2008/03/16

壊れる

  最近、身の周りで、壊れる物が続出し、日々の陰鬱な気分を盛り上げるのに多大な貢献をしてくれています。 形ある物、いつかは壊れるわけですが、できれば、一時期に集中しないで、適度な間隔を開けて壊れて欲しいなあ。


  まず、古い方から行きますと、自室の壁掛け時計が、遅れがちになりました。 もう四半世紀近く使っているので、いつ壊れても不思議ではないんですが、その壊れ方が微妙なのです。 「もう駄目です。 これ以上動けません。 実家へ帰らせて貰います」というくらいに完璧に壊れてくれれば、買い直すのに吝かではないんですが、はっきりしないんですな、これが。 ひと月に三分くらいの遅れ方。 どうです、絵に描いたように微妙でしょう? 電池を新しい物に入れ替えても、症状は変わりません。 そんな状態で、もう二年くらい使い続けています。 確か、この時計を買ったのは中学生の時で、親からお金を貰って、最寄のホームセンターで購入したのだと思います。 3000円だったかな。 なまじ長く使っているから、愛着というか、情緒的癒着が生まれてしまい、なかなか捨てられないんですな。 しばらくは、ひと月毎に修正しながら延命する状況が続きそうです。


  次も時計ですが、ベッドの枕元に置いている目覚まし時計が、進むようになりました。 こちらはズレが甚だしくて、三日で五分くらい進みますから、週に二度は修正しなければなりません。 さすがに、この頻度では面倒臭い。 買ったのは6年くらい前なので、目覚まし時計としては長持ちした方ですが、買い換えるとなると、後継機がなかなかみつからないのです。 電源コード式の発光ダイオード・大型デジタル表示タイプなんですが、同型の品はもう売っていません。 液晶タイプならいくらでもあるんですが、夜中に真っ暗な中で見る事が多いので、自家発光しない液晶では、用を為さないのです。 また、発光ダイオードでも、小さい物ならあるんですが、こちとら、寝ている時には眼鏡を外しているので、大型デジタルでないと困るのです。 やれやれ、どうしたもんだか。

  ちなみに、この時計を買ったのは、≪ワットマン≫という家電量販店でした。 定価8000円の品が、売れ残りで2000円に値下げされていたのを見つけて、すかさず買ったのです。 その前日に、電池式の目覚ましが鳴らなくなって遅刻し、「もはや、電源コード式でなければ信用できん!」と意を決して購入したのでした。 その後、≪ワットマン≫は会社ごと潰れ、今は≪ドンキホーテ≫になっています。 ああ、商業無常、いや、諸行無常。


  次は、長靴。 昨年の暮に、バイク通勤に使っていた革製ブーツの爪先に穴が開いてしまい、さすがにみっともなくて履く気にならなくなったのですが、買い替えようと思って、店に行ってビックリ。 十年前はホームセンターのバイク・コーナーでブーツが売っていたのに、今は一掃されていて、一足も見当たりません。 思うに、バイクに乗る人がすべてブーツを履くわけではないので、売れ行きが悪くて、取り扱わなくなってしまったのでしょう。 やむなく、バイク用品店に行くと、前とおなじ銘柄の物がなんと、14000円。 前のも13000円しましたから、ビックリするほど高いわけではありませんが、「あと何年バイクに乗るか分からないのに、14000円も出して、元が取れるのか?」と自問すると、甚だ自信がありません。 以前、ホームセンターで売っていたブーツは、8000円くらいだったので、そのくらいの予算を想定していた私としては、14000円は高すぎたのです。

  しょうがないので、今年に入ってから、雨天用のゴム長靴を履いて、毎日通勤していました。 「ゴム長靴じゃ、穴開きブーツよりかっこ悪くないか?」と思うでしょうが、冬場は、ズボンの上にもう一枚防寒ズボンを穿くので、長い裾でくるぶしの辺りまで隠れてしまい、ブーツでも長靴でも分かりゃしないのです。 しばらく、それで通っても支障が無かったので、「おっ、これで行けるじゃん。 ブーツは14000円、長靴は700円。 こりゃ、どえらい得だぞ」と思ったのも束の間、二ヶ月たったら、両足とも側面の内側が長さ2センチばかり、裂けてしまいました。 あにはからんや、やはり、ゴムはゴムか! バイクに乗っている間はいいんですが、駐輪場から会社まで、500メートルくらいある道を毎日往復していたので、材質がもたなかったんですな。 ゴム長靴というのは、普段履きには使えないのだという事を、この歳になって知りました。 ちょっとした、アハ体験だね。

  で、どうしたかというと、全く同じゴム長靴を、もう一足買って来ました。 古い方は、裂けてしまったとはいえ、内側なのでどうせ他人には見えません。 ただ、雨が降ると、水が入ってくるから、それは困ります。 そこで、晴れた日には裂けた長靴を使う事にし、雨天専用に新しい長靴を買ったというわけ。 何だか、貧乏臭い対策ですが、いいんです。 どうせ、冬にバイクをに乗っている奴なんか、誰も見やしませんし、そもそもそれ以前に、私はもう充分にオッサンなので、ズボラに生きる権利を獲得しているのです。


  次、手回しシュレッダーが壊れました。 ダイレクトメールの封筒を入れたら、噛み込んでハンドルが回らなくなってしまい、無理に回そうとしたら、「ガクン」と嫌な音がして、一回転だけ空回り。 そしてまた回らなくなりました。 私の所有物ではなく、母が購入した品だったので、一瞬青くなりました。 しかし、出勤する直前だったものですから、やむなく、そのままにして家を出ました。 その日は遅番だったのですが、残業が2時間もあったので、帰って来たのは、夜中というか、もはや明け方が近い、午前3時です。 でね、飯を食べた後、直しましたよ。 ビスを12本も外して分解し、詰まった紙をチマチマ取り除きました。 苦労の甲斐あって、一応復活しましたが、前より空回りが増えたような気がしないでも無し。 もし駄目なら、買い直すしかないです。

  いまや、個人情報保護のために、シュレッダーは必需品ですからのう。 ゴミの分別が厳しくなって、回収車に持って行って貰えない時など、当番の人にゴミ袋を暴かれる事があります。 そういう時、名前や住所が刷られた紙が入っていたりすると、とんだ大恥掻くわけです。 まあ、分別をしっかりやるのが前提ですが、最悪の事態に備えて、身元が分かるような物は、極力粉砕しておかないとねえ。 ちなみに、手回しシュレッダーは、1500円くらいで売っています。 カードやCDの破砕も出来るマルチ・タイプもありますが、歯車が増える分だけハンドルが重くなるので、紙オンリーのシンプル・タイプがお薦めです。 そして、封筒は必ず、開いてから入れるようにすると・・・・。 何だか、歳を取ってから肝に命じる事が多いなあ。


  最後に、プリンターのインクが無くなりました。 私のプリンターは、黒とカラーの2カートリッジ・タイプで、無くなったのは、赤色です。 その時点では、まだ壊れたわけではなかったんですが、詰め替えインクを使っているので、詰め替えようとしたら、赤のインクが入らない事を発見しました。 カートリッジの底部にある布を張った染み出し口が、固まったようになっていて、滴下してもインクを吸って行きません。 なんてこったね! 詰め替えに詰め替え続けて十回弱、とうとうカートリッジの寿命が来たと思われます。 無限に詰め替え続けられると思っていた私が浅はかでした。 またまた、アハ体験だ。

  しょうがないので、新品のカートリッジを買ってくる事にします。 そういえば、去年、カートリッジの再生品に関する裁判が話題になりましたが、そもそも、メーカーが売るカートリッジの値段が高すぎるんですよ。 たかが、プラスチックの容器にインクが入っているだけの単純な製品が、千円以上するというのが変じゃありませんか。 「プリンター本体を安くして、インクの方で利益を確保しているんだ」と言うんでしょうが、そんな理屈は、商人のいやらしい算盤勘定に過ぎません。 プリンターなんて、高くたっていいんだよ。 滅多に買わないんだから。 消耗品のインクを安くしなければ、使用者の利便を損なうこと甚だしいではないか。

  というわけで、私は長年、詰め替えインクを愛用しているわけですが、最近は、100円ショップでも扱うようになり、大変重宝しています。 ただのインクなんだから、100円くらいが妥当な値段でしょう。 絵の具のチューブや墨汁と比較してみても分かる事。 律儀にメーカー純正のカートリッジを買っている人もいるようですが、経済原則を無視した馬鹿な行為はやめなされ。 入っているインクは、純正でも詰め替え用でも同じです。 カートリッジは、メーカーの回収箱に入れたとしても、結局粉砕されてしまうのですから、まだ使える物を一回で捨ててしまったのでは、勿体ないではありませんか。 メーカーの意向に従う事が、即エコになると思ったら、大間違いですぜ。