2011/04/17

金持ちになる本

震災前からですが、暫くの間、≪金持ち父さん≫シリーズを読んでいました。 ベストセラーにして、ロングセラーなので、聞いた事がある人も多いと思います。 私も、書名を聞いた事はあったんですが、金持ちの事を宇宙人と同一カテゴリーに入れていたため、全く興味が無く、どんな本なのかすら知らずにいました。 10年以上経ってから、読む気になったのは、たまたま、図書館で、≪あなたに金持ちになってほしい≫という、一見、アホみたいな書名の本を見つけ、借りてみた事がきっかけです。

  ≪あなたに金持ちになってほしい≫は、≪金持ち父さん≫シリーズの著者、ロバート・キヨサキ氏と、アメリカの不動産王、ドナルド・トランプ氏の共著でしたが、読んでみると、軸足がロバート・キヨサキ氏の担当パートにあるのは明らかで、俄然、≪金持父さん≫シリーズの方に興味が湧きました。 私は、ある程度知識がある分野に関しては、新しい展開などを受け付けにくい、疑り深い性格なのですが、何も知らない白紙の世界だと、簡単に影響を受ける傾向があります。

  で、金持ちになる事について少々考えるところがあったわけですが、とりあえず、読書感想文から掲載してみましょう。




≪金持ち父さん 貧乏父さん≫
  うーむ、目からウロコですな。 これぞ、正しく、コロンブスの卵。 もはや、≪奇書≫と言ってもいいくらい、印象的で、インパクトの強い本です。 投資に興味がある無しに関わらず、誰でも一度は読んでみた方がよいでしょう。 日本では2001年に発行された本ですが、いまだに、投資関係書籍のベストセラーに入っている模様。

  「貧乏父さん」というのは、著者の実の父です。 貧乏と言っても、「赤貧洗うが如し」といったレベルではなく、金持ちではなかったという、相対的な意味での貧乏でして、一流の大学を最高の成績で出て、ハワイで教育行政のトップまで上り詰めた、大変知的な人物だったそうです。

  一方、「金持ち父さん」の方は、著者の友人の父親で、高校も出ていなかったそうですが、金持ちになる方法を独学で研究して、ほとんど資産の無い状態から這い上がり、最終的には、ハワイ一の金持ちになった人。 この本は、著者が、金持ち父さんから教えてもらった、金持ちになるための方法について、その端緒の部分を記したものです。

  方法と言っても、具体的に何をするかを書いてあるわけではなく、「まず、考え方を根本から変えなければならない」と、そういうレベルで話が進んで行きます。 財務諸表というのが出て来て、その見方が説明されますが、損益計算書と賃借対照表という、たった二つの表で、金持ちと貧乏人のお金の使い方を鮮やかに区別するところは、魔法を見せられているよう。 なるほど、そうだったのか。 道理で、貧乏人がいつまで経っても、金持ちになれないわけだ。

  「90対10の法則」というのがあり、この世の中では、10%の人間が90%の富を持ち、残りの90%の人間が10%の富を分け合っているのだそうな。 凄く理不尽なようですが、金持ち父さんは、それを理不尽として社会の方を変えるのではなく、自分の考え方を変えて、90%の富を握る10%の人間の方へ入ろうとし、それに成功したというわけ。 凄い人ですな。

  しかも、金持ち父さんの取った手段は、金持ち父さん個人の才能に頼ったのではなく、金持ちになるには方法があり、人に伝える事も可能だとして、著者にそれを教え、著者も大金持ちにしてしまったのです。 ますます凄い。 あるんですねえ、金持ちになる方法って。

  とにかく、本が読める人なら、読んでおいて、損はないです。 お金の事は、誰にでも興味があると思うので、絶対に喰い付くと思います。




≪金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント≫
  ≪金持ち父さん 貧乏父さん≫の続編。 「前作が売れたから、続きを書いた」というパターンではなく、最初に、非常に長い著作があって、それを切り分けて、小出しに本にして行ったというふうに見受けられます。

  この本でも、金持ちと貧乏人の考え方の違いを浮き彫りにする事がテーマになっていますが、新たに、≪キャッシュフロー・クワドラント≫という分類概念が登場します。 「キャッシュフロー」というのは、お金の流れの事。 「クワドラント」というのは、円状に4分割されたカテゴリーの事。

  人間には、

E 従業員(employee)
S 自営業者(self-employed)
B ビジネス・オーナー(business owner)
I 投資家(investor)

  の四種類があり、E・Sに所属している人間は、常に貧乏。 B・Iの方にいる者が、常に金持ちになるというのです。 「金持ちになる」とは、E・Sから、B・Iへ、クワドラントを移動する事なのだとか。

  資産というのは、お金や、お金に換えられる物を、ただ持っているだけでは駄目で、資産そのものが収入を生むようにならないと、資産とは言わないのだそうです。 たとえば、持ち家は、普通、資産の最たる物と見られていますが、金持ち父さんの考え方では、ローンや維持費が出て行ってしまうので、むしろ、負債と見做すべきだというのです。

  金持ち父さんの教えを受けた著者は、現在、大金持ちなわけですが、一時期、ビジネスに失敗して、ホームレスになり、車の中で暮らしていた経験もあるとの事。 いい大学を出ていたので、従業員としてなら、どこにでも就職できたのですが、新しいビジネス・システムを構築するために、敢えてホームレス状態を耐え忍んだというから、筋金入りですな。

  このシリーズ、お金の話だけでなく、人生観そのものを変える事を目標としており、読んでいると、自分が今まで通して来た生き方に、疑問符がいくつも付き始めます。 金持ちになるという事が、人生目標になりうるのかどうかは、人によって意見が分かれると思いますが、発想の転換方法としてなら、お金以外の事にも、いろいろと応用が利くような気がします。




≪金持ち父さんの投資ガイド入門編≫
  投資ガイドと言っても、「こういう株を買え」とか、「ああいう不動産が狙い目だ」といった具体的な投資ノウハウを書いてあるわけではありません。 やはり、発想の転換が最大のテーマです。

  「投資はプランだ」と言い、まず、自分が投資によってどんな結果を得たいか、そのプランを立てなければ、始められないのだそうです。 株の上がり下がりに一喜一憂している人間などは、投資家とは言えず、単なる取引屋かギャンブラーに過ぎないのだとか。

  「言葉が人を金持ちにする」というのも面白い。 そんなに深い意味ではなく、その分野の専門用語を頭に入れておけ、という話。 投資家には、投資家が使う言葉があり、それらに精通していなければ、投資で成果を出すことなど、とてもできないらしいです。 なるほど、ごもっとも。

  つまり、投資の世界に入るなら、その世界について、よく知ってからでないと、お金を儲けるシステムを自由自在に活用することはできないんですな。 ところが、現実には、ただ手っ取り早く大儲けしたくて、値上がりしそうな株にだけ目をつけて、無手勝流で飛び込んで来る輩が多いのだそうです。 当然、カモになるだけらしいですが。

  「投資が危険なのではなく、無知な投資家が危険なのだ」とは、含蓄がある言葉です。 何事も、勉強しなければ、うまく進められないんですねえ。 そう考えると、投資の世界について、まるっきり無知な私なんぞ、危険の権化のようなもので、現状では、近寄る事もできません。

  「失敗を恐れるな。 失敗しない事よりも、失敗して、そこから教訓を得る方が、ずっと大事だ」というのも、大いに頷けます。 自転車の乗り方を覚える時、最初は何度も転びますが、その内、体がコツを覚えると、何も考えなくても乗れるようになります。 投資もそれと同じで、何度も失敗しては再挑戦している内に、体が覚えて、何も考えなくても儲けられるようになるのだそうです。

  しかし、この本を読んで、即、投資家になるのは不可能ですな。 この本は、金持ち父さんの教えの、ほんの一部を紹介しているに過ぎません。 「勉強せよ」という事を勉強するには、非常に良い本です。




≪金持ち父さんの投資ガイド上級編≫
  さすがの≪金持ち父さん≫シリーズも、四冊目となると、インパクトが薄くなって来るのは否めませんな。 私も、そろそろ飽きてきました。

  この本では、新たに、≪B-I トライアングル≫という、図が出てきます。 これは、ビジネスを始める際に必要な要素を、重要度順に、ピラミッド状に積み上げたもの。 下から順に、

・コミニュケーション
・キャッシュフロー
・システム
・法律
・製品

  と並び、そのトライアングルの三辺に、

・使命
・チーム
・リーダーシップ

  の三要素が、囲んでいる図です。

  これだけでは、分からんでしょう?  実は私も、よく分かっていません。 ビジネス構築に、そういう要素が必要な事は分かりますが、そもそも、こちとら、金持ちにはなりたくても、会社を起こす気など毛頭無いので、真剣に勉強しましょうという熱意に欠けており、それが、より深い理解を妨げてしまうのです。

  そもそも、「投資ガイドなのに、どうして、会社を作らねばならんの」とは誰でも思う疑問。 それは、「良い投資家になるためには、ビジネスの裏側が分かっていなければならず、それを知るためには、自分で会社を作るのが一番だ」という、金持ち父さんの考え方から来ているのですが、なかなか、そこまでは踏み切れませんなあ。

  ロバート・キヨサキ氏は、金持ち父さんの教えに従い、リーダーシップを身につけるために、海兵隊に入ってベトナム戦争へ行ったり、コミニュケーション能力を高めるために、ゼロックスに入社して、セールスマンをやったりしているのですが、お気楽な読者である当方としては、とてもとても、そんな膨大なエネルギーを投じる気にはなれません。

  ≪金持ち父さん≫シリーズは、「信者」とも言うべき熱烈な読者を生み出す魅力がありますが、実際に金持ちになるためには、やはり、大きなハードルをいくつも越えなければならないんですねえ。 私がついて来れたのは、≪投資ガイド入門編≫までだったという事なのでしょう。

  この本も、前三著と同様、具体的に、「何に投資しろ」といったような事は書いてないので、その種の指導を期待している方には、不向きです。


  というわけで、今回は以上、四冊まで。 他にも、金持ち関係の本を何冊か読んだのですが、少し長くなってしまったので、次週に回します。