2012/06/10

数独・全候補書き込み法

  日記を遡ると、昨年、つまり、2011年の11月20日が最初だったようです。 何が? いや、私が、初めて、≪数独≫をやった日がです。

  新聞の日曜版にパズル欄があり、そこに毎週、数独の問題が出ているのには、もっと前から気づいていたのですが、ルールが分からなくて、ずっと手をつけませんでした。 クロスワードなら、前から好きで、見つけると必ずやってみるのですが、数独は、問題を見ただけでは、何が何だか、まったく分かりませんからのう。

  基本ルールが書き添えてあったので、その日、初めて、それを読んでみたんですが、依然として、分かるような、分からんような、もやもやした感じ。 そもそも、数字を当て嵌めて行くだけで、面白さを感じられるのかどうか、その段階からして、怪しげでした。 クロスワードは、知識量を試されるので、挑戦のしがいがありますが、純然たるパズルというのは、どうもねえ・・・。

  あー、んー、こういう話を始める前に、数独のルールについて、説明した方がいいですかね? やった事がない人は、全然分からんでしょうから。 とはいうものの、私が説明するとなると、現物を見せるにも、画像が出せませんなあ。 仕方ない。 画像は、「数独」でネット検索してもらえば、いくらでも見られると思うので、そちらで見て貰うとして、一応、言葉だけで、説明しましょう。


  将棋盤と同じような、格子状の升目を使います。 9マス×9マスで、正方形をしています。 その中を、3マス×3マスのブロック9個に分割する形で、太い線が引かれています。 縦に3ブロック、横に3ブロックで、全部で9個というわけ。

  全体のマスの数は、9×9ですから、全部で81個あるわけですが、それはまあ、気にせんでも宜しいです。 気にすべきは、1ブロックのマスの数でして、3×3で、9個あります。 この中に、1から9の数字を入れて行くわけです。 全部で9個あるブロック全てに、9個の数字を入れます。 0や、10以上の数字は使いません。

  1ブロック内の各マスには、必ず、違う数字が入ります。 9マスあって、1から9までの数字を全部入れるのですから、当然そうなるわけです。 それだけなら、パズルにならないのですが、ブロック内だけでなく、全体の枠の中でも、縦列9マス、横列9マスで、1から9までの数字が入るようにします。 同じ列に同じ数字が入ったら、駄目です。

  何だか、急に難しく感じられて、「そんなのやるのは、面倒くさいなあ」と思ったでしょう。 私も、そうだったんですよ。 閑でなかったら、とても、手を出さなかった事でしょう。

  ちなみに、数字の順番は、全く関係ありません。 1の隣が9で、5でも、何の制約も無し。 つまり、別に数字でなくても、他の記号でもできるパズルなのですが、書き易いので、数字を使っているというだけの話です。 算数・数学で使う頭脳は、全く使わないと思うので、数字アレルギーの方でも、恐れる必要はありません。 どちらかというと、やっている事は、論理学に近いような気がします。 

  数独の問題には、初期数字というのが入っていて、それを手がかりに、空マスを埋めていきます。 初期数字の数が少ないと難問で、多いと易しい、という大雑把な傾向はありますが、決定的なものではありません。 それは、自分で途中まで解いて行って、全体のマスの半分くらいが埋まっても、そこから先が、パッタリ進まなくなるケースがある事からも分かります。

  ここまで読んで、興味が湧いた方は、「数独」で検索すれば、≪ニコリ≫という会社のサイトがありますから、そこのお試し問題を、見るだけ見てみて下さい。 一番最初は、簡単に解ける問題を、自分でやってみるに限ります。 一回やるだけで、「ああ、こういうものか」というのが分かりますから。

  「数独 解き方」で、検索すると、解き方を図入りで説明してくれる個人サイトが、どっと引っ掛かりますが、最初からそういう説明を読んでしまうのは、あまり、お勧めではありません。 噛んで含めるように、優しく易しく説明してあっても、ルールそのものを知らない人にとっては、尚、理解の負担が大き過ぎると思われるからです。


  で、私の事ですが、去年の11月20日に、初めて、数独の問題に取り組んでみたわけですが、まーあ、瞬く間に嵌まり込みましたね。 初期数字の並びで、考えるまでもなく、自動的に決定する数字があるのですが、それを1つ書き込むだけで、奇妙な快感を覚えました。 これは、今でも同じでして、決定数字を書き込む時の、あの充実感には、得も言われぬものがあります。 一つ埋まれば、一つ手がかりが増えるわけで、少しずつでも進んでいれば、嫌になってしまうという事はありません。

  たまたま、私が最初にやった問題が、簡単だったのも幸いしました。 新聞のパズル欄と言っても、レベルは毎週違っていて、どうしても解けない問題が、月に一度は出て来ます。 もし、最初にやったのが、そういう難問だったら、「ふざけんな」の一言で鉛筆を起き、二度と数独を顧みなかった事でしょう。


  基本的には、≪消去法≫のゲームだと言えます。 特定のマスに、特定の数字を入れる場合、同じブロック内や同じ縦列・横列の中に、すでに、その数字があれば、入れられません。 入れられない数字を除外し、入れられるものを絞って行って、最後に一つ残すわけです。

  解いて行く時には、マスの隅に、小さい字で、候補数字を書き込んで行きます。 そのマスに入り得る可能性がある数字ですな。 一つでは済まないので、四隅に書き込んでいくのですが、四隅でも足りない事があり、そうなってしまうと、一気に面倒臭くなって、その数字に関しては、候補数字を書くのを端折ったりします。

  新聞に載っているパズルだと、全体の大きさが、9センチ×9センチくらいなので、1マスの面積が、極めて小さい。 候補数字を四隅に書き込んだだけで、マスがいっぱいになってしまって、それ以上、書き込む気にならなくなります。 今にして思うと、そのせいで、解けない問題が続出したわけですが、当時は、気づきようもありませんでした。

  簡単な問題だと、候補数字を書き込む前に、5・6個のマスは埋められるものなのですが、難しくなると、候補数字を、びっしり書き込んでも、1マスも確定数字を入れられない場合があります。 そうなると、もうお手上げ。 解けないパズルほど、忌々しい物は無いのであって、気分が悪くなるので、さっさと新聞を畳んで、「そんなパズルはやらなかった」事にするしかありません。 そんな事が、何回あった事か。

  悔しいので、ネットで、「解き方」を調べるですが、人の言っている事は、なかなか頭に入って来ません。 「こういうケースでは、ここにこれは入らない」と図入りで説明してあるのですが、そもそも、その、「こういうケース」にぴったり当て嵌まるケースが、自分の取り組んでいる問題の中に、見当たらないのだから、参考にしようがありません。

  また、サイトによって、説明の内容が全然違うのも、私の頭を混乱させます。 ≪犬の飼い方≫の本と同じで、定説がねーのよ。 「これが、決定的な法則だ」という触れ込みで説明してあっても、どこが、決定的なのか、ちっとも理解できぬ。 法則というより、特定ケースに於いてのみ有効なパターンと言うべきではないかと思うんですがね。

「特定のマスに、どの数字が入るかではなく、特定の数字を、どのマスに入れられるかに着目すべき」

  というのは、一聞、目から鱗のような物言いですが、これも、よくよく考えてみれば、わざわざ大仰に指摘されるまでもない、当然以前の事のような気がせんでもなし。

  そんなこんなで、半年ばかりの間、30問ほどの数独問題を相手に、勝ったり負けたりして来たわけですが、つい一週間ほど前、やり方を改善したら、勝率が急上昇し、ほぼ確実に勝てるようになりました。 難問とされている問題でも、解けてしまうようになったのです。

  勿体ぶるほどの事でもないので、さっさと書いてしまいますと、まず、盤面を大きくします。 紙に、1マスの大きさが、2センチ×2センチの格子を、サインペンかボールペンで書きます。 全体の大きさは、18センチ×18センチになりますが、A4のコピー用紙に収まりますから、どの家にもあるでしょう。 1マスの面積を大きくするのが目的。

  なぜ、大きくしなければならないかというと、全ての候補数字を書き込むからです。 初期数字を大きな文字で書き写した後、全ての空マスに入り得る、全ての候補数字を、1から9まで、律儀に書き込むのです。 2センチ角の大きさがあれば、最大9文字の候補数字を入れても、尚、中央に、確定数字を書き込む余裕が残ります。

  小さい盤面でやっていると、候補数字が四個を超えると、もう、書き込むのをやめてしまい、「何とかなるだろう」で、確定数字を決めにかかってしまうのですが、それがいけない。 候補数字は、全部書かなければ、実力を発揮できないのです。 

  1マスに入る候補数字の数は、今のところ、最も多くて、6個くらいです。 「6個も候補があったら、そこから、どうやって、絞るねん?」と、絶望的な気分になっている諸兄よ。 安心なされ。 この方法には、その懸念を払拭して余りある利点があるのです。

  全ての候補数字が書き出されているという事は、そこに書いてある数字以外に、そのマスに入る数字は無いという事でして、この下準備をする事で、消去法が、100%有効に使えるのです。 あるマスに確定数字が一個決まったら、同じブロック内と同じ縦列・横列内にある、同じ候補数字は、全て消す事ができます。 ぎっちり書き込んであっても、消す時には、ザクザク消えて行くので、実に小気味良い。

  候補数字を全部入れ終わったら、まず、全体を見渡します。 候補数字が一つしかないマスがあったら、そのマスは、その数字で確定です。 候補数字が複数入っていても、同じブロック内か、同じ縦列・横列内で、そのマスにしか存在しない数字があったら、これまた、確定です。 だって、他のマスに入らないんだから、そのマスしかありえないじゃないですか。


  ある程度、経験がある人なら、これだけやれば、後はどんどん、確定数字を決めて行けると思います。 しかし、これから始めるという人は、基本的な法則も知らないと思うので、ちょっと書いておきましょうか。 私が頼っている法則は、三つくらいです。


≪法則 1≫
  1つのブロック内で、直線並びの2マスか3マスに、同じ候補数字が入っていて、それ以外の列にその候補数字が無い場合、同じ列の他のブロックには、その数字は入りようがないので、それらのマスに入っている、同じ候補数字は、消去できる。

≪法則 2≫
  1つの列の中で、2マスに、それぞれ同じ二つの候補数字が入っている場合、その2つの数字は、必ず、その2マスのどちらかに入るので、その列の他の空マスに入る事はできない。 つまり、他の空マスに、その2つの候補数字があっても、消去できる。

≪法則 3≫
  候補数字が一つだけ残った場合、それが本当に、そのマスの確定数字なのか検証するには、その数字が入っているブロックと、その数字が入っている縦横の列を見て、その数字以外の数字が全部あるか、調べればよい。 確定数字でなくても、≪法則 1≫と≪法則 2≫によって、入る数字が決まっていれば、確定数字と同じに見做してよい。


  うーむ、文章で書くと、書いた本人でも、分かり難いですなあ。 結局、これらの法則も、ある程度、解き方が分かって来ないと、生かせないのか。 あまり、役に立たなくて、申し訳ない。

  ちなみに、この種の法則は、もっと単純なものから、もっと複雑なものまで、いくらもあるのですが、単純なものは、説明されるまでもなく、誰でも直感的に分かりますし、複雑なものは、前述したように、特殊なケースでしか使えないものが多く、何にでも使えるとなると、この三つくらいになってしまうのです。


     数独の難問に苦しめられて来た方は、騙されたと思って、試してみなさいな。 大きな盤面を書いたり、候補数字を全部書き出したりするのは、確かに面倒臭いですが、苦労しただけの果実は、確実に収穫できるから。

  あまりにも、確実に解けてしまうので、面白くないっつやー、面白くないかもしれませんが、解けないよりは、遥かにマシですな。 別に、ズルではありませんし、仮定法や確率法に頼るわけでもないので、公正さの面でも、問題は無いと思います。

  以前、まだ、全候補書き込み法を実践していなかった頃、どうにも解けずに、仮定法で、候補数字の1つを入れてみて、矛盾が出ないか試してみたりしましたが、そのやり方でも、解けるものの、仮定数字を間違えてしまった場合、そこからやり直せるように、もう一枚、盤面を用意しなければならず、大変な手間でした。 それに比べれば、全候補書き込み法は、面倒なのは最初だけなので、ずっと楽です。

  確率法というのは、たとえば、2つのマスに同じ候補数字が入っている場合、それ以外の候補数字の数が少ない方に、その数字を入れてしまい、とりあえず、やってみるというもので、仮定とすら言えぬ、山勘法です。 今だから言えますが、候補数字が多いか少ないかは、そのマスの確定数字を決める上で、関連性がほとんど無く、こんな山勘法は、実用からは、程遠いです。 いや、私も、やってたんですがね。


  大きな盤面を作る場合、お金にゆとりがあるのなら、全空の格子だけ紙に書き、100枚くらい、コピーしておいて、使い捨てにするのが良いと思います。 それが勿体無い場合、片面が白の厚紙に、消えないペンで盤面を書いて、柔らかい鉛筆で数字を書くようにして、使っては消す、使っては消すを繰り返すしかありません。

  100円ショップで、ホワイト・ボードを買って来る事も考えましたが、ホワイト・ボードだと、数字を消すのには便利でも、一緒に盤面の格子まで消えてしまうので、却って、面倒が増す恐れがあると思って、断念しました。

  もしかしたら、ネット上や、PCソフトで、候補数字を全部書き込める、大きな盤面が存在するのかもしれませんが、私は今のところ、発見できていません。 候補数字全部どころか、候補数字を全く書き込めない盤面の方が多いです。 どうやって、解くねん?

  それに、パソコン画面で、数独を長時間やるのは、目への負担が大きいし、腰は痛くなるし、電気も使うしで、あまり好きではないのです。 立ったり、座ったり、寝たり、好きな姿勢で、じっくり楽しみたいものですな。 となると、やはり、紙と鉛筆が一番という事になってしまうのです。

  将棋では、マグネット盤というのがありますが、あれは、数独用には、流用できそうもありません。 いちいち、小さい候補数字を貼り付けたり、剥がしたりするのが、異様に面倒臭そうだから。