捨てた漫画 ④
2月半ば捨てた漫画シリーズの、ラストです。
≪AKIRA≫
ヤング・マガジンに連載されていた、大友克洋さんの代表作。 超能力者をモチーフにした、近未来アクション物。 全6巻。 初版は、1巻が、1984年9月、6巻が、1993年3月。 大判のコミックスで、値段は、以下の通り。
1巻 1000円
2巻 880円
3巻 880円
4巻 1000円
5巻 1100円
6巻 1200円
発表されていた当時は、究極の漫画という扱いをされていました。 1988年に、劇場アニメになり、その前後で、評価が異なります。 アニメの方が、ストーリーを短縮してあったせいで、公開直前までの盛り上がりに、冷水を浴びせる格好になり、ファンが、かなり、減ってしまったのです。 しかし、漫画の方は、むしろ、アニメ公開後に、もう一花咲かせるかのごとく、面白くなりました。
漫画は、超一流の傑作で、私としては、これ以上の漫画は、もう出ないと思っています。 アニメで、ケチがついたのが、返す返すも、残念。 大友さんは、その後もアニメ作品を作り続けますが、クライマックスは、判で押したように、人体と機械の融合・増幅でして、アニメ方面の才能がない事を、繰り返し繰り返し、証明する事になります。 漫画家としては、史上空前の才能だったんですがねえ。
・・・それにしても、あの、一世を風靡した、≪AKIRA≫の感想が、この程度しか出て来ないというのは、寂しい限り。 永い時間が経ったんですなあ。
≪風の谷のナウシカ≫
何度も、アニメ版がテレビ放送されているから、内容の説明は不要ですな。 宮崎駿さんの、漫画の方の代表作。 元は、「アニメージュ」というアニメ雑誌に、断続的に連載されていました。 全7巻。 初版は、1巻が、1983年7月、7巻は、1995年1月。 大判コミックスですが、紙の質が、漫画雑誌と同じもので、値段は安かったです。
1巻 330円
2巻 330円
3巻 330円
4巻 330円
5巻 350円
6巻 380円
7巻 490円
終わりの方は、さすがに、値段を抑え切れなかったようですけど。
私が、このコミックスを、最初に本屋で見つけたのは、高校生の頃だと思っていたのですが、それは記憶違いでした。 1巻と2巻を、同時に見たのは確かで、2巻が出たのは、83年8月だそうですから、すでに、ひきこもっていた頃です。 ちなみに、私が持っているのは、必ずしも初版本ではないです。
1984年に、劇場アニメが公開。 公開直前までは、盛り上がっていたんですが、蓋を開けてみたら、恐ろしいまでに大鉈を振るいまくった短縮版ストーリーで、一気に白けまくりました。 むしろ、原作を読んでいなかった人の方が、楽しめたと思います。 「土鬼」がいつ出てくるのかと、話が半分過ぎるまで待っていた自分が、憐れでなりません。
漫画の方は、文句なしの傑作で、アニメ公開後も、高い品質を保ち続け、遠い未来の、破滅に向かう人類を描いた、壮大な叙事詩となって、完結します。 アニメが、しょぼ過ぎるんですわ。 劇場版たった一本で、描ききれる内容ではないのです。 私はまた、その内、テレビ・アニメ化されるかと思っていたんですが、そんな気は、なかったようですな。
≪AKIRA≫も、≪風の谷のナウシカ≫も、「傑作と認めていながら、なぜ、捨てる?」と思うかもしれませんが、つまりその、漫画としては傑作だが、私の方が歳を取ってしまって、もう、漫画を楽しめる感性が失われてしまったという事なのです。
この二作、発表当時は、天井評価でしたから、全巻揃えて所有している人も多かろうと思いますが、今、古本で売って、値段がつくかどうかは、疑問です。 人気が高かったという事は、大量に出回ったという事でして、よほど、年月が経たないと、希少価値が出て来ないと思います。 私が生きている間は、とてもとても・・・。 別に、高く売る為に、保存していたわけではないので、捨てるのに、ためらいはありませんでした。
≪逮捕しちゃうぞ≫
講談社の雑誌、「モーニング」や、「パーティー」に掲載されていた作品。 ・・・らしいのですが、私は、雑誌の方では、一回も読んでいません。 そんな名前の雑誌を見た事もないです。 コミックスは、全7巻。 初版は、1巻が、1987年12月、7巻が、1992年5月。 私が買い揃えたのは、1993年の夏頃で、たぶん、全て、新刊で買ったのだと思います。
アニメやドラマにもなったので、知名度は高いと思いますが、念の為、解説しておきますと、型破りな交通課婦人警官コンビの話で、基本的に、コメディーです。 後ろへ行くに従って、内容が濃くなり、面白くなるのですが、なぜか、絶頂期に終わってしまいました。 アニメの方は、私は見ていません。 ドラマは、ちょこちょこ見ましたが、原作には、ナンセンス・ギャグが多く含まれているので、実写ドラマにして面白いような話ではなかったです。
二人とも、外見は女だけど、能力的、性格的には、ほぼ、男でして、女性的な考え方や行動は、ほとんど、見られません。 少年・青年漫画で、女性を主役にした作品では、よくあるタイプですな。 だけど、作者の藤島康介さんが、女性の特徴を理解していないわけではなく、≪ああっ女神さまっ≫の方では、女性的な女性キャラが、いくらも出て来ます。
≪ああっ女神さまっ≫
藤島康介さんの代表作というと、こちらの方が、有名。 私は、21巻までしか買いませんでしたが、もっと、続いたはずです。 初版は、1巻が、1989年8月、21巻が、2000年6月。 確か、全て、新刊で買ったと思います。 大人になってからも買い続けていた漫画は、この作品だけだったので、コミックスが出るなり買うパターンを続けていました。 掲載雑誌は、講談社の「アフタヌーン」ですが、そちらは、一回、立ち読みしただけでした。
人柄はいいが、外見がパッとしない男子大学生の所に、女神の三姉妹が同居して、いろいろと騒動が起こるという話。 ほんとに面白かったのは、5・6巻くらいまでで、後は、義理で買い続けていました。 主要登場人物のキャラクターを、早々と使い切ってしまい、新キャラに頼って、這うように、話を先に進めていた観あり。 21巻までつきあったのを、誉めてほしいくらいです。 最終巻まで読んでいないので、これ以上の批判は控えますが、残りを読んでみたいという気には、もはや、なりません。
アニメは、OVA、テレビ・シリーズと作られたものの、原作の線の美しさを、なかなか写せず、「いっそ、見ない方が、気分がいい」というレベルでした。 劇場版の絵は、原作に相応しい品質でしたが、惜しむらく、ストーリーの方がつまらなくて、やはり、傑作にはなりませんでした。 キャラクターを使いきっているんだもの、面白くならなくて、当然ですわなあ。
この二作品ですが、私が、1993年にバイクに乗り始めた時、免許取得のモチベーションを高めるのに役立ちました。 バイク漫画としてみると、最も、洗練されていた作品だと思います。 意外なようですが、暴走族が出て来ないバイク漫画というのは、滅多にありませんでした。
≪ど根性ガエル≫
1970年から、76年にかけて、週間少年ジャンプで連載されていた、「ど根性ガエル」の単行本です。 連載当時に買っていました。 20巻くらいまで揃っていると思っていたのですが、並べてみたら、1巻から19巻までの内、9巻と13巻が抜けていて、飛んで、26巻がありました。 9巻と13巻は、確か、あったと思うので、何かの理由で、先に捨ててしまったのだと思います。
アニメ化が2回、ドラマ化が1回されていて、名作、いや、傑作と言ってもいい作品なのですが、私の方が、歳を取ってしまって、もう、読み返しても、面白さを感じられません。 そもそもが、少年向けに作られた話ですから、五十男が読んで楽しめるものではないのです。 主人公の年齢は、中学生ですが、対象年齢は、小学生だったと思います。
一時期、押入れの床に、直接積み上げていたせいか、著しく劣化して、本の状態は極悪です。 カバーの耳が、軒並み、分離してしまって、一度直したんですが、直しきれずに、そのまま、しまっていました。
この漫画が、私の精神形成に影響を及ぼした事は確かですが、あまりにも昔の事なので、今では、どんなところに夢中になっていたのか、思い出せません。 これを読んでいた頃の自分と、今の自分に、重なるところが見出せないのです。 こんなに長く、保存していたのが間違いで、もっと昔に処分しておくべきだったのかもしれません。 何でも、取っておけばいいというわけでもないようで、懐かしさよりも、自我の断絶の方を強く感じてしまうのでは、精神衛生に宜しくありません。
≪エスパー魔美 てんとう虫コミックス版≫
1992年に買い揃えたもの。 新刊で買ったものもあれば、古本で買ったものもあります。 アニメが放送されたのが、1987年から、89年までで、この版は、アニメの放送開始に合わせて、発行されたものなので、初版はすべて、1987年になっています。 私が買った年が遅い理由は、アニメの再放送を見て嵌まり、それから、漫画の方を買い始めたから。
背表紙を見ると、作者名が、「藤子不二雄」と、「藤子・F・不二雄」の二種類あるのが分かりますが、このコミックスが版を重ねている途中で、名前の変更があったわけですな。
漫画原作そのものは、1977年から、83年まで、雑誌を乗り換えながら、不定期に掲載されていたらしいです。 ちなみに、私は、中学一年生の頃、最初の掲載誌、「マンガくん」を、友人の家で読ませてもらい、初回から、数回分を、ほぼ、リアル・タイムで読んでいます。
今回、発掘して、一通り、読み返してみたんですが、決して、子供向けの内容ではないにも拘らず、やはり、もう、私の歳で楽しめるものではありませんでした。 対象年齢は、中高生でしょうか。
捨てるつもりでいたんですが、目を通している内に気が変わり、とりあえず、しばらくは、保存する事にしました。 この後に発掘した他の漫画は、全て捨ててしまったので、私が現在持っている漫画は、この、≪エスパー魔美≫だけになったわけです。
残した最大の理由は、このカバー・イラストですかね。 この絵は、原作者が描いた物ではなく、アニメのキャラクター絵が使われていまして、一言で言うと、えらい、いい絵なんですわ。 この画像サイズでは、実感していただけないかも知れませんが、現物を見ると、「素晴らしい」という言葉を使っても不釣合いでないくらい、優れている事が分かります。 表紙側で言うと、1巻は、飛び抜けて良く、2・3・4・7・9巻も、相当には良いと思います。 今を生きる喜びと、未来への希望に満ち溢れた明るさが、何とも言えません。
ところがどっこい、漫画の中身の方は、ちっとも明るいものではないのでして、社会の暗部や、人間の醜さをモチーフにした、胸が悪くなるような話ばかりです。 小ネタ・ギャグがたくさん入っているのと、主人公の魔美が、天然系の明るい性格だから、辛うじて、明暗バランスが取れている感じ。 ちなみに、アニメの方は、原作ほど、暗くはありませんでした。
カバー絵を見ているだけで、気分が明るくなるので、しばらく、並べっぱなしにしていたのですが、半月くらいしたら、さすがに飽きまして、新たな保存場所であるカラー・ボックスにしまいました。 次は、いつ読むことやら・・・。
捨てた漫画は、以上です。 順序的には、≪ど根性ガエル≫だけ先行して捨てに行き、≪エスパー魔美≫を、残す事に決定し、それから、それ以外の漫画を処分したという流れになります。 すでに、三ヵ月以上過ぎていますが、惜しい事をしたとは、全く思いません。 読む気がない物が、部屋からなくなって、清々しています。 漫画を買った事自体を、後悔はしていません。 とっくに役割を終えて、私には無価値になってしまっていた事に、気づくのが遅れたのが、少々、残念なだけ。
意識して残したのは、≪エスパー魔美≫だけなのですが、図らずも残ってしまったものもあります。 ≪めぞん一刻≫の第8巻が、本棚の下に落ちていたのを、後になって発見し、それはまだ捨てていません。 他に、≪動物のお医者さん≫の、文庫版・第7巻が、小説に混じって残っていました。 ≪エスパー魔美≫も含めて、いずれは、捨てる事になると思います。
≪AKIRA≫
ヤング・マガジンに連載されていた、大友克洋さんの代表作。 超能力者をモチーフにした、近未来アクション物。 全6巻。 初版は、1巻が、1984年9月、6巻が、1993年3月。 大判のコミックスで、値段は、以下の通り。
1巻 1000円
2巻 880円
3巻 880円
4巻 1000円
5巻 1100円
6巻 1200円
発表されていた当時は、究極の漫画という扱いをされていました。 1988年に、劇場アニメになり、その前後で、評価が異なります。 アニメの方が、ストーリーを短縮してあったせいで、公開直前までの盛り上がりに、冷水を浴びせる格好になり、ファンが、かなり、減ってしまったのです。 しかし、漫画の方は、むしろ、アニメ公開後に、もう一花咲かせるかのごとく、面白くなりました。
漫画は、超一流の傑作で、私としては、これ以上の漫画は、もう出ないと思っています。 アニメで、ケチがついたのが、返す返すも、残念。 大友さんは、その後もアニメ作品を作り続けますが、クライマックスは、判で押したように、人体と機械の融合・増幅でして、アニメ方面の才能がない事を、繰り返し繰り返し、証明する事になります。 漫画家としては、史上空前の才能だったんですがねえ。
・・・それにしても、あの、一世を風靡した、≪AKIRA≫の感想が、この程度しか出て来ないというのは、寂しい限り。 永い時間が経ったんですなあ。
≪風の谷のナウシカ≫
何度も、アニメ版がテレビ放送されているから、内容の説明は不要ですな。 宮崎駿さんの、漫画の方の代表作。 元は、「アニメージュ」というアニメ雑誌に、断続的に連載されていました。 全7巻。 初版は、1巻が、1983年7月、7巻は、1995年1月。 大判コミックスですが、紙の質が、漫画雑誌と同じもので、値段は安かったです。
1巻 330円
2巻 330円
3巻 330円
4巻 330円
5巻 350円
6巻 380円
7巻 490円
終わりの方は、さすがに、値段を抑え切れなかったようですけど。
私が、このコミックスを、最初に本屋で見つけたのは、高校生の頃だと思っていたのですが、それは記憶違いでした。 1巻と2巻を、同時に見たのは確かで、2巻が出たのは、83年8月だそうですから、すでに、ひきこもっていた頃です。 ちなみに、私が持っているのは、必ずしも初版本ではないです。
1984年に、劇場アニメが公開。 公開直前までは、盛り上がっていたんですが、蓋を開けてみたら、恐ろしいまでに大鉈を振るいまくった短縮版ストーリーで、一気に白けまくりました。 むしろ、原作を読んでいなかった人の方が、楽しめたと思います。 「土鬼」がいつ出てくるのかと、話が半分過ぎるまで待っていた自分が、憐れでなりません。
漫画の方は、文句なしの傑作で、アニメ公開後も、高い品質を保ち続け、遠い未来の、破滅に向かう人類を描いた、壮大な叙事詩となって、完結します。 アニメが、しょぼ過ぎるんですわ。 劇場版たった一本で、描ききれる内容ではないのです。 私はまた、その内、テレビ・アニメ化されるかと思っていたんですが、そんな気は、なかったようですな。
≪AKIRA≫も、≪風の谷のナウシカ≫も、「傑作と認めていながら、なぜ、捨てる?」と思うかもしれませんが、つまりその、漫画としては傑作だが、私の方が歳を取ってしまって、もう、漫画を楽しめる感性が失われてしまったという事なのです。
この二作、発表当時は、天井評価でしたから、全巻揃えて所有している人も多かろうと思いますが、今、古本で売って、値段がつくかどうかは、疑問です。 人気が高かったという事は、大量に出回ったという事でして、よほど、年月が経たないと、希少価値が出て来ないと思います。 私が生きている間は、とてもとても・・・。 別に、高く売る為に、保存していたわけではないので、捨てるのに、ためらいはありませんでした。
≪逮捕しちゃうぞ≫
講談社の雑誌、「モーニング」や、「パーティー」に掲載されていた作品。 ・・・らしいのですが、私は、雑誌の方では、一回も読んでいません。 そんな名前の雑誌を見た事もないです。 コミックスは、全7巻。 初版は、1巻が、1987年12月、7巻が、1992年5月。 私が買い揃えたのは、1993年の夏頃で、たぶん、全て、新刊で買ったのだと思います。
アニメやドラマにもなったので、知名度は高いと思いますが、念の為、解説しておきますと、型破りな交通課婦人警官コンビの話で、基本的に、コメディーです。 後ろへ行くに従って、内容が濃くなり、面白くなるのですが、なぜか、絶頂期に終わってしまいました。 アニメの方は、私は見ていません。 ドラマは、ちょこちょこ見ましたが、原作には、ナンセンス・ギャグが多く含まれているので、実写ドラマにして面白いような話ではなかったです。
二人とも、外見は女だけど、能力的、性格的には、ほぼ、男でして、女性的な考え方や行動は、ほとんど、見られません。 少年・青年漫画で、女性を主役にした作品では、よくあるタイプですな。 だけど、作者の藤島康介さんが、女性の特徴を理解していないわけではなく、≪ああっ女神さまっ≫の方では、女性的な女性キャラが、いくらも出て来ます。
≪ああっ女神さまっ≫
藤島康介さんの代表作というと、こちらの方が、有名。 私は、21巻までしか買いませんでしたが、もっと、続いたはずです。 初版は、1巻が、1989年8月、21巻が、2000年6月。 確か、全て、新刊で買ったと思います。 大人になってからも買い続けていた漫画は、この作品だけだったので、コミックスが出るなり買うパターンを続けていました。 掲載雑誌は、講談社の「アフタヌーン」ですが、そちらは、一回、立ち読みしただけでした。
人柄はいいが、外見がパッとしない男子大学生の所に、女神の三姉妹が同居して、いろいろと騒動が起こるという話。 ほんとに面白かったのは、5・6巻くらいまでで、後は、義理で買い続けていました。 主要登場人物のキャラクターを、早々と使い切ってしまい、新キャラに頼って、這うように、話を先に進めていた観あり。 21巻までつきあったのを、誉めてほしいくらいです。 最終巻まで読んでいないので、これ以上の批判は控えますが、残りを読んでみたいという気には、もはや、なりません。
アニメは、OVA、テレビ・シリーズと作られたものの、原作の線の美しさを、なかなか写せず、「いっそ、見ない方が、気分がいい」というレベルでした。 劇場版の絵は、原作に相応しい品質でしたが、惜しむらく、ストーリーの方がつまらなくて、やはり、傑作にはなりませんでした。 キャラクターを使いきっているんだもの、面白くならなくて、当然ですわなあ。
この二作品ですが、私が、1993年にバイクに乗り始めた時、免許取得のモチベーションを高めるのに役立ちました。 バイク漫画としてみると、最も、洗練されていた作品だと思います。 意外なようですが、暴走族が出て来ないバイク漫画というのは、滅多にありませんでした。
≪ど根性ガエル≫
1970年から、76年にかけて、週間少年ジャンプで連載されていた、「ど根性ガエル」の単行本です。 連載当時に買っていました。 20巻くらいまで揃っていると思っていたのですが、並べてみたら、1巻から19巻までの内、9巻と13巻が抜けていて、飛んで、26巻がありました。 9巻と13巻は、確か、あったと思うので、何かの理由で、先に捨ててしまったのだと思います。
アニメ化が2回、ドラマ化が1回されていて、名作、いや、傑作と言ってもいい作品なのですが、私の方が、歳を取ってしまって、もう、読み返しても、面白さを感じられません。 そもそもが、少年向けに作られた話ですから、五十男が読んで楽しめるものではないのです。 主人公の年齢は、中学生ですが、対象年齢は、小学生だったと思います。
一時期、押入れの床に、直接積み上げていたせいか、著しく劣化して、本の状態は極悪です。 カバーの耳が、軒並み、分離してしまって、一度直したんですが、直しきれずに、そのまま、しまっていました。
この漫画が、私の精神形成に影響を及ぼした事は確かですが、あまりにも昔の事なので、今では、どんなところに夢中になっていたのか、思い出せません。 これを読んでいた頃の自分と、今の自分に、重なるところが見出せないのです。 こんなに長く、保存していたのが間違いで、もっと昔に処分しておくべきだったのかもしれません。 何でも、取っておけばいいというわけでもないようで、懐かしさよりも、自我の断絶の方を強く感じてしまうのでは、精神衛生に宜しくありません。
≪エスパー魔美 てんとう虫コミックス版≫
1992年に買い揃えたもの。 新刊で買ったものもあれば、古本で買ったものもあります。 アニメが放送されたのが、1987年から、89年までで、この版は、アニメの放送開始に合わせて、発行されたものなので、初版はすべて、1987年になっています。 私が買った年が遅い理由は、アニメの再放送を見て嵌まり、それから、漫画の方を買い始めたから。
背表紙を見ると、作者名が、「藤子不二雄」と、「藤子・F・不二雄」の二種類あるのが分かりますが、このコミックスが版を重ねている途中で、名前の変更があったわけですな。
漫画原作そのものは、1977年から、83年まで、雑誌を乗り換えながら、不定期に掲載されていたらしいです。 ちなみに、私は、中学一年生の頃、最初の掲載誌、「マンガくん」を、友人の家で読ませてもらい、初回から、数回分を、ほぼ、リアル・タイムで読んでいます。
今回、発掘して、一通り、読み返してみたんですが、決して、子供向けの内容ではないにも拘らず、やはり、もう、私の歳で楽しめるものではありませんでした。 対象年齢は、中高生でしょうか。
捨てるつもりでいたんですが、目を通している内に気が変わり、とりあえず、しばらくは、保存する事にしました。 この後に発掘した他の漫画は、全て捨ててしまったので、私が現在持っている漫画は、この、≪エスパー魔美≫だけになったわけです。
残した最大の理由は、このカバー・イラストですかね。 この絵は、原作者が描いた物ではなく、アニメのキャラクター絵が使われていまして、一言で言うと、えらい、いい絵なんですわ。 この画像サイズでは、実感していただけないかも知れませんが、現物を見ると、「素晴らしい」という言葉を使っても不釣合いでないくらい、優れている事が分かります。 表紙側で言うと、1巻は、飛び抜けて良く、2・3・4・7・9巻も、相当には良いと思います。 今を生きる喜びと、未来への希望に満ち溢れた明るさが、何とも言えません。
ところがどっこい、漫画の中身の方は、ちっとも明るいものではないのでして、社会の暗部や、人間の醜さをモチーフにした、胸が悪くなるような話ばかりです。 小ネタ・ギャグがたくさん入っているのと、主人公の魔美が、天然系の明るい性格だから、辛うじて、明暗バランスが取れている感じ。 ちなみに、アニメの方は、原作ほど、暗くはありませんでした。
カバー絵を見ているだけで、気分が明るくなるので、しばらく、並べっぱなしにしていたのですが、半月くらいしたら、さすがに飽きまして、新たな保存場所であるカラー・ボックスにしまいました。 次は、いつ読むことやら・・・。
捨てた漫画は、以上です。 順序的には、≪ど根性ガエル≫だけ先行して捨てに行き、≪エスパー魔美≫を、残す事に決定し、それから、それ以外の漫画を処分したという流れになります。 すでに、三ヵ月以上過ぎていますが、惜しい事をしたとは、全く思いません。 読む気がない物が、部屋からなくなって、清々しています。 漫画を買った事自体を、後悔はしていません。 とっくに役割を終えて、私には無価値になってしまっていた事に、気づくのが遅れたのが、少々、残念なだけ。
意識して残したのは、≪エスパー魔美≫だけなのですが、図らずも残ってしまったものもあります。 ≪めぞん一刻≫の第8巻が、本棚の下に落ちていたのを、後になって発見し、それはまだ捨てていません。 他に、≪動物のお医者さん≫の、文庫版・第7巻が、小説に混じって残っていました。 ≪エスパー魔美≫も含めて、いずれは、捨てる事になると思います。
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