2011/11/06

ガンダム話④

  ≪ガンダム・ユニコーン≫ですが、10月29日に、アニマックスで、ようやく、第2・3話を見る事ができました。 スカパーの16日間無料キャンペーンを利用して見る計画を、半月遅れで達成した事になります。 若い頃なら、半月も待つなんて、イライラしてしまって、とても耐えられなかったと思いますが、今は気が長くなったのか、さして待ち遠しいとも思わずに、過ぎてしまいました。 歳を取ると、いい事も少しはあるんですな。

  ちなみに、スカパーですが、無料体験期間の14日目くらいになったら、電話が掛かって来ました。 やたら、声のでかい男で、「そろそろ、無料期間が終了しますが、どんなチャンネルをご覧になっていますか?」ですと。 余計なお世話だ。 「それは、個人情報だと思いますが、答えなければいけませんか?」と、むっつり訊き返すと、それ以上、強くは追求して来ずに、「本契約の申し込みは、電話でもできます。 今なら、3000円、割引になります」ですと。 いやいやいや、最初から、契約する気は無いですけん。 ユニコーンが見れれば、それでいいんですよ、私は。

  どうも、相手の話し方から察するに、電話で契約を纏めれば、そやつの成績にカウントされるような雰囲気。 つまり、押し売り電話なわけだ。 最初に電話を取ったのは、私ではなく、母だったので、スカパー本体の社員なのか、関連会社の人間なのか、分からないのですが、いずれにせよ、こういう電話は、不愉快極まりないです。 何だか、監視されているような気分。 自分がやられたら、どう思うか、考えないんですかね?

  大体、たとえ、契約するとしても、ネットで申し込みます。 お金が関わる契約を、電話なんかで済ませられません。 契約となれば、クレジット・カードにせよ、預金口座にせよ、極めて、デリケートな情報を伝える事になりますが、そんな重大な事を、いきなり電話を掛けて来た、どこの馬の骨とも分からない輩に、教えられるものですか。 馬鹿も、休み休みおっしゃい。

  うちには、まだ、16日間無料キャンペーンを使っていない、テレビや、レコーダー、チューナーが、4台あって、今後、何か、どうしても見たい番組がある時に、小出しに使おうと思っておったのですが、こんな胡散臭い電話が掛かってくるようでは、その計画は、没にせざるを得ません。 まったく、タダより高いものは無い・・・。


  スカパーはさておき、本題の、ユニコーンの話に移りましょうか。 今のところ、全6話になる予定だそうで、私が見たのは、1~3話なので、まだ半分ですが、残りを見られるのは、相当、先の話になりそうなので、印象が新鮮な内に、感想を書いてしまいましょう。

  念の為、書いておきますと、≪ガンダム・ユニコーン≫というのは、オリジナル・ビデオ・アニメで、テレビ・シリーズではありません。 劇場公開もしているようですが、一話50分しかないので、映画として見るには、明らかに短すぎるような気がします。 どういう形で放映しているんでしょう?

  いわゆる、≪ガンダム正史≫の一部として作られており、≪シャアの逆襲≫の数年後、≪F91≫よりは随分前という時代設定らしいですが、メカのデザインだけが、妙に新しいのが、違和感あります。 ユニコーン・ガンダムにしろ、ネオ・ジオンのモビルスーツ群にしろ、ゴテゴテが好きですなあ、サンライズは。 しかし、≪シード≫、≪デステ二ー≫の物よりは、ずっとマシ。 ガンダムが、千手観音でなくなっただけでも、合掌してありがたがるべきか。

  小説の原作が元だそうですが、富野さんが書いたわけではないとの事。 しかし、世界設定が、オリジナルのガンダム・シリーズと同じだというだけで、≪シード≫や、≪00≫よりは、作品世界に入って行き易いです。 もっとも、オリジナルに近いだけあって、オリジナルの欠点である、妙に時代がかったセリフや、「姫様・・・」といった、鼻を摘みたくなるような設定も受け継いでいるのですが。

  ちなみに、この「姫様」とは、ドズル・ザビの娘で、≪オリジナル≫では、赤ん坊姿で、≪Z≫と≪ZZ≫では、7歳くらいの子供姿で(贋者が)登場した、あのミネバ・ザビなのですが、16・7歳くらいになっているものの、髪型が特徴的なため、一目で、それと分かります。 「あれ? これは、ドズルの娘ではないか!」と気づいた時には、ちょっとした感動を覚えましたが、名前を思い出せない歯痒さも、同時に味わいました。

  しかし、今更、蒸し返すのもなんですが、あのドズルの遺伝子で、こういう顔立ちの娘が生まれるものかね? 母親は、不倫をしておったのではないか? 本当の父親は誰だろう? ザビ家内部で探すとしたら、顔的には、ガルマくらいしか該当しませんな。 いずれにせよ、ザビ家の血筋である事に変わりはないから、ストーリーの展開に支障を来たす事はありませんが。

  1話では、このミネバが、ネオ・ジオンの偽装貨物船に潜入して、主人公のいるコロニーへ密航してくるのですが、主人公の少年の素性が、終わり頃まで隠されているので、どちらが、主役なのかはっきりせず、話の重心点が掴み難いです。 主人公の父親が、やたらベラベラと長広舌をふるうのも、話の展開を重たくしています。 その場にいる者全てが常識として知っている事を、改めて一から喋るのは、ボケが来ている証拠ではありますまいか。

  戦闘場面は、ネオ・ジオンの強化人間用モビル・スーツが、ロンド・ベルの汎用モビルスーツを壊しまくるのが、痛快。 前々から思っていたんですが、ガンダム・シリーズの戦闘場面は、敵役が強い時が、一番面白いですな。 ユニコーン・ガンダムは、中盤ちょこっと姿を見せた後、ラストになって、本格的に登場して来ますが、暴れ始める前に、1話は終ってしまいます。

  で、今回見た、2・3話ですが、何だか、主人公達が、連邦とネオ・ジオンの間を行ったり来たりし過ぎで、落ち着きません。 展開の目まぐるしさが、面白さに繋がっていないのは、問題だと思います。 主人公が、何のために戦っているのかが、はっきりしておらず、居心地の悪い雰囲気を視聴者に分け与えてしまっています。

  富野さんが作る話だと、「やむにやまれぬ事情で、戦う羽目になってしまった」という設定が、必ず盛り込まれているのですが、≪ユニコーン≫では、その詰めが甘く、「なにも、この主人公は、連邦とネオ・ジオンの、どちらかに与さなければいけないわけではないのだから、ユニコーンにミネバを乗せて、どこか、戦闘が行なわれていない所へ、逃げてしまった方がいいのではないか?」と、思わせるのです。

  主人公が戦っている動機は、ほぼ、100%、ミネバへの執着にあり、それ以外の事は、どうでもよさそうに見えるから、何だか、白けてしまうのです。 ミネバが、世界の平和のために、命がけで行動しているのに対し、女の事しか頭に無い主人公のスケールの小ささには、呆れざるを得ません。 顔は、いいんですがねえ。

  フル・フロンタルという名の、シャアらしき人物も出て来ます。 ネオ・ジオンが、≪逆襲のシャア≫の時と同じ組織ならば、別に名前を変えなくてもよさそうなものなので、もしかしたら、組織として、断絶があるのかもしれませんな。 当人は、シャアである事を、否定も肯定もしていないから、ますます、はっきりしません。

  つまらない事ですが、シャアが、フル・フロンタルだとすると、≪逆襲のシャア≫で、一度、短髪にしたのを、30歳過ぎてから、また伸ばし、若い頃以上の長髪にした事になり、何だか、非常に悪趣味な感じがします。 誰じゃ、このキャラデをやったのは。


  戦闘場面は激しいですが、同じモビルスーツ、同じパイロットでも、ストーリー展開に合わせて、強さ弱さが変わるなど、御都合主義が多く見られる点は、昨今の他のロボット物アニメと変わりません。 ユニコーン・ガンダムが、断トツに強過ぎるのは、大いに白けるところ。 主人公は、ユニコーンに乗りさえすれば、容易に無敵になってしまい、窮地に陥る事がありません。 それでは、ドラマにならんでしょう。

  そういえば、ロンド・ベル側の戦艦は、≪ZZ≫の後半で出て来た、ネール・アーガマです。 懐かしいといえば懐かしいですが、時間的に間に挟まっているはずの、≪逆襲のシャア≫に出て来た、ラ・カイラム級が、どうなってしまったのか、首を傾げてしまいます。 ≪F91≫だと、ラ・カイラム級と共通デザインの船が出て来るんですがね。

  そもそも、ネール・アーガマは、エウーゴが造った船であって、なんでまた、ロンド・ベルの所属になったのか、よく分かりません。 エウーゴは、反ティターンズ組織で、連邦軍内の反乱部隊のような位置づけだったのに対し、ロンド・ベルは、単なる独立部隊に過ぎず、全く性格が違います。 その辺のところが、どうなっているのか、ブライト・ノアにインタビューしてみたいものですな。


  ところで、この作品のテーマですが、今までのところ、よく分かりません。 これといって、決めておらず、単にモビルスーツ戦の描写をやりたいだけ、という見方もできないではなし。 いや、ガンダム・シリーズでは、そういうのが、多いのですよ。 そもそも、≪オリジナル≫ですら、主人公の成長という、ベタな側面を除けば、テーマがはっきりしてませんでしたから。

  「ニュータイプ」がテーマ? いやいやいや、あれは、テーマには、なり得ません。 だって、架空の設定でしょう? 実際に、現代の人類の中に、ニュータイプの萌芽のような変化が見られるというのなら、テーマたりえますが、まるっきり架空では、その事について、真剣に議論したり、研究したりするのは、ナンセンスな事です。 そんなのは、テーマになりませんぜ。 ファンタジー作品に出て来る、「魔力」と、変わらないじゃありませんか。

  ちなみに、≪シード≫に於ける、遺伝子操作で作られた新人類の事ならば、充分にテーマになります。 面白いですな。 評価が高い≪オリジナル≫よりも、≪シード≫の方が、SFとしては、純度が高いのです。 ≪オリジナル≫は、ニュータイプの要素を除くと、ほんとに、戦争物の面白さしか残らないところがあります。

  以上、バラバラですが、とりあえず、1~3話までの感想です。 話全体は、最後まで見てみないと、評価が下せません。 いつになるやら、見当もつきませんけど。


  そうそう、シャアの登場場面を集めて、ナレーションと音楽をつけた、≪赤の肖像≫という番組も一緒に見ました。 でも、長いばかりで、そんなに面白くはなかったです。 シャアのファンは多いですが、作中では、あくまで、敵役か、脇役なので、そーんなに、露出は多くないんですな。