2012/07/29

バイク・シート、張り替え

  バイク・シート張り替え計画について、材料と道具を揃えたところまで書いた後、前々回、前回と、時事ネタを優先させてしまいましたが、張り替え自体は、三週間前に実行しました。 つまりその、7月8日、日曜日の朝、≪バイク・シート、張り替え準備≫の記事をアップした、その直後から、張り替え作業に取り掛かったわけです。

  しかし、張り替え作業の前に、古い表皮の剥がし作業を行なっており、それは、更に、二日前の金曜日に遡ります。 会社から帰って来た後、もう、週末にバイクに乗る事は無いので、「とりあえず、剥がすだけ剥がしておくか」と思って、さっさと実行してしまった次第。 以下、日記から加筆移殖します。


≪7月6日 金曜日≫
  夕食後、バイクのシートを外しておき、8時過ぎてから、表皮剥がしに取り掛かりました。 なぜ、明日を待たないかというと、中のスポンジが濡れていた場合、乾かさなければならず、一晩分の時間が惜しいからです。

  ちなみに、私のバイクのシートは、サイド・カバーを外し、左右のボルトを2本外せば、簡単に取り外す事ができます。 シートを外すと、バッテリー周辺が全露出。 考えてみると、バイクから部品を盗むなど、全くわけの無い事で、ドライバーと組スパナがあれば、ものの数分で、目当ての品は手に入りますな。 いや、私は、そんな事はしませんが。

  表皮を留めてあるタッカーの針は、マイナス・ドライバーで抉り出して、プライヤーで引っ張ったら、簡単に抜けました。 錆びていて、折れてしまう物もありましたが、針の脚が残ってしまっても、さして不都合はありません。 針が抜ければ、表皮は上から被せてあるだけなので、簡単に取れます。

「んっげっ!」

  剥がして、びっくり! スポンジが、ぐっしょり濡れて、なんとも汚らしく、黒いしみが広がっています。 表皮に隙間が出来ているのですから、雨水が浸みこんでも、全然不思議ではないのですが、実際に、この有様を見ると、たじろがずにはいられません。 知らぬが仏。 今まで、こんな状態のまま、涼しい顔で上に跨っていたとは。

  いきなり、作業意欲が減退し、そのまま新聞紙に包んで、明日まで放置する事にしました。 たぶん、黒いのは黴だと思うのですが、スポンジを洗っても、表面の汚れしか取れないでしょう。 天日に干すのが一番いいのですが、あいにく、明日は雨との事。 どうしたものか。

  剥がした純正表皮ですが、裏を見てみると、破れていたのは、縫い目ではありませんでした。 そもそも、縫ってなどありません。 生地を熱で圧着してあるのです。 これでは、切れていない方を残し、新しい生地と縫い直して、修復するというわけには行きませんな。 捨てるしかないか。

  さて、剥がしてしまったからには、新しい表皮を張るまで、バイクには乗れません。 こうなったら、この土日で、何としても、乗れる状態にまで仕上げる所存です。


≪7月7日 土曜日≫
  バイク・シートのスポンジですが、一晩新聞紙に包んでおいても、さほど乾きませんでした。 朝になって、曇りだったものの、風があったので、ベランダへ。 しかし、一時間もしない内に、雨がポツポツ降り出して、大慌てで取り込む羽目になりました。

  スポンジが乾かないのでは、表皮を張る事ができません。 「今日は駄目か」と思って、そのまま放置して、後は、喰っちゃ寝喰っちゃ寝。 この週末は、シート張り替えしか予定を入れてなかったので、それができないとなれば、もう、やる事が無いと来たもんだ。

  午後4時頃、妙に暑くて、汗を掻いて起きたら、晴れてるじゃありませんか。 大急ぎで、スポンジをベランダへ。 それから、2時間くらい干したら、何とか、乾きました。 やれやれ、明日は、朝から、張り替え作業ができそうです。


≪7月8日 日曜日≫
  朝7時半から、早速、シートの表皮張りに取り掛かりました。 作業場所は、自室。 服は、会社の作業服を着て、ベッドに座って、シートを抱えるようにして作業しました。

  まず、新しい表皮の上に古い表皮を載せて、少し大きめに裁断。 一応、ネット情報に従って、生地の裏側に中心線を描いたのですが、なにせ、裏なので、シートに被せると隠れてしまい、見えません。 やむなく、大体の按配でやっつけたので、結果的には不要でした。 要は、左右の張り代が、均等になればいいのです。

  ネット情報では、浸水防止のため、スポンジと生地の間に、ゴミ袋を切ったビニールを挟むように指示しているものがありますが、よくよく読むと、それは、縫製や熱圧着した表皮の場合のようです。 合わせ目に隙間が出来る可能性があるから、そこから浸水しても、ビニールがあれば、スポンジへの浸水を喰い止められると言う寸法ですな。

  しかし、私が張る表皮は、合成皮革の一枚物で、それ自体が、厚手のビニールなので、スポンジに直接被せても、問題無い様子。 ビニールは、あるにはあったのですが、間に何か挟むと皺が出そうだったので、やめておきました。

  ここで、ダイソーで315円で買ってきた、≪工作用ホッチキス≫を開封します。 タッカーとして使う場合、台座は不要ですが、それは、嵌め込んであるだけだったので、簡単に取れました。 針を装填します。 附属の針は、100本。 とても足りそうにありませんが、替え針が1200本あるから大丈夫。 針の装填は、文具ホチキスよりも簡単です。 最初の一本から使える点、むしろ優れています。 

  で、タッカーで、生地をシート本体のプラスチックに留めて行くわけですが、最初の内は、カチカチうまく打てたものの、後に行くに従い、成功率が低くなりました。 湿度の関係で、プラスチックの方が硬くなったせいでしょう。 平均して、3本打って、1本成功というところ。

  先に、前と後ろ、それに、左右の真ん中あたりを留めてから始めたんですが、問題は、やはり、シートが反り上がっている部分で、最初は大きな皺だらけで、絶望的な観がありました。 引っ張っても、皺が小さくならないので、ドライヤーを持って来て、温めながら引っ張ったら、少しずつ伸びて来ました。 お、いけるのか?

  片側を伸ばしては、タッカーで打ち、もう片側を伸ばしては、タッカーで打ち、また反対側の針を抜いて、引っ張って打ち直す、を繰り返します。 やがて、生地が針の穴だらけになってしまったので、タッカーは暫く措き、洗濯ばさみで挟む方法に変えました。 洗濯ばさみでも、引っ張っておく分には支障無いのですが、痕が着くのが難点。

  だいぶ皺が減ったので、タッカーの本打ちにかかったのですが、これがうまく行きません。 失敗率が急騰した上に、洗濯ばさみを外す時に、また皺が出来てしまいます。 しかし、やり直しても、同じ事の繰り返しになりそうだったので、多少の皺には、目を瞑る事にしました。

  前後の折り込みもうまく行かず、これも目を背けたくなるような出来になりました。 しかし、やり直しても、綺麗に仕上げる自信がありません。 もう、こんなところで、妥協するしかありませんな。 最後に、バイクに合わせてみてから、はみ出した余分な生地を、鋏とカッターで切り取りました。

  出来としては、ネットで出ている実例の、最悪のものより、更に数段悪いです。 でも、表面には穴が開いていないので、雨水の浸入だけは、確実に防げるはず。 それが、主目的だから、まあ、いいとしましょう。

  純正のツートンから、黒の単色になったので、バイクの色との兼ね合いがどうなるかと思っていたんですが、着けてみると、思ったより悪くなく、却って、引き締まった感じがします。 それでなくても、私のバイクは、とっくに型落ちしているので、パッと見て、色の違いで、シート表皮が純正でない事を見抜ける人は、ほとんど、いないでしょう。

  一応、午前中で終わって、片付けたんですが、夜になってから、また皺が気になり始め、シートを外して、針を抜き、もう一度、皺伸ばしに取り組みました。 多少は良くなったか。 今度こそ、本当に、これ以上やる気はありません。


≪7月9日 月曜日≫
  シート張り替え後、初めて、バイクに乗って、出勤。 約45分で会社に着き、下りて、びっくり! 凄い皺が出来ています。 ネット情報で、「乗ると、皺が出来るが、また伸ばせば良い」とありましたが、ほんとに、そうなんですな。 甘く見ていました。 仕事を終えて、帰りに見てみたら、下りた直後よりは減っていましたが、それでも、容認できないような皺が残っています。 どうしたものか。


≪7月14日 土曜日≫
  先週、張り替えた、バイクのシートですが、一週間乗って、皺ができる位置が、大体、決まって来ました。 外して、温めて、引っ張って、留め直せば、少しは伸びるんでしょうが、何だか、面倒臭いです。


≪7月22日 日曜日≫
  二週間も経ってしまいましたが、梅雨も明けた事だし、バイクを清掃するついでに、シートを外し、皺退治に手をつける事にしました。 面倒臭いので、タッカーは使わず、ドライヤーで温めるだけ。

「引っ張られているから、皺が出来るのであって、突っ張っている部分を温めてやれば、そこが伸びて、皺が消えるのでは?」

  という理論を、この二週間温めて来たのですが、それを実行した次第。 一応、指で引っ張って、皺を伸ばした状態で、皺が出来ていた部分の左右にドライヤーを当てました。 そしたら、まあまあ、伸びましたよ。

  ところが、バイクに取り付けたら、また、うっすらと皺が・・・。 これで、乗れば、また大きな皺が復活する可能性、大。 しかし、もう疲れました。 シート張り替え計画は、この辺で終了させていいでしょう。


  まとめですが、

「シート表皮の張り替えは、素人でもできない事はない。 しかし、純正品のようなクオリティーを実現できるとは思わない方が良い」

  といったところでしょうか。 ネット情報では、「張り替え後、何の問題も無し」という追伸が付いているのが普通ですが、どうも、疑わしい。 本当は、皆さん、目立つくらいの皺を残したまま、乗っているんじゃないでしょうか? 皺があっても、浸水しなければ、使用に問題は無いので、それでオッケーにしてしまっているのではありますまいか?

  タッカーですが、315円の品でも、打てる事は打てたので、高い物を買う必要は無いと思います。 「打てない」という人は、プラスチックの方をドライヤーで温めれば、打てるようになるはず。 成功率が、3本に1本でなく、5本に1本であっても、替え針なんか、1200本で105円ですし、しかも、一生に一回か二回、やるかどうか分からないような作業ですから、惜しいとは思いません。

  生地の皺を伸ばす時に、どこを温めればいいか、最初、悩んだのですが、理詰めで考えてみたところ、皺の部分は、たるんでいるから、皺になっているのであって、そこを更に伸ばしても仕方ありません。 温めて伸ばすべきなのは、皺が無い所、つまり、引っ張られている部分なんですな。 温めただけでは伸びないので、引っ張りながら温める必要があります。


↑ シート本体のプラスチックとスポンジ。 スポンジの方は、だいぶ浸水の被害を受けていますが、形状的には、破損部分はありません。


↑ シート本体とスポンジを重ね、その上に、裁断した生地を、そのまま被せたところ。 とても、これが、ぴったり張れるとは思えないのですが・・・。


↑ 引っ張っては伸ばし、引っ張っては伸ばし、だいぶ、皺が取れて来ました。


↑ ここまで、伸びれば、まずまずといったところ。 この後、タッカーで、生地の端を、プラスチックに本留めました。


↑ ところが、バイクに取り付けると、また皺が・・・。


↑ 取り外して、また伸ばし、再チャレンジ。 何とか、このくらいまで、持って来ました。 しかし、この後、会社に乗って行ったら、また、皺が出てしまいました。 イタチごっこか。