2012/08/19

レギュレーターって、何?

  前回、遅番の仕事帰りに、またまた、バッテリーが上がり、押しがけして、沼津市内まで帰って来たものの、無灯火で警察署の前を通る度胸はさらさら無く、そこから、2キロ以上、押して帰って、汗だくだくになったというところまで書きました。

  ちなみに、その日は、家に着いたのが、4時10分頃で、風呂と食事の後、ロンドン五輪の開会式を見ましたから、この出来事があったのは、7月28日の朝の事になります。

  半日眠り、午後から活動を始めました。 アマゾンで買った新バッテリーを、充電器でチャージします。 交換の方は、後回し。 もう週末なので、バイクに乗る事は無いわけで、急いでやる必要はありません。 夕食後、ようやく、やる気になり、ペンチ、ラジオ・ペンチ、プライヤーを揃えて、端子金具の加工に取り掛かりました。

  どうして、加工が必要なのか、ちょっと説明しますと、私のバイクに純正で着いていた、GSバッテリーの≪GT6B-3≫は、すでに生産中止になったのですが、その後継機種であるGSユアサの≪YTZ7S≫は、バッテリー端子の大きさが、一回り大きいのです。 バイク側のコードに着いている端子金具は小さいので、大きい端子には被せられません。

  その対策の為に、≪YAMAHA セロー225用取付アダプター≫という部品が売っているんですが、これが、1500円以上します。 高ーい! 要は、電気接点を設けてやればいいだけの事で、一点、触れていればいいだけなのに、たったそれだけの為に、専用部品を買いますかね?

  そもそも、一バイクメーカーの、一車種の、一時期作られていただけのモデルを所有しているユーザーなど、ごくごく限られていると思うのですが、更に、その人達が、バッテリーを新しくする時にだけ必要な部品が、大きな顔をして、市場に出回っているというのが、奇妙奇天烈、奇怪至極。 どこまで、ニッチなのか。 いや、だからこそ、指で摘み上げられるほどの、ちょっとした金属部品でありながら、1500円もするのだと思いますが。

  そんな物に払う金はないので、端子金具を捻じ曲げて、無理やり広げ、新しいバッテリーの大きな端子に、被せられるようにしてしまおうと考えました。 端子金具は、コードが着いている一辺を除く、三辺が下向きに曲げられ、三方から端子を覆うようになっているんですが、その内、一辺を開き、それまでより、外側の場所で曲げ直しました。

  ボルトを通す孔の大きさにゆとりがあるので、それでも入るだろうと思っていたら、果たして、うまく入りました。 些か強引ですが、着けばいいんですよ、着けば。 マイナス側、プラス側、両方とも同じように加工して、新しいバッテリーに取り付けます。 キーをオンにすると、ニュートラル・ランプが点灯。 セルが回り、エンジンがかかり、ヘッド・ライトも頼もしい明るさで光りました。

  よしよし、これで、よし。 とりあえず、できる事は、全てやりました。 バッテリーが原因でない場合も考えられ、実は、その線の方が濃厚であったものの、一応、バッテリーも疑わしいわけですから、交換して様子を見る過程は必要なのです。

  土曜の夕方に交換し、日曜は全く乗りませんでした。 乗れば乗るほど、電気が溜まるというなら乗りますが、もし、ダイナモがいかれている場合、逆に、乗れば乗るほど、電気が無くなってしまうので、休みの日に乗っても無意味。 本番の通勤で試すのが一番無駄が無いという事になってしまうのです。

  と、こ、ろ、が・・・・。

 月曜の朝に出勤しようとしたら、もう駄目だったんですな。 出がけに、家で確認した時には、ニュートラル・ランプが点いたんですが、大通りまで押して行って、エンジンをかけようとしたら、もう、いけません。 ニュートラル・ランプは、ぼうっとしか光らないし、セルも回らない。

  うっわ、また、駄目か! 落ち込みはしたものの、悩んでいる暇は無いので、また、押しがけ。 幸い、すぐにかかりましたが、ヘッド・ライトは点きません。 ただ、その週は、早番ですから、行きも帰りも、明るい中を走るので、警察に遭遇しても、咎められる事は無いでしょう。 「バイクは昼間もライト・オン」とは言うものの、点けないでも、違法ではありませんから。 ブレーキ・ランプが付かないので、後ろについた車は困りますが。

  事ここに至って、自力で直そうという意欲は、がっくり潰えました。 ぽっきり折れました。 いくら安物と言っても、新品のバッテリーが、たった二日で死ぬわけがないのであって、この故障の原因が、バッテリーの寿命でなかったのは、もはや、疑いがありません。

  土曜の夕方から月曜の朝まで、全く動かさなかったにも拘らず、上がってしまったという事は、放電してしているんですな。 それは分かりましたが、放電箇所が分かりません。 テスターなんか持っていないので、調べようも無し。 部品が壊れているとしたら、バッテリーでなければ、ダイナモしか思いつきませんが、それは、私の手に余ります。

  ネットで調べると、ダイナモを自力交換する剛の者もいるようですが、シートの張り替えに比べると、遥かに難易度が高いようで、数えるほどしか見当たりません。 クランク・ケースを開けなければならないというが、高いハードルですな。 たとえ、自力交換できるとしても、部品は、ディーラー・ルートでしか手に入らないわけで、どうせバイク屋に頼むなら、交換も任せてしまった方が、素人がやるより、確実です。 お金はかかるでしょうが。

  で、その日、押しがけして帰って来ると、早々に夕食を済ませ、バッテリーを古い方に戻しました。 端子金具を無理やり広げた状態で、バイク屋へ持っていくわけには行きませんから、元に戻さなければならなかったのです。

  また押しがけして、明るい内にバイク屋へ向かいました。 店長に症状を話すと、「ダイナモか、レギュレーターだね」と、即座に診断。 バイクは入院と相成りました。 ダイナモかレギュレーターがいかれると、バッテリーの電気を、どんどん吸ってしまうのだそうです。

  いやあ、しかし、今度も、お金がかかりそうですなあ。 1万か、2万か、3万か・・・、5万を超えたら、去年の点火系統の修理代と合わせて、10万円の大台に乗ってしまいます。 このまま、直しながら乗り続けるか、思い切って買い換えるか、決断の時は、徐々に迫って来ているようです。


  代車を借りて来ましたが、今回は、125ccが出払っていて、やむなく、50cc。 50の原付に乗るのは、16年ぶりくらいです。 実質で、時速40キロしか出せないのがきつい。 ちなみに、速度警告機能が付いていて、35キロを超えると、赤ランプが点灯します。 分かり易いけれど、いささか鬱陶しい。

  翌朝から原付での通勤が始まりました。 時速40キロの制限は予想以上に厳しく、走っても走っても会社に着かない、悪夢のような通勤になりました。 帰りも同様。 交通量が多い国道246号が、非常に怖い。 よく、こんなのを日常的に使っている人がいますねえ。 命が幾つあっても足りません。

  帰路に、片側三車線で右折しなければならない所があるのですが、一番右の車線に入る時が、怖い怖い。 時速40キロじゃ、絶対、無理。 その時だけ、50キロくらい出してますが、後ろに警察車両がいたら、アウトですな。

  そもそも、30キロ制限がある原付で、車と混じって走るのが無理なんですよ。 さっさと、禁止してしまえばいいものを。 50ccなんてカテゴリーがあるのは、日本だけでしょう。 外国では、最低でも、100ccくらいです。 そのくらい排気量がないと、車についていけないからです。


  土曜になっても、バイクは、まだ、直りません。 交換されるであろう部品の値段を、ネットで調べたら、最悪、5万円くらい行ってしまいそうな事が分かり、猛暑にも拘らず、どっと冷や汗が・・・。 それでも、直れば、使えるようになるわけですが、いつ、次の大きな故障が起きないとも限らないのが、厄介なところ。

  遅くて危険とはいえ、50ccの原付でも通える事が分かったので、「いっそ、10万円くらいのメット・イン・スクーターに買い換えてしまっては?」とも思っているのですが、排気量が小さくなると、会社から出る交通費も減るので、長い目で見ると、金銭的な得はありません。

  さりとて、250㏄や、125ccの新車を買ってしまった後で、勤め先の工場が閉鎖されたなんて事になったら、バイクの使い道がなくなってしまいます。 困った事です。


  日曜の午後、外出から帰ってきたら、バイク屋から電話で、直ったとの事。 夕食後に、取りに行きました。 壊れていたのは、レギュレーターという電装部品で、タバコの箱をちょっと長くしたくらいの大きさの物でした。 本体の値段は、13200円ですが、交換工賃や、バッテリーの取付工賃、消費税が加わって、合計、16380円でした。

  もし、ダイナモが壊れていたら、楽にその倍は行ってしまった事を思うと、恐れていたよりも、遥かに安く上がったわけですが、それ以前に、もし壊れなかったら、一円も払わずに済んだわけで、得か損かといえば、やはり、損なんでしょうなあ。 もう古いバイクなので、修理代は必要経費と考えれば、多少の慰めにはなりますか。

  レギュレーターという部品がある事は、実は初耳だったんですが、調べてみると、ダイナモで発生する交流電気を、直流に直し、加えて、その電圧を調整する機能を受け持っている部品らしいです。 正式名称は、≪レギュレート・レクチファイア≫。 小さいけれど、これが壊れると、今回のような、惨憺たる有様になってしまうんですなあ

  ちなみに、アマゾンで買ったバッテリーですが、バイク屋に持ち込んで、それに積み替えて貰ったので、無駄にはなりませんでした。 もし、バイク屋で、新品純正を取り付けられてしまったら、プラス1万円は取られた事でしょう。

  例の、端子の大きさ違いの問題ですが、専用アダプターではないものの、似たような形の代用端子を挟んで、端子金具の方は、ノーマルのままで、取り付けてありました。 さすが、プロの仕事というところか。 その分の料金は、部品代も工賃も計上されていないので、自分でやった場合より、得をした事になります。

  お金はかかったけれど、とりあえず、直ったのは、ありがたいです。 夏休みに間に合ったのは、頂上。 去年は、夏休みを挟んで3週間も入院していたので、どこへも行けませんでした。 いや、行く気もなかったんですけど。

  ところで、代車の原付ですが、満タンで借りたので、満タンで返したところ、3.25リットル入りました。 火曜から土曜まで、5日間乗って、180キロ走ったので、燃費は、リッター、55.3キロ。 凄い数値ですな。 時速30キロしか出さないから、同じ条件で比較する事はできませんが。

  直って来たバイクは、今のところ、問題ありません。 ライトが点くというのは、ありがたいですなあ。 いや、当然の事なんですが。

  時速70キロまで出せるのはいいんですが、車との間隔を維持するのに気を使うのが玉に瑕。 考えようによっては、路側帯を一途に走っていればいい、50cc原付の方が、気楽かもしれませんなあ。

  以上、バイクのバッテリー・レギュレーター交換記でした。