かります。



  一見、何を撮ったのか分からない、最低写真のように見えますが、ここは箱根峠の駐車場でして、石畳風に舗装してある道が、箱根旧街道の終着点なのです。 もちろん、昔はこんな舗装ではなく、もっとごつごつした石を並べた道だったわけですが、今はすっかり埋もれて、中腹の一部に復元してあるだけです。 さすがに、山の上だけあって、5月の1日なのに、桜が咲いていました。



  箱根神社。 ここへ来るのは、3年半ぶりです。 しかし、ほとんど変わってません。 この神社は、完璧・専門・本職・筋金入りの観光神社です。 源頼朝絡みで歴史も長いんですが、なにせ観光重視なので、常に塗り替えていて、ビカビカです。



  箱根神社の境内にある、≪九頭龍神社新宮≫。 ひときわ、ビカビカ! 本宮は芦ノ湖畔の西の方にあるらしいのですが、平成になってから、参詣し易いように、箱根神社の境内に、この新宮を作ったのだとか。



  箱根・大涌谷の駐車場。 狭い平地部分を目一杯使って、駐車場を確保しています。 車は有料。 バイクも本当は有料らしいのですが、「置く所が無い」と言われ、道路脇に只で停めさせて貰いました。 ラッキー!



  箱根・大涌谷の噴煙地。 1050Mというのは、標高のようです。 結構高いですな。 後ろに見えるのは、冠ヶ岳。 典型的な火山である富士山と比較される事が多いので、箱根というと普通の山のようなイメージがありますが、この大涌谷に来ると、箱根もれっきとした火山である事を再認識させられます。 ちなみに、芦ノ湖も火山湖です。



  大涌谷には、こんな感じの硫黄泉が幾つかあります。 温泉地の≪泥湯≫のように見えないでもないですが、実際には、猛烈な硫黄臭が立ち昇っており、とても裸で入れるような所ではありません。



  大涌谷の名物は、≪黒玉子≫ですが、駐車場横の売店の他に、硫黄泉のすぐそばにも小さな店があり、作りたてを売っています。 6個で500円。 ばら売りが無かったので買わなかったんですが、現物は、こんな感じ。 名前の通り、艶消し真っ黒の茹で卵です。



  黒玉子の浸け込み作業を見る事ができました。 見ての通り、最初は普通の白い鶏卵なのであって、硫黄泉に浸けることにより、黒くなるわけです。 画面には写っていませんが、手前側は観光客がぎっしりで、作業者は注目の的になっています。



  黒玉子の浸け込み作業がどれだけの人に見られているかというと、このくらいの観光客に見られています。 山の中とは思えない人出。 硫黄泉があるばかりに、これだけの経済効果が出ていると思うと、観光資源の凄さがよくわかるというもの。



  噴煙地から駐車場方向を見た所。 なだらかな山道を15分くらい歩きます。 なんでこんなに離れているかというと、ちゃんと理由があるらしく、噴煙地から有毒の火山ガスが噴出した時、この山道部分を封鎖してしまえば、駐車場と売店を守れるというのです。 結構危ない観光地なんですなあ。



  駐車場の脇にある売店。 黒玉子の他に、観光地の定番である饅頭のようなお土産を売っています。 連休中は、お客がひっきりなしに押しかけて、戦場のような忙しさだったんじゃないでしょうか。



  ロープ・ウェイの駅。 東京方面から来る場合、小田原から箱根登山電車で≪強羅≫まで来れば、そこからロープウェイで大涌谷に登れます。 ロープ・ウェイは、大涌谷を通り越して、芦ノ湖畔の≪湖尻≫まで降りられますが、そちらには鉄道が無いので、ロープ・ウェイで引き返すか、バスで戻るしかありません。


  以上、≪箱根・大涌谷≫紀行の前編でした。

  ちなみに、20年前ここへ来た時、私はまだ、ファミレスでバイトをしていました。 真夜中、仕事が終わった後に、バイト仲間の沼津高専の学生の案内で、私の車(初代ダイハツ・ミラ 白)に乗り、箱根に登りました。 ところが、途中でガス欠し、スタンドを見つけたものの、夜中の事とて閉店中。 店員が出て来るのを朝まで待ち、やっと給油して、大涌谷へ向かいました。

  早朝の事とて、売店は一個所も開いておらず、私達以外に誰もいない潅木林の中を歩き、噴煙地を見て帰って来ました。 青春の一コマと言えなくもないですが、彼とは別に友人というほど親しくはなかったですから、胸が熱くなるほど懐かしい記憶というわけではありません。 でも、歳を取ってくると、そんな何でもないような出来事でも、ただ長い時間が経ってしまったというだけで、そこそこの思い出になるものなんですな。