2011/07/17

シート・ポスト延長計画

昨年の夏から、今年の4月まで、岩手応援の3ヶ月を除いて、≪自転車買いたい病≫に罹っていた事は、以前書きましたが、今では、完全に治っています。 もはや、目の前をピカピカのロード・バイクが走り抜けても、何の感興も湧きません。 絶対零度まで冷め切っていると言っても過言ではない。

  どうして、治ったかというと、前から持っていた、折り畳み自転車の、シート・ポストを長くする事に成功したからです。 とりあえず、自分専用で乗り回せる自転車が手に入ったため、新しいのを買いましょうという気が失せたのです。 で、今回は、そのシート・ポスト延長計画の時の記録を紹介しようというわけです。

  ちなみに、3月11日以降、5月の連休が終わるまで、私の勤め先は、一ヵ月半に渡って、ほとんど休みでした。 その閑に飽かして、改造計画を実行したのです。 でなきゃあ、そんな面倒臭い事、ズボラな私が、わざわざやるもんですかね。

  話を始める前に、↓これが、改造前の折自。




≪3月13日≫
  午後から、折自で、清水町のホームセンターへ。 資材コーナーに、25.4ミリの鋼材パイプが売っていましたが、細い部分が無いので、折自にはつけようがありません。 パイプの内側に入れるタイプの継ぎ手も売っていたものの、試しに二本連結してみたところ、多少ながらグラグラします。 これでは、乗っている内に、もっとひどくなるでしょう。 使えんなあ。 何も買わずに帰りました。

  帰り道、どうしても、体重でサドルが下がります。 これは、長いポストをつけても、直らないかもしれません。 やはり、折自をスポーツ車として乗り続けるのは無理ですか。 今日乗ったのは、せいぜい1時間半ほどですが、乗車姿勢に無理があるせいか、疲れ方が父自とはだいぶ違います。 フラット・バーの乗車姿勢そのものがそういうものなんでしょうか。

  やはり、売るしかないのでしょうか。 リサイクル・ショップへ持って行っても、千円にもならんと思いますが。 さりとて、持っていても、乗らないのでは、意味が無いです。


≪4月2日≫
  ≪レイチェル OF-20R≫は、折り畳み自転車ですが、スポ自ではなく、一般車のパーツで作られています。 シートポストの径も、軽快車やシティー・サイクルと同じく、25.4ミリ。

  ちなみに、この「25.4ミリ」という数字は、ちょうど、1インチです。 自転車関係のサイズ数値には、「なんで、こんなに半端なんだ?」と、首を傾げたくなるものが多いですが、そういうのは大抵、元がインチだったのを、ミリに直したもののようです。 そういえば、タイヤの幅に、「1と8分の3インチ」などというのがありますが、せめて、小数にしてくれればいいものを、なんだって、分数なんかで決めやがるかな。 まったく、英米人の考えている事は分からん。

  それはさておき、シートポストですが、25.4ミリの一般車用は、最長で300ミリしかありません。 26インチ軽快車である父自ですら、300ミリでは短いくらいなので、シート・チューブが更に短い折自では、全然足りないという事になります。 なんで、300ミリより上が無いのか、非常に不思議。 平均的な体格の成人男性が、26インチの軽快車でサドル・ポジションを出そうと思ったら、350ミリ以上は、確実に必要だと思うのですが。

  で、一般車用がないのなら、スポ自用が使えないかと調べてみると、あるにはあるのです。 特に、マウンテンバイク向けに長い物が用意されていて、径も、25.4ミリから揃っています。 スポ自用は、ヤグラがポストと一体になっていて、明らかに形状が違うのですが、レール幅は44ミリと同じらしく、つかない事もない様子。 最悪、サドルごとスポ自用に変えてしまえば、確実につくでしょう。

  本当は、400ミリが欲しいんですが、2000円以下で探すと、色が黒の製品しかありません。 私の折自はシルバーなので、シートポストだけ黒というのは、いかがなものか。 どうせ、人が乗ってしまえば、ほとんど見えなくなりますが、自転車というのは、人が乗っている時よりも、単独で置いてある時の方がカッコよく見えるものですから、そういう事も気になるところ。 さりとて、塗り替えや、塗料の剥離などを考えるとなると、費用がどんどん嵩んで行きます。

  350ミリなら、1600円で、シルバー(メッキ)があります。 私が私の折自で、サドル・ポジションを出す上で、確実に必要なのは、370ミリなので、20ミリ足りません。 しかし、これは、一般車用のシートポストで測った場合の数値であって、スポ自用ポストは、ヤグラが一体である分、有効に使える部分が長い可能性が高いです。 一般車用では、ヤグラの中にパイプを入れる形になるので、パイプ上端がレール部分より上へ突き抜けて行くのですが、スポ自用なら、レール部分までの高さが、全長になっていると思うのです。 たぶん。

  うーむ、遊びで改良するには、不確定要素が多過ぎますかねえ。 通販で買うと、送料と代引き手数料で、千円以上高くなってしまうので、店で取り寄せてもらおうと思っているのですが、その折衝も、何となく面倒くさいです。 まあ、その気になったら、行ってみる事にしましょう。


≪4月4日≫
  父自で、沼津のカインズホームへ。 折自のシートポストに使えないかと、前から念頭にあった、資材用パイプですが、今日、見てみると、棚ビラに、「メッキ・パイプ」と書いてありました。 一応、メッキはしてあるわけだ。 ジョイントの径を測ったら、何と、22ミリ! これなら、一般車用のヤグラに挿す事ができます。 1メートルのパイプとジョイント、合計で500円くらい。 試してみて、駄目でも、大損にはなりませんな。


≪4月5日≫
  半日出勤の帰りに、長泉町のカインズに寄りました。 しかし、ここには、資材用パイプのコーナーそのものがありませんでした。

  続いて、清水町のホームアシストへ。 ここは、25.4ミリの資材用パイプを初めて発見した店です。 ここのもメッキでしたが、表面処理が違っていて、水道管風になっていました。 やはり、沼津のカインズへ行くしかないか。

  1時半頃、帰宅。 30分くらい寝て、3時から、車を借りて沼津カインズへ。 パイプは、やはり、こちらの方が、普通のメッキっぽいです。

  ところが、ここでビックリ! 25.4ミリ用のジョイントが、誰かに買い占められたらしく、一本も無いではないですか! 一瞬、マーフィーの法則に嵌ったかと思いましたが、隣の30ミリの所に、一本だけ25.4が混じっているのを見つけ、ほっとしました。 やれやれ。

  ところが、それをパイプに挿してみると、何と入って行きません。 他のパイプに入れると、今度はスカスカ。 どうも、パイプかジョイントのどちらかに、径のバラつきがあるようです。 とにかく、それらを買って帰りました。 合計、526円。

  家に着いたのは、4時半。 試しに父自のシート・チューブに挿してみたら、何と、入りません! またまた、真っ青になりましたが、折自の方で試してみると、何とか捻じ込めました。 きつい方が、ズレ落ちなくて、好都合と言えば好都合なんですが。


≪4月6日≫
  朝から活動。 折自用の長いシートポストを、資材用パイプで作ります。

  物置にあった鉄鋸で、パイプを切りました。 長さは、折自を出して来て再計測した結果、400ミリにしました。 多少短くても、ジョイントの分が長くなるので、足りなくなる事はないはずです。

  切るのは、割と簡単に切れました。 切り口を鉄鑢で削って、滑らかに。 ジョイントを入れてみると、片側ではぐらつきますが、もう片側では、ほとんどぐらつきません。 これなら、隙間に楔を打たなくてもいいかも知れません。

  折自のサドルからシートポストを抜き、ヤグラにジョイントを入れてみます。 切らなくても、頭は接触しないように見えましたが、バネの部分が邪魔をして、ヤグラに入って行きません。 やむなく、ジョイントの方も切る事に決定。 こちらも簡単に切れました。

  折自に挿すと、さすがに、400ミリは長い。 同じ自転車とは思えない印象。 ジョイントとパイプが、ただ挿しただけなので、左右に回ってしまいますが、サドルを持って、自転車ごと上に持ち上げても、抜けはしません。 よしよし。



  テスト走行に近所をぐるっと回って来ました。 サドルの回転は、漕ぐ上で問題にはならないようです。 できれば固定したいのですが、ボンドくらいしか方法がありません。 しかし、ボンドではすぐに捻れてしまいそうです。

  乗り心地は、悪くないです。 やはり、サドル・ポジションが出ると、脚の力の使い方が違います。 ハンドルを目一杯下げてあるので、そこそこの前傾姿勢。 長時間乗れば、腕が相当痛くなると思われます。 とにかく、これで、一応乗れるようになりました。 善き哉善き哉。


  午後から、伊豆の国市の方へ、試し乗りのサイクリングに行きました。 神社やお寺など、観光地でない普通のところであっても、予め調べていけば、ただその場所に辿り着くだけで、結構、達成感が得られるものですな。

  ただし、試し乗りの方はさんざんで、はっきり言って、疲れました。 正味3時間ですが、こんなに疲れるものでしょうか。 クランク軸からサドル上面までの長さは、父自と同じなのに、なぜか、折自では、足が地面につきません。 つまり、クランク軸の地上高が違うのでしょう。 26インチの父自より、20インチの折自の方が高いというのは、意外千万。

  足がつかないので、停まる時はサドルから下りる事になるのですが、これが、なかなか面倒臭い。 下りるのと同じくらい、乗るのも面倒臭い。 荷物が無ければ、そんなでもないのでしょうが、カメラバッグを下げていると、乗り降りするたびに、それが前に回って来て、邪魔で仕方ないです。 ズレどめを工夫せねばなりますまい。

  あと、去年の夏には無かった事ですが、長時間、高いサドルに座って漕いでいると、トランクスが擦れて、股が痛くなって来ます。 かなり、不快。

  サドルが左右に回ってしまうのも、頼りないです。 ジョイントの突起は全周についているわけではなく、四箇所に出ているだけなので、パイプの上端に凹凸をつければ、回り止めにできるかも知れません。 ちと加工に手間が掛かりますが。

  それと、今日気付いたんですが、シートポスト・クランプが、変形していました。 道理で、ナットからボルトの先端が飛び出しているわけだ。 これは、ペンチで押さえれば、元に戻せるかもしれません。 明日は出勤なので、明後日以降に、トライしてみる事にします。

  今日は、サドルバックを付けて行ったのですが、無い方が、すっきりするかも。 今のところ、どうしても、バックに入れなければならないという物は無いのです。 ロック代わりにしている南京錠は、胸ポケットにも入れられるので。


≪4月8日≫
  今日は、折自のサドルが回転しないように加工します。

  改めて見てみると、ジョイントの突起は、四箇所ではなく、三箇所でした。 加工箇所が少ないのは好都合。 サインペンで印をつけ、最初、鉄鋸で切れ込みを入れようとしましたが、喰い付いて行かないので、断念。 自室に新聞紙を広げ、金属鑢で、チマチマと削り始めました。 途中、犬の邪魔が入り、新聞紙の上へ上がってきやがったので、作業を中断し、先に散歩に行きました。

  帰って来て、再開。 正味1時間くらいで、加工完了。 ジョイントの突起は、パイプの凹みに、一発でピタリと嵌りました。



  ついでに、変形していたシートポスト・クランプを、金槌とプライヤーで元に戻しました。 打撃のショックで塗装が剥げてしまいましたが、多少の損傷は已むを得ません。 気が向いたら、シルバーの塗料を買って来て直しましょうか。 気が向かない可能性は高いですが。



  サドル・バッグを取り付けてみましたが、やはり、前側が貧相に見えます。 せっかくの長いシートポストの、すらっと伸びた美しさが損なわれてしまうので、バッグはやめる事にしました。

  これで、一応の完成。 ここまでやったのだから、多少乗り難い点は、諦めるしかありません。

  この二枚の写真、あまり綺麗なものではありませんが、買ってから4年も屋外保管していると、こんなものです。 サドルのヤグラ付近で黄色っぽくなっているのは、錆ではなく、CRCがこびりついたもの。 磨けば取れるのですが、面倒臭くて、やる気になりません。


≪4月11日≫
  今日は仕上げに、自転車の転倒防止策を講じます。

  ここが、私が使用権を確保している自転車置き場、≪台所外≫。 今までは、サイド・スタンドを掛けただけで、そのまま置いていましたが、台風が来ると転倒して、見るも無残な有様になっていました。 で、今回作ったのが、この、≪転倒防止支柱≫です。 部屋にあった廃材を組み合わせ、コンクリート・ブロックの重石を載せただけですが、まあ、何も無いよりはいいでしょう。



  ≪転倒防止支柱≫の上端からビニール紐で結んだS字フックを、サドル裏側のレールに引っ掛けます。 これで、左側に倒れる事は無いはず。 ただし、支柱が風の強さに耐えられればの話です。 未だ曾て、右側に倒れた事は無いので、そちらの対策は考えていません。 なぜ、壁から直接紐を伸ばさないのかと言うと、この上にカバーを掛けるからです。 屋外保管の場合、錆だらけにしたくなかったら、カバーは必需品。





  以上、折自シート・ポスト延長計画の全貌でした。 今でも、この状態で乗っています。 サドルが回転しなくなったせいか、乗り心地は、かなり良くなりました。 一度、狩野川の堤防を、修善寺まで往復しましたが、40キロも走ったのに、尻が痛くならなかったのには、驚きました。 サドル・ポジションというのは、やはり、大事なんですねえ。




  ところで、かくのごとく、売り飛ばす寸前のところを、辛くも復活させた折自ですが、私が気付かぬ内に、世間に訪れていた、≪小径車ブーム≫によって、予期していなかった優越感を、私に齎す事になりました。 妙に注目を浴びるのですよ。 特に、向こうも小径車に乗っていると、チラ見が凄い。 ジロ見される場合もしばしば。

  そればかりか、シート・ポストを高くしていると、スポ自っぽく見えるせいか、普通の小径車に乗っている人達からは、妙にねばっこい視線を向けられる始末。 何だか、こそばゆいこってす。 当の私は、別に、小径車が好きで乗っているわけではないのですが。