2009/09/06

すっぽ抜け選挙

  後出し主義に則り、今回は総選挙の感想を書くつもりでいたんですが、終わってみると、あまりにも世間の反応が鈍く、実現した政権交代に誰も熱狂していないようなので、すっかり書く気が失せました。 この冷め切った有様を見て、尚、「今回の総選挙の意味」などというテーマで、熱く語ろうという人がいたら、よっぽど律儀な性格か、よっぽど空気が読めないかのどちらかでしょう。

  それを承知で、言わずもがなの事を無理に書きますと、あれほどの圧勝を遂げさせたにも拘らず、民主党政権に誰一人、何の期待もしていないのは、この日本という社会の行き詰まりをよく象徴していると思います。 単に自民党を追い落とす為の選挙だったのは明白で、それさえ実現すれば溜飲が下がるのであり、後の事は考えちゃいなかったのです。

  更に、誰にでも分かりきっている事を敢えて書きますと、自民党の最大の敗因は、古くからの支持者に見放されてしまった事でしょう。 特にまずかったのは、≪東○原氏擁立≫の一件ですな。 言うまでもない事ですが、自民党の支持者というのはコテコテの保守主義者なのであって、彼らにとって国政に参与する政治家とは、一にも二にも、≪偉い先生≫でなければいけないのです。 心から尊敬に値する人物でなければならないのです。 一方、東○原氏のイメージは、その対極にあります。 自民党支持者から見れば、彼は、政治家でも先生でもなく、大学へ行こうが、知事になろうが、単なる≪売れない芸人≫に過ぎません。

  そうそう、ちなみに、東○原氏、知事になって以降、テレビに出ずっぱりですが、イメージの割には、話が面白くない事に気付いた方も多いと思います。 それは当然なのであって、もし、話が面白い人物だったら、芸人として大成していたはずです。 つまらないから、三流で終わったというわけ。 面白い話術を期待するだけ無駄、というか、そもそも無理な相談というものです。

  そういう人物を担ぎ出す動きが見られ、更に、当人が、「総裁にしてくれるなら」などと言った為に、自民党支持者が、軒並み怖気を奮ったのは想像に難くありません。 「冗談はよせ! 他に人がいそうなものだ!」と、改めて見渡して見たところ、党内に尊敬に値する≪先生≫が、ほとんどいなくなっているのに気付いたというわけでしょう。 偉い先生達は、みんな歳を取って引退してしまい、残っているのは、テレビに出たがるだけが能の、どことなく胡散臭い若手ばかり。 保守主義者なればこそ、そういう状況に猛烈な嫌悪感を抱いたに違いありません。

  そうそう、東○原氏、「総裁にしてくれるなら」発言の後、世間の目が、さーっと引いている事に気付いたのか、出馬そのものをやめてしまいましたが、全く的確な判断で、ほんの僅かですが、感心しました。 沈む船に乗り込んで、更に沈没を早めるような馬鹿な真似は避けたわけだ。 そりゃそうだよね。 知事でいれば、それなりの扱いを受けられるけど、衆院に出馬して落選したら、ただの人に逆戻りだものね。

  自民党内では、大敗北の後、党の顔になる人物が誰もいなくなってしまった為に、舛○氏を担ごうという動きが出ましたが、たとえ当人が引き受けたとしても、更に支持者を減らすだけでしょう。 古くからの自民党支持者から見れば、舛○氏も東○原氏も、軽薄感に於いて本質的な違いはありません。 軽薄といえば、麻○氏のアニメ好きも、まずかったですねえ。 古くからの自民党支持者が、アニメや漫画なんぞ、心から軽蔑しこそすれ、≪日本が世界に誇る文化≫などとは、小指の爪の先ほども見做していないのは、金輪際疑いありません。 「ローゼン閣下」などと呼んではしゃいでいたのは、ちいっと頭のおかしいオタク小僧どもだけだったんですな。 何とも、頼りにならぬ味方であったことよ。


  一方、民主党ですが、勝って兜の緒を締めるどころの話ではなく、モスクワを占領したナポレオン軍のような虚脱状態に陥っていると見ました。 あまりに簡単に大勝し過ぎると、喜びが湧くより何より、「一体、これから、どうすればいいんだ?」と、途方に暮れてしまうものです。 恐らく、ナポレオン軍の末路と同様、今後、大ポカを連発するものと予想されます。 選挙前に、マニフェストで、途轍もない大盤振る舞いを約束してしまいましたが、本当に実行するんでしょうかねえ? すべての事が、莫大な資金を必要としますが、それでなくても、借金で押し潰されている国なのに、どこから余分なお金を捻り出すつもりなのか、イリュージョンでも見ている心地がします。

  「無駄を徹底的に減らす」と言いますが、個人に置き換えてみた時、多重債務者が、無駄を減らしただけで、借金を返し終えたなどという事例は、ついぞお目に掛かった事がありません。 道路、鉄道、港湾、空港、河川整備など、公共事業をすべて中止すれば、少なくとも借金がそれ以上膨らむ事はなくなりますが、現実には、そんな事は到底できますまい。 日本経済のお金の流れは、公共事業が原動力になっているので、それをやめるという事は、人体で言えば、心臓を止めるようなものです。 暴走族風に表現すると、「オッサン、死にてーのか?」つー感じ?

  何度も何度も言って来たように、お金というのは、何も無い所から湧いて来たりはしないのであって、必ず、どこかから持って来なければなりません。 民主党政権が、マニフェストを実行する為には、更に借金を増やすか、使う分だけ増税するか、どちらかしか無いのです。 さあ、♪どっちどっちどっち、どっち? ああ、そうそう、もう一つ手があるにはあります。 金融工学を駆使して、無い金をあるかのように見せかけ、投資熱を煽る事です。 実際の価値は増えないけど、動くお金の額は増えます。 ただし、その先には、確実にバブル崩壊が待っています。

  それにしても、民主党のマニフェストには、改めて見ると、冷や汗が流れる物が多いです。 高速道路無料化? マジ? ETC買った人、どうなるの? キャッシュ・バックとかで、補償してくれるの? そんな事ありえないよね。 資本主義だものねえ。 料金所で働いているオッサン達は、全員クビか? まあ、それはそれで、溜飲が下がるような気がせんでもないですが。 ありゃあ、楽そうな仕事だからねえ。

  子育て支援で、バラ撒きをやるつもりらしいですが、それじゃあ、自公政権と変わりがありますまい。 何が腹立たしいといって、独身者や子孫がいない者にとっては、税金を取られるばかりで、何の得も無い事です。 なんで、赤の他人が作ったクソガキの為に、無関係の人間が金を巻き上げられなきゃならんのよ? 理屈の通った説明を用意できるかな? できまいて! 将来の年金納付人口を確保する為? その発想が既に間違っているんじゃないの? 地球環境の保全が世界の潮流になっているのに、たかが一国の年金財政の為に、人口を増やす努力をするなんて、言語道断もいい所ですぜ。 人が一人増えれば、そいつが一生の間に消費する環境資源のせいで、小さな山が丸禿げになる事が分かってるんだろうねえ。

  まあ、こういう事は、自民や公明のマニフェストにも似たり寄ったりの内容が盛られていたわけで、民主党だけを批判するのは不公平ですが、とにかく、どの党が、どんなマニフェストを約束したにせよ、借金は増える一方、環境は悪化する一方で、この国に明るい未来は無いわけです。 感覚的に考えても、多重債務者に明るい未来がある方がおかしいですわなあ。 だから、どーやって、処分するつもりなのよ、800兆円の借金を? 分からんわ。 つもりが分からん。


  どうも、書いていても、ノリが悪いですが、実は私、国内政治って、あまり興味ないんですよ。 国際政治のような緊張感や真剣味に欠けるでしょう? 昨今のテレビで、国内政治をテーマにした討論番組がたくさんあるのが、不思議で仕方ないです。 あんなの、全然面白くありません。 いやしくも、ゴールデン・タイムに、ギトギト脂ぎった政治家を集めて、険々した罵り合いを見せるのは、やめて欲しいです。 仕事が終わって、やっと家に帰って来て、これから寛ごうって時に、そんな反吐が出るような醜い光景、見たかないんですよ。 だーから、テレビ、見なくなっちゃうんですよ。 そんな番組、齧りついて見てるのは、朝から晩まで暇を持て余している年寄りか、ネットで政治論客ぶってる馬鹿小僧どもだけだって。

  おや、脱線してますな。 やっぱ、駄目ですな。 興味が薄い事をテーマに文章を書こうとしても、集中力が高まりません。 何だか、つまらん国だねえ。 スポーツの日本代表が勝ったくらいで、大喜びしている単純な頭の持ち主が羨ましい。 いや、ほんとは、そこまで頭が弱くなったらおしまいだと思っているので、全然羨ましくなんかないんですが。 とにかく、政治は勿論、文化も科学技術も行き詰ってしまって、未来に夢が持てません。

  ノリピー逮捕で狂奔しているマスコミを見るにつけ、絶望的な気分になって来ます。 そんな事のどこがニュースじゃ! 彼女が一線から立ち退いて、楽々十年以上経っているのであって、もはや、ほとんど一般人と変わらんではないですか。 どこへ隠れていただの、誰に勧められただの、そんな瑣末な事はどうでもよろしい! ついこないだまで、見向きもしなかったくせに、まるで、信じていた者に裏切られたみたいな批判の仕方をして、恥かしくないんですかね。 どう見ても、ノリピーよりも、マスコミ各位の方が人間のクズに見えます。 レポーターははなから問題外として、アナウンサー達も、家に帰って家族から軽蔑されてるんじゃないの? とても、誇れる仕事とは思えません。

  おっと、また脱線だ。 あ~、駄目ですな、こりゃ。 国内政治の事を書こうとしても、まるで焦点が定まりません。 私にとって、ほとんど意味が無い事なんでしょう。 やめやめ。