2022/05/01

寝たきりの母 (前編)

  2月に、母が寝たきりになった時の記録を出しておこうと思います。 今は、ほぼ、寝たきりになる前の状態に戻っているのですが、いつのまにか、二ヵ月以上、経ってしまいました。 今の内に出しておかないと、機会を失ってしまいます。 日記ブログに書いた記事を移植しますが、例によって、関係ない部分は消して出します。




【2022/02/06 日】
  朝一、母と二人で、近所のスーパーへ買い出し。 荷室・後席8分目、買って来ました。



【2022/02/07 月】
  昼飯は、カレー・ライス。 夕飯は、母が、肉団子白菜汁、イカ刺し、ゆで卵、筍煮などをつくってくれたので、それを食べました。



【2022/02/08 火】
  昨夜から、母が、「左胸と、その背中の方の骨が痛い」と言い出し、今朝は、起きて来れませんでした。 10時頃、起きて来て、糖尿病の医院へ電話。 11時半に来るように言われ、早目の昼食を済ませて、車で送って行きました。 駐車場で、待つこと一時間。 薬局で、更に10分ほど待ち、乗せて帰って来ました。

  レントゲンも撮らず、痛み止めだけ、処方されたとの事。 つまり、何が原因か、分からんのでしょう。 高齢者の訴える症状には、そんなのが多いのではないかと思います。



【2022/02/09】
  母は、不調が悪化し、今日は、二階の自室に籠って、一階に下りて来ませんでした。 いよいよ、駄目か。 トイレは、自力で行っているから、最悪の状態ではありませんが。

  食事は、朝昼晩三食、私が運びました。 朝は、おかゆ。 昼は、カレーの残り。 夕飯だけ、新たに餃子を作りました。 母は、少食なので、食事の用意は、楽でいいです。 私は、自分一人で食べるなら、改まった料理は作りません。 レトルトや、袋ラーメンで充分。

  もしや、母の不調の原因は、新型肺炎では? 買い出しに行った次の日から、不調になったので、タイミング的には、説明がつきます。 しかし、症状は、まるで重なりません。 胸と、その後ろの骨が痛い? なんだ、そりゃ? 設備のある病院へ行って、精密検査を受ければいいのですが、この感染爆発下ではねえ。 もし、新型肺炎でなかったとしたら、自分の方から、わざわざ、感染しに行くようなものです。

  このまま家にいても、治るような気がしないし、病院へ行けば、感染して、重症化する恐れがあるし、前門の虎、後門の狼ですな。 幸い、本人の頭は、しっかりしているようなので、本人に決めて貰う事にします。 母は、何度か入院経験があるから、いよいよ、まずいと思ったら、自分から、救急車を呼ぶように言うでしょう。

  私が、母の様子を、冷めた目で見ているのは、父の時の経験から、素人考えで、あれやこれや工夫をしても、全て無駄骨に終わる事が分かっているからです。 たとえば、運動不足が諸悪の根源だと考えて、不調になってから、運動させても、疲れさせるだけで、いい事はありません。 手遅れなのです。 本人が自発的に運動する気を失った時点で、その人の健康寿命は、決まってしまうのでしょう。 家族が何を言ったって、変わりません。

  母は、1936年生まれだから、現在、85歳。 今年、86歳になります、 元気ならば、いくらでも長生きしてもらいたいと思っていますが、そうでないなら、もう、お迎えが来ても、早過ぎる歳ではないです。 私自身、現在56歳で、もう、やりたい事などなくなってしまい、いつ死んでも、さほど、惜しいと思っていないくらいですから。 もちろん、積極的に死にたいとも思っていませんけど。



【2022/02/10 木】
  今日は、一人で買い出しに行く日でしたが、雨なのと、母の不調が原因で、食料が減らないのが理由で、とりやめにしました。

  母は、今日も、部屋で寝たきり。 食事は、朝「おかゆ」、昼「餃子の残り」、夕「煮込み乾麺蕎麦」と、三食、部屋に運びました。

  ワイド・ショーで、オミクロン株の症状を見ていたら、「胸の痛み」というのがあるのを発見。 おっ! もしかしたら、母は、それなのかもしれませんな。 新型肺炎で喜ぶというのも、おかしいですが、これ以上、悪化しなければ、10日くらいで、回復する可能性が出て来ました。 全くの原因不明で、ただ、痛みに呻いているよりは、治るという希望があるだけ、マシ。

  母は、糖尿病と心臓病の基礎疾患がある上に、ワクチン未接種と、明らかに、「死に組」の入会条件を満たしていますが、昨日も書いたように、慌てて、病院や保健所に連絡などすると、もし、新型肺炎でなかったら、こちらから感染しに行くようなものなので、それは、しません。 マジな話、10日待って、回復してくれたら、嬉しいなあ。 そういう甘い期待をしていると、最悪の結果になりがちだという事は分かっていますが・・・。



【2022/02/11 金】
  金曜なので、部屋の拭き掃除、掃除機かけ、外掃除、亀の水換え。 それと、並行して、1・2階トイレの布類も洗濯しました。 昨日やるべきところを、母の世話で、忘れていました。 まあ、昨日は、雨だったから、どうせ、できなかったわけですが。

  母の調子、昨日と変わらず。 部屋に籠りきりです。 



【2022/02/12 土】
  朝一、一人で車で、イオン系スーパーへ、買い出し。 10日に行かなかったせいで、ヨーグルトやこもち昆布など、細々したものがなくなり、行かざるを得なくなった次第。 母が、あの調子では、16日の高齢者特売日も行けるわけがないので、今後は、0の付く、5パーセント割引の日に集中して、買い物に行くしかないです。

  母の様態は、変化なし。 先日も書いたように、新型肺炎かも知れないと疑ってはいるのですが、咳は全く出ません。 喉が痛いとも言いません。 風邪に似た症状自体が見られないのです。 やっぱり、違うのだろうか。 要精密検査となると、それはそれで、世の中が病院にかかれない状況だから、困るのですが。

  ずっと寝ているので、顔がむくんでおり、寝起きだと、「ふわあ?」と、もう、死ぬ寸前のような反応をするのですが、はっきり目覚めている時には、驚くくらい、しっかりした喋り方になります。 この人、本当に、不調なのだろうか? 上げ膳・据え膳を満喫しているだけなのでは?

  今日行ったスーパーで、たまたま、駅弁フェアをやっていて、母が好きな、「ますのすし」を買って来たのですが、それを報せたら、目を見開いて、「ええっ!」と驚いたのには、こちらが驚きました。 この人、本当に・・・、まあ、いいか。



【2022/02/13 日】
  母の様態、変わらず。 昨夜は、着替えをしたから、多少は良くなっているのかも知れませんが、本人に確かめたわけではないので、詳しくは分かりません。 なぜ、本人に訊かないのかというと、「良くなったか?」「今日はどうだ?」と、毎日のように訊くと、ストレスになると思うからです。 良くなれば、自ずと、部屋から出て来るでしょう。

  母は、今日で一週間、風呂に入っていません。 寝たきりでは、そんなのは、普通です。 母は、元気な時には、職場でも近所でも、綺麗好きで通っていましたが、別に、潔癖というわけではなく、衛生感覚は、普通の人なので、目に見える汚れや、汗・脂などによる不快な感触がない限り、「汚い」という認識にならないようです。 夏場なら、また、違ったはず。

  母の綺麗好きは、他人から、そう見られたい、そう思われたいという、虚栄心から出ていたんですな。 まったく、人間、見た目では、分からないものです。 そういえば、ついこないだまで、病院に行く時は必ず、直前にシャワーを浴びていましたが、それも、見栄のなせる業。 私だったら、潔癖ですから、病院から帰って来てから、体を洗います。 潔癖でない人間には、何が汚いのか、どこが不衛生なのか、判断できないのです。

  それにしても、急転直下で、要介護状態になってしまいましたなあ。 我が家に於いて、母が築き上げ、長年、維持して来た帝国は、今、崩れ去りつつあります。 父が、自室や、プレハブ、外周りで維持して来た帝国が、崩れ去ったように。 私に及ぼす衝撃・打撃は、それ以上かも知れません。



【2022/02/14 月】
  母の様態、変わらず。 起き上がる時に、ウンウン唸らなくなっただけでも、多少は良くなっているんでしょうか? 分からぬ。 昼飯は、焼きそばの残り。 夕飯は、マグロの刺身。



【2022/02/15 火】
  母の様態ですが、今日、訊いてみたら、良くなっていないとの事。 困ったねえ。 起き上がる時や、横になった直後が、痛いようです。 食事の時や、トイレの時は、ケロリとしています。 分からぬ。 新型肺炎の感染者数が減って来たら、総合病院へ行くしかないですな。 いつになるやら、分かりませんが。



【2022/02/16 水】
  母ですが、食事の時、ベッドの上に座っている分には、病人とは思えないような、普通の顔をしているので、詳しい容態を訊いたところ、左腕を動かすと、胸のあたりが痛いとの事。 なに? 腕と連動していると? それは、肺や心臓ではなく、肋骨がヒビが入っているのでは?

  母は、性別・年齢的にも、糖尿病の治療薬を飲んでいる点でも、骨粗鬆症になっていて、全然おかしくないです。 しかし、骨粗鬆症で、肋骨が折れたりするものでしょうか。 特に、ぶつけたとか、大きな衝撃が加わったという事はないのですが。 分からぬ。

  素人考えで、あれこれ推測しても、無意味か。 さっさと、感染者が減ってくれれば、病院に連れて行くんですが。 




  今回は、ここまで。

  冒頭の、2月6日・7日の記事の内容の時点では、まだ、不調になっていなかったのですが、敢えて、加えておいたのは、もし、不調の原因が、新型肺炎だった場合、6日のスーパーへの買い出しで、うつされ、翌日の夕刻過ぎから、発症したと思われるからです。 7日の夕食は、母が作ったのですが、不調が始まっていたのを、運動不足のせいだと考えて、無理に、料理をしたらしいです。

  8日には、すぐに、かかりつけ医である、近所の糖尿病医院へ行っているのですが、母も医師も、新型肺炎とは思っていませんから、そちらの検査は全くせず、レントゲンも撮らなかったところを見ると、骨折の疑いすら抱かれなったのでしょう。 その時期、オミクロン株が全国的に猖獗を極めており、病院も多忙。 当日の朝に急遽予約した患者など、迷惑なだけで、さっさと追っ払われただけだったのかも知れません。

  患者、つまり、客が多い医師ですが、何年も忙しい日々が続いていると、ドラマに出て来る、ヒーロー的な医師とは真逆に、患者の身になって、心を込めて治療しようなどという気は、消し飛んでしまいます。 やりたくても、余力がなくて、できないんでしょう。 私自身、現役時代は、結構、医療機関の世話になったので、そういう、熱が冷めてしまった医師を、何人も見ました。

  医療事故などが起こった時に、医師を訴えるタイプの人達は、医師という存在に、特別な高潔さや熱意を期待しているのだと思いますが、私は、そういう期待は全く持っておらず、医師にかからざるを得なくなった場合、治れば、幸運、治らなくても、仕方がないと諦めています。 入院の経験もありますが、そうなったら、俎板の上の鯉なのであって、死ぬ事も覚悟しています。 「最良の医療が受けられて、確実に治る」なんていうのは、幻想なのではないでしょうか。