2018/01/14

ママチャリ≠子供乗せ自転車

  柿の種の小袋の裏に書かれていた文章なんですが、捨てる前に、写真を撮っておいたので、まあ、読んでみて下さい。


  読みました? 面白いでしょう。 この文章を書いた人、思わず、「ハッ!」とするようなレベルの、大誤解をしておりますなあ。 私は、これを読んで、アハ体験をしましたよ。 脳が若返りました。

  この書き手が、「子供乗せ自転車」の事を、「ママチャリ」と呼ぶと思っているのは、疑いないところ。 つまり、「ママチャリ」が何を指すのか、分かっていないわけだ。 いるんですねえ、こういう人も。

  ママチャリというと、普通は、軽快車の事を指し、人によっては、シティー・サイクルも含み、更に、消去法を使い、スポーツ自転車、折り畳み自転車、子供自転車を除く、全ての自転車の事を、ママチャリと言う人もいます。 会話に於いては、相手が、どの範囲で、ママチャリという言葉を使っているか、見極めるのが、肝要ですな。

  でも、子供乗せ自転車は、子供乗せ自転車でしょう。 「子供を乗せる」という特徴が前面に出ているので、わざわざ、ママチャリの中に含める必要がないわけだ。 確かに、「ママ」が乗っている事が多いけれど。

  思うに、この書き手、自転車に普段乗っていないだけではなく、学生時代にも、自転車通学した経験がなく、子供の頃、子供自転車に乗ったくらいで、それ以降、まるっきり、自転車と縁がない人生を送っているのではありますまいか。 そういう筋金入りの門外漢が、自転車に関する文章を書いてしまったのが、悲劇ですな。

  その人は、知らなかったんだから、仕方ないですけど、大きな会社なんですから、誰か、この誤解に気づかなかったんですかね? 大量に印刷して、日本全国に売り出される前に、「これ、おかしいんじゃない?」と指摘する人が、一人もいなかったというのが、また、凄い。


  呼び名の勘違いは、さて措くとしても、子供乗せ自転車が、「日本が誇る自転車」だとは、つゆ知りませんでした。 ロンドンで、専門店が出来ているというのも、たまげた話。 ヨーロッパでは、ハンドル周りを重くするのを嫌って、前籠すら付けないのが普通なんですがねえ。 後ろの荷台だけに乗せるというなら、まだ、分かります。 このイラストが、間違っているのでは?

  私は、一生、子供乗せ自転車には縁がないので、その存在そのものに対する批判はしませんが、前にも乗せるタイプの場合、ハンドル周りが重くなると、停車時や、低速時に、非常にバランスが悪くなるので、充分に気をつけた方がいいとだけ書いておきます。 そういや、前後に子供を乗せていた母親が、自転車を倒してしまって、子供が大変な事になったというニュースがありましたなあ。 誰が悪いとも言いませんけど。

  で、また、柿の種の文章に戻るわけですが、「子供を安全に乗せたいというお母さんたちの思いから作り出された」というのも、後からこじつけた解釈としか言いようがないです。 本当に安全を優先に考えているなら、車に乗せると思いますよ。 経済的な理由とか、駐車場の問題とか、よんどころない事情があるから、子供乗せ自転車を選ばざるを得なかったというのが、使っている人達の本音でしょう。

  「使い勝手がいい」というのも、どういう点を言っているのか、首を傾げます。 おそらく、実際に使っている人達は、子供を乗せるたびに、倒れないか、ヒヤヒヤしていると思いますけど。 「頑丈さ」というのは、あまり意味がないですな。 自転車が、どんなに頑丈でも、倒れてしまえば、子供は、アウトですから。

  畢竟、子供乗せ自転車の問題点は、バランスの悪さに尽きます。 「安全だ」、「便利だ」、「頑丈だ」などという、根拠不明の言葉に惑わされず、「どちらかと言うと、危険な乗り物」という認識を持った上で、注意しながら使うのが、妥協点というものでしょう。