2011/12/11

自転車、後輪タイヤ交換

11月20日の事です。 日曜日の午後の習慣で、折り畳み自転車に乗り、ポタリング、兼、路上観察、兼、写真撮影に出掛けました。 前の晩に、ひと月ほど前からベルトのバックルが壊れていた腕時計を修理し、ありあわせの部品で、復活させる事に成功したので、それを腕に着けて、意気揚々と漕ぎ出したものです。

  そろそろ、北から渡って来ているはずのカモの群を目当てに、三島市にある≪中之郷温水池≫を目指していたのですが、狩野川を渡るために橋に上がる階段に差し掛かった時、後輪から、「プシューッ!」と、勢いよく空気が抜ける音が聞こえました。 パンクです。 ≪レイチェル OF-20R≫で、パンクしたのは、前後輪ともに、これが初めて。

  見てみると、タイヤそのものが擦り切れて、繊維が出ています。 これでは、ちょっとした金属片を踏んでも、容易にパンクしてしまうでしょう。 もうかなり前から、こんな状態だったと思われ、今まで、パンクしないで走っていたのが、不思議なくらいです。 その日も、出掛ける前に空気を入れたのに、全然気付かなかったのですから、我ながら注意力の散漫ぶりに呆れます。


  やむなく、下りて、押して、歩いて帰りました。 家から、20分くらい走った所でしたが、押して帰ると、40分くらい掛かります。 前にも、出先でパンクした事がありますが、こういう時には、最寄りの自転車屋を探したりせず、しおしお押して帰るに限ります。 パンク修理だけでも、1000円以上取られるので、自分でやれる事なら、自分でやった方が、断然、得。 それより何より、私は外出の際、お金を持って行かないので、元より、自転車屋に頼む事はできません。

  もう随分前の事ですが、家族共用だった軽快車でパンクした時、家に電話して、父に車で迎えに来て貰った事があります。 その時は、かなり遠かったので、「押して帰ると、タイヤがボロボロになってしまうのではなかろうか」と、それを恐れたのです。 しかし、迎えに来てもらったはいいものの、何分、普通の軽快車なので、大き過ぎて、そのままでは、後部座席に入らず、車の車載工具で前輪を外したりして、えらい大ごとになってしまいました。 ちなみに、その後の経験でわかった事ですが、人間が乗りさえしなければ、パンクしたタイヤのまま、どんなに長距離を押しても、タイヤやチューブが傷む事は無いようです。

  何とか家に着きましたが、ただのパンクではなく、タイヤも交換しなければなりませんから、おいそれとは、手が出せません。 スポーツ自転車の場合、クイック・リリース機構で、割と簡単に車輪を外す事ができますが、≪レイチェル OF-20R≫は、一般自転車と同じ構造なので、車輪の取り外しは、段違いに厄介になります。 強敵は、チェーンとブレーキ。 変速ギアでないのが、せめてもの慰めですか。


  まず、ネットで、後輪の外し方を調べました。 こういう時、ネットの情報は、実に有益ですな。 殊勝な人がいて、写真入りで、懇切丁寧に解説し、細部のコツまで教えてくれるから、大変ありがたい。 掲示板があれば、お礼の一つも書き込みたいところですが、昨今の個人サイトで、掲示板を残している所は、まずありません。 残念。 メール? いや、それほどの事ではありますまい。

  で、後輪の外し方ですが、予想していた通り、結構面倒臭そうです。 とりあえず、20×1.75のタイヤと、15ミリのレンチ、パンク修理セットの三つが要ります。 15ミリのレンチというのは、自転車の車軸を留めているナットを外すのに使うのですが、特殊な径で、普通のメガネレンチ・セットでは、まず入っていません。

  この時点で、すでに、午後3時を回っていて、その日の内に修理するのは、とても無理と思われたので、患部の写真だけ撮り、折自は一旦、置き場所にしまいました。 空気が抜けている分、右へ傾いてしまうので、物置から板を探して来て、パンクしたタイヤの下に敷きます。 最初、ハーフ厚の煉瓦を敷いたのですが、高くなり過ぎて、左に傾き、倒れそうになったので、厚さ1センチくらいの板に替えたもの。

  近所のホームセンターへ。 タイヤはありましたが、「子供車用」と書いてあります。 サイズは同じなので、折自にも使えると思いますが、はっきり、「子供車用」と謳われてしまうと、何となく、不安になって来ます。 しかも、価格が、1480円! 「安くはないな」を通り越して、「高いんじゃないの?」と感じる値段です。 修理パッチは、バラ売りのが、一枚50円。 工具コーナーへ行くと、15ミリのレンチは、1450円もしました。 ざけんなよ。 五年に一度も使わないのに、そんなに高い物が買えるか!

  次に、100円ショップへ。 100円ショップでも、店によっては、レンチ類を細かく取り揃えている所があるのですが、近所の店には、一本もありませんでした。 まあ、そうそう売れる物ではないから、よほど大きな店でないと、置いてないんでしょうねえ。 自転車コーナーに修理キットがありましたが、金属製のタイヤ・レバーまで入っているタイプで、その分、パッチの枚数が少なかったので、パスしました。 タイヤ・レバーは、父が持っているので、それを借りればいいからです。

  ここで、この日は時間切れ。 手ぶらで家に帰りました。 平日には、何もできませんから、部品・工具の購入も、修理もお預けのまま、一週間、待たなければなりません。 その間に、ネットで、修理方法の予習を繰り返しておこうと思っていたのですが、いざ、仕事が始まると、帰ってから頭を使わなければならないのが負担に感じられて、結局、週末まで、予習はしませんでした。 

  頭は使いませんでしたが、ネット通販でタイヤが手に入らないかは、調べてみました。 Amazonに、2本で1600円、各チューブ付きという商品があり、「これは、お得ではないか!」と、興奮して、買い物カゴに入れたものの、手続きを進める内に、マーケット・プレイス商品で、支払方法に代引きを選べない事が分かり、泣く泣く断念しました。 ちなみに、私は、クレジット・カードは持っていませんし、先払いになる銀行振り込みは、ピーマンより嫌いです。

  タイヤは、週末を待って、ホームセンターで入手する事に決定。 とりあえず、目ぼしい店を回ってみて、他に無いようなら、1480円のを買うしかありません。 自転車専門店では、たぶん、もっと高いでしょう。 そういう事も、平日の会社帰りに、店を回って調べればよかったんですが、面倒臭いので、やりませんでした。 とにかく、平日は、仕事以外の事はしたくないのです。 気が重くなるから。


  さて、11月26日の土曜日です。 この一日で、全て片付けるつもり。 しかし、分解してみなければ分からない事もあるので、計画はもちろん、大まかな予定も立てずに、テキトー&行き当たりばったりで、作業を始めました。

  折自を出して来て、作業場になるカー・ポートの下へ。 まず、地面にダンボールを敷きます。 修理用スタンドが無いので、車体を引っ繰り返して、後輪を浮かせます。 引っ繰り返した時、ハンドルとサドルで、車体を支える事になるので、ハンドルの上に着いているベルが邪魔になります。 そこで、ベルの取り付け基部のネジを緩め、ベル本体を裏側に回しました。

  引っ繰り返したら、まず、後輪のブレーキ・ワイヤーの出代の長さを測り、チェーン引きのボルトは出代の山の数を数えておきます。 これは、修理サイトに、「元に戻す時に、調整しなくて済むように、測っておくべし」と書いてあったから、その通りにしたのですが、私の折自の場合、チェーンも弛んでいて、調整しなければならなかったので、測った意味がありませんでした。 まあ、こういったところは、いい加減にやっても、後でどうにかなりますよ。

  次に、車軸のナットを外します。 例の15ミリのレンチですが、父が以前、軽快車の後輪タイヤを交換したのを覚えていたので、「その時、車軸のナットを、どうやって外した?」と訊いたら、「ボックス・レンチがある」と言うじゃありませんか。 なんだ、うちにあったのか。 それなら、買わないでおいて、応じ合わせ。 で、物置を探したら、そのボックス・レンチが出て来たのですが、真っ赤に錆びており、デザインもごつくて、どう見ても、昭和40年以降に作られたとは思えないような時代物でした。 いや、問題なく、使えましたけど。

  車軸ナットを左右とも取ってしまうと、荷台と泥除けのアームが外せるので、邪魔にならない位置まで、荷台と泥除けのアームをズラします。 スタンドは、取り外します。 次に、ブレーキ・ワイヤーを外し、チェーン引きを外します。 あとは、チェーンをギアから外せば、後輪がブレーキごと外れます。 


  タイヤ・レバーを父から借りて、ホイールからタイヤを外します。 バルブのナットを外して、チューブも取り外します。 ここらで昼になりました。 ちなみに、昼飯は、惣菜トンカツ弁当。

  15年ほど前、原付のオフロード・バイクに乗っていた時の事ですが、路肩を走るせいで、年中パンクに見舞われ、パンク修理ばかりしていました。 その時に買った修理用具が無いか、押入れを探したところ、10枚くらい、修理パッチが出て来ました。 こんなに、どこで買ったのやら・・・。 パッチはそれでよかったんですが、ゴム糊の方がスカスカに気化していて、一滴も残っていませんでした。 これでは、作業不能です。 やむなく、ここで、買い物に出掛ける事にしました。

  車で出発。 近所のホームセンターで、ゴム糊を見ましたが、一本248円もしたので、パス。 以前、タイヤを500円で売っていた、遠くの100円ショップへ。 しかし、タイヤは、もうやめてしまったのか、一本も置いてありませんでした。 糊は二本入りのがありましたが、そんなにあっても使い切れません。 そこで、パッチと虫ゴムが入った、セットの方にしました。 内容は、パッチ4枚、ゴム糊1本、布鑢1切れ、虫ゴム2本。


  更に足を延ばし、近所のとは違う系列のホームセンターに行ったら、なんと、980円で、タイヤが置いてありました。 遠くまで来た甲斐があったというもの。 ホクホク顔で、買って帰りました。 それにしても、ほとんど同じタイヤなのに、1.5倍も値段に差があるのは、どういう事情なんでしょう。 一方がボッタくりなのか、はたまた、もう一方がダンピングなのか。


  帰って、早速、チューブを修理。 穴が開いた部分の一帯に布鑢をかけ、ゴム糊を塗り、5分待って、パッチを貼り、金槌で叩きます。 新しいタイヤをホイールに片側だけはめ込み、チューブを入れてから、タイヤのもう片側をホイールに押し込んでいきます。 この辺りは、手だけでできます。 最後の20センチくらいになったら、タイヤ・レバーを使って、押し込みます。

  おおまかに空気を入れ、タイヤを車体にセット。 順番を思い出しながら、外した部品を組み付けて行きます。 忘れた時のために、バラす前に写真も撮ってありましたが、それを見るまでも無く、何とか、元の形に戻りました。 ブレーキ・ワイヤーの調整は、かなり適当にやっつけました。 まあ、後輪のブレーキは、そんなに役割が重くないから、そんなでも大丈夫でしょう。 手こずったのは、後輪の取り付け角度です。 車体と真っ直ぐにしなければならないのですが、私の折自は、チェーン引きが片側にしかついていないので、微調整が難しく、何度かやり直しました。

  さて、ここまでは、良し。 ところが、自転車の上下を戻して、空気を入れようとしたら、入って行きません。 空気入れのピストンが、押し戻されて、浮き上がって来ます。 青くなりますねえ、こういう時は。 見ると、虫ゴムが、もうボロボロになっていました。 今まで辛うじて持ちこたえていたのが、バルブを外したり戻したりしている内に、限界点を超えた模様。 パンク修理セットに、オマケで入っていた虫ゴムが、早速役に立ちました。 交換して、セットし直すと、今度は、空気が入って行きます。 満タンにして、近所を試し乗り。 直進性は良好です。

  改めて、出来栄え確認をしてみると、バルブのすぐ下の所で、タイヤのビード部分が膨らんでいます。 どうやら、チューブを噛んでいる様子。 空気を抜いて、何度かやり直しても、うまく入りません。 原因不明。 近所の迷惑もあるので、そうそう何度も、空気入れのシュコシュコ言う音を響かせるわけにも行きません。 疲れた事もあって、その日はここまでにして、片付けました。

  夜、タイヤのパンク修理のサイトを読んだら、バルブ付近のチューブ噛み込みは、空気を抜いた状態で、バルブを指で押し込めば直るとの事。 なるほど、その手があったか。 何でも一応、ネットで調べてみるものですな。 それにつけても、この種のサイトは、つくづく、ありがたい。


  翌11月27日の日曜日、朝一番で、タイヤの空気を抜き、バルブを押し込んでみたら、ズボッという感じで、タイヤの中にチューブが入りました。 これで、タイヤのビードが出る事はなくなったのですが、全周を確認してみると、入り具合にムラがあります。 しかし、バルブ付近以外の部分は直しようが無いし、前輪の方にもムラは見られるので、それで良しとしました。

  取り付けてから気付いたんですが、元々ついていたタイヤと、新しいタイヤの、トレッド・パターンが同じでした。 下の写真、左側は、5年目にして、まだ山が残っている、前輪のタイヤ。 右側は、新しく買って来た後輪のタイヤです。 調べてみたら、シンコー株式会社のSR133という製品でした。 前後を見比べる事などありませんが、まあ、違うよりは、同じ方が気分がいいですな。 いやあ、遠くまで行って、本当によかったです。



  タイヤ交換作業の感想ですが、「調べてからやれば、誰でもできないことはない。 でも、時間は掛かるし、力もそこそこ要るし、調整も必要で、かなり面倒臭い」といったところでしょうか。 自転車屋に頼めば、楽で、しかも安心なわけですが、安くても、3000円くらい取られるそうで、損なのか得なのか、微妙なところ。 もし、家人に経験者がいて、適宜アドバイスが貰え、工具も揃っているというのなら、自分のスキルを上げるために、挑戦してみるのも、一興だと思います。