クレジット・カード
時折り、無性に古本が欲しくなります。 いや、別に古いのが好きなわけではなく、新品でそれがあるなら、そちらの方がいいのですが、昔集めていた文庫本の、欠けているナンバーを揃えたいという時など、装丁のデザインが変わってしまっているので、今の本では駄目なんですな。
私の場合、読書の99%は、図書館の本で済ませていますから、自分で買う事があるとしたら、そういった、ノスタルジーが動機の古本ばかりになります。 古本は、プレミアが付いていない限り、新しい本より安く、場合によっては、100円とか50円とか、捨て値で手に入るのも、ケチな私にとっては、大きな魅力です。
古本屋に入ると、文庫の棚をざっと見て、好きな作家の本の中から、自分が昔買い集めていた頃と同じ装丁デザインのものを探します。 自分が持っていない本があれば、200円くらいまでなら、即買います。 特別に、「これが見つかったら、手に入れたい」と思っている本なら、500円くらいでも、財布の紐を緩めるのに吝かではありません。
しかし、現実には、そういう場面は、滅多にありません。 まず、≪古本欲しい病≫が発症するのが、二年に一回程度と、頻度が低いため、古本屋に入る機会が少ない事が一つ。 次に、古本屋に行っても、目当てのものが見つからない事が多いのが一つ。 そりゃまーそうだ。 古本屋は、私の都合に合わせて、本を仕入れているわけではないのですからね。 何度も無駄足を運んでいる内に、古本屋に行く事自体が減って来て、ますます、欲しい本が見つからなくなるという、悪循環が回り始めます。
もし、この世に、古本を買える場所が、古本屋しか無いというのなら、さっさと諦めてしまうのですが、当今は、厄介な事に、ネットというものがあり、そちらで、検索すると、欲しい古本の大抵の物は、引っ掛かって来ます。 金さえ出せば、手に入る事が分かってしまうと、「欲しいなあ」と、思うのが人情。
ところがだ。 古本というのは、ネット・ショップでは、商品として、直接売っていないんですな。 ≪マーケット・プレイス≫とかいう、中古品取引用のシステムで扱われているのです。 他の物の場合、個人で出品している人が多いですが、本の場合、古本屋が、店の名前で出しているケースが、かなりあります。
で、マーケット・プレイスだと、何が困ると言って、支払い方法が困るのですよ。 代引きはもちろん、銀行振り込みもお断りで、クレジット・カード決済オンリーなのです。 これは、出品者に個人が多いため、代金のやりとりが煩雑化する事を避け、尚且つ、買う側の支払い能力に関する信用を、クレジット会社に保証して貰うために、そうしているんでしょうが、困るんですなあ、私のように、クレカを持たない人間には。
私が欲しいのは、とりあえず、古本だけなのですが、別に、個人から買いたいわけではありません。 古本屋の商品限定という事で、代引きで売ってくれてもいいと思うんですがねえ。 なんで、そんな事のために、クレカなんぞ、作らねばならんのよ? クレカなんか持ったら、無駄遣いの扉を開く事になるのは必定。 危ない、危ない。 君子危うきに近寄らず。
と、最初に思ったのが、ネットを始めた11年前です。 クレカを作るか、古本を諦めるかの二者択一で、常に後者に軍配を上げて来た私でしたが、ここへ来て、人生の先も見えて来て、だいぶ、自制心が緩んで来ました。 「今のペースで心身ともに衰えて行くと、あと、10年も生きるかどうか分からんし、多少無駄遣いしても構わんか」と、思うようになったのです。
で、いろいろと調べているんですが・・・・、どうにも、クレジット・カードの仕組みというのが好きになれません。 金が無いわけでもないのに、なぜ、わざわざ、借りなければならんのか、そこが、納得行かぬ。
「クレカを使っても、一回払いなら、利息も手数料も取られないから、財布と同じですよ」
それは、知ってるんですが、形式上は、借りた事になるのであって、月締めで後払いするわけですから、財布と全く同じではないでしょう? 利息や手数料を取られないのなら、尚の事、わざわざ、後払いする理由が分かりません。 使ってから、引き落とされるまでの期間は、クレジット会社に借金している状態になるわけで、そんなの、気持ちが悪いじゃありませんか。
他人による、カード・データの不正使用も怖い。 「引き落とされた金額が、いやに多いので、調べてみたら、全く身に覚えの無い買い物に使われていた」なんてケースは、ごく普通に発生しているようですが、そういう問題が起こる事自体が、システムの欠陥なのであって、「すぐに、クレジット会社に連絡すれば、損害を防げる」などという対処法を教えられても、安心して使えたもんじゃありません。
これねえ、「学生の頃、親にクレカを持たされて、以来ずっと使っている」という人は、慣れ過ぎたせいで、警戒心がゼロになっている恐れがありますから、クレジット会社を、というより、自分自身を疑って、定期的に調べた方がいいと思います。 「買い物は、ほとんど、カードでしてるから、いちいち調べてられない」なんて人は、尚、危ない。 泥棒の、いいカモですぜ。
「電子決済だから、大丈夫」と信じ込んでいるとしたら、とんだ思い違いでして、「電子決済だから、危ない」と見る方が、現実に近いと思います。 身の周りにある電子機器を見渡してみれば、作動不良や故障が、別段、珍しくない事が分かると思いますが、クレジット会社や金融機関の機械も、規模が大きいだけで、不具合を避けられない点は、家電と変わりありません。
また、機械に悪意はありませんが、システムの中に、ほんの一部でも、人間の意思が介在する余地があると、話は違って来ます。 「身に覚えのない買い物」の件のように、実際に、犯罪が起きているのを見ても分かる事でして、「自分だけは、大丈夫」と、思う方が、おめでたいのです。 犯罪者は、利益を齎してくれる相手なら、差別も贔屓もしやしませんからね。
他人に使われるのも怖いけれど、自分で使ってしまう方も怖いです。 クレカには、財布代わりに使う以外に、≪キャッシング≫の機能があります。 「キャッシング」などという、意味がはっきりしない言葉を使うから分かり難いですが、つまり、≪借金≫そのものです。 クレジット会社が、貸してくれるわけだ。 この機能を年中使うようになったら、借金地獄の門をくぐった事になります。
札入れを開くと、カード入れに、クレカが何枚も入っていて、わざわざ、それを出して、見せびらかす人がいます。 そういう人達が、カードを増やした主な理由は、キャッシング機能による借金です。 借りられる限度いっぱいまで借りて、また次のカード、次のカードと、危ない飛び石を飛んでいるわけだ。 クレカをたくさん持っているというのは、自慢するような事ではなく、むしろ、隠すべき事、恥ずべき事と思うべきでしょう。
クレカは、申し込みの時に、≪審査≫があるので、それに通ると、何となく、自分が、「信用ある社会人」として認められたような、いい気分になるのだと思いますが、言うまでもなく、影も形も無い錯覚なのであって、カード破産した愚か者達ですら、通るように審査ですから、丼でなければ、笊としか考えられず、審査をしているクレジット会社の方が、逆に、信用できません。 もし、彼らの審査が有効であれば、カード破産者が、こんなに出るわけがないではありませんか。 一体、何のために、審査しているんでしょう?
だからー、クレカがこんなに普及しているという、現状がおかしいと思うのですよ。 買い物のカード決済そのものを否定するわけではありませんが、何も、クレカでなくてもいいでしょうに。 クレカの本質は、キャッシング、つまり、借金機能の方にあるのであって、買い物決済機能は、応用・流用・ついで・オマケに過ぎないのですが、そのオマケの方の利点ばかり強調されて、本質機能の危険性が見過ごされています。
銀行のキャッシュ・カードを買い物決済に使う、≪デビット・カード≫というシステムがありますが、そちらの方が、まだ、安心できます。 口座にある金額しか使えないので、借金地獄に嵌まる危険性が低いからです。 後払いではなく、即時決済なのも、理に適っている。 まさに、財布代わりですな。 繰り返しますが、クレカは、金があるのに、わざわざ後払いする理由が分かりません。
ところが、デビッド・カードは、一向に普及しません。 普及どころか、利用者が増えないため、始めたサービスをやめる所まで出る始末。 話にならぬ。 なぜ、デビット・カードが使い難いのかというと、メインにしている銀行口座と直結しているために、不正使用された場合、メイン口座に入っているお金を、ごっそり持っていかれてしまうからです。
デビット・カード用の口座を別に作り、使う分だけの金額を、その都度、移せば、盗まれる危険は非常に低くなるわけですが、銀行の方が、別口座を作らせてくれません。 今話題の、≪休眠口座≫の問題や、振り込め詐欺グループが、多くの口座を作って、悪用している問題があるため、個人が複数の口座を持つ事を、警戒しているらしいのです。
かくいう私も、つい先日、デビット用に別口座を作ろうとして、断られました。 凄かったですよ。 最初の窓口で、すでに既存口座を持っている事や、ネットでの買い物に使うといった使用目的まで話してあったのに、身分証明用に免許証を渡して、しばらく待ち、別の窓口に呼ばれたら、まるで、犯罪者を見るような目つきで、ジロ見されました。
「お客様の免許証を調べさせていただいたのですが、すでに、当行に、口座をお持ちのようですねえ・・・」
まるで、こちらが隠していた事を、免許のデータから突き止めて、「秘密を暴いたやった」とでもいうような口ぶり。 だーから、それは、最初に行った窓口で、申告してるっつーのよ! 最初の窓口の係から、客を引き継ぐなら、そういう情報も引き継げっていうのよ。 まったく、無能だ。
使用目的について、説明を繰り返すと、次第に向こうの表情が変わりました。 「どうやら、こいつは、詐欺師ではないらしい」と分かった様子。 だけど、一度でも相手を犯罪者扱いしたら、信用されなくなるのは自分の方だという事には気づいていない様子。 たまたま、その時、閑だったので、デビット・カードをメイン口座で作る事の危険性について、捲し立てて来ましたが、分かってんだか、分かってないんだか・・・。
「引き出し限度額を設定しておけば、安心して・・・」
アホか。 引き出し限度額が、10万円でも、1万円でも、赤の他人に盗まれていいという事にはなるまい。 単に、極端に大きな金額を盗まれる心配が無くなるというだけの対策に過ぎんではないか。 まったく、自分の金じゃないもんだから、テキトーな事ばかり口にしやがる。 これだから、銀行の窓口は嫌なんだ。 もし、てめーの金だったら、定期的に一万円ずつ盗まれて、「被害が少ないから、安心」と思うか?
で、「こりゃ、話すだけ、無駄だな」と思い、割と簡単に諦めて、引き上げて来ました。 銀行の方針で、複数口座を作れないというのであれば、末端の窓口係と交渉しても、詮無い事です。 あまり、喰い下がると、また、犯罪者扱いに戻ってしまいそうです。
つまるところ、デビット・カードは、使い難いんですな。 私が使うとしたら、給与振込み口座を、別の銀行に移して、デビットが使える銀行の口座を空にし、デビット専用にするしかありませんが、たかが、古本を買うのに、そうまでするか? 給与振込先を変えるには、勤め先に申請を出さなければなりませんが、会社を巻き込んでまで買いたい古本など、なんぼなんでも、あるまいに。
そういや、クレカの申し込みの際には、勤め先の情報も書かなければなりませんが、住所・電話番号はもとより、所属部署まで書かされるケースがあり、書き込みフォームを見ているだけで、脂汗がこめかみを伝います。 あれは、やはり、会社の方に、照会が行くんでしょうねえ。 今時、猫も杓子も、クレカの一枚くらいは持っていますから、会社には、年中、そんな問い合わせが来ていると思われます。 他人事ながら、迷惑なこったぜ。
まったく、世の中、複雑なようでいて、実は煩雑なだけで、理不尽なシステムが罷り通っている事が多い。 デビットを、専用口座で使えるようにするか、クレカを、即時払いの買い物決済専用にするか、どちらかを作ってくれませんかねえ。 それだけで、不正使用も、カード破産も、どーんと減ると思います。
そういや、クレジット会社は、ポイントで、商品を競っているようですが、「ポイントを貯めるために、カードを使わなければ、損をする」なんて口車に乗ってはいけません。 とんでもないね。 本末転倒の典型例です。 「ポイントが付く分、現金で買うより、得」というのは事実ですが、ポイントのために、必要が無いものまで買っていたら、それは、明らかに、損です。
この錯覚は、エコ・カーの燃費の問題に似ています。 「エコ・カーは、普通の車より、値段が高いが、燃費がいいので、乗れば乗るほど、元が取れて、得をする」という物言い。 そんな事、無いっつーのよ。 2倍燃費が良くても、2倍乗らなければ、元が取れぬというのなら、別に、得にはなっていません。 元を取るために、必要もないのに乗るとしたら、外出は出費の元ですから、却って、損になると思います。 おそらく、エコ・カーを買った人の9割くらいは、元が取れるほど乗らないでしょう。
大体、ポイントというのは、貯まらないと使えないにも拘らず、貯まる頃には、最初の方が失効しているものでして、使い難いようにできているものなのです。 論より証拠、試しに、クレカを全部やめてしまって、現金オンリーで暮らしてみないさいな。 出て行くお金が、遥かに少なくなるから。
私の場合、読書の99%は、図書館の本で済ませていますから、自分で買う事があるとしたら、そういった、ノスタルジーが動機の古本ばかりになります。 古本は、プレミアが付いていない限り、新しい本より安く、場合によっては、100円とか50円とか、捨て値で手に入るのも、ケチな私にとっては、大きな魅力です。
古本屋に入ると、文庫の棚をざっと見て、好きな作家の本の中から、自分が昔買い集めていた頃と同じ装丁デザインのものを探します。 自分が持っていない本があれば、200円くらいまでなら、即買います。 特別に、「これが見つかったら、手に入れたい」と思っている本なら、500円くらいでも、財布の紐を緩めるのに吝かではありません。
しかし、現実には、そういう場面は、滅多にありません。 まず、≪古本欲しい病≫が発症するのが、二年に一回程度と、頻度が低いため、古本屋に入る機会が少ない事が一つ。 次に、古本屋に行っても、目当てのものが見つからない事が多いのが一つ。 そりゃまーそうだ。 古本屋は、私の都合に合わせて、本を仕入れているわけではないのですからね。 何度も無駄足を運んでいる内に、古本屋に行く事自体が減って来て、ますます、欲しい本が見つからなくなるという、悪循環が回り始めます。
もし、この世に、古本を買える場所が、古本屋しか無いというのなら、さっさと諦めてしまうのですが、当今は、厄介な事に、ネットというものがあり、そちらで、検索すると、欲しい古本の大抵の物は、引っ掛かって来ます。 金さえ出せば、手に入る事が分かってしまうと、「欲しいなあ」と、思うのが人情。
ところがだ。 古本というのは、ネット・ショップでは、商品として、直接売っていないんですな。 ≪マーケット・プレイス≫とかいう、中古品取引用のシステムで扱われているのです。 他の物の場合、個人で出品している人が多いですが、本の場合、古本屋が、店の名前で出しているケースが、かなりあります。
で、マーケット・プレイスだと、何が困ると言って、支払い方法が困るのですよ。 代引きはもちろん、銀行振り込みもお断りで、クレジット・カード決済オンリーなのです。 これは、出品者に個人が多いため、代金のやりとりが煩雑化する事を避け、尚且つ、買う側の支払い能力に関する信用を、クレジット会社に保証して貰うために、そうしているんでしょうが、困るんですなあ、私のように、クレカを持たない人間には。
私が欲しいのは、とりあえず、古本だけなのですが、別に、個人から買いたいわけではありません。 古本屋の商品限定という事で、代引きで売ってくれてもいいと思うんですがねえ。 なんで、そんな事のために、クレカなんぞ、作らねばならんのよ? クレカなんか持ったら、無駄遣いの扉を開く事になるのは必定。 危ない、危ない。 君子危うきに近寄らず。
と、最初に思ったのが、ネットを始めた11年前です。 クレカを作るか、古本を諦めるかの二者択一で、常に後者に軍配を上げて来た私でしたが、ここへ来て、人生の先も見えて来て、だいぶ、自制心が緩んで来ました。 「今のペースで心身ともに衰えて行くと、あと、10年も生きるかどうか分からんし、多少無駄遣いしても構わんか」と、思うようになったのです。
で、いろいろと調べているんですが・・・・、どうにも、クレジット・カードの仕組みというのが好きになれません。 金が無いわけでもないのに、なぜ、わざわざ、借りなければならんのか、そこが、納得行かぬ。
「クレカを使っても、一回払いなら、利息も手数料も取られないから、財布と同じですよ」
それは、知ってるんですが、形式上は、借りた事になるのであって、月締めで後払いするわけですから、財布と全く同じではないでしょう? 利息や手数料を取られないのなら、尚の事、わざわざ、後払いする理由が分かりません。 使ってから、引き落とされるまでの期間は、クレジット会社に借金している状態になるわけで、そんなの、気持ちが悪いじゃありませんか。
他人による、カード・データの不正使用も怖い。 「引き落とされた金額が、いやに多いので、調べてみたら、全く身に覚えの無い買い物に使われていた」なんてケースは、ごく普通に発生しているようですが、そういう問題が起こる事自体が、システムの欠陥なのであって、「すぐに、クレジット会社に連絡すれば、損害を防げる」などという対処法を教えられても、安心して使えたもんじゃありません。
これねえ、「学生の頃、親にクレカを持たされて、以来ずっと使っている」という人は、慣れ過ぎたせいで、警戒心がゼロになっている恐れがありますから、クレジット会社を、というより、自分自身を疑って、定期的に調べた方がいいと思います。 「買い物は、ほとんど、カードでしてるから、いちいち調べてられない」なんて人は、尚、危ない。 泥棒の、いいカモですぜ。
「電子決済だから、大丈夫」と信じ込んでいるとしたら、とんだ思い違いでして、「電子決済だから、危ない」と見る方が、現実に近いと思います。 身の周りにある電子機器を見渡してみれば、作動不良や故障が、別段、珍しくない事が分かると思いますが、クレジット会社や金融機関の機械も、規模が大きいだけで、不具合を避けられない点は、家電と変わりありません。
また、機械に悪意はありませんが、システムの中に、ほんの一部でも、人間の意思が介在する余地があると、話は違って来ます。 「身に覚えのない買い物」の件のように、実際に、犯罪が起きているのを見ても分かる事でして、「自分だけは、大丈夫」と、思う方が、おめでたいのです。 犯罪者は、利益を齎してくれる相手なら、差別も贔屓もしやしませんからね。
他人に使われるのも怖いけれど、自分で使ってしまう方も怖いです。 クレカには、財布代わりに使う以外に、≪キャッシング≫の機能があります。 「キャッシング」などという、意味がはっきりしない言葉を使うから分かり難いですが、つまり、≪借金≫そのものです。 クレジット会社が、貸してくれるわけだ。 この機能を年中使うようになったら、借金地獄の門をくぐった事になります。
札入れを開くと、カード入れに、クレカが何枚も入っていて、わざわざ、それを出して、見せびらかす人がいます。 そういう人達が、カードを増やした主な理由は、キャッシング機能による借金です。 借りられる限度いっぱいまで借りて、また次のカード、次のカードと、危ない飛び石を飛んでいるわけだ。 クレカをたくさん持っているというのは、自慢するような事ではなく、むしろ、隠すべき事、恥ずべき事と思うべきでしょう。
クレカは、申し込みの時に、≪審査≫があるので、それに通ると、何となく、自分が、「信用ある社会人」として認められたような、いい気分になるのだと思いますが、言うまでもなく、影も形も無い錯覚なのであって、カード破産した愚か者達ですら、通るように審査ですから、丼でなければ、笊としか考えられず、審査をしているクレジット会社の方が、逆に、信用できません。 もし、彼らの審査が有効であれば、カード破産者が、こんなに出るわけがないではありませんか。 一体、何のために、審査しているんでしょう?
だからー、クレカがこんなに普及しているという、現状がおかしいと思うのですよ。 買い物のカード決済そのものを否定するわけではありませんが、何も、クレカでなくてもいいでしょうに。 クレカの本質は、キャッシング、つまり、借金機能の方にあるのであって、買い物決済機能は、応用・流用・ついで・オマケに過ぎないのですが、そのオマケの方の利点ばかり強調されて、本質機能の危険性が見過ごされています。
銀行のキャッシュ・カードを買い物決済に使う、≪デビット・カード≫というシステムがありますが、そちらの方が、まだ、安心できます。 口座にある金額しか使えないので、借金地獄に嵌まる危険性が低いからです。 後払いではなく、即時決済なのも、理に適っている。 まさに、財布代わりですな。 繰り返しますが、クレカは、金があるのに、わざわざ後払いする理由が分かりません。
ところが、デビッド・カードは、一向に普及しません。 普及どころか、利用者が増えないため、始めたサービスをやめる所まで出る始末。 話にならぬ。 なぜ、デビット・カードが使い難いのかというと、メインにしている銀行口座と直結しているために、不正使用された場合、メイン口座に入っているお金を、ごっそり持っていかれてしまうからです。
デビット・カード用の口座を別に作り、使う分だけの金額を、その都度、移せば、盗まれる危険は非常に低くなるわけですが、銀行の方が、別口座を作らせてくれません。 今話題の、≪休眠口座≫の問題や、振り込め詐欺グループが、多くの口座を作って、悪用している問題があるため、個人が複数の口座を持つ事を、警戒しているらしいのです。
かくいう私も、つい先日、デビット用に別口座を作ろうとして、断られました。 凄かったですよ。 最初の窓口で、すでに既存口座を持っている事や、ネットでの買い物に使うといった使用目的まで話してあったのに、身分証明用に免許証を渡して、しばらく待ち、別の窓口に呼ばれたら、まるで、犯罪者を見るような目つきで、ジロ見されました。
「お客様の免許証を調べさせていただいたのですが、すでに、当行に、口座をお持ちのようですねえ・・・」
まるで、こちらが隠していた事を、免許のデータから突き止めて、「秘密を暴いたやった」とでもいうような口ぶり。 だーから、それは、最初に行った窓口で、申告してるっつーのよ! 最初の窓口の係から、客を引き継ぐなら、そういう情報も引き継げっていうのよ。 まったく、無能だ。
使用目的について、説明を繰り返すと、次第に向こうの表情が変わりました。 「どうやら、こいつは、詐欺師ではないらしい」と分かった様子。 だけど、一度でも相手を犯罪者扱いしたら、信用されなくなるのは自分の方だという事には気づいていない様子。 たまたま、その時、閑だったので、デビット・カードをメイン口座で作る事の危険性について、捲し立てて来ましたが、分かってんだか、分かってないんだか・・・。
「引き出し限度額を設定しておけば、安心して・・・」
アホか。 引き出し限度額が、10万円でも、1万円でも、赤の他人に盗まれていいという事にはなるまい。 単に、極端に大きな金額を盗まれる心配が無くなるというだけの対策に過ぎんではないか。 まったく、自分の金じゃないもんだから、テキトーな事ばかり口にしやがる。 これだから、銀行の窓口は嫌なんだ。 もし、てめーの金だったら、定期的に一万円ずつ盗まれて、「被害が少ないから、安心」と思うか?
で、「こりゃ、話すだけ、無駄だな」と思い、割と簡単に諦めて、引き上げて来ました。 銀行の方針で、複数口座を作れないというのであれば、末端の窓口係と交渉しても、詮無い事です。 あまり、喰い下がると、また、犯罪者扱いに戻ってしまいそうです。
つまるところ、デビット・カードは、使い難いんですな。 私が使うとしたら、給与振込み口座を、別の銀行に移して、デビットが使える銀行の口座を空にし、デビット専用にするしかありませんが、たかが、古本を買うのに、そうまでするか? 給与振込先を変えるには、勤め先に申請を出さなければなりませんが、会社を巻き込んでまで買いたい古本など、なんぼなんでも、あるまいに。
そういや、クレカの申し込みの際には、勤め先の情報も書かなければなりませんが、住所・電話番号はもとより、所属部署まで書かされるケースがあり、書き込みフォームを見ているだけで、脂汗がこめかみを伝います。 あれは、やはり、会社の方に、照会が行くんでしょうねえ。 今時、猫も杓子も、クレカの一枚くらいは持っていますから、会社には、年中、そんな問い合わせが来ていると思われます。 他人事ながら、迷惑なこったぜ。
まったく、世の中、複雑なようでいて、実は煩雑なだけで、理不尽なシステムが罷り通っている事が多い。 デビットを、専用口座で使えるようにするか、クレカを、即時払いの買い物決済専用にするか、どちらかを作ってくれませんかねえ。 それだけで、不正使用も、カード破産も、どーんと減ると思います。
そういや、クレジット会社は、ポイントで、商品を競っているようですが、「ポイントを貯めるために、カードを使わなければ、損をする」なんて口車に乗ってはいけません。 とんでもないね。 本末転倒の典型例です。 「ポイントが付く分、現金で買うより、得」というのは事実ですが、ポイントのために、必要が無いものまで買っていたら、それは、明らかに、損です。
この錯覚は、エコ・カーの燃費の問題に似ています。 「エコ・カーは、普通の車より、値段が高いが、燃費がいいので、乗れば乗るほど、元が取れて、得をする」という物言い。 そんな事、無いっつーのよ。 2倍燃費が良くても、2倍乗らなければ、元が取れぬというのなら、別に、得にはなっていません。 元を取るために、必要もないのに乗るとしたら、外出は出費の元ですから、却って、損になると思います。 おそらく、エコ・カーを買った人の9割くらいは、元が取れるほど乗らないでしょう。
大体、ポイントというのは、貯まらないと使えないにも拘らず、貯まる頃には、最初の方が失効しているものでして、使い難いようにできているものなのです。 論より証拠、試しに、クレカを全部やめてしまって、現金オンリーで暮らしてみないさいな。 出て行くお金が、遥かに少なくなるから。
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