2017/07/09

捨てた本 ③

  捨てた本の三回目。 今回のも、文庫と新書は、自室押入れに、ダンボール箱に入れて、しまってあったもの。 やはり、30年から40年は経っています。 単行本は、カラー・ボックスに入れてあったものですが、そちらも、小松左京関連を除き、10年以上は経ています。 つくづく思うに、本というのは、買うよりも、借りるべきものですな。 時間が経てば、みーんな、ゴミになってしまう。






≪SF系≫

  SFというと、私は、御三家の文庫を、ほぼ、揃えているわけですが、それらは、死ぬまで保存するつもりなので、それ以外の物が処分の対象になります。

【豊田有恒作品】
  私が中高生だった、1980年前後、SF御三家と言えば、星新一さん、小松左京さん、筒井康隆さんでしたが、それに次ぐ、四番手というと、豊田有恒さんが、人気がありました。 で、「自殺コンサルタント」、「両面宿儺」、「西遊記プラスα」、「本邦泰西ヌード縁起」の四冊を買ったわけです。 だけど、豊田さんの作風には、癖がありまして、結局、好きになれずに終わりました。

【機動戦士ガンダム】
  テレビ・アニメの監督、富野喜幸さんが書き下ろした、ノベライズ本。 話の中身は、テレビ・アニメとは、相当、違います。 看過を許さぬほど、異なります。 発行は、1980年前後だと思います。 第一巻だけ、表紙イラストが、安彦良和さんの絵で、それに惹かれて買ったようなもの。 ⅡとⅢは、とりあえず、全巻揃えておこうと思って、しぶしぶ買いました。 

  富野喜幸さんは、アニメ監督の才能は、もちろんあるわけですが、小説家としては、ちょっとなーという人でして、お世辞にも、面白い作品ではありませんでした。 何とも、気だるい文体で、まるで、わざと、つまらなくしているような書き方。 ワクワクするようなところが全くない点が、アニメとは、正反対。 期待して買って、ガッカリした人も多かった事でしょう。

【ダーティペアの大冒険】
  高校生の頃、つまり、1980年代初頭に買ったものです。 その後、アニメにもなりました。 シリーズ物だったと思いますが、私は、一冊で、もう充分という感じでした。 私が、スペース・オペラを、読まずに済んだのは、この本のお陰です。 一冊で、懲りた次第。

  小説でも漫画でも、作者が男で、女を主人公にした活劇を作ろうとすると、必ず、主人公の性格が、男になってしまいます。 外見だけ、美女で、中身が男なのです。 この作品も、典型的に、そのパターンに嵌まっています。  

【宇宙戦艦ヤマト】
  アニメが有名ですが、元は、この一冊から始まったもの。 豊田有恒さんが原案で、石津嵐さんが書いています。  戦艦大和が再生されるという、日本的に後ろ向きな点を除き、至って真っ当な、長編SFです。

  私が中学生の頃、つまり、1970年代後半に買った本で、ヤマトが人気があった間は、この原作を読んでいるというのは、ちょっとした自慢でした。 今ではもう、アニメも過去の遺物となり、原作小説に至っては、思い出す人もいないでしょう。 「宇宙戦艦ヤマト」は、すっかり、どうでもいい情報になったんですな。

【宇宙海賊船シャーク】【宇宙潜航艇ゼロ】
  石津嵐さんの作品。 【宇宙戦艦ヤマト】と同じ頃に買いました。 どちらも、宇宙戦記物で、それほど、面白くはなかったです。 どうにも、二流っぽい。 そういや、90年代に出てくる、仮想戦記物の萌芽は、この辺にあったのかも知れませんなあ。

【家畜人ヤプー】
  沼正三さんが書いた、「奇書」です。 どのくらい、「奇」なのかは、読んでみないと分からないのですが、読まない方がいいような気もします。 これを読むと、何か、人として、大事な物を失ってしまうような気がするからです。

  多くの著名人が、この小説を誉めているのですが、常識を揺さぶられ、心を抉られるような思いをしたのを、感動したと勘違いしたのではないかと思います。 何かを、「得た」のではなく、「失った」のだという事に、気づかなかったんでしょう。 この本は、読まずにスルーした方が、心豊かな人生を送れると思います。



≪地図・新書≫

  20代前半、新書をたくさん、買いました。 学術書ですが、一般人向けの入門書として書かれているので、興味がある分野であれば、小説よりも、むしろ、読み易かったのです。 その後、新書の世界は変質してしまい、どこの誰だか分からないような執筆者が、センセーショナルなタイトルで、世間の注目を集めようとするだけの場になってしまいました。 1995年以前の、知性・教養が尊ばれ、科学者が信用できた時代が懐かしいです。

【エアリアマップ 長崎市】
  高校の修学旅行で長崎に行った時、グループのスケジュール係を任されてしまい、自腹で買った地図。 その時だけ、役に立ちました。 千円くらいだったと思います。 1980年の発行。

【帝国書院ワールドマップ 中国】
  80年代前半に買ったもの。 地名を覚えるのが目的だったと思います。 インターネット時代では、もはや、不要です。

【中国語インターネット用語集】
  これを買ったのは、インター・ネットを始めた頃(2001年前後)だと思うのですが、中国語に於けるネット用語成立の、過渡期に出された本でして、今では、使われていない単語が多いです。 

【中国語会話練習帳】【広東語会話練習帳】
  専門学校に通っていた頃に買ったものだと思います。 どちらも、参考程度に目を通しただけでした。

【日中アヘン戦争】
  これも、専門学校時代に買いました。 面白かった記憶がありますが、ほとんど、忘れてしまいました。

【地球環境報告】
  勤め始めて以降に、古本屋で買ったものではないかと思います。 一時期、こういう事に、興味があったんですな。

【中国改革最前線】
  記憶がない。 80年代後半以降の本であるのは確か。 その時点での、最新の中国情報として、書かれていたわけですが、こういう本は、時間が経ってしまうと、意味がなくなってしまいます。

【経済学とは何だろうか】
  こんなの、読んだっけ? 経済学とは何か? それは、定説が存在しない、学者によって、言う事がまちまちの学問の事では?

【転換期の中国】
  これも、【中国改革最前線】と同じ。

【沙漠を緑に】
  沙漠で、潅水技術を使って、野菜を育てた人が書いたもの。 畑は作れても、森林は作れない事を知りました。

【文化大革命と現代中国】
  文革関係の本は、読んでいると、げんなりしてくるところがあります。 大まかな事は、頭に入りましたけど。

【宦官】
  古代中国で、生殖能力を自ら捨てた後宮付きの官吏の事について書かれた本。 口絵の、宦官の写真が衝撃的で、その写真を見るのが嫌なばかりに、二度と開きませんでした。

【満州事変】
  これも、大体の経過を頭に入れるのには役立ちました。 げんなり本の一類。 軍人が、政治家より力を持ってしまうと、制御不能になるという、見本のような出来事。

【「南進」の系譜】
  これは、ベスト・セラーになった本ではなかったかな? 大日本帝国が、東南アジアへ触手を伸ばしていった原因について、研究したもの。 やはり、げんなり本ですなあ。

【シンガポールの奇跡】
  シンガポールが発展した経過を書いたもの。

【南京事件】
  これは、かなり重度の、げんなり本。 犠牲者の人数の問題ではなく、相手を、同じ人間だと思っていない人間が、どういう事をやるかという、見本として読むと良いと思います。 もっとも、この作者、その後、考え方が変わってしまったようですが。

【タイ】
  現代タイ社会の変化について書かれた本。 バラエティー番組の影響で、日本人には、割と身近な国ですが、変化が明確に見えないのが、タイの特徴でして、不断に発展が続いているにも拘らず、いつまで経っても、先進国と言われないのが不思議。

【アジア系アメリカ人】
  タイトル通りの内容です。 90年代に入ってから、古本屋で買ったもの。 興味が湧かなくて、途中で放り出し、10年以上経ってから、また手にとって、一応、最後まで読んだものの、今現在、中身を全然、覚えていません。

【愛について】
  哲学の本ですが、著者の個性が強過ぎて、私には、理解できませんでした。 これも、古本屋で買ったものだと思います。

【速読術でみるみる学力が上がった】
  一時期、速読術が話題になり、その時に、買ったのだと思います。 80年代でしょうねえ、たぶん。 速読の方法や、体験談などが書かれていたと思いますが、私は、全然、駄目でした。

  速読術を否定する気はありませんが、それを身に着けたという人で、有名になった例を聞いた事がないです。 思うに、短時間に大量に本を読める事と、そこから得た知識・情報を有効に使う事とは、直結していないんでしょうな。 算盤や暗算ができる人が、できない人に比べて、必ずしも、有利な人生を送らないのと同じで。

【飛行機はなぜ飛ぶか】
  いつ買ったのか、覚えていません。 流体力学は、魅力がありますが、何冊も本を読むほど、奥が深いわけではないです。

【世界の軽飛行機】
  中学の頃に買った本。 それから、40年経ちますが、結局、日本に於いて、軽飛行機は、実用品にはなっていませんなあ。



≪単行本≫

  単行本は、滅多に買わないので、数が少ないです。

【水滸伝 集英社世界文学全集5】
  これは、勤め始めて以降に、古本屋で買ったもの。 文学全集の単本というのは、値段がつかないものらしく、100円でした。 水滸伝には、いろんな版があるのですが、これは、短い方で、一冊で、完結です。 買ってから、ずっと、放っておいたのを、割と近年になって読みました。 私は、武侠物には興味がなくて、もう、読み返す事もなかろうと思い、捨てました。

【中国劇画 紅楼夢 第一巻 中公愛蔵版】
  中国近世以前の長編小説の傑作、「紅楼夢」の、劇画版。 劇画と言っても、漫画ではなく、物語の各場面を描いた絵に、説明をつけたもの。 複数の画家が描いていて、うまい人は、めちゃめちゃ、うまいです。

  1993年11月の発行。 全二巻の内、第一巻だけです。 たまたま、本屋の店頭で見つけて買ったのですが、そんなに面白いものではなくて、第二巻は買いませんでした。 小説の方は、岩波文庫の翻訳版と、中国で出版された原書をもっていて、そちらは、とりあえず、保存する事に決めています。

【ソフィーの世界】
  いつ頃でしたかねえ。 ベスト・セラーというほどではないけれど、そこそこ、話題になった本です。 「ソフィーの選択」というアメリカ映画とは、全く関係なくて、ヨーロッパ哲学の歴史を、ファンタジー小説風に紹介した本。

  そもそも、古本屋で買ったものですが、数年経ってから、別の古本屋へ持って行ったら、買取拒否されてしまい、持って帰ってきたものの、もう、読むとは思えず、結局、捨てる事になりました。

【活職の時代】
  2015年の1月、小松左京さんの文庫を買い揃えていた、末期の頃ですが、ネット古書店で、安く出ていたので、単行本も買いました。 ところが、届いてみると、この本、小松さんは単なる監修者でして、冒頭に、数ページの一文を書いているだけで、本体部分は、別の人達が書いたものでした。 保存するほどの価値がなく、邪魔なだけなので、捨てる事にしました。

【鼎談 人類は滅びるか】
  こちらも、手に入れた経緯は、同じ。 今西錦司・川喜多二郎・小松左京のお三方による鼎談を纏めたもの。 生物学的な視点からの、文明論だったと思いますが、あまり、面白いものではありませんでした。 こういうのは、80年代頃に、さんざん読んだような気がします。 【活職の時代】よりは、中身がありますが、やはり、読み返す事はないだろうと思い、処分。




  今回は、ここまで。 


  余談ながら、ここ最近の私は、暑くて、まいっています。 まだ、7月で、しかも、梅雨の最中だというのに、猛暑続き。 居間に行けば、母がエアコンをかけていますが、一日中、座椅子に座って、テレビを見ているわけにも行きません。

  運動登山は、珍しく、春から続いていて、だいぶ、ウエストが締まりました。 やはり、暑い時の運動は、汗の出方が違いますな。 このままで行けば、若い頃に買った礼服が、また着れるようになるのも、夢ではない。 いや、その前に、また寒い季節になって、リバウンドしてしまうかな?