2007/07/01

怒らせた

  米下院外交委員会で慰安婦決議が可決されました。 賛成36対反対2というから、圧倒的な支持を得たといっていいでしょう。 最初6人しかいなかった賛同者がみるみる増えて行った様子は、正に≪燎原に火が広がる如く≫といった形容が当て嵌まると思います。

  この決議案自体は、至って正当な内容で、提出されたのも大差で可決されたのも、大変良い事だと思います。 やはり、悪の逃げ得は許してはいけませんから。 今回のは慰安婦に限った内容ですが、それ以外それ以前に、日本人は外国人を2000万人も殺しているのだから、その報いは受けなければなりません。 今後この種の決議案がうじゃうじゃ出て来て、日本政府は血も凍る思いをする事になるでしょう。 まだまだ、日本の戦後処理はこれから始まるのです。 もっとも私は、戦後処理が進む前に、日本は再び戦争を始めて、猛反撃にあい、今度こそ滅亡させられると思っています。 嫌な予測だけど、日々その方向へ向かっているのが分かるので、もはや確信に近いです。

  思えば、私が20歳頃、日本の未来について、二つの可能性を考えました。 一つは、過去の侵略を真面目に反省し、何度でも繰り返し謝罪し、国家間はもとより個人に対する賠償も行なう事で、周辺国との関係を悪化させないように維持しつつ、細く長く生き延びるというコース。 もう一つは、今まで通り、外国人を人間扱いせず、過去の罪など「やってない」と白ばっくれたり、「やったとしても悪い事ではなかった」と開き直ったりして、一切反省せず、再び戦争を始めて滅亡するというコース。 だけど、今考えると、前者の道なんか進むわけが無かったんですな。 だって、野蛮人だもの。 野蛮人が、他部族殺しを反省するわけがありませんや。

  話を戻しますが、官房長官の、「よその国の議会の話ですから」発言には、開いた口が塞がりませんでした。 おいおい、よその国って言うけど、アメリカだぞ。 分かっとるんか? 日本は外交上、世界中にアメリカしか味方がいないのに、その国を敵に回そうとしているのを承知した上での発言なんだろうね? しかも、会見の間中、絶やさなかった薄ら笑い。 どこの国のどんな人間でも、自分達の真面目な提案を、薄ら笑いで無視されたら、怒らぬ者はおりますまい。 一体どういう狙いがあって薄ら笑いをしているのか、記者が質問してやればよかったのに。 ああ、無理か。 記者も野蛮人だもんな。 血は争えんのよ。

  そういえば、ある新聞のひとコマ漫画で、凄い絵を描いている漫画家がいましたよ。 水戸黄門になぞらえたアメリカ人が、日本の政治家に向かって印籠を掲げ、「控えおろう!」とやっている姿なんですが、その印籠に、裸同然の女性の絵が描かれているのです。 慰安婦を描いたつもりなんでしょう。 この漫画家が慰安婦決議を気に食わないと感じているのは明らかで、それ自体が恐ろしいですが、それ以上に、こういう絵を平気で描いて人に見せる感覚には震え上がります。 なるほど、無神経な野蛮人でなければ、これは描けんわ。
  また、その漫画を載せている新聞も新聞。 奇妙な事に、その新聞の社説では、決議を支持しているような文が書かれていましたが、一方でこんな破廉恥極まりない漫画を掲載しておいて、もう一方で決議支持を訴えられても、どっちが本心なのか分かりません。 新聞には編集長がいて、一定の編集方針があると思うんですが、チェックしてないのかね? 野蛮人の新聞だから、矛盾しててもいいのかな?

  ワシントン・ポストに出された日本の国会議員達の反論広告ですが、その内容の無神経さには呆れを通り越して笑ってしまう間抜けぶりが見て取れます。 以前、≪交渉能力≫という文で日本人の交渉能力欠如について書きましたが、今回の例も典型的です。 相手を説得しようとする時に、何が必要で何がタブーかが全く分かっていないのです。 「私の話を聞いてください」とお願いしている立場なのに、当の相手を誹謗するような事を口にしていたのでは、文字通りお話になりますまい。 決議案の文面を見ると、この反論広告に対するアメリカの議員達の怒りがありありと見て取れて、読んでいて背筋が寒くなるほどです。
  ここまで怒らせてしまったのに、広告を出した日本の国会議員達は、まだ「事実誤認に基づいた不当な決議だ」などとコメントしていますが、そのコメントがまた相手を怒らせるのだという事にも気付いていない様子。 救い難し。 だけど、野蛮人だからしょうがないといえばしょうがないです。 野蛮人は論理が分かりませんから、相手を言葉で説得するなんて高度が芸当が出来るわけがないんです。 相手を殴りつけて言う事をきかせるか、殴られて相手の言う事をきくか、そのどちらかしか出来ないのです。

  ≪事実誤認≫云々について少々触れますと、日本人が罪をごまかす目的で集めた証拠の類は、一切信用できないと考えた方がいいです。 たとえば、「慰安婦の徴収に政府が関与した証拠は無い」といった表現ですが、こういう言い方をする連中が、≪関与した証拠≫とやらを積極的に探し回るとは到底思えないので、その検証作業そのものが信用できません。 アメリカ人は訴訟社会に生きているので、事の裁定をする際に持ち出される証拠・反証の類について、何が信用できて何が信用できないか、日本人よりも遥かに敏感に見分けますが、今回の日本の国会議員の反論は、一ヶ所たりとも信用できないと判定したわけですな。

  ちなみに、日本のネット上で、三無能の民族主義者どもが天下でも取ったように書き散らしている、「日本は悪い事などしていない」といった類の論証ですが、一歩国外に出ると、小学生の屁理屈以下の扱いしか受けませんから、ご留意あれ。 大体、一億歩譲って、政府が関与していなかったと仮定したとしても、慰安婦が軍人・兵隊の慰み物にされていたのは事実なんだから、日本政府の罪が消えるわけでも、減じるわけでも無かろうに。 つまり、この主張自体が、小学生レベルの屁理屈なんですよ。 それを屁理屈だと国内で指摘できない日本の良識的知識人達のレベルが、また救いようもなく低い。 だからねえ、野蛮人が、論理で文明人と勝負しようなんて、250万年くらい早いんですよ。 言えば言うほど、罪が増えるだけだね。

  それはさておき、アメリカ人というのは、お人好しですなあ。 自分の国の兵隊が10万人も日本軍に殺されているというのに、自国の被害には一切触れていないんですから。 アメリカ人は気付いていないようですが、日本はアメリカに戦争を仕掛けた事について、今まで、一度も謝罪していません。 賠償金も1セントも払っていません。 個人賠償に至っては、当然皆無。 それどころか、アメリカに戦後復興資金を出させているんですな。 「向こうが勝手に出したんだ」とでも言うか? 怒るでしょうね、アメリカ人。 いやはや、アメリカ人が日本人の本性を知って、怖気を奮い、心底激昂するのはこれからですよ。