2011/09/18

ゴチャゴチャ装備

  テレビの買い替えが一段落して、休みの日にやる事が無くなると、結局、また、折り畳み自転車に乗って出掛けるパターンに戻ってしまいました。 一時期、魘されていた、スポーツ自転車熱はすっかり冷めて、新しい自転車を欲しがる気持ちも雲散霧消しましたが、他に興味を向ける対象が無いため、≪直前のページに戻る≫ボタンをクリックしたかのように、自転車へ向かわざるを得ない様子。


  巷に溢れる軽快車を見ていて、つくづく思うのは、「随分と、ごちゃごちゃした装備が付いているなあ」というもの。 シティー・サイクルに関しては、そんな印象は受けないので、この違いは、後輪の周辺にあると思われます。

  まず、荷台。 荷台は、自転車を運搬道具として使う場合、必須装備なのですが、それを承知していて尚、外観の悪さには、うんざりさせられます。 最大の問題点は、素材ではないかと思うのです。 細い鉄の棒を繋ぎ合せ、表面をメッキしてあるわけですが、これが、パイプを塗装したフレーム部分と、イメージが馴染まないのです。

  このメッキ棒は、泥除けや前籠の支柱にも使われているので、シティー・サイクルにも付いているわけですが、そちらがあまり気にならないのは、あくまで、支柱という、補助部品に留まっているからでしょう。 一方、荷台は、厳然たる主要部品です。 補助部品と同じ素材で、主要部品を作るから、ちぐはぐな外観になってしまうのです。

  軽快車ではなく、クロス・バイクのカテゴリーになっていますが、ファッション重視のデザインが施されている自転車には、細身のパイプを曲げて溶接し、フレームと同じ色に塗った荷台を付けたものが、たまに見受けられます。 ちなみに、私が持っている折自、≪レイチェル・OF-20R≫にも、それが付いています。 デザインの統一性という点では、そちらの方が、ずっとフレームとの相性がいいです。 ただ、塗装面に直接荷物を載せる事になるので、塗装の損傷が心配。 厚手の布でも挟めばいいわけですが、そのために、いちいち、布を持ち歩くのも、面倒ですなあ。


  次に、邪魔なのが、後輪の前側斜め上に付いている、スカート・ガードです。 大抵、プラスチックの格子か、半透明の板で出来ていて、扇形をしています。 軽快車は、性別による区別無しに売られているので、全ての自転車に付いているわけですが、「こりゃ、何だ?」とも思わず、そのまま乗っている人が大変多い。

  スカートの巻き込み防止が目的の部品ですから、スカートを穿いて乗る人だけに意味があるのであって、「スカートで自転車に乗る事なんか無い」という人の場合、取ってしまっても、全く問題ありません。 というか、付けといても、重いだけ。 且つ、汚れが付着する面積が増えるだけです。

  かなりの割合で、シティー・サイクルではなく、軽快車に乗っている男子高校生がいますが、スカート・ガードを外している野郎を、まず見た事がありません。 そもそも、この連中、シティー・サイクルという、わざわざ、男子高校生のために用意された車種が存在するにも拘らず、軽快車に乗っているという事は、シティー・サイクルと軽快車の区別がついていない可能性が高い。

  大方、「荷台が付いている分、使い勝手がいいだろう」くらいの軽い考えで、軽快車にしたのだろうと思われます。 自転車そのものに興味が無く、まして、自転車の装備について深く考えた事など一回も無いので、スカート・ガードが、自分には無用の部品である事に思いが至らないんですな。

  「家族と共用していて、母親や姉妹が乗る事があるからじゃないの?」という、良心的な見方もできないではないですが、今日日、大概の家では、自転車は個人専用になっていて、一台で全て賄っているというのは、珍しいケースです。 そもそも、女性であっても、大人になると、スカートで自転車に乗る事は、稀になります。 「女はみんな、スカートを穿いているもの」と思っているのは、観察眼が足りない男の思い込みに過ぎず、実際に見てみれば、大人の女性の大半は、ズボン姿で自転車に乗っています。

  選択の余地無く、スカートを穿いて自転車に乗らざるを得ないのは、女子高校生に限られると言っても、過言ではありません。 すなわち、軽快車というのは、女子高校生の利用を第一に考えて、装備が決められているわけですな。 その事に気付くと、スカート・ガードを付けたまま、軽快者に乗っている、男性や、スカートを穿かない女性が、余計な部品を運搬させられている阿呆に見えて来ます。

  いや、実は、白状しますと、私の父も、スカート・ガードを付けたまま乗っていまして、私も買い物に行く時には、それを借りるわけですが、自分の自転車ではないので、勝手に外すわけには行かず、そのまま乗っています。 つまり、私も阿呆の一人というわけです。 勿の論、もし、自分の所有なら、真っ先に外します。


  次に、両立スタンドが、何とも、重苦しく、鬱陶しく、見えます。 ただ、両立スタンドは、素材を変えるわけにも行かないし、荷台に大きな荷物を載せる時には、片掛けスタンドより、遥かに安定性がいいので、簡単に、「無くせ」とは言い難いのも事実。

  せめて、錆が出ないように、ステンレスにできないものか。 メッキ部品は、みんなそうですが、とにかく、錆び易いです。 塗装の方が、まだ錆に強いですが、一旦錆びると、メッキのように、「CRCをつけて、磨けば取れる」というわけは行かないので、却って厄介です。

  また、スタンドを掛けた時に下側になる所は、磨くにも磨き難く、また、乗っている時に、本人からは見えない位置なので、錆びている事に気付かないケースも多いです。 やはり、ステンレスにしてもらうのが、一番か。 だけど、コスト低減が非常に重要な、軽快車では、スタンドにステンレスは、難しいでしょうなあ。


  あと、これは、シティー・サイクルにも言える事ですが、オート・ライト付きの自転車の場合、ハブ・ダイナモから、ライトまで、前籠の支柱に巻き付ける形で延びているコードも邪魔臭いです。 見た目はそれほどではないのですが、あの螺旋コードがあると、支柱部分を磨けないので、そこだけ、集中的に錆びて来るんですな。 勘弁してくれよ。 それでなくても、錆び易いメッキ部品なのに。

  あれは、コードを専用のケースに納めて、取り外し可能なアタッチメントで、支柱に取り付けるようにすれば、すっきりするんじゃないでしょうか。 ライトを低くして、ハブのすぐ横に付けてしまうという手もありますが、それをやると、灯りの位置が低くなり過ぎて、被視認性が悪くなるのが難点。

  オート・ライトは、確かに便利ですが、それ以前の問題として、夜間に自転車に乗るのは、少なからず、危険を伴う行為と考えた方がいいです。 通勤通学が使用目的でないのならば、夜に乗るのは、極力控えた方が無難でしょう。 ≪逢う魔が時≫と言いますが、夜をなめて掛かっていると、とんだ火傷を負わされます。

  真昼間でさえ、出会い頭の衝突事故は多いのですから、夜間では尚の事。 自転車の場合、オート・ライトであっても、光量は知れているので、車のように、ヘッド・ライトの光芒で、こちらの位置を相手に分からせる事もできません。 「夜だから、出歩いている人間は少ないだろう」という思い込みが、また輪を掛けて怖いのです。 考えている事は、歩行者側も同じで、「夜だから、車が少ないだろう」という発想の元、暗くなるのを待って、買い物や散歩に出て来る人は、決して少なくありません。 双方とも油断しているので、何が起こるか分かったもんじゃない。

  ちなみに、スポーツ自転車で通勤をしている人のブログを読むと、かなり強力な電池式ライトを装備している様子。 スポーツ自転車は、買った状態では、ダイナモ・ライトすら付いていないので、夜に乗るとしたら、電池式ライトを後付けせざるを得ないわけですが、光量が多いので、被視認性が高くなるのは、怪我の功名ですな。


  も一つ。 邪魔と言うほど邪魔ではありませんが、無くてもいいと思われる装備が、ベルです。 車のクラクションに相当する装備と思われていますが、自転車の場合、≪警笛鳴らせ≫の義務があるわけではなく、ほとんど、使い道がありません。

  歩道を走っている時に、前を行く歩行者をどかせるために鳴らしている人が多いと思いますが、意外な事に、そういう使い方は、違法なのだそうです。 歩道は歩行者優先で、客分に過ぎない自転車が、主人である歩行者をどかせるなど、以ての外なのだとか。 いやあ、知らなかったなあ。

  では、どんな時に使うのかというと、相手に自分の存在を知らせる事で、危険を回避できる場面で使うらしいのですが、そういう漠然とした事を言われてもねえ・・・。 で、結局、有効な使い道が無いのですよ。 違法行為を犯したくなかったら、ベルには一切触らず、スピードを出し過ぎないとか、周囲の確認を怠らないとか、別の方法で、危険を避けるしかないんですな。