2008/08/17

その後の折り畳み自転車

去年(2007年)の一月頃、折り畳み自転車を買うか買わぬかで悩んだ事を書きましたが、それ以降どうなったか、報告せずじまいでいました。 実は、買ったんですよ。 そう、さんざん、デメリットばかり並べ立てて抵抗したにも拘らず、結局買ってしまわなければ、収まりがつかなかったわけですな。 私の理性なんて、そんなもんなんです。

  買ったのは、≪トレンドウォーカー≫というネット通販で、今でもほぼ同じ品が売っていますが、レイチェルの≪OF-20R≫という製品です。 中国製。 スチール製、20インチ、変速無し、色はシルバー、重量14.5㎏。 値段は、本体8200円、送料1050円、代引き手数料315円、合計9565円でした。

  実は註文したのは、≪OF-20F≫だったんですが、届いたのは≪OF-20R≫だったのです。 ネットの画像と現物を比べて見ても、≪F≫と≪R≫の違いが分からず、些細な事でクレームをつけて、送り返しなどという事になったら、それこそ面倒なので、気にしないで済ませました。 今売っている品が≪R≫になっているところを見ると、つまり、≪F≫は古いタイプで、それが既に捌けてしまっていたので、新しいタイプの≪R≫が送られて来たというわけなんでしょう。


  折り畳んだ状態でダンボールの箱に梱包されていたのですが、思ったよりも重くて、引っ張り出すのに手間取りました。 組立方法は、説明書を見なくても分かるほど簡単。 フレーム部分のほとんどを気泡ビニールと薄いダンボールで被覆してあり、剥がすのに一苦労しました。




  組み立てて持ち上げてみると、そんなに重くなくて、ホームセンターで試しに持ち上げてみたもっと高い物と比べても大差ない感じでした。 ただ、折り畳んで、ある程度の高さまで抱え上げようとすると、ぐぐぐっと重く感じるのです。 荷台を外せば確実に軽くなるはずで、届く前まではその予定でいました。 フックがついていない簡易荷台なので、使うとしても使い勝手が悪いですし、写真撮影サイクリングが目的では、どうせ使わないに決まっているので、外してしまった方が良かろうと思ったのです。

  ところが、たまたま通りかかった父に相談してみた所、「荷台もフレーム強度を維持するのに関与しているから、外さない方がいい」との事。 元機械設計士の指摘を無視するのも怖い話。 自転車を単純な機械だと思ってなめてかかると、痛い目に遭うのは、結構多くの人が経験している所です。 走っている途中で路上分解して、睾丸を潰したなどという話も割とよく聞くし・・・・。 そこで、荷台はそのままとし、腰を痛めない持ち上げ方を工夫する事にしました。


  ハンドルに恐ろしく単純な構造のベルがついていたのですが、必要充分に鳴ったので驚きました。 それ以外には、装備は無し。 ライトもついていませんが、スポーツ用の自転車などは、みんなそうですから、別段違法ではないはず。

  昼間に乗るのはちょっと恥かしかったので、夕食後、日がとっぷり暮れてから、家の周りをちょこっと一ブロック走ってみました。 さすが20インチだけあって、速い速い! 昔16インチに乗った時、漕いでも漕いでも全然進まず、トサカに来て、下りて押した覚えがあるので、この速さには感動しました。 ギアは単式ですが、平地ならちょうど良い漕ぎ加減です。 これなら、普段使ってもよいくらい。 もっとも、籠無しなので、買物や図書館には乗って行けませんが。


  とまあ、ここまでが、届いた当日の感想。 それから一年半、一・二週間に一回のペースで乗って来ました。 現在の感想としては、まずまず買って良かったと思っています。 当初の予定だった、車に積んでの移動は、合計10回くらいしかやっていませんが、家から乗って出かける際にも、普通の自転車とは違ったメリットがある事が分かったのです。

  決定的な違いは、≪軽さ≫です。 14.5㎏という重量は、抱え上げるには重いですが、普通の自転車と比べれば遥かに軽く、この差が機動性を発揮するのです。 たとえば、階段と平行したスロープを押して上がる時など、普通の自転車では強力並みの力が必要になりますが、折り畳みだと、ちょっと重めの鞄を持って上るのと大差ありません。 この違いは、実際に軽い自転車を使ってみないと体感できないものですな。

  ただ、悪い点もあります。 車体が小さすぎて、私の体に合っていないので、乗っていると、疲労が激しいです。 サドルは普通の自転車と同じ物なんですが、サドル支柱の伸縮調整ボルトがワンタッチ・レバー式になっている為に、固定する力が弱く、長く乗っていると次第に沈み込んできて、ますます漕ぎにくくなります。 まあ、これは、ボルトを普通の締め付けタイプに交換すれば解決する事ですけど。 この締め付けボルトは、百円ショップでも売っています。


  次にペダル。 ペダルも折り畳めるようになっているのですが、上側にしか畳めないタイプで、上面と下面で形状が違い、下面が上になると、足が載せられないのです。 右足はずっとペダルに載っているからいいんですが、左足は止まる時に下ろさなければなりません。 すると、次に走り出す時には、大抵ペダルが引っ繰り返っていて、直さなければならないのです。 これも、ペダルだけの問題なので、上下が無いタイプに交換すれば済む事ですが、ペダルは結構高く、100円ショップでは買えません。 片側だけでも、500円くらいするんじゃないでしょうか。




  そういえば、一年くらい前になりますか、新聞で、折り畳み自転車のペダルが折れる事故が頻発しているという記事がありました。 体重をかけると、真ん中でボキッと砕けるように折れてしまうのだそうです。 だけど、それは当たり前ですぜ。 折り畳み式のペダルが、一体式のペダルより弱いのは、見なくても分かるような事です。 そもそも、折り畳み自転車自体が、性能を限定して設計されているのであって、本来、大人の男性向けでない事は、大きさを見ても歴然です。 漕ぎ出す時、全体重を掛けて、思いっきり踏み込むなど、使用方法を間違えているとしか思えません。 物理的直感で、分からんもんですかねえ?

  折り畳み自転車は、スポーツ・タイプの自転車に似たデザインを取り入れている物が多いので、イメージ的に、普通の自転車より頑丈に作られていると思い込んでいる方もあろうと思いますが、真っ逆様の思い違いです。 折り畳みなんだから、強いわけないでしょうが! 折り畳み傘が、普通の傘より弱いのと同じ事です。 折り畳みだの、変形だの、合体だのといった言葉がついたら、一体式より確実に華奢になるのは、物体構造の常識です。 モビルスーツ的に言えば、Zガンダムあたりが、ザクより頑丈などという事はありえないのです。 おっと、譬えが悪いか。

  折り畳み自転車の説明書を読めば、「悪路走行禁止」といった注意が書いてあるはずです。 使い方が分かっとらんのよ。 折り畳み自転車で、普通の自転車と同じ強度を出そうと思ったら、数倍重くなり、数倍高くなります。 そんなもの、売り物になりませんよ。

  話を戻しますが、他に問題点というと、前籠が無い事ですかね。 籠をつけると、えらく重くなってしまうのです。 何も入れる所がないとさすがに不便なので、100円ショップで、小物を入れるバックを買って来て、サドルの下に吊っていますが、小さすぎて、400㏄のペットボトルが漸く収まる程度です。 後の荷台を飾りにしておくのも勿体ないですから、ここに何とか荷物を載せられないかと思うのですが、直接紐で縛っていいような荷物などというのも、そうそう無いものなのです。


  他に、錠もついていなかったので、100円ショップで、長めの南京錠を買って来て、後輪のスポークと泥除けの支柱の間に掛けて、代用しています。 この種の小物グッズを揃えるには、100円ショップが大変重宝します。


  そういえば、カバーも100円ショップで買ってきました。 休みの日にしか乗らないので、平日は、家の北側の軒下に置いてあるのですが、雨が吹きかかる為、カバーをかけています。 子供自転車用の小さいカバーが、ちょうど良い大きさです。 カバーをかけるようになって初めて気付いたんですが、カバーをかけておくと、自転車って錆びないんですね。 買って一年半もたつのに、錆はほとんど出ておらず、メッキ部分もピカピカです。 どちらかというと安物に属する品なのに、この状態の良さは驚異的。 台風で三回ばかり引っ繰り返って、ついたキズを見なければ、「昨日買ったばかりの新品」と言っても、疑う人は無いほどです。


  もっとも、ただ、カバーをかけておくだけでは不充分でして、その前に、錆びそうな所に、油をたっぷり噴き付けておく必要があります。 ホームセンターに行けば、≪CRC 5-56≫というスプレー式の潤滑油が安く売っていますから、そやつを噴き付けておけばいいのです。 油が垂れたら困るような所は、ボロ布で軽く拭き取りますが、サドルの裏側のスプリングなど、触らないような所は、どっぷり噴き付けて、そのままにしておいてもOK。 メッキ部分は非常に錆やすいのですが、小さな点くらいの錆なら、ボロ布に≪CRC 5-56≫を噴き付けて擦れば、嘘のように落ちます。 ≪CRC 5-56≫は、優れ物なんですよ。 バイクや自転車の整備には、欠かせないアイテムですな。

  自転車のように人目に曝される物は特にそうですが、新品のように綺麗だと、乗っていて気持ちいいですな。 通勤や通学、毎日の買物などに使っている人は無理ですが、たまにしか乗らないような方には、是非カバーをお薦めします。 物置やガレージに入れられれば、もっといいんですが、なかなか自転車用のスペースは空けられないものです。 その点、カバーなら、105円ですからのう。 ちなみに、私が買ったカバーは二度目の冬の寒さでバリバリになり、ほぼ一年で寿命が来てしまいましたが、また同じ物を買って来ました。 なにせ、105円ですから、一年ももてば充分釣りが来ます。