君よ憤怒の河流れ
いささか、旧聞で恐縮ですが・・・。 6月に起こった東名高速の事故(事件)で、10月になって、逮捕者が出たニュース。 パーキング・エリアでの悶着で恨みを買い、本線上で追いかけられて、前に回り込まれ、追い越し車線で停止させられたところへ、後ろから来たトラックが突っ込んで、夫婦二人が死んでしまったという一件です。
このニュースが妙に気になるという人は、車を運転していて、似たような思いをした事があるのだと思います。 私もあります。 一方、車を使う生活をした事がない人は、ピンと来ないかもしれません。 車社会では、赤の他人を相手に、激怒してしまって、抑えが利かなくなる人というのは、全然、珍しくないです。 「赤の他人なのに」ではなく、「赤の他人だから」だと思いますが。
逮捕容疑の一つが、「過失運転致死傷」だったのが、今月になって、「危険運転致死傷」に変更になり、「そーりゃ、そーだろうよ!」と、深く頷いた人も多かろうと思いますが、結果的に死者が出ているものの、「殺人」ではないので、期待しているような重い罰にはならないのではないでしょうか。 有罪になっても、執行猶予が付く可能性があります。
「高速道路の追い越し車線で車を停めさせたら、どうなるかくらいは、誰でも分かる事だから、最低限、『未必の故意』の殺意があったに違いない」と思うところですが、逮捕された人物は、自分の方が先に車から下りており、未必の故意の殺意があったとすると、それ以前に、自殺の意思まであった事になって、何とも、変な話になってしまいます。
つまりその、逮捕された人物は、追い越し車線で車を停めたらどうなるか判断できないほどの愚か者か、はたまた、「邪魔」と言われた怒りで、頭に血が昇り、一時的に、正常な判断力を失っていたかの、どちらかという事になります。 そして、どちらの場合でも、殺意があった事にはなりません。
逮捕後は、容疑を認めているそうですが、おそらく、大した罰にならない事を知った上で、罪を認めてしまった方が有利と判断したんじゃないでしょうか。 ネット上で吊るし上げている人達はともかく、当人と、現実世界で関わりがある人達は、無際限な批判は、控えておいた方がいいかもしれませんなあ。 服役どころか、免許取り消しにすらならない恐れがあります。
ちょっと、脱線しますが、自分の周囲にいる、喧嘩っ早い奴、凶暴な奴、粗暴な奴、口より先に手が出る奴.etcが、何か犯罪をやらかして逮捕されると、「それ見た事か! いつか、こうなると思ってたぜ!」と、鬼の首でも獲ったかのように、はしゃぎまくって、有頂天。 テレビ局のインタビューに、「あんな奴、捕まって、当然だよ!」と答えている人を、割と良く見ますが、まあ、ちょっと、落ち着きなさい。
逮捕されたからといって、必ず、起訴されるわけではありませんし、起訴されたからといって、必ず、有罪になるわけではありません。 有罪になったからと言って、必ず、服役するわけではありませんし、服役したとしても、刑期終了後、また、元の職場や、元の家に戻ってくるケースもあります。 そうなった時に、「あの人、あんたが逮捕された時に、大喜びして、ボロクソに言ってたよ」と告げ口する人間は、必ずいます。 そこまで先を読んでから、態度や言動を決めた方がいいと思います。
話を戻します。 後ろから突っ込んだトラックの運転手の方が、罪が重くなるような事を、ワイド・ショーで専門家が言っていましたが、それは、あまりにも理不尽というもの。 追い越し車線で停車している車があるなど、常識的には考えられないのですから、気づくのが遅れたり、避けられなかったりするのは、当然の事でして、罪に問う事自体、おかしいのではないでしょうか。
法律上は、ともかくとして、一般市民感覚で見ると、大変、恐ろしい事件でして、「そういう事をする人間が、野放しになっていると思うだけでも、身震いがする」という人が、大半だと思います。 しかし、一般論としても、車に乗っていると、赤の他人に激怒して、攻撃衝動を抑えられなくなっている人は、割とよく目にします。 怒りで、頭に血が昇ってしまい、正常な判断力が働かなくなるのでしょう。
ニュース番組やワイド・ショーで、「車を運転していて、怖い思いをさせられた事はありますか?」という質問をされた人達が、「よくぞ訊いてくれた!」と言わんばかりに、興奮しながら、自分の経験を語っていましたが、同じ人達に、「名前も顔も出しませんから、正直に答えて欲しいのですが、自分が他の車に、怖い思いをさせた事はありますか?」と訊けば、かなりの人が、「ある」と答えたんじゃないでしょうか。
「自分が、他の車から、怖い思いをさせられたのが、腹が立ってならず、その後、全然、別の車を追いかけて、鬱憤を晴らした」という、「江戸の仇を長崎で」パターンで、いつしか、「走る凶人」になってしまった人も、少なくないはず。 基本にある感情は、猿のマウンティングと同じでして、他者をやっつけたくて、仕方がないわけだ。 人間なんて、高等動物とは言い条、社会性のレベルは、蜂や蟻にも遠く及ばないんですな。
相手が、赤の他人だから、無茶な事をしても構わないと思うのかもしれませんが、それは、危険な思い違いです。 車社会では、周囲に、赤の他人しかいませんから、喧嘩になったら、止めてくれる人がいないわけで、学校や、職場、地域社会に比べて、容易に、傷害や殺人に発展し易いのです。
この事件から汲み取るべき教訓は、命を失ったり、一生を棒に振ったりするのが嫌なら、赤の他人を相手に、怒りを感じる事があっても、やり返そうとか、決着をつけようとか、そういう考えに走るのは、厳に戒めるべきだ、という事でしょう。 赤の他人との諍いほど、恐ろしいものはないです。
自分の方を抑えた上で、もし、相手側が収まらないようなら、暴力沙汰になる前に、警察を呼ぶのが、面倒で、厄介で、億劫ではあるけれど、最善の策だと思います。 自分が殺されたり、相手を殺してしまったりするよりは、ずっと、マシ。 車社会になってから、半世紀くらい経つわけですが、これまでに、赤の他人との、ささいな諍いが元で、死んだ人は、どれだけの数になるんですかねえ。
以上は、車の話ですが、自転車の世界でも、同じ事は起こりえます。 前方から、右側通行して来る自転車を見ると、「左を走れっ!」と、怒鳴りつける人がいるらしいですが、そんな馬鹿な事をしていたら、命がいくつあっても足りません。 自転車だから、方向が逆でも、すぐに、向きを変えて、追いかけて来れるわけで、その点、車より、暴力沙汰になる危険は大きいです。
一度、相手を怒らせてしまえば、「どちらの主張が正しいか」なんて事は、すっ飛んでしまうのであって、相手に胸倉を掴れてから、「右側を走って来る方が悪いんだろうがーっ! 警察に行くかーっ!」などと、怒鳴りつけても、怒った相手の拳を止める事はできますまい。 殴られるくらいで済めばいいですが、刃物や棒状凶器を持ち出されたら、命すら失いかねません。 その後、相手が逮捕されても、自分の命は戻って来ないわけだ。
私も、スポ自ブームたけなわの頃、川の土手を、ゆっくり走っていたら、前を、同じくらいの速度で進んでいた小径車の青年が、前方から、猛スピードでやって来た、ロード乗りの中年オヤジから、「前を見ろっ!」と怒鳴りつけられたのを、目撃した事があります。 怒鳴られたのは私ではなかったのですが、私も、景色を見ながら走っていたので、ビックリしました。
アホか? 公道ならいざ知らず、土手道で、そんなイチャモンをつけられたのではたまらんわ。 自転車専用道でもない所を、爆走して来る、お前の方が、よっぽど、重大問題人間だわ。 大方、日常的に、そんな風に、赤の他人に罵詈雑言を浴びせながら、走っているんでしょう。 赤の他人を怒らせたら、生死に関わる争いに発展しかねないという事が、分かっていないのです。
「相手が、ロードでなければ、怒らせたとしても、逃げきれる」と踏んだ上で、怒鳴っているのは、まず間違いないところですが、そういう考え方自体が、社会性を著しく欠いており、子供の発想と謗られても仕方ありません。 誤解がないように断っておきますと、ロード乗り全員が、こういう事をするわけではなく、むしろ、一般自転車には、関わりたがらない人の方が多いです。 といっても、理性的な人間が多いという意味ではなく、ロードと一般自転車を、同じ乗り物と見る意識がないのだと思います。
このニュースが妙に気になるという人は、車を運転していて、似たような思いをした事があるのだと思います。 私もあります。 一方、車を使う生活をした事がない人は、ピンと来ないかもしれません。 車社会では、赤の他人を相手に、激怒してしまって、抑えが利かなくなる人というのは、全然、珍しくないです。 「赤の他人なのに」ではなく、「赤の他人だから」だと思いますが。
逮捕容疑の一つが、「過失運転致死傷」だったのが、今月になって、「危険運転致死傷」に変更になり、「そーりゃ、そーだろうよ!」と、深く頷いた人も多かろうと思いますが、結果的に死者が出ているものの、「殺人」ではないので、期待しているような重い罰にはならないのではないでしょうか。 有罪になっても、執行猶予が付く可能性があります。
「高速道路の追い越し車線で車を停めさせたら、どうなるかくらいは、誰でも分かる事だから、最低限、『未必の故意』の殺意があったに違いない」と思うところですが、逮捕された人物は、自分の方が先に車から下りており、未必の故意の殺意があったとすると、それ以前に、自殺の意思まであった事になって、何とも、変な話になってしまいます。
つまりその、逮捕された人物は、追い越し車線で車を停めたらどうなるか判断できないほどの愚か者か、はたまた、「邪魔」と言われた怒りで、頭に血が昇り、一時的に、正常な判断力を失っていたかの、どちらかという事になります。 そして、どちらの場合でも、殺意があった事にはなりません。
逮捕後は、容疑を認めているそうですが、おそらく、大した罰にならない事を知った上で、罪を認めてしまった方が有利と判断したんじゃないでしょうか。 ネット上で吊るし上げている人達はともかく、当人と、現実世界で関わりがある人達は、無際限な批判は、控えておいた方がいいかもしれませんなあ。 服役どころか、免許取り消しにすらならない恐れがあります。
ちょっと、脱線しますが、自分の周囲にいる、喧嘩っ早い奴、凶暴な奴、粗暴な奴、口より先に手が出る奴.etcが、何か犯罪をやらかして逮捕されると、「それ見た事か! いつか、こうなると思ってたぜ!」と、鬼の首でも獲ったかのように、はしゃぎまくって、有頂天。 テレビ局のインタビューに、「あんな奴、捕まって、当然だよ!」と答えている人を、割と良く見ますが、まあ、ちょっと、落ち着きなさい。
逮捕されたからといって、必ず、起訴されるわけではありませんし、起訴されたからといって、必ず、有罪になるわけではありません。 有罪になったからと言って、必ず、服役するわけではありませんし、服役したとしても、刑期終了後、また、元の職場や、元の家に戻ってくるケースもあります。 そうなった時に、「あの人、あんたが逮捕された時に、大喜びして、ボロクソに言ってたよ」と告げ口する人間は、必ずいます。 そこまで先を読んでから、態度や言動を決めた方がいいと思います。
話を戻します。 後ろから突っ込んだトラックの運転手の方が、罪が重くなるような事を、ワイド・ショーで専門家が言っていましたが、それは、あまりにも理不尽というもの。 追い越し車線で停車している車があるなど、常識的には考えられないのですから、気づくのが遅れたり、避けられなかったりするのは、当然の事でして、罪に問う事自体、おかしいのではないでしょうか。
法律上は、ともかくとして、一般市民感覚で見ると、大変、恐ろしい事件でして、「そういう事をする人間が、野放しになっていると思うだけでも、身震いがする」という人が、大半だと思います。 しかし、一般論としても、車に乗っていると、赤の他人に激怒して、攻撃衝動を抑えられなくなっている人は、割とよく目にします。 怒りで、頭に血が昇ってしまい、正常な判断力が働かなくなるのでしょう。
ニュース番組やワイド・ショーで、「車を運転していて、怖い思いをさせられた事はありますか?」という質問をされた人達が、「よくぞ訊いてくれた!」と言わんばかりに、興奮しながら、自分の経験を語っていましたが、同じ人達に、「名前も顔も出しませんから、正直に答えて欲しいのですが、自分が他の車に、怖い思いをさせた事はありますか?」と訊けば、かなりの人が、「ある」と答えたんじゃないでしょうか。
「自分が、他の車から、怖い思いをさせられたのが、腹が立ってならず、その後、全然、別の車を追いかけて、鬱憤を晴らした」という、「江戸の仇を長崎で」パターンで、いつしか、「走る凶人」になってしまった人も、少なくないはず。 基本にある感情は、猿のマウンティングと同じでして、他者をやっつけたくて、仕方がないわけだ。 人間なんて、高等動物とは言い条、社会性のレベルは、蜂や蟻にも遠く及ばないんですな。
相手が、赤の他人だから、無茶な事をしても構わないと思うのかもしれませんが、それは、危険な思い違いです。 車社会では、周囲に、赤の他人しかいませんから、喧嘩になったら、止めてくれる人がいないわけで、学校や、職場、地域社会に比べて、容易に、傷害や殺人に発展し易いのです。
この事件から汲み取るべき教訓は、命を失ったり、一生を棒に振ったりするのが嫌なら、赤の他人を相手に、怒りを感じる事があっても、やり返そうとか、決着をつけようとか、そういう考えに走るのは、厳に戒めるべきだ、という事でしょう。 赤の他人との諍いほど、恐ろしいものはないです。
自分の方を抑えた上で、もし、相手側が収まらないようなら、暴力沙汰になる前に、警察を呼ぶのが、面倒で、厄介で、億劫ではあるけれど、最善の策だと思います。 自分が殺されたり、相手を殺してしまったりするよりは、ずっと、マシ。 車社会になってから、半世紀くらい経つわけですが、これまでに、赤の他人との、ささいな諍いが元で、死んだ人は、どれだけの数になるんですかねえ。
以上は、車の話ですが、自転車の世界でも、同じ事は起こりえます。 前方から、右側通行して来る自転車を見ると、「左を走れっ!」と、怒鳴りつける人がいるらしいですが、そんな馬鹿な事をしていたら、命がいくつあっても足りません。 自転車だから、方向が逆でも、すぐに、向きを変えて、追いかけて来れるわけで、その点、車より、暴力沙汰になる危険は大きいです。
一度、相手を怒らせてしまえば、「どちらの主張が正しいか」なんて事は、すっ飛んでしまうのであって、相手に胸倉を掴れてから、「右側を走って来る方が悪いんだろうがーっ! 警察に行くかーっ!」などと、怒鳴りつけても、怒った相手の拳を止める事はできますまい。 殴られるくらいで済めばいいですが、刃物や棒状凶器を持ち出されたら、命すら失いかねません。 その後、相手が逮捕されても、自分の命は戻って来ないわけだ。
私も、スポ自ブームたけなわの頃、川の土手を、ゆっくり走っていたら、前を、同じくらいの速度で進んでいた小径車の青年が、前方から、猛スピードでやって来た、ロード乗りの中年オヤジから、「前を見ろっ!」と怒鳴りつけられたのを、目撃した事があります。 怒鳴られたのは私ではなかったのですが、私も、景色を見ながら走っていたので、ビックリしました。
アホか? 公道ならいざ知らず、土手道で、そんなイチャモンをつけられたのではたまらんわ。 自転車専用道でもない所を、爆走して来る、お前の方が、よっぽど、重大問題人間だわ。 大方、日常的に、そんな風に、赤の他人に罵詈雑言を浴びせながら、走っているんでしょう。 赤の他人を怒らせたら、生死に関わる争いに発展しかねないという事が、分かっていないのです。
「相手が、ロードでなければ、怒らせたとしても、逃げきれる」と踏んだ上で、怒鳴っているのは、まず間違いないところですが、そういう考え方自体が、社会性を著しく欠いており、子供の発想と謗られても仕方ありません。 誤解がないように断っておきますと、ロード乗り全員が、こういう事をするわけではなく、むしろ、一般自転車には、関わりたがらない人の方が多いです。 といっても、理性的な人間が多いという意味ではなく、ロードと一般自転車を、同じ乗り物と見る意識がないのだと思います。
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