2018/08/19

時代を語る車達 ⑧

  出かけた先で撮影した車の写真に、個人の感想的な解説を付けたシリーズです。 とりあえず、車の写真の在庫がなくなったので、今回でおしまいです。





  トヨタの、バン専用車、プロボックスです。 前から撮った写真は、手前が後期型で、奥が前期型です。 後ろから撮った写真は、その逆。 前期型は、2002年から、2014年まで。 後期型は、2014年から、現行。

  ちなみに、ほとんど同じ外見で、サクシードという別の車種があるのですが、前期型に関しては、全長が違っていて、サクシードの方が大きかったようです。 理由は、プロボックスが、カローラ・バンの後継車だったのに対し、サクシードは、1クラス大きい、カルディナ・バンの後継車だったから。 後期型では、同じ車体に統一されたとの事。

  バンで、デザインが記憶に残っているというと、日産の初代ADバンと、7代目カローラのバンくらいのものですが、このプロボックスのパッケージングは、明らかに、初代ADバンの系統ですな。 会社が違うのに。 だけど、その企画の判断は、正しかったとしか言いようがありません。 初代ADバンが、大変、完成度が高かったので、それを真似れば、やはり、完成度が高くなるわけだ。 ちなみに、コンセプトは戴いているものの、形だけを見れば、パクリというほど、似てはいないです。

  特に、前期型は、つまらないと思うくらいに、特徴を殺したデザインで、人によっては、デザイン・レスを感じるかもしれません。 しかし、よく見ると、「窓の切り方」、「リヤ・コンの形」、「前バンパーの三分割」、「さりげないブリスター・フェンダー」など、高度なデザイン・センスが窺われ、わざと、おとなしいイメージにしているのだという事が分かります。

  後期型では、前側のグラフィックが変わり、ガンダム・デザインっぽくなりました。 ちと、前期型のコンセプトから逸脱してしまった気味はありますが、前にも書いた通り、私は、こういうグラフィックは、嫌いではないです。 素直に、「カッコよくなった」と感じる人も多い事でしょう。

  日産・ADバンの方は、その後、モデル・チェンジを重ねるごとに、初代のコンセプトを失って行きましたが、ライバルである、トヨタの方で受け継いだ格好になったのは、面白いですな。 現行のADバンは、目を背けたくなるようなデザインになっているので、日産の販売店と長いつきあいがあるのでもない限り、普通に選べば、プロボックス/サクシードの方を購入すると思いますねえ。

  これだけ出来がいいと、「セダンを作っては、どう?」と、提案したくなるところですが、80年代ならともかく、今ではもう、そういう遊びに乗ってくる人は少ないでしょう。 そもそも、セダンが売れない時代になっていますから。



  ダイハツの、ムーヴ・コンテ。 2008年から、2017年まで、生産販売していた車。 生瀬勝久さんが声を担当した、「カクカクシカジカ」のテレビCMは、まだ、記憶に新しいです。 足掛け、10年もやっていたのだから、記憶に焼きついているのでしょう。

  CMは、はっきり覚えているのに、車の方は、印象が薄いです スペース重視のトール・ワゴンで、デザインは、「まあ、こんなとこだろう」と、テキトーにやっつけた感があります。 しかし、醜さを感じないという事は、デザイナーの造形センスが、しっかりしていたんでしょうなあ。

  まだ、販売終了してから間がない事もあり、道路上で、いくらでも見る事ができます。 買った人は、同じメーカーのトール・ワゴンなのに、どういう理由で、ムーヴではなく、コンテを選んだんでしょう? デザインに、カッコつけたところがない点に、逆に、渋い価値を感じたんでしょうか。 単に、CMの影響だとしたら、それはそれで、CM業界的に、凄い成果と言えます。



  スズキの、4代目ワゴンR。 2008年から、2012年まで、生産販売されていました。 今までにも、何度か触れていますが、デザイン・レスとしか言いようがなかった3代目から、劇的に変身して、素晴らしいデザインになった型です。

  こっれねえ・・・、もはや、芸術品ですな。 一体、誰が、デザインしたんでしょうねえ。 チームでやったのではないのは、疑いない。 だって、こういうデザインを、一人の頭で思いつく事はできても、他人に言葉で伝える事ができないでしょう。 絵でも伝え難い。 フォルムだけでなく、各部のグラフィック、細部の質感に至るまで、ケチのつけようがありません。

  私の兄嫁が、これの、スティングレーに乗っています。 父の入退院や、葬式・法事の時に、何度か乗せて貰いましたが、乗り心地は、前席・後席ともに、良かったです。



  スズキ初の軽ハイト・ワゴン、パレット。 2008年から、2013年まで、生産販売されていた車。 パレットの名前は、一代限りで終わり、その後は、スペーシアという名前に変わりました。 後ろ姿が台形に近い、という点で、スペーシアとの区別ができます。

  ハイト・ワゴンは、ダイハツの初代タント(2003年-2007年)が嚆矢で、それが売れているのを横目に見て、類似品を作ったのが、このパレットという事になります。 デビュー年に、5年も開きがあるところをみると、すぐに追いかけたわけではなく、初代タントが出てから、しばらくの間は、売れるか売れないか、様子を見ていたんじゃないかと思います。

  中身の事は分かりませんが、デザインだけ見ると、初代タントにも、2代目タント(2007年-2013年)にも、全然、敵いません。 スズキは、ハイト・ワゴンに関しては、あらゆる面で、ダイハツの後手に回ったんですな。 デザイナーが、ハイト・ワゴンのコンセプトについて、よく把握しないまま、デザインをしてしまった感が濃厚です。



  とある整備工場で、セルボ・モードを見つけました。 後期型で、5ドア。 もし、5型なら、色が黒ですから、最高グレードの、Xタイプという事になります。 「キーレス・エントリー」や、「オート・エアコン」、「電動リモコン・ドア・ミラー」が、標準装備。 エア・バッグも、オプションで付けられたらしいです。

  ちなみに、私のは、Mセレクションなので、それらの装備は、付いていません。 要りませんけど。 いや、負け惜しみではなく、ほんとに、なくても、問題ありません。 エア・バッグなんて、どこぞの部品メーカーのせいで、付いていると、却って、危険ですし。

  この車ですが、ホイールが前後で違っていて、後ろはアルミ、前は鉄で、ホイール・カバーが付いていません。 どちらかで揃えれば、ぐんと見た目が良くなるんですがねえ。 今となっては、同じデザインのアルミを見つけるのは、厳しいかな。 鉄ホイールにホイール・カバーなら、割と安く、揃えられると思います。

  この車、数日後に行った時には、もう、ありませんでした。 修理が終わって、持ち主に返されたのではないかと思います。 今も、どこかを、走っているんでしょうねえ。




  今回は、以上、5台まで。

  セルボ・モードですが、私が買った2年前には、沼津市内に、存在を把握しているのが、6台くらいあったのに、今では、2台になってしまいました。 やはり、20年の壁は越え難いんでしょうか。  私は、割とあっさり越えましたけど。 13年を過ぎてしまえば、税金は、それ以上、上がらないから、車検さえ乗り切ればいいわけで、積極的に手放す理由はないと思うんですがね。 よっぽど、重篤な故障でも起こしたのなら、別ですが。