押しがけ地獄
この世は、起こり得る事は、何でも起きると分かっているものの、あまり、厄介事が続くと、「またかよ! あり得んだろう、この頻度は!」と、驚き呆れる事があります。 「マーフィーの法則だな」などと笑っていられるのは、対処にお金がかからない場合だけですな。
というわけで、バイクが、また壊れました。 ついこないだ、シートの表皮を張り替えたばかりなのに、その皺も伸びきらない内に、まーたです。 さすがに、10年を超えると、こんなものか。 結構、大事に乗っているつもりだから、尚の事、ショックが大きいです。
先々週、7月24日、火曜日の事です。 いや、遅番が終わった後ですから、すでに、25日の水曜日になってましたな。 時間は、午前3時頃。 仕事が終り、駐輪場まで戻って来て、バイクに跨り、キーをオンにしたんですが、メーターの横に付いている、ニュートラル・ランプの緑色が、やけに暗い。 セル・ボタンを押すと、シートの下の辺りで、「カタカタカタ」と弱弱しい音がするだけで、セルが回りません。
顔色、真っ青です。 バッテリーが上がっているのです。 同じような症状は、先代のバイクの時にもあったんですが、それは、家にいる時でした。 家にいる時だったから、押して、バイク屋へ持って行って、「ああ、こりゃ、バッテリーが寿命だね」と言われて、交換してもらって、それで済んだのです。
ところが、今度は、会社の駐輪場で起こってしまったわけで、これは、由々しき事態です。 家まで、20キロもあるのに、どうやって帰ればいいのか・・・。 しかも、夜中の3時です。 もっとも、昼間だったとしても、私は、会社にお金を持って行かない主義の人間なので、電車賃もバス代もありゃしなかったわけですがね。 タクシー? 冗談でしょう。 そんな大金を使うくらいなら、朝を待って、父に車で迎えに来てもらいます。
真っ青になったまま、思案する事、一分。 とりあえず、やれる事はやってみようと思って、押しがけを試してみました。 駐輪場は、駐車場の出口脇にあるのですが、出口の手前が、ちょっとした下り坂になっているので、そこで、決行。 押しがけなんて、先々代の原付の時以来だから、18年ぶりです。
やり方をすっかり忘れていたのですが、勢いをつけて、バイクを押し、クラッチを繋いだら、なんと、一発でかかりました! 不幸中の幸いとはこの事か! 大急ぎで跨り、エンジンが止まらないように、回転を上げ気味にして、発進しました。 よしよし、これで、何とか、家まで帰れるぞ。
ところがです。 エンジンは問題なく回り続けているものの、ヘッド・ライトが、どんどん暗くなって行きます。 最初は、気のせいかと思いましたが、地面を照らす光芒が、次第に薄くなり、フロント・フェンダーしか映し出せていない状況に至り、事の重大さを認めざるを得なくなりました。
バッテリーが上がっている事は、すでに分かっていますが、ダイナモからの電気が入っていないので、充電されず、バッテリー内に残っている電気が減る一方なのでしょう。 ただし、これだけでは、バッテリーが悪いのか、ダイナモが悪いのか、判断できません。
バイクには、ダイナモとライト類が直結されているタイプと、間にバッテリーを介しているタイプがあり、ダイナモが正常で、発電はされていても、バッテリーが電気を受け付けない場合、やはり、同じような症状が出るからです。
後ろを振り向くと、テール・ランプも、風前の灯。 ブレーキをかければ、ブレーキ・ランプが点くので、ちょっと明るくなりますが、まさか、ブレーキをかけたまま、走るわけにもいきません。 そして、そのブレーキ・ランプも、じわじわ、暗くなって行きます。
幸い、通勤経路は、街灯が多い道路ばかりなので、走る上で支障は無いのですが、私がよくても、周りはよくありません。 無灯火で、普通に走られてたまるか。 幹線道路は何とかごまかし、家の近くまで来ると、いよいよ、ライトが真っ暗になってしまったので、コースを変えて、細い道に入りました。 夜中でも、パトカーは流しているので、見つかったら、即、整備不良で切符を切られてしまいます。 ヒヤヒヤですな。
どうにかこうにか、家に到着。 うーむ、つい、45分前まで、顔面蒼白で絶望の断崖に立っていた事を思うと、よく、帰って来れたものじゃて。 帰るなり、バッテリーを外しておきました。 これは、朝になったら、すぐにチャージできるようにするためです。
ちなみに、私のバイクのバッテリーは、バイクを買った時から、一度も換えていないので、すでに、十年が経過しています。 メーカーは、GSバッテリー(日本電池)。 型番は、≪GT6B-3≫。 先代のバイクでは、5年でいかれてしまったので、2倍もった事になります。 それは、偉い。 しかし、壊れたのは、困る。
眠る前に、ネットで、バッテリーの型番を検索すると、厄介な事が分かりました。 GSバッテリーの≪GT6B-3≫は、私がバイクを買った2年後、つまり、2004年ですが、GSとユアサの経営統合に伴って、生産中止になり、その後、≪YTZ-7S≫という後継製品が売られているものの、端子形状が違うので、そのままでは着かないとの事。 よりによって、なんで、そんなバッテリーが積まれているのか・・・。 マーフィーの祟りか?
普通、遅番の週は、朝の4時頃に帰って来て、昼まで寝ているのですが、新しいバッテリーをホーム・センターに買いに行くため、その日は、9時に起きました。 出かける前に、父から、充電器を借りて、古いバッテリーをチャージしておきます。 もし、店に無かった場合、それをつけて、出勤しなければなりませんから。
チャージしておいて、応じ合わせ。 店に行ったら、古河バッテリーの製品しか置いてなくて、調べて来た型番が無駄になりました。 古河にも、互換品があるはずですが、どれがどれだか、見ただけでは分かりません。 しかも、みんな、高い高い。 1万2万は当たり前。
という書き方をすると、古河の製品が特別高いように聞こえるかもしれませんが、ネットで調べたところ、GSユアサの≪YTZ-7S≫も、1万円くらいするらしいです。 高いなあ。 冗談じゃない。 十年選手のバイクに、そんな高いバッテリーを積めるもんですか。
家に戻り、あれこれ、迷っている暇もなく、ネットで、安いバッテリーを注文する事にしました。 アマゾンで、1330円、送料無料というのを探し出し、さっさと注文。 メーカーは分かりませんが、≪CTZ-7S≫という製品名です。
昔、車に乗っていた頃、自動車用品店で、千円のバッテリーを買って来て、半年もしない内に、いかれてしまった事がありますが、それは、開放式バッテリーだったので、メンテナンス・フリーのバッテリーなら、どんなに安い品でも、そんなに早くは死ぬまいと踏んだのです。 ほぼ、毎日乗るので、使用環境も良い事だし。
新しいバッテリーを注文する一方で、古いバッテリーをチャージします。 父の充電器ですが、冷却ファンが付いていて、電気製品のくせに、妙にうるさい。 しかも、「充電完了ランプが点いた後も、2時間、充電を続けよ」と、説明書に書いてあります。 もうちょっと、静かならいいんですがね。 玄関で充電しつつ、私は仕事に備えて、睡眠を取ります。 平日に、こういう事をやっていると、体力的に、大変きつい。
仕事に出かける前に、バッテリーを充電器から外して、バイクにセット。 ニュートラル・ランプは、昼間でも見えるくらい、はっきり点き、セルも回りました。 お、いけるじゃん。 これなら、父の車を借りなくても、バイクで出勤できるぞ。 よしよし。
いやいやいや! 「よしよし」じゃない! ちっとも、よくないぞ! 充電できるという事は、バッテリーが生きているという事ですから、バッテリーが上がった原因は、他にあるという事になります。 もしや、ダイナモか? それは、怖い! バッテリー交換なら、自分でできますが、ダイナモの交換なんて、エンジンのクランク・ケースを開けなければならないですから、とても、私の手には負えません。 前夜に続き、二度目の、顔色真っ青です。
しかし、ダイナモがいかれたかどうかは、とりあえず、新しいバッテリーに交換してから判断しても、遅くはありません。 問題の解決方法には、順序というものがあるのであって、一歩一歩進めて行かなければ、無駄手間・無駄金の元になります。 急いては事を仕損ずるというもの。
で、その日は、チャージした古いバッテリーで出勤しました。 行きは、明るいので、何の問題もなし。 ちなみに、遅番の週の出勤は、午後3時頃です。 帰りは、ヒヤヒヤしながら、駐輪場に戻って来ましたが、キーをオンにすると、ニュートラル・ランプが、普通に点きました。 よし、これはいけそうだ。 セルも回って、エンジンもかかりました。
「おっ、もしかしたら、バッテリーのチャージで直ったのかな?」
と、軽薄に喜んだのも束の間、走り出すと、またまた、ヘッド・ライトが、少しずつ、暗くなって行きます。 駄目か、やっぱ! そりゃそうだわな。 チャージしただけで直るなら、JAFはいらんわなあ。 いや、タクシーですら乗らない私に、JAFは端から無縁ですが。
それでも、その晩は、家に着くまで、何とか、ライトの電力がもちました。 途中、信号待ちで停まっていたら、後ろにパトカー(先代マーチ)が着き、どっと冷や汗が噴き出したものの、警官に何も言われない程度の明るさは保ったまま、家に辿り着いたというわけ。
翌日の昼頃、アマゾンに注文した新しいバッテリー、≪CTZ-7S≫が、届きました。 早いな、異様に。 注文してから、正味一日しか経っていないのだが。 しかし、ネットで調べた通り、端子の形が違うので、そのままでは着けられません。 平日では、加工している暇がないので、週末を待つとして、その日は、前日と同じように、古いバッテリーに、チャージして、出勤しました。
その日の帰りも、問題なく、家まで、帰り着きました。 ところが、最終日の金曜が悪かった。 油断一秒、怪我一生。 驕れる者は久しからず。
「毎日、チャージしなくても、二日くらい、もつんじゃないの?」
祇園精舎の鐘の声。 平家に非ずんば人に非ず。 この世をば我が世とぞ思う望月の欠けたる事も無しと思えば・・・、もういいか。
で、金曜だけ、チャージしないで、出勤したら、帰りが駄目だったんですな。 火曜の夜と全く同じ状態になってしまいました。 この件で、三度目の、顔色真っ青です。
しかも、押しがけが、うまく行きません。 火曜と同じようにやっても、かからないのです。 よく、考えてみると、火曜は、キーをオンにしたままで、押しがけに移行したわけですが、金曜は、一旦、キーをオフにしてしまったので、クラッチを繋いでも、何も起こらないのが当然で、かかるわけがないんですな。
「あー、そりゃ、当たり前じゃないか! 何をやってるんだ!」
と、坂を押して上がり、キーをオンにして、もう一度やり直しました。 しかし、それでもかからない。 坂を上るエネルギーが惜しくなり、そのまま道路に出て、家の方に向けて進みながら、押しがけを繰り返します。 夜中とはいえ、真夏なので、暑い暑い。 7回くらい、やり直しましたかね。 途中、ローからセカンドに変えましたが、それが良かったのかどうかは不明。
とにかく、300メートルくらい行った所で、ようやく、エンジンがかかりました。 しかし、ライト類は、最初から、ほぼ真っ暗です。 いいのか、こんな状態で、バイクに乗って。 いや、他に帰る手段が無いから、否が応でも乗りますがね。
幹線道路は、大型トラックの後ろに着いたりして、何とか、ごまかせましたが、沼津市内に入ると、警察署の前を通らなければならない事もあり、さすがに、乗っていられなくなりました。 やむなく、下りて押す事に。
2キロくらい、ありましたかねえ。 糞暑い中を、汗だくだくで、押した押した。 熱中症で、死ぬかと思った。 途中、挫けて、エンジンをかけようとしましたが、3回試して、3回ともかかりませんでした。 押して走った分、疲れただけ。
何とか、家に着いたものの、もう、押しがけには、ほとほと懲りました。 何としても、バイクを正常な状態に戻さねばなりません。 しかし、まだ、私の受難は続いたのです。
長くなり過ぎたので、以下、次回に続きます。
というわけで、バイクが、また壊れました。 ついこないだ、シートの表皮を張り替えたばかりなのに、その皺も伸びきらない内に、まーたです。 さすがに、10年を超えると、こんなものか。 結構、大事に乗っているつもりだから、尚の事、ショックが大きいです。
先々週、7月24日、火曜日の事です。 いや、遅番が終わった後ですから、すでに、25日の水曜日になってましたな。 時間は、午前3時頃。 仕事が終り、駐輪場まで戻って来て、バイクに跨り、キーをオンにしたんですが、メーターの横に付いている、ニュートラル・ランプの緑色が、やけに暗い。 セル・ボタンを押すと、シートの下の辺りで、「カタカタカタ」と弱弱しい音がするだけで、セルが回りません。
顔色、真っ青です。 バッテリーが上がっているのです。 同じような症状は、先代のバイクの時にもあったんですが、それは、家にいる時でした。 家にいる時だったから、押して、バイク屋へ持って行って、「ああ、こりゃ、バッテリーが寿命だね」と言われて、交換してもらって、それで済んだのです。
ところが、今度は、会社の駐輪場で起こってしまったわけで、これは、由々しき事態です。 家まで、20キロもあるのに、どうやって帰ればいいのか・・・。 しかも、夜中の3時です。 もっとも、昼間だったとしても、私は、会社にお金を持って行かない主義の人間なので、電車賃もバス代もありゃしなかったわけですがね。 タクシー? 冗談でしょう。 そんな大金を使うくらいなら、朝を待って、父に車で迎えに来てもらいます。
真っ青になったまま、思案する事、一分。 とりあえず、やれる事はやってみようと思って、押しがけを試してみました。 駐輪場は、駐車場の出口脇にあるのですが、出口の手前が、ちょっとした下り坂になっているので、そこで、決行。 押しがけなんて、先々代の原付の時以来だから、18年ぶりです。
やり方をすっかり忘れていたのですが、勢いをつけて、バイクを押し、クラッチを繋いだら、なんと、一発でかかりました! 不幸中の幸いとはこの事か! 大急ぎで跨り、エンジンが止まらないように、回転を上げ気味にして、発進しました。 よしよし、これで、何とか、家まで帰れるぞ。
ところがです。 エンジンは問題なく回り続けているものの、ヘッド・ライトが、どんどん暗くなって行きます。 最初は、気のせいかと思いましたが、地面を照らす光芒が、次第に薄くなり、フロント・フェンダーしか映し出せていない状況に至り、事の重大さを認めざるを得なくなりました。
バッテリーが上がっている事は、すでに分かっていますが、ダイナモからの電気が入っていないので、充電されず、バッテリー内に残っている電気が減る一方なのでしょう。 ただし、これだけでは、バッテリーが悪いのか、ダイナモが悪いのか、判断できません。
バイクには、ダイナモとライト類が直結されているタイプと、間にバッテリーを介しているタイプがあり、ダイナモが正常で、発電はされていても、バッテリーが電気を受け付けない場合、やはり、同じような症状が出るからです。
後ろを振り向くと、テール・ランプも、風前の灯。 ブレーキをかければ、ブレーキ・ランプが点くので、ちょっと明るくなりますが、まさか、ブレーキをかけたまま、走るわけにもいきません。 そして、そのブレーキ・ランプも、じわじわ、暗くなって行きます。
幸い、通勤経路は、街灯が多い道路ばかりなので、走る上で支障は無いのですが、私がよくても、周りはよくありません。 無灯火で、普通に走られてたまるか。 幹線道路は何とかごまかし、家の近くまで来ると、いよいよ、ライトが真っ暗になってしまったので、コースを変えて、細い道に入りました。 夜中でも、パトカーは流しているので、見つかったら、即、整備不良で切符を切られてしまいます。 ヒヤヒヤですな。
どうにかこうにか、家に到着。 うーむ、つい、45分前まで、顔面蒼白で絶望の断崖に立っていた事を思うと、よく、帰って来れたものじゃて。 帰るなり、バッテリーを外しておきました。 これは、朝になったら、すぐにチャージできるようにするためです。
ちなみに、私のバイクのバッテリーは、バイクを買った時から、一度も換えていないので、すでに、十年が経過しています。 メーカーは、GSバッテリー(日本電池)。 型番は、≪GT6B-3≫。 先代のバイクでは、5年でいかれてしまったので、2倍もった事になります。 それは、偉い。 しかし、壊れたのは、困る。
眠る前に、ネットで、バッテリーの型番を検索すると、厄介な事が分かりました。 GSバッテリーの≪GT6B-3≫は、私がバイクを買った2年後、つまり、2004年ですが、GSとユアサの経営統合に伴って、生産中止になり、その後、≪YTZ-7S≫という後継製品が売られているものの、端子形状が違うので、そのままでは着かないとの事。 よりによって、なんで、そんなバッテリーが積まれているのか・・・。 マーフィーの祟りか?
普通、遅番の週は、朝の4時頃に帰って来て、昼まで寝ているのですが、新しいバッテリーをホーム・センターに買いに行くため、その日は、9時に起きました。 出かける前に、父から、充電器を借りて、古いバッテリーをチャージしておきます。 もし、店に無かった場合、それをつけて、出勤しなければなりませんから。
チャージしておいて、応じ合わせ。 店に行ったら、古河バッテリーの製品しか置いてなくて、調べて来た型番が無駄になりました。 古河にも、互換品があるはずですが、どれがどれだか、見ただけでは分かりません。 しかも、みんな、高い高い。 1万2万は当たり前。
という書き方をすると、古河の製品が特別高いように聞こえるかもしれませんが、ネットで調べたところ、GSユアサの≪YTZ-7S≫も、1万円くらいするらしいです。 高いなあ。 冗談じゃない。 十年選手のバイクに、そんな高いバッテリーを積めるもんですか。
家に戻り、あれこれ、迷っている暇もなく、ネットで、安いバッテリーを注文する事にしました。 アマゾンで、1330円、送料無料というのを探し出し、さっさと注文。 メーカーは分かりませんが、≪CTZ-7S≫という製品名です。
昔、車に乗っていた頃、自動車用品店で、千円のバッテリーを買って来て、半年もしない内に、いかれてしまった事がありますが、それは、開放式バッテリーだったので、メンテナンス・フリーのバッテリーなら、どんなに安い品でも、そんなに早くは死ぬまいと踏んだのです。 ほぼ、毎日乗るので、使用環境も良い事だし。
新しいバッテリーを注文する一方で、古いバッテリーをチャージします。 父の充電器ですが、冷却ファンが付いていて、電気製品のくせに、妙にうるさい。 しかも、「充電完了ランプが点いた後も、2時間、充電を続けよ」と、説明書に書いてあります。 もうちょっと、静かならいいんですがね。 玄関で充電しつつ、私は仕事に備えて、睡眠を取ります。 平日に、こういう事をやっていると、体力的に、大変きつい。
仕事に出かける前に、バッテリーを充電器から外して、バイクにセット。 ニュートラル・ランプは、昼間でも見えるくらい、はっきり点き、セルも回りました。 お、いけるじゃん。 これなら、父の車を借りなくても、バイクで出勤できるぞ。 よしよし。
いやいやいや! 「よしよし」じゃない! ちっとも、よくないぞ! 充電できるという事は、バッテリーが生きているという事ですから、バッテリーが上がった原因は、他にあるという事になります。 もしや、ダイナモか? それは、怖い! バッテリー交換なら、自分でできますが、ダイナモの交換なんて、エンジンのクランク・ケースを開けなければならないですから、とても、私の手には負えません。 前夜に続き、二度目の、顔色真っ青です。
しかし、ダイナモがいかれたかどうかは、とりあえず、新しいバッテリーに交換してから判断しても、遅くはありません。 問題の解決方法には、順序というものがあるのであって、一歩一歩進めて行かなければ、無駄手間・無駄金の元になります。 急いては事を仕損ずるというもの。
で、その日は、チャージした古いバッテリーで出勤しました。 行きは、明るいので、何の問題もなし。 ちなみに、遅番の週の出勤は、午後3時頃です。 帰りは、ヒヤヒヤしながら、駐輪場に戻って来ましたが、キーをオンにすると、ニュートラル・ランプが、普通に点きました。 よし、これはいけそうだ。 セルも回って、エンジンもかかりました。
「おっ、もしかしたら、バッテリーのチャージで直ったのかな?」
と、軽薄に喜んだのも束の間、走り出すと、またまた、ヘッド・ライトが、少しずつ、暗くなって行きます。 駄目か、やっぱ! そりゃそうだわな。 チャージしただけで直るなら、JAFはいらんわなあ。 いや、タクシーですら乗らない私に、JAFは端から無縁ですが。
それでも、その晩は、家に着くまで、何とか、ライトの電力がもちました。 途中、信号待ちで停まっていたら、後ろにパトカー(先代マーチ)が着き、どっと冷や汗が噴き出したものの、警官に何も言われない程度の明るさは保ったまま、家に辿り着いたというわけ。
翌日の昼頃、アマゾンに注文した新しいバッテリー、≪CTZ-7S≫が、届きました。 早いな、異様に。 注文してから、正味一日しか経っていないのだが。 しかし、ネットで調べた通り、端子の形が違うので、そのままでは着けられません。 平日では、加工している暇がないので、週末を待つとして、その日は、前日と同じように、古いバッテリーに、チャージして、出勤しました。
その日の帰りも、問題なく、家まで、帰り着きました。 ところが、最終日の金曜が悪かった。 油断一秒、怪我一生。 驕れる者は久しからず。
「毎日、チャージしなくても、二日くらい、もつんじゃないの?」
祇園精舎の鐘の声。 平家に非ずんば人に非ず。 この世をば我が世とぞ思う望月の欠けたる事も無しと思えば・・・、もういいか。
で、金曜だけ、チャージしないで、出勤したら、帰りが駄目だったんですな。 火曜の夜と全く同じ状態になってしまいました。 この件で、三度目の、顔色真っ青です。
しかも、押しがけが、うまく行きません。 火曜と同じようにやっても、かからないのです。 よく、考えてみると、火曜は、キーをオンにしたままで、押しがけに移行したわけですが、金曜は、一旦、キーをオフにしてしまったので、クラッチを繋いでも、何も起こらないのが当然で、かかるわけがないんですな。
「あー、そりゃ、当たり前じゃないか! 何をやってるんだ!」
と、坂を押して上がり、キーをオンにして、もう一度やり直しました。 しかし、それでもかからない。 坂を上るエネルギーが惜しくなり、そのまま道路に出て、家の方に向けて進みながら、押しがけを繰り返します。 夜中とはいえ、真夏なので、暑い暑い。 7回くらい、やり直しましたかね。 途中、ローからセカンドに変えましたが、それが良かったのかどうかは不明。
とにかく、300メートルくらい行った所で、ようやく、エンジンがかかりました。 しかし、ライト類は、最初から、ほぼ真っ暗です。 いいのか、こんな状態で、バイクに乗って。 いや、他に帰る手段が無いから、否が応でも乗りますがね。
幹線道路は、大型トラックの後ろに着いたりして、何とか、ごまかせましたが、沼津市内に入ると、警察署の前を通らなければならない事もあり、さすがに、乗っていられなくなりました。 やむなく、下りて押す事に。
2キロくらい、ありましたかねえ。 糞暑い中を、汗だくだくで、押した押した。 熱中症で、死ぬかと思った。 途中、挫けて、エンジンをかけようとしましたが、3回試して、3回ともかかりませんでした。 押して走った分、疲れただけ。
何とか、家に着いたものの、もう、押しがけには、ほとほと懲りました。 何としても、バイクを正常な状態に戻さねばなりません。 しかし、まだ、私の受難は続いたのです。
長くなり過ぎたので、以下、次回に続きます。
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