2011/10/23

ガンダム話③

  うーむ・・・、「ガンダム話なんて、感想を書くだけだから、平日の夜に、ちょっと時間があれば、スイスイ筆が進むだろう」と思っていたんですが、予想に反して、ちっとも進みませんなあ。

  いや、原因は分かっているのです。 一番大きいのは、10月16日に、BSアニマックスで放送した、≪ガンダム ユニコーン≫の2・3話を見逃してしまったから。 すでに、開局記念の無料期間は過ぎているので、スカパーの≪16日間無料キャンペーン≫を利用して、見ようと思っていたんですが、当日の午前10時頃に手続きをしたら、あらやだ、あーた、≪待機時間≫とやらがあって、午前8時までに手続きをしないと、その日は映らず、翌日の午前3時まで待たなきゃいかんというじゃありませんか!

  知らねーよ、そんな事! そういう大切な事は、サイトのトップ・ページに、大きく表示しておきなさいよ。 ・・・いやいや、無料だから、あまり、声を大にして文句は言えませんがね・・・。 でも、厳しいなあ。 幸い、29日に、再放送があるそうで、16日間の内に入っているから、その時、見れると思うんですが、それなら、28日辺りに手続きすれば、11月の特集である、≪るろうに剣心≫のOVA・劇場版3作も、見れたんですがねえ・・・。 全く、思うに任せぬ。

  ちなみに、アニマックスは、特集を除くと、普段は、一昔前のテレビ・アニメを十本くらい順繰りに放送していて、本契約をしてまで、見たいと思う局ではありません。 ≪こち亀≫とか、≪シティー・ハンター≫とか、懐かしいとは思いますが、そうそう連続的に、懐旧の情に浸り続けてばかりもいられませんわ。 アニマックスの契約をしている方達は、もちろん、アニメ・ファンだと思いますが、他の局で、新作アニメがうじゃうじゃ放送されているのに、昔の作品まで見ていたのでは、時間がいくらあっても足りますまい。 みんな、ひきこもりなのか? いや、ひきこもりでも、見切れないと思いますけど。


  もう一つの原因は、先週見た、≪ガンダム AGE≫が、あまりにも、子供向け過ぎて、がっくり来てしまった事。 いやはや、ああいうのを見せられると、盛り上がりかけたガンダム熱が、一遍に冷める事よ。 これは、私だけでなく、新作ガンダムが始まると聞いて、楽しみにしていたガンダム・ファンの方々の、ほとんどが、同じ思いを共有していると思います。 「なんだよ、こりゃあ!」てな。

  新聞の紹介記事に出ていた制作者の言葉では、「小学校高学年向けに作った」との事ですが・・・、いやいやいやいや、小学校高学年は、こんな幼稚なアニメを見ないでしょう。 低学年向けの間違いではないですか? キャラデを見ただけでも、≪ポケモン≫や、≪ケロロ軍曹≫クラスなのは明らかです。

  キャラデに合わせて、メカのデザインも単純化されており、何とも、安っぽい印象。 プラモデルは作りやすそうですが、ガンプラとして認めてもらえるかどうかは大いに疑わしいところ。 この作品のプラモを作って、悦に入っている大人がいたら、そいつの精神年齢は、6歳前後ですぜ。

  ストーリーは、今のところ、ガンダムのお決まりパターンを踏襲しているのですが、戦争物というより、「わるものがせめてきた。 ぼくらでたたかおう」的な、幼稚なヒーロー物の雰囲気で満ちており、ガンダムらしいリアリズムは、微塵も感じられません。

  「戦闘中に、敵メカのデータを採取して、その場で新しい武器を作るシステム」、などという機械が出て来ますが、まるっきり、≪ヤッターマン≫ですな。 作れるわけないでしょう、そんな短時間で! 食パン一枚焼けんわ! SFと思えぬだけでなく、常識すら欠いている。 コメディーならともかく、真面目な話の中に出て来る設定だから、冷や汗が流れるのを止められません。 「子供向けなら、何でもアリだ」と思っているんでしょうか?

  わざわざ、こういうアニメを、ガンダムの名を冠して作る必要があるのか、そこに疑問を感じます。 制作者のコメントに、「今の子供達は、ガンダムを知らない。 このままでは、どんどん難しい話になってしまうので、子供にも分かるような作品にしたかった」というような事が書いてありましたが、なーにを勘違いしてるのやら・・・。 ガンダムは、オリジナルの時から、≪子供向け≫など、想定していません。 ≪学生以上向け≫に、本格的なSF戦争物として作られたのです。

  子供というのは、年長者の世界を垣間見ながら、育つものであって、オリジナルのガンダムは、学生以上向けだったから、多くの子供が、その世界に憧れたのです。 「より子供向けに作れば、子供が喰い付いてくるだろう」という発想は、本末転倒しています。 最初から子供向けに作ったら、子供向けの品質にしかならないのは当たり前であって、いつまでたっても子供向けです。 それは、≪仮面ライダー≫や、≪ウルトラマン≫のシリーズを見れば分かること。

  恐らく、ガンダム・ファンに、ボロクソに貶されるか、≪SDガンダム≫と同類と見做されて、無視されるかのどちらでしょうなあ。 後者の公算、高し。 それならそれで、問題無いですか。 同じガンダム・シリーズだと思うから、ドタマに来るのであって、まるっきり別物だと思えば、腹を立てる必要も無いわけだ。 問題は、前者の方向へ行ってしまった場合です。

  そういえば、何年か前に、≪エヴァンゲリオン≫を作ったガイナックスが、久しぶりにアニメを作るというので、ファン達が心待ちにしていたのを、≪グレンガラン≫が完全に子供向けだったために、ネットで、ボロクソに扱き下ろされ、それに反発した制作者の一人が、「素人が偉そうな事を言うな」とか何とか発言して、火に油を注ぎ、ニュースに取り上げられるほどの大ごとになりましたが、あれと同じ展開が予想されます。

  アニメ制作者の中には、幼稚園くらいの頃に見たアニメ作品の印象が強烈だったのか、「アニメは、本来、子供向けでなければならない」といった観念から抜けられない人が少なからずいます。 そういう人達は、「アニメでしか表現できない映像を作ってやろう」とか、「大人が見ても舌を巻くような、深みのある作品にしてやろう」などとは、端から考えていません。 自分の幼い子供が、キャッキャ喜ぶような、単純で毒の無いアニメが作りたいのです。

  外国製のアニメが、どうしても、子供向けの枠から外へ出られないのは、そういう作り手の意識の問題が大きいですが、同じような考え方の人が、日本にも存在するわけですな。 この人達、決して、悪い性格の持ち主ではなく、むしろ、人間的には、子供好きで、温厚で、ノンポリで、大変、好ましい人物であると思われるのですが、そういう特徴は、芸術家としては、却って、邪魔になるのです。

  皮肉な言い方をしますと、「アニメは本来、子供向け」と思っている人というのは、大人なのであり、「大人を唸らせるようなアニメを作ろう」と思っている人達は、頭の中が、子供のままなのかも知れません。 確かに、名作・傑作を世に出した人達には、「変な人」が多い。 実に、多い。 実に、実に、多い。 


  富野さんは、どう思っているんでしょう。 ガンダム・シリーズと言うと、富野さん本人がタッチしていなくても、必ず、原案者の所に名前が出るわけですが、不本意じゃないんですかね?


  あー、今回も、長くなってしまったので、ここらで切り上げます。 ガンダム話の続きを書くかどうかは、未定。 気分が盛り上がらなければ、これで終わりになるかもしれません。