捨てた漫画 ③
2月半ば捨てた漫画シリーズの、3回目です。
≪どっきりドクター≫
週刊少年サンデーで連載されていたもの。 全4巻。 初版は、1巻が、1981年11月、4巻が、1982年5月。 発明狂の医者が主人公の、ナンセンス・ギャグ漫画です。
知る人ぞ知る、傑作でして、当時の細野不二彦さんの作品の中では、最も面白かったです。 ただ、その事を、作者本人が分かっておらず、≪さすがの猿飛≫の方が、人気があると思っていて、そちらに本気を出し、こちらは、「まあ、大体、こんな話でよかろう」程度の力の抜き方だったように見えました。 たぶん、それが良かったのでしょう。 型に囚われず、何でもアリで、実に楽しい作品でした。
≪さすがの猿飛≫が、1982年に、テレビ・アニメ化された時、エピソードが足りなくて、≪どっきりドクター≫の話を借りた関係で、ドクター自身は、早々とアニメに登場していたのですが、≪どっきりドクター≫の方も、1998年になってから、単独でアニメ化されました。 連載終了後、16年も経ってから、アニメ化されたのは、やはり、好きな人がいたからでしょう。 線が細くて、美しい絵で、いかにも、手描き末期のアニメらしかったです。
≪さすがの猿飛≫
週刊少年サンデー増刊号に連載されていたもの。 私が持っていたのは、3巻までですが、もっと続いたと思います。 初版は、1巻が、1982年6月、3巻が、1982年10月。
≪どっきりドクター≫のファンだったから、同じ作者という事で、義理で買っていました。 主人公の肉丸のキャラが分かり難く、結局、好きになれないまま、離れてしまいました。 魔子ちゃんは、いいキャラだったんですがねえ。
上に書いたように、82年にアニメ化されましたが、そちらは、ひっでー代物で・・・、いや、好きだった人もいると思うから、貶すのはやめておきます。
≪GUGUガンモ≫
週刊少年サンデーで連載されていたもの。 私が持っていたのは、1巻だけですが、もちろん、もっと続いたはず。 初版は、1983年1月。 ≪どっきりドクター≫の後に連載された作品なのですが、対象年齢が下がったせいで、私には、ついていけませんでした。 ほとんど、興味がなかったくせに、1巻だけでも、よく買ったものです。
84年に、アニメ化されて、当時、小学生だった人なら、大概の人は、見ているはず。 私は、一回も見ませんでしたけど。
≪みゆき≫
少年ビッグコミックに連載されたものですが、コミックスは、「マンガくんコミックス」になっています。 私が持っていたのは、2冊ですが、これも、もっと続いたはず。 初版は、1巻が 1981年2月、2巻が、81年7月。 「みゆき」という名前の美少女が二人出て来て、主人公の少年と、複雑な三角関係になる話。
ラブコメの代名詞みたいな作品ですな。 ≪タッチ≫と違って、スポーツが絡んでいないので、軟弱極まりないのですが、当時は、こういう感じの漫画は、もー、いくらでも、あったように思います。 それらの中では、最高クラスだったのでは? コメディーより、ラブの方が強かったので、ギャグ漫画好きの私は、2冊で、買うのをやめてしまいましたけど。
90年代に入ってから、職場でペアになっていた青年に、≪みゆき≫が、どういう結末になったのか、教えてもらったので、それは知っているのですが、自分で読む気にはなれませんでした。 その頃には、もう、あだち允さんの絵に、魅力を感じなくなっていたのです。
≪究極超人あ~る≫
週刊少年サンデーで、1985年から87年にかけて連載されていた作品。 私が買ったのは、少年サンデーコミックス(ワイド版)で、全4巻。 初版は、1巻が、1991年9月、4巻が、1992年の1月。 しかし、買い揃えた時期は、92年の9月頃です。
連載終了から、4年も経ってから買ったわけですが、それは、91年に、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)になったものが、92年に、テレビで放送され、それを見てから、興味を抱いたからです。 すでに、最初に出たコミックスは、新刊書店で手に入らなくなっており、たまたま、ワイド版が出ていたので、そちらを買った次第。
「超人」と言っても、主人公は、マッド・サイエンティストが作ったアンドロイドの少年でして、それが、高校に通い、写真部(光画部)に入って、同級生や先輩と、ナンセンス・ギャグな日々を送るという内容。 ムチャクチャ、面白いのに、なんで、これを、テレビ・アニメにしなかったのか、今でも不思議です。
ゆうきまさみさんというと、≪パトレイバー≫の方で有名ですが、オリジナリティーでは、こちらの方が、ずっと上で、学園物ギャグ漫画の傑作と言っても良いと思います。 ≪うる星やつら≫と、連載時期が重なっていたのに、模倣せずに、独自の作品世界を展開したのは、お見事。 だけど、連載が終わらない内に、アイデアが枯渇して、作中に作者の泣き言が入るという、正直というか、正直過ぎというか、完成度を損なうようなところもありました。
≪おれは直角≫
週刊少年サンデーで、1973年から、1976年まで連載された作品。 私が買ったのは、スーパービジュアル・コミックスで、全5巻。 初版は、1巻が、1990年5月、5巻が、1990年11月。 1991年に、アニメ化されたのを見て、興味が湧き、本屋に行ったら、この特版コミックスが置いてあったので、買った次第。
幕末ちょっと手前の、長州藩を舞台にした少年剣士物です。 といっても、維新関係者の面々は、一人も出て来ません。 ただ、萩の町や、明倫館という場所を借りただけ。 ちなみに、言葉は、もろ標準語です。
面白いのは、剣劇場面でして、主人公の直角が、超人的に強いのが、見せ所なのですが、後半になると、勝負の場面が減り、直角も、おとなしくなってしまって、だんだん、面白さを感じなくなって行きます。
しかし・・・、70年代半ばに描かれ、90年代初頭に買ったコミックスの話を、2017年にしていると、否応なしに、大昔感に襲われて、脱力してしまいますなあ。 ちなみに、私は、この作品が連載していた頃には、小学校高学年でしたが、タイトルだけは知っていたものの、サンデーと縁がなかったので、ほとんど読んでいませんでした。 床屋の待ち時間に読んだか読まなかったか、それすら、記憶が怪しいです。
≪舞≫
週刊少年サンデーに連載されていました。 原作は工藤かずやさん、絵が池上遼一さん。 全6巻。 初版は、1巻が、1985年8月、6巻が、1986年8月。 一年で6冊という事は、ストーリー漫画は、一回分のページ数が多いのでしょう。
エスパー少女の話。 といっても、≪エスパー魔美≫とは、全然、趣きが違っていて、アクションが主体のストーリー漫画です。 私が読んだ、池上遼一さんの漫画の中では、最も、違和感が少ない作品でした。 絵は、言うまでもなく、メチャクチャ、うまいです。 殺るか殺られるかという緊迫した展開で、決して、明るい話ではないのですが、それは、エスパー物の宿命でして、致し方ないところ。
86年の夏くらいに、買い揃えているようですが、その年は、私が、ひきこもりから脱して、植木屋の見習いで働き始めた年でして、小遣い銭に困らなくなったから、全冊、買えたのだと思います。
≪NORA(ノーラ)≫
どの雑誌か分かりませんが、青年誌に掲載されたと思われる、御厨さと美さんの、SF漫画。 朝日ソノラマ社発行の、「SUN COMICS」というシリーズです。 たぶん、全2巻。 初版は、1・2巻ともに、1981年7月30日。 買った時、私は、高校生でした。 学校で読んでいた記憶があります。
御厨(みくりや)さんは、とにかく、絵がうまい人で、絵を見る為に買ったようなところもありますが、ストーリーも、まずまず、一級品でした。 ただし、アクション主体なので、SFとして、一級かどうかは、少々、疑問。 ノーラという名の若い女性が、近未来の世界を舞台に、人類の危機を救うという話。 ただし、ノーラは、一人の人物ではなく、母・娘・孫娘と、三代に渡って、同じ名前を受け継いでいる模様。 キャラ的には、みな同じですが。
≪アドルフに告ぐ≫
手塚治虫さんが、人生の終わり頃に、発表した作品。 遺作かどうかは、分かりません。 私が買ったのは、文春コミックス版で、全5巻。 初版は、1巻が、1988年11月、5巻が、同年12月。 購入したのは、1989年の3月以降である事は確かですが、日記に記述がなくて、詳しい事が分かりません。 最も長く勤めた会社に、就職した直後ですなあ。
アドルフという名前を持つ、二人の少年が、戦前から戦後にかけて、日本やドイツを舞台に、ヒトラーの出生の秘密に関わりつつ、波瀾に満ちた日々を送る話。 中心人物が数人いて、誰が主人公というわけではなく、読者としては、感情移入し難いところがあります。 面白いですが、買って読むような本ではなかったかなあ・・・、と、当時は思っていたような。 手塚作品には珍しく、夢がないんですよ。
発表当時は、話題になりましたが、今では、手塚ファン同士の会話にしか出て来ないと思います。 私が買った手塚作品というと、≪ブラック・ジャック⑩≫と、この作品だけという事になります。 立ち読みなら、もっと、たくさん、読んでいるんですがね。
≪諸怪志異(二) 壺中天≫
諸星大二郎さんの、中国怪異物漫画、「諸怪志異」の、第二巻です。 初版は、1991年3月。 短編集です。 魔術を使う先生と、幼い弟子が、怪異事件を解決する話が多いですが、単独の話も含まれています。 第一巻の方は、立ち読みで読んだのですが、買わないでいる内に、本屋から消えてしまい、買えずじまいでした。
話は面白かったですけど、諸星さんの絵は、お世辞にも、うまいとは言えず、その点は、私の好みではありませんでした。 特に、女性の絵は、おっかなびっくり描いているような感じがしました。 ちなみに、「諸怪志異」というタイトルは、「聊斎志異」という清代の怪奇小説集をもじったもの。
≪童夢≫
大友克洋さんの、初期の長編作品。 初版は、1983年8月。 私が買ったのは、84年2月以降ですが、日記をつけ始める前の事で、詳しい事情は分かりません。 話題になっていたので、読んでみようと思って買って来たのでは? ひきこもり中の事とて、定価780円は、かなり、痛い出費だったと思います。
ある団地の中で、超能力ボケじじいが、残忍な犯罪を繰り返しているのを、そこへ引っ越して来た、超能力女子小学生が止めようとして、修羅場になってしまう話。 悪玉側が、ボケてしまっているという設定が怖いですが、善玉側も、子供過ぎて、パニックを起こしてしまい、制御の利かない戦いになって行くところが、凄まじいです。
この頃の大友克洋さんが、日本の漫画界で、ダントツの注目株だった事が、この作品を読めば、すんなり、分かります。 だけど、私は、残酷なのが、あまり好きではなくてねえ。 これも、買った時には、価値があると思っていましたが、その後、読み返す事はありませんでした。
今回は、ここまでです。 あと、1回です。
≪どっきりドクター≫
週刊少年サンデーで連載されていたもの。 全4巻。 初版は、1巻が、1981年11月、4巻が、1982年5月。 発明狂の医者が主人公の、ナンセンス・ギャグ漫画です。
知る人ぞ知る、傑作でして、当時の細野不二彦さんの作品の中では、最も面白かったです。 ただ、その事を、作者本人が分かっておらず、≪さすがの猿飛≫の方が、人気があると思っていて、そちらに本気を出し、こちらは、「まあ、大体、こんな話でよかろう」程度の力の抜き方だったように見えました。 たぶん、それが良かったのでしょう。 型に囚われず、何でもアリで、実に楽しい作品でした。
≪さすがの猿飛≫が、1982年に、テレビ・アニメ化された時、エピソードが足りなくて、≪どっきりドクター≫の話を借りた関係で、ドクター自身は、早々とアニメに登場していたのですが、≪どっきりドクター≫の方も、1998年になってから、単独でアニメ化されました。 連載終了後、16年も経ってから、アニメ化されたのは、やはり、好きな人がいたからでしょう。 線が細くて、美しい絵で、いかにも、手描き末期のアニメらしかったです。
≪さすがの猿飛≫
週刊少年サンデー増刊号に連載されていたもの。 私が持っていたのは、3巻までですが、もっと続いたと思います。 初版は、1巻が、1982年6月、3巻が、1982年10月。
≪どっきりドクター≫のファンだったから、同じ作者という事で、義理で買っていました。 主人公の肉丸のキャラが分かり難く、結局、好きになれないまま、離れてしまいました。 魔子ちゃんは、いいキャラだったんですがねえ。
上に書いたように、82年にアニメ化されましたが、そちらは、ひっでー代物で・・・、いや、好きだった人もいると思うから、貶すのはやめておきます。
≪GUGUガンモ≫
週刊少年サンデーで連載されていたもの。 私が持っていたのは、1巻だけですが、もちろん、もっと続いたはず。 初版は、1983年1月。 ≪どっきりドクター≫の後に連載された作品なのですが、対象年齢が下がったせいで、私には、ついていけませんでした。 ほとんど、興味がなかったくせに、1巻だけでも、よく買ったものです。
84年に、アニメ化されて、当時、小学生だった人なら、大概の人は、見ているはず。 私は、一回も見ませんでしたけど。
≪みゆき≫
少年ビッグコミックに連載されたものですが、コミックスは、「マンガくんコミックス」になっています。 私が持っていたのは、2冊ですが、これも、もっと続いたはず。 初版は、1巻が 1981年2月、2巻が、81年7月。 「みゆき」という名前の美少女が二人出て来て、主人公の少年と、複雑な三角関係になる話。
ラブコメの代名詞みたいな作品ですな。 ≪タッチ≫と違って、スポーツが絡んでいないので、軟弱極まりないのですが、当時は、こういう感じの漫画は、もー、いくらでも、あったように思います。 それらの中では、最高クラスだったのでは? コメディーより、ラブの方が強かったので、ギャグ漫画好きの私は、2冊で、買うのをやめてしまいましたけど。
90年代に入ってから、職場でペアになっていた青年に、≪みゆき≫が、どういう結末になったのか、教えてもらったので、それは知っているのですが、自分で読む気にはなれませんでした。 その頃には、もう、あだち允さんの絵に、魅力を感じなくなっていたのです。
≪究極超人あ~る≫
週刊少年サンデーで、1985年から87年にかけて連載されていた作品。 私が買ったのは、少年サンデーコミックス(ワイド版)で、全4巻。 初版は、1巻が、1991年9月、4巻が、1992年の1月。 しかし、買い揃えた時期は、92年の9月頃です。
連載終了から、4年も経ってから買ったわけですが、それは、91年に、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)になったものが、92年に、テレビで放送され、それを見てから、興味を抱いたからです。 すでに、最初に出たコミックスは、新刊書店で手に入らなくなっており、たまたま、ワイド版が出ていたので、そちらを買った次第。
「超人」と言っても、主人公は、マッド・サイエンティストが作ったアンドロイドの少年でして、それが、高校に通い、写真部(光画部)に入って、同級生や先輩と、ナンセンス・ギャグな日々を送るという内容。 ムチャクチャ、面白いのに、なんで、これを、テレビ・アニメにしなかったのか、今でも不思議です。
ゆうきまさみさんというと、≪パトレイバー≫の方で有名ですが、オリジナリティーでは、こちらの方が、ずっと上で、学園物ギャグ漫画の傑作と言っても良いと思います。 ≪うる星やつら≫と、連載時期が重なっていたのに、模倣せずに、独自の作品世界を展開したのは、お見事。 だけど、連載が終わらない内に、アイデアが枯渇して、作中に作者の泣き言が入るという、正直というか、正直過ぎというか、完成度を損なうようなところもありました。
≪おれは直角≫
週刊少年サンデーで、1973年から、1976年まで連載された作品。 私が買ったのは、スーパービジュアル・コミックスで、全5巻。 初版は、1巻が、1990年5月、5巻が、1990年11月。 1991年に、アニメ化されたのを見て、興味が湧き、本屋に行ったら、この特版コミックスが置いてあったので、買った次第。
幕末ちょっと手前の、長州藩を舞台にした少年剣士物です。 といっても、維新関係者の面々は、一人も出て来ません。 ただ、萩の町や、明倫館という場所を借りただけ。 ちなみに、言葉は、もろ標準語です。
面白いのは、剣劇場面でして、主人公の直角が、超人的に強いのが、見せ所なのですが、後半になると、勝負の場面が減り、直角も、おとなしくなってしまって、だんだん、面白さを感じなくなって行きます。
しかし・・・、70年代半ばに描かれ、90年代初頭に買ったコミックスの話を、2017年にしていると、否応なしに、大昔感に襲われて、脱力してしまいますなあ。 ちなみに、私は、この作品が連載していた頃には、小学校高学年でしたが、タイトルだけは知っていたものの、サンデーと縁がなかったので、ほとんど読んでいませんでした。 床屋の待ち時間に読んだか読まなかったか、それすら、記憶が怪しいです。
≪舞≫
週刊少年サンデーに連載されていました。 原作は工藤かずやさん、絵が池上遼一さん。 全6巻。 初版は、1巻が、1985年8月、6巻が、1986年8月。 一年で6冊という事は、ストーリー漫画は、一回分のページ数が多いのでしょう。
エスパー少女の話。 といっても、≪エスパー魔美≫とは、全然、趣きが違っていて、アクションが主体のストーリー漫画です。 私が読んだ、池上遼一さんの漫画の中では、最も、違和感が少ない作品でした。 絵は、言うまでもなく、メチャクチャ、うまいです。 殺るか殺られるかという緊迫した展開で、決して、明るい話ではないのですが、それは、エスパー物の宿命でして、致し方ないところ。
86年の夏くらいに、買い揃えているようですが、その年は、私が、ひきこもりから脱して、植木屋の見習いで働き始めた年でして、小遣い銭に困らなくなったから、全冊、買えたのだと思います。
≪NORA(ノーラ)≫
どの雑誌か分かりませんが、青年誌に掲載されたと思われる、御厨さと美さんの、SF漫画。 朝日ソノラマ社発行の、「SUN COMICS」というシリーズです。 たぶん、全2巻。 初版は、1・2巻ともに、1981年7月30日。 買った時、私は、高校生でした。 学校で読んでいた記憶があります。
御厨(みくりや)さんは、とにかく、絵がうまい人で、絵を見る為に買ったようなところもありますが、ストーリーも、まずまず、一級品でした。 ただし、アクション主体なので、SFとして、一級かどうかは、少々、疑問。 ノーラという名の若い女性が、近未来の世界を舞台に、人類の危機を救うという話。 ただし、ノーラは、一人の人物ではなく、母・娘・孫娘と、三代に渡って、同じ名前を受け継いでいる模様。 キャラ的には、みな同じですが。
≪アドルフに告ぐ≫
手塚治虫さんが、人生の終わり頃に、発表した作品。 遺作かどうかは、分かりません。 私が買ったのは、文春コミックス版で、全5巻。 初版は、1巻が、1988年11月、5巻が、同年12月。 購入したのは、1989年の3月以降である事は確かですが、日記に記述がなくて、詳しい事が分かりません。 最も長く勤めた会社に、就職した直後ですなあ。
アドルフという名前を持つ、二人の少年が、戦前から戦後にかけて、日本やドイツを舞台に、ヒトラーの出生の秘密に関わりつつ、波瀾に満ちた日々を送る話。 中心人物が数人いて、誰が主人公というわけではなく、読者としては、感情移入し難いところがあります。 面白いですが、買って読むような本ではなかったかなあ・・・、と、当時は思っていたような。 手塚作品には珍しく、夢がないんですよ。
発表当時は、話題になりましたが、今では、手塚ファン同士の会話にしか出て来ないと思います。 私が買った手塚作品というと、≪ブラック・ジャック⑩≫と、この作品だけという事になります。 立ち読みなら、もっと、たくさん、読んでいるんですがね。
≪諸怪志異(二) 壺中天≫
諸星大二郎さんの、中国怪異物漫画、「諸怪志異」の、第二巻です。 初版は、1991年3月。 短編集です。 魔術を使う先生と、幼い弟子が、怪異事件を解決する話が多いですが、単独の話も含まれています。 第一巻の方は、立ち読みで読んだのですが、買わないでいる内に、本屋から消えてしまい、買えずじまいでした。
話は面白かったですけど、諸星さんの絵は、お世辞にも、うまいとは言えず、その点は、私の好みではありませんでした。 特に、女性の絵は、おっかなびっくり描いているような感じがしました。 ちなみに、「諸怪志異」というタイトルは、「聊斎志異」という清代の怪奇小説集をもじったもの。
≪童夢≫
大友克洋さんの、初期の長編作品。 初版は、1983年8月。 私が買ったのは、84年2月以降ですが、日記をつけ始める前の事で、詳しい事情は分かりません。 話題になっていたので、読んでみようと思って買って来たのでは? ひきこもり中の事とて、定価780円は、かなり、痛い出費だったと思います。
ある団地の中で、超能力ボケじじいが、残忍な犯罪を繰り返しているのを、そこへ引っ越して来た、超能力女子小学生が止めようとして、修羅場になってしまう話。 悪玉側が、ボケてしまっているという設定が怖いですが、善玉側も、子供過ぎて、パニックを起こしてしまい、制御の利かない戦いになって行くところが、凄まじいです。
この頃の大友克洋さんが、日本の漫画界で、ダントツの注目株だった事が、この作品を読めば、すんなり、分かります。 だけど、私は、残酷なのが、あまり好きではなくてねえ。 これも、買った時には、価値があると思っていましたが、その後、読み返す事はありませんでした。
今回は、ここまでです。 あと、1回です。
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