2011/09/04

台所テレビ

  性懲りも無いのにも限度があると思うでしょうが、またまたまた、テレビの話です。 今度は、台所のテレビを買い換えるという計画。 私が自室に液晶テレビを買ったのを横目で見ていた母が、「台所のも、液晶にしたい」と言い出したのです。

  実は、この展開は想定内でした。 初めて台所にテレビを置いたのは、もう四半世紀も前の事ですが、その時も、私が自室にテレビを買ったのを見て、母が父に相談し、私が買ったのと全く同じ機種を買って来やがったんですな。 シャープの、14型ブラウン管、リモコン無しでしたが、3年くらいで、2台ともチューナーがいかれて、ビデオ・デッキのモニターにしか使えなくなり、ここ10年ほどは納戸にしまいこまれていたのですが、つい先日、家電リサイクルに出されました。

  で、今回も、同じパターンになるのではないかと予想していたのですが、案の定、そうなったというわけ。 人の心というのは醜いもので、家族に対しても、対抗心を燃やすわけです。 息子が液晶を買ったから、自分も買いたい。 しかし、自分の部屋の大型ブラウン管テレビは、まだピンピンしていて、映りも抜群にいいものだから、買い替えるわけには行かない。 そこで、台所においてある、14型の古いテレビを換えてしまおうと目論んだのでしょう。

  この14型テレビは、ナショナル、つまり、今のパナソニック製で、すでに、30年くらい経っている代物です。 チャンネルが、まだ、ダイヤル式で、ガチャガチャ回すタイプ。 正確に言うと、ダイヤルは二つあり、ガチャガチャ回すのは、VHFの方だけで、UHFの方は、無段階に回って、映像を見ながら、位置を調節します。 こういうテレビを見た事が無い人も多くなったでしょうなあ。 そういえば、某自治体の歴史資料館に行った時、ダイヤル式のテレビが、高度経済成長期コーナーの展示の中に置いてありました。 歴史的遺物になっているのか・・・。

  そんな古い物でも、VHFの12チャンネルを受信できれば、ケーブル・テレビのデシアナ放送を、ちゃんと見る事ができるのです。 ただ、このテレビは、元が14型なので、デジアナ放送の、上下に帯が入る映像では、画面が小さくなり、台所で三人で見るには、不都合が出ていました。 実質、12V型くらいの画面になってしまうのですから、1.5メートルも離れると、地震速報のテロップも、はっきり見えない始末。

  「買い換えろ」と母に言われても、「まだ、映るのに、勿体無い」と言って、突っぱねる事もできたのですが、私自身が、デシアナになってから、「これでは、小さすぎるな」と思っていたので、話に乗る事にしました。 ちなみに、我が家では、家電量販店に行って、家電製品を買って来れるのは、私だけです。 父も母も、あまりに歳を取ってしまい、スーパーやホーム・センターには行けても、製品について下調べが必要な物を売っている店には、近づけなくなってしまったんですな。

  いわゆる、≪街の電気屋さん≫が、近所にあるにはありますが、同じ製品の値段が、家電量販店の1.5倍もするので、さすがの私の両親も、ここ10年ほどは、全く声を掛けなくなりました。 値段が高い代わりに、設置・設定や修理をサービスしてくれるというなら、まだ分かりますが、ちょっと見て貰っただけで、「出張料、2000円、いただきます」などと言い出すので、呼ぶに呼べなくなったという次第。

  街の電気屋さんで買うと、なぜ高くなるかというと、人件費を値段に上乗せしているからだと思われます。 工場を出荷した時点では値段は全く同じなのであって、運送代にも差が出る道理がありません。 となれば、店に着いてから、何かが加算されるわけで、それは何かと言われたら、人件費しか考えられないのです。 街の電気屋さんで、金持ちという家は、まず見ないので、ぼったくっているとは思えませんが、規模が小さ過ぎて、合理化が利かないのかもしれませんな。

  「高いけど、困った時に、いろいろやってくれるから」という理由で、街の電気屋さんと付き合い続けている家もあると思いますが、うちの近所の電気屋の場合、私の母に家電製品の知識が無い弱味に付け込み、高い物を売りつけるような真似を一度したので、それ以来、信用を失ってしまいました。

  具体的に語ると、もう15年くらい前の事ですが、母が自室のテレビを買い換える時、「衛星放送が映るテレビが欲しい」と電話したのを、すでに、衛星チューナーが母の部屋にある事を知っていながら、衛星チューナー付きテレビを持って来たのです。 当然、チューナーがダブります。 衛星チューナー無しのテレビなら、2万円も安いというのに。

  私は、その時、テレビの買い換えの事を、事前に知らされていませんでした。 女の浅知恵という奴で、「家族に内緒で、いいテレビを買えば、羨ましがられるだろう」と考えて、わざと言わなかったのでしょう。 馬鹿だねえ。 前々から、「家電製品を買う時には、必ず相談しろ。 何も分からないまま、近所の電気屋に頼むと、高くつくから」と言っておいたのに、親というのは、いつまでたっても、子供より自分の方がしっかりしていると思い込んでいるようで、私の言う事なんか、真面目に聞いちゃいなかったのです。

  夜勤明けで、昼頃起きたら、母の部屋に電気屋が入っていて、衛星チューナー付きテレビを据え付けているのを見て、仰天しました。 衛星チューナー付きテレビなんぞ、録画もできないし、糞の役にも立たない事を知っていたからです。 電気屋を怒るわけにもいかないので、母に向かって、「こんな物を買って、どうするつもりなんだ? 録画なんか、できないぞ」と詰問すると、案の定、何の事やら、まるで理解していない様子。

  自分の懐ではないとはいえ、家族が2万円も高い物を買わされた事に我慢がならず、地団駄踏んで悔しがっていると、電気屋の方は、私が何を怒っているのか、すぐに分かったようで、「じゃあ、録画は、衛星チューナーの方を、ビデオに繋いでおきますから・・・」と言って、接続して行きましたが、もし私が起きて来なければ、そのまま帰ったのは間違いないところで、後になって、録画できない事に気付いた母は、途方に暮れた事でしょう。

  知識無しに、「衛星テレビが欲しい」などと電話した母もよくないですが、なぜ、そう言われた時に、「お宅には、衛星チューナーがもうありますから、普通のテレビでも衛星放送が見られますよ」と教えなかったのか、そこが許せません。 2万円高い物を売ろうとして、黙っていたに違いないのです。 ちなみに、その時買わされた衛星テレビは、まだ健在ですが、もちろん、アナログ衛星用なので、地デジ化以降は映らなくなり、ただのモニターとして使っています。


  う・・・、久しぶりに、話が台脱線してしまいました。 街の電気屋さんの話ではなく、うちの台所のテレビの話でしたな。 そうそう、うちの台所は、いわゆる、ダイニング・キッチンでして、台所と食堂が一つの部屋にあります。 広さはシステム・キッチンを含めて、8畳。 食卓は部屋のほぼ中央にあり、部屋の隅の中型冷蔵庫の上にテレビを置いています。 食事中に三人で見るわけですが、真正面に位置するのは、母の席だけで、私と父の席からは、斜め横の角度で見る事になります。

  その前に、私の部屋に19V型の液晶テレビを買っていたので、液晶の視野角が狭い事は分かっていました。 私のテレビの場合、左右は少々色合いが変わる程度ですが、下から見上げると、暗い部分が潰れてしまって、ネガ・フィルムでも見ているような、ひどい映像になります。 台所に置くなると、中型冷蔵庫の上ですから、椅子に座った人間の目の位置よりも高くなるわけで、「正面で見ても、駄目かもしれない」という危惧が、あるにはありました。

  危惧があったものの、「どうせ、食事中のテレビなんぞ、じっくり見るわけでもないし、絵が映って、音が出れば、それでいいだろう」と、テキトーに割り切りました。 それに、説明書を新しく読むのが面倒臭いので、この際、私の部屋に買ったテレビと、全く同じ機種にする事にしました。

  で、昨日の今日で、同じホームセンターに、同じテレビを買いに行ったのですが、同じ店員に頼んだにも拘らず、向こうは私の顔を覚えていなくて、「有名メーカーのと違って、端子の種類が少ないですが、いいですか?」と、同じ説明を繰り返しました。

  実は、私が買ったテレビには、端子はいろいろとついているんですが、この店員は、その店で売っているもう一種類のシンプルな機種と混同していて、間違った説明をし続けているのです。 しかし、私は、それをわざわざ指摘してやるほど、親切でも、お節介でも、閑でもありませんから、「はい、分かりました」とテキトーに相槌を打っておきました。

  店員が倉庫へ行っている間、私の心に充満していたのは、不安の二文字だけ。 視野角の問題もある上に、「三人で見るとなると、19V型では小さいのではないか・・・」と、それが心配になって来たのです。 しまった! 調査不足で、取り返しの付かない事をしたか・・・。

  ところが、手ぶらで戻って来た店員が、申し訳なさそうに言うには、「今朝まで在庫があったんですが、今見たら、無くなっていました」との事。 その店の家電コーナーには、他にも店員がいるので、別の人が売ってしまったのでしょう。 それを聞いて、私がほっとしたのは言うまでもありません。 これは、「同じ物は買うな」という、天の声に違いないと思いました。

  19V型でなければ、その上は、22V型です。 ホーム・センターや家電量販店の店頭には、22V型の安い品が無い事が分かっていたので、ネットで探す事にしました。 価格コムの22V型カテゴリー中、最安機種で、ネット・ショップは、送料も代引き手数料も無料の所と、とことん廉価狙い。 もちろん、機能・性能も検討しましたが、前にも書いたように、ネットで選ぶ場合、情報が少ないので、どうせ、正確なところはわかりません。 そこで、外れても損害が少ないように、徹底して、低価格に拘った次第。

  具体的に言うと、≪カメラのキタムラ・ネット・ショップ≫なのですが、買い物カゴがあるくせに、一品ずつしか注文できないという、ちょっと妙な所でした。 注文中に、突如、システム・メンテナンスに突入されて、入力情報が消えてしまうトラブルに見舞われたものの、めげずに再挑戦し、何とか注文を終えました。  注文したのは、夜11時頃でしたが、翌日の朝8時には、発送したとのメール。 いやあ、メールが来て良かった。 いい加減なショップで、注文したのに、梨の礫という所もありますから。

  今、ふと思ったんですが、「メールがきて良かった」という場合、「メールが来て」よりも、「メールが着て」の方がいいんすかね? 「着メール」という言葉もあるし。 いやいやいや、そんなこたないか。 終止形にして、「メールが着る」にすると、「くる」ではなく、「きる」になってしまいますから、それはあり得ません。 「着メール」の「着」は、「きる」ではなく、「つく」の方ですな。

  いや、そんな事はどうでも宜しい。 カメラのキタムラの本拠地は、香川県にあるそうで、そこから静岡県東部まで、宅配便で、約一日半。 注文した日から数えると、翌々日の昼過ぎには、うちに到着しました。 私は、仕事があったので、現物を見たのは、夕方、家に戻ってからです。

  買ったのは、≪TruLuX 22V型 地上デジタルフルハイビジョンLED液晶テレビ TLX-LED220BV2≫。 外国製で、輸入販売業者は、≪勝山≫。 送料・代引き手数料込みで、21980円。 このお金は、当然の事ながら、言いだしっぺの母が払いました。

  結構大きな箱。 置き場所は中型冷蔵庫の上ですが、「大き過ぎて、載らなかったら、どうしよう」と心配させられるほどに・・・。 しかし、開梱してみると、緩衝材の発泡スチロールの分が出っ張っていただけで、テレビ本体は、そんなに大きくはありませんでした。 野次馬根性で見に来た父が、「なんだ、おみゃーのテレビと変わらにゃーな」と言うほどに・・・。

  枠や背面には、キズ防止のビニールが、隙間無く貼られていました。 とりあえず、映るかどうか確かめなければならないので、台所に運び、仮置き。 大きさは、置き場所に対して、充分ゆとりがあります。 ついて来て、置くのを見ていた父が、「26型くらいでも置けるな」と言うほどに・・・。 さすがに、26では大きすぎると思いますが・・・。 父は毎日、閑なので、転倒防止の固定具を作って欲しいと頼んでおきました。

  台所は、地デジのアンテナ線しか来ていないし、録画機も無いので、接続は、アンテナ線と電源コードを繋ぐだけ。 他の端子がうじゃうじゃついていますが、使わないので、埃除けにビニールを貼り付けて、覆ってしまいました。 B-CASカードは、マイクロSDカードのような小さなタイプで、ちょうど、カメラに挿すような感じで、ゆっくり挿し込むと、かすかにカチッと止まる感覚があります。 強く押し込むと、バネで戻ってしまいます。 チューナーが地デジ・オンリーの場合、番号登録が必要になるわけでもないし、こんなので充分なのでしょう。 カード・カバーが付いていて、埃除けになるのは、親切な配慮ですな。

  チャンネル・スキャンをかけると、あっさり映りました。 私の部屋のテレビもそうでしたが、テレビの場合、説明書を読まなくても、チャンネル設定までは、勘で進められるかもしれませんな。 どの機種も、似たようなものです。

  映像は、私のほど精細ではないですが、視野角は思っていたより、ずっと大きく、母の席はもちろん、父や私の席から見ても、はっきり見えます。 音声も大きく、申し分ありません。 ボトム・スピーカーなのに、籠った感じが全く無いのは不思議。 画面の下に、細長い幕のような物で覆われた部分があるのですが、もしかしたら、そこから前に向けて、音が出るようになっているのかもしれません。 やはり、私のと同じ物を買わなくて正解だったかもしれませんな。 天啓には従うものなのか。

  本体側面にもボタンが付いているのですが、暗がりになって、よく見えないので、操作は全て、リモコンを使う事にしました。 リモコンは、ボタンが大きく、使い易いです。 ちなみに、私のテレビのリモコンも、同様。 こういう点を、国内メーカーにも、真似てもらいたいものです。

  父に頼んだ固定具ですが、テレビのスタンドを覆って、下の台にネジ留めする板を、すぐに作ってくれたものの、廃材利用で、椅子の背凭れ板を切って作ったせいで、表面が緑色。 テレビは黒で、台は木製ですから、緑の固定具はどう見ても、配色がおかしいと思うのですが、年寄りは、そんな事は気にしない様子。 どうにも、我慢できないので、私が、艶あり黒のスプレーで色を塗り直しました。 よしよし、これで、AV機器っぽさが戻った。


  で、買ってから、5日ほど経ちましたが、調子よく見ています。 私の19V型と比べると、総合的に見て、こちらの方が、確実に品質が高いです。 たった2000円高いだけで、これだけ、差があるんですねえ。 たまたま、いいのに当たっただけかもしれませんが、ネットで買うのも、悪い事ばかりではないんですなあ。

  ちなみに、今回も、いろんな機種のレビューや口コミを読みましたが、まだ発売されて間が無いからか、この機種に関しては、レビュー1件、口コミ2件しかなく、それらも、貶してはなかったので、余計な雑情報が入らなかったのは、幸運でした。