2012/10/28

結婚のデメリット

  前回、私自身が独身者であるにも拘らず、夫婦の話を書いてしまったのですが、このブログの読者には、私と社会的立場が近い独身者が、かなりの割合を占めていると思われ、もしかしたら、そういう方々に、無用の不安や、無意味な焦りを感じさせてしまったかもしれません。 やはり、フォローをしておいた方が、いいでしょうなあ。

  すでに40歳以上で、人生を折り返してしまった方々は勿論、結婚できない事に最も悩む30代の方々、20代であっても、異性との交際が、「夢のまた夢」のように思える方々、そんな人達に言いたいのですが、既婚者達を羨ましがって、劣等感を抱く必要はありません。 なぜというに、隣の芝生は、必ず青く見えるものだからです。 既婚者側から見ると、独身者の自由な振る舞いが、垂涎の的になっていたりするものです。

  結婚する事には、「合法、且つ、無料の性交渉ができる」、「子供を作れる」、「ほぼ死期が同じくらいになる家族が出来る」などのメリットがありますが、デメリットもあり、その最たるものが、自由の喪失です。 これは、凄まじいまでの精神的破壊を齎します。

  すでに、交際が始まった時点で、それまで、当然のように享受して来た自由の多くを捨てなければなりません。 まず、週末の休みの内、最低でも一日は、交際相手の為に使わなければなりません。 相手の性格によっては、土日連続で引っ張り出される事もあります。

  特に、男性側が、「先週会ったから、今週はいいだろう」なんて言ってると、女性の方は、次第に離れて行ってしまいます。 ≪会う≫という行為は、現実世界での交際に於ける、基本中の基本なのであって、電話やメールで代用できるものではないのです。

  外見も性格も、いい男なのに、仕事が忙しくて、彼女と会えないでいる内、向こうから別れ話を切り出されたという話を聞いた事があります。 女性側からすると、週末に自分に会っていない男が、誰と何をしているのか、さっぱり分からないわけで、疑心暗鬼が増幅していくのでしょう。 相手がどんなに、いい男、いい女でも、会ってくれないのでは、交際になりません。

  週末だけでなく、平日であっても、仕事が終わった後、呼び出される事があります。 くたくたに疲れていて、さっさと家帰って、風呂入って、飯喰って、テレビ見て、寝たいのに、そんな時に、交際相手から連絡があり、「○○で待ってるね」とか言われるわけです。 さあ、行くべきか、断るべきか? その交際を、結婚まで持って行きたいのだったら、無理してでも、行くべきでしょうなあ。

  平日に会う事に負担が大きいのは、相手も承知しているのであって、それでも会いたいというのだから、何か、事情があると見た方が良い。 そりゃあ、行くべきでしょう。 そこが分水嶺で、その時、行かなかったばかりに、以後ふっつり連絡が途絶えた、なんて事になりかねません。

  とっこっろっがっねー・・・、無理して相手に合わせるという事は、文字通り、本当に無理をしなければならないんですよ。 交際相手の中には、精神状態が不安定な人もいるわけで、しょっちゅう、そんな無理な呼び出しが続く事もあります。 ここが、恋愛の厄介なところ。 「互いに協力して、結婚までのコマを着実に進める」のが交際の目的ではなく、その時々の感情で、進んだり戻ったり、時には、横へすっ飛んだり、相手が消えてしまったり、すったもんだの悪戦苦闘を繰り返さなければなりません。

  男性側から女性に近づいた場合、女性側から繰り出される要求は、無限大になる事があります。 「この男は、どこまで私の望みを叶えてくれるか」を試そうとするわけです。 それに従わないと、あっさり逃げて行ってしまいますし、従えば従ったで、一生、従わされる事になります。

  もはや、若い頃の美しさなど、ひとかけらも残っておらず、どう見ても、妖怪としか思えない婆あが、おとなしそうな夫を奴隷のように扱き使っている光景を、間々、目にする事がありますが、その夫は、恐らく、先に声をかけた弱味を握られて、交際が始まった時から、無限の奉仕を続けさせられているんでしょう。 地獄だね。 そんなの、個人の人生じゃないですよ。

  結婚後は、交際期間中以上に、自由な時間が無くなります。 独身時代に楽しんでいた趣味も、一時停止を余儀なくされます。 休日は、当然、一緒に行動しなければなりませんし、平日ですら、一人で、ネットやゲームなんてやってたら、すぐ、喧嘩です。 相手に合わせなければならないので、好きなテレビ番組も見られません。 録画しても、それを見る時間を捻出できんのよ。 ここに至って、配偶者が家にいない時だけが、唯一の息抜きになります。

  子供ができれば、子育てで忙殺されて、自分の遊びどころの話ではありません。 独身時代、≪洒落た大人の趣味≫に興じていた人達は、子連れ家族向けの場所にしか行けなくなって、精神状態に変調を来たすでしょうねえ。 趣味系のブログを読んでいると、子供を女房に押し付けて、一人で命の洗濯に出ている亭主の多い事よ。

「赤ん坊の世話を女房に任せて、てめえは、フット・サルの試合に夢中」

  奥さん、そんな亭主とは、さっさと別れておしまいなさい。 最も協力が必要な時期に、負担から逃げようとしている奴なんか、その後の人生でも、一切、頼りになりません。 あんた、頭の中がガキのまんまの男と結婚したんだよ。

  子育てノイローゼに陥って、来る日も来る日も、「この子さえいなければ、また遊べるのに・・・」なんて思っている母親も、救いようがありませんなあ。 ネグレクト、児童虐待、果ては、子殺し・・・。 なんじゃ、そりゃ? 殺すくらいなら、最初から作るな、ボケ! 一体、何なんだ、お前は? 鬼畜か?

  これまた、頭の中が、ガキのまんまなんですよ。 自分自身がガキのくせに、身の程知らずに、子供なんぞ作るから、母性本能のスイッチが入らず、子供が、自分の幸せを奪う、≪敵≫になってしまうんですな。 こういう女、結局、死ぬまで、ガキのまんまです。 治りません。

「早く結婚し過ぎて、同性の友人達が遊んでいるのを横目に見つつ、自分は子育てに忙殺されて、老け込むばかり。 猛烈な焦燥感に襲われ、子供を置いて、逐電してしまった」

  よくあるパターンですなあ。 その種の焦りは、傍目には分からんでもないですが、亭主はもとより、置き去りにされた子供は、あんたを決して許さないと思うよ。 いつの日か、その子が訪ねて来て、「人間のクズ!」と、口を極めて罵られるのを、覚悟しておくべきだろうねえ。 言い返せないだろう? 言い返したりしたら、激昂した子供に、殺されてしまうかもなあ。

  どこか知り合いが一人もいない土地で、新生活を始めても、どうせ、また、男が近づいてくれば、交際するんだろう? だって、遊び足りないがために、家族を捨てて来たんだからねえ。 で、また、子供が出来るわけだ。 同じ事を繰り返してるだけじゃん。 結局、あんたは、そんな事しかできない人生なんだよ。


  失う自由は、時間的なものだけではありません。 結婚した後に、強烈な破壊力を見せつけるのは、お金の問題です。 結婚を目前にした男性諸君、分かっているとは思いますが、君らの稼いだ給料は、結婚を境に、君らが使える物ではなくなるのですよ。 大抵は、小遣い制になり、月5万なら多い方、3万で普通、1万円というのも聞いた事があります。 ちなみに、5万、3万の場合、昼食代込みです。

  他は全部、家計に吸い上げられます。 妻が働いている場合、その収入は家計に全額直行するので、「小遣いがあるだけ、男の方がマシ」のように見えますが、その実、妻側は、全家計を管理する立場にあり、使おうと思えば、貯蓄をあるだけ使えます。 アホな女房が、パチンコに入れ込んで、貯金を全部使ってしまったばかりか、消費者金融に借金までこさえて、後で気付いた亭主が、愕然とするというのは、非常によく聞く悲劇。 いや、喜劇。

  独身時代に、収入のほとんどを使ってしまっていた男性は、いきなり、小遣い制になったら、世の中が真っ暗になったように感じるでしょうねえ。 

「神は死んだ・・・。 俺は、何の為に生きているのか? 確か、幸せになる為に、結婚したと思っていたのだが、これが、俺の望んでいた幸せなのか? 幸福指数は、いくつだ? ブータンへ亡命しようか・・・」

  で、以前にも書きましたが、この、使えるお金の極端な減少が、DVの原因の一つになります。

「俺が稼いで来た金なんだよ! なんで、お前が、服なんて買ってんだよ! お前、一体、俺の何なんだよ! 奴隷を雇ってるご主人様かっ!」

  まあ、怒りは分からんでもないですが、殴る蹴るの暴行に及ぶくらいなら、すっぱり離婚して、独身に戻った方が賢明ですな。 もう、結婚も一度経験したんだし、いいじゃありませんか。 くれぐれも、「他の女なら・・・」とか、思うなよ。 同じだ、同じ。 先手を打って、「結婚後、給料を全額は家計に入れない」なんて言ったら、女の方は、結婚のメリットが少ないと判断して、他の男を探し始めます。


  次の不自由は、配偶者の親との関係です。 あくまで、結婚した相手は、配偶者なのであって、配偶者の親ではないのですが、否が応でも、「お父さん、お母さん」と呼んで、付き合わなければなりません。 配偶者の親との同居なんぞ、現代では問題外になり、その点は、非常に楽になりましたが、それでも、盆暮れには、訪ねて行かねばなりませんし、配偶者の実家で冠婚葬祭があれば、引っ張り出される事になります。

  結婚式はそれほど多くありませんが、葬式や法事、特に法事は、いかに多いか、驚くくらいでしょう。 年に何回、喪服を着る事になるやら。 当然の事ながら、その日は自由に使えないわけで、休みなのに、平日と変わらないくらい疲れる始末。

  冠婚葬祭の用事は、独身者でも、あるにはありますが、親元で暮らしている場合、その家の代表にはならないので、出番は滅多にありません。 一方、結婚して独立し、家の代表になっている場合、あなたが出なければ、他に出る者はいません。 そして、自分の実家と、配偶者の実家の分があるので、単純計算して、2倍の出席頻度になるわけです。

  盆暮れになると、夫の実家に帰省して、滞在している間、実家の家事をやらされるという妻の例を知っていますが、もう、完全に奴隷ですね。 たとえ、仕事をやらされなくても、他人の家に寝泊りして、トイレや風呂も遠慮しいしい入るなんて、想像するだに、ぞーっとします。 よく我慢できるよなあ。 きったならしい! そーまでして、結婚したいか?

  そういや、以前、会社の先輩で、ラーメン屋の娘と結婚した人がいましたが、平日は会社で働いて、休日になると、女房の実家のラーメン屋を手伝いに行くのだそうです。 「どうせ、家でゴロゴロしてるなら、手伝いに行ってよ。 土日は店が忙しいんだから」とか、女房に尻を叩かれるわけですが、冗談じゃねーっすよ。 平日働いて、休日も働くんじゃ、一体、いつ休むんだよ。 奴隷だ、奴隷!

  農家の娘と結婚したとか、農家の次男と結婚したとかも、悲惨ですぜ。 農繁期には、手伝いに行くのが、当然、みたいになりますからね。 何だか、不公平だよねえ。 農家の方は、こっちの仕事が忙しくたって、手伝いに来てくれるわけじゃないのに。 配偶者の実家が農家である場合、作物をただで貰えるメリットもありますが、現代人なら、「そんな物は要らないから、放っておいて欲しい」と思うんじゃないでしょうか。

  それもこれも、惚れた弱味が、事の発端なのです。 自分の方から、相手に接近した為に、主従関係が固定してしまい、一生、頭が上がらないのです。

「結婚してしまえば、こっちのもの」
「釣った魚に餌はやらない」

  ああ、よく聞きますねえ。 しかし、そういうのは専ら、DV亭主のセリフでして、そんな家庭は、結局、破綻します。 どうせ破綻するなら、最初から、結婚なんかしなきゃあいいのに。 金と時間の無駄でしょうが。


  子供が出来た場合、子育てにかかる資金は、膨大なものになります。 小さい内は、それほどではありませんが、学校に上がれば、成長するに従い、学費がどんどん増えて行きます。 大学までやる場合、一人当たり、一千万では、収まらないでしょう。 生涯貯蓄額を比較した場合、独身者は、この負担が全く無いわけで、チョモランマ越えと、平地を行くくらいの、違いがあります。

  まーた、子供の方は、金を稼ぐ事がどれだけ厳しいか知らないものだから、気楽なんだわ。 判で押したように、東京の大学へ行きたがります。 受験用の勉強しかした事がなくて、学問なんぞ全く興味が無いくせに、「とにかく、大学に行きたい!」 具体的な就職先も考えていないくせに、「大学は、東京じゃなきゃ駄目!」 何でか? ただ単に、一人暮らしして、遊びたいからです。 他に理由無し。

  親の方も、高校までの自分の子供の様子を見ていれば、学問に向いているかどうか、分かりそうなものですが、子供が、東大だ、早稲田だ、慶応だ、などと、名が通った大学に行きたがると、自分まで、偉くなったような気分になって、「じゃあ、無理してでも、学費を工面するか」などと、大それた事を考え始めます。 

  だけどねー、無いものは無いんですよ。 たとえ、預金を全部はたけば、どうにか足りたとしても、あんた、そんな事で蓄えを使ってしまって、老後の資金を、どこから、持って来るつもりなのさ? 老後には、奨学金なんて無いんだよ。

  まさか、子供が自分を養ってくれるなんて、期待してないだろうね? 同居なら、家に生活費くらい入れますが、親を養うほど、金を入れる子供なんて、今時、いやしません。 実際、聞いた事がないです。 また、子供は、結婚すれば、確実に出て行って、実家に仕送りなんか、絶対しません。

  結局、老後は、年金と蓄えで暮らすしかないのです。 よく言われる老後に必要な資金の額は、一人3000万円ですが、夫婦だったら、6000万円。 ありますか? 無いよねえ。 「定年後は、夫婦で、海外旅行に・・・」 何を寝惚けているんですか。 そんな、お金、どこにあるんですか? 無いでしょ? 子供の学費で使っちゃったんですよ。


  次。 独身なら必要無いのに、結婚していると病的に欲しくなるのが、マイ・ホームです。 これが、子供の学費以上に怖い。 自分の家を持つ事を、人生の価値基準にしている人は多く、特に、自分自身が、親の持ち家で育った人の場合、自分の家を買う事が、≪自立≫の最終目標になっているケースが多いです。

  で、出て来るのが、≪35年ローン≫なんだわ。 定年から逆算すると、25歳の時に、35年ローンを組むのなら、定年までに払い終えるわけですが、そんなに早く、家を買う人はいません。 25歳では、まだ、結婚もしていないでしょう。 大抵は、30代後半になります。

  するとですな。 35年ローンの内、10年から15年分くらいは、定年後に払う事になります。 ここで、素朴な疑問が湧いて来ます。 

「定年過ぎているのに、そんなに長い年数、一体、どこから、お金を持って来るつもりなのか?」

  冗談じゃないですよ。 定年延長したって、65歳までしか会社にいられませんし、定年前より、収入はガクンと減ります。 再就職するにしたって、そんな年寄りに、現役と同じ給料払う所なんて、無いですよ。 体力や知力の衰えを考えれば、75歳まで働けると思っている方が不思議。 ところが、現実に、70歳過ぎまで終わらない住宅ローンを抱えている人は、信じられないほど、たくさんいるのです。

  小学生低学年でも出来る単純な計算を、大の大人が夫婦二人でしているのに、「何とかなるだろう」と、明々白々に間違えた答えを出しているのには、呆れるやら、驚くやら・・・。 この人達、老後になってから、ローンが払えなくなり、家を取り上げられる事になるでしょうが、どこへ行くつもりなんでしょうね? ちなみに、家を取り上げられても、ローンは残りますから、その先も、地獄の階層は、どんどん下へ落ちていきます。

  独身者でも、住む所は必要なわけですが、大抵は、親の家に住んでいて、親の死後、そのまま引き継ぎますから、取得費用はかかりません。 一人暮らしをしている場合も、アパート住まいなら、一生分の家賃を足しても、マイ・ホームを買うよりは、遥かに安く上がります。 金回りのいい人で、分譲マンションを買うケースもありますが、独身者は、蓄えが多いので、ローンを組まずに、即金で買う事が多いです。 一人で住むなら、狭くてもいいから、値段も安い。


  次。 思いの外、発生確率が高いのは、配偶者の病気です。 死ぬまで、大病をしない人の方が珍しい。 大きな手術なんてザラですし、入院が長期に及び、お金ばかり出て行くなら、まだマシな方で、在宅療養で寝たきりになったりされると、自分の仕事をこなした上に、看病・介護までせねばならず、精根尽き果てます。

  子供の難病も怖いですねえ。 もう、人生変わっちゃいますよ。 こちらも、ちっとも珍しい事ではなく、恐らく、どんな人でも、親戚に一人くらいは、「子供の頃から、ずっと病気」とか、「重い障碍がある」という人がいるのではないでしょうか。

「この子が生まれてくれて、命の大切さを知った」

  それは、掛け値なしの本心だと思いますが、そういう人達でも、

「もし、この子が、健康だったら・・・」

  と、思わなかったという事はないでしょう。 私自身、医学が無ければ命を失っていたような病気を経験していますが、やはり、病気よりは、健康の方がいいです。 つくづく、そう思います。

  病気とは限りませんが、配偶者の親の老後の世話・看取りも、大変です。 実家と縁を切ってしまって、「勝手に死んで」という人も、昨今では増えているようですが、なかなか、そうもねえ。 大体、自分の親ならともかく、配偶者の親にそういう態度は取り難い。 配偶者の信用を、よーく失ってしまうからです。

  また、ポックリ行ってくれる人ばかりではないんだわ。 何年も寝たきりになられると、介護が地獄になってしまうんだわ。 それでも、どんなに厳しくても、放り出すわけには行きません。 独身なら、親は二人ですが、結婚していると、四人。 厳しいなあ。 リレーのように、長い介護と看取りが続いて、何のために結婚したのか分からんような人もいるでしょうなあ。


  最後の大問題。 配偶者が先に死ぬケースです。 子供が、まだ学齢の内に、親のどちらかが死ぬと、いきなり、借金地獄へ堕ちます。 こういう例も、身近で、たくさん見ました。 子供が小学生くらいの時なら、片親でも、何とか踏ん張って、高校までは出させる事ができるのですが、大学へ通わせている時に、そういう事態が発生すると、一気に、お金が足りなくなって、キリキリ舞いする事になります。

  親はもちろん、子供も困り、大学を途中でやめる事になったら、もう大変。 高校とは縁が切れているし、大学はまだ卒業していないしで、学校の進路指導システムを使えないので、就職ができません。 もう、どうしていいやら・・・。 即、ニートですな。

  子供の問題を外して考えても、配偶者に死なれてしまえば、独身者と変わらないのであって、結婚していたという事実は、単に、その人の記憶の中にしか存在しません。 そして、なまじ、配偶者に頼って生きて来ただけに、一人になると、生活能力が足りなくて、困り果ててしまうのです。

  今まで、独身者達の事を、「結婚もできない、出来損ないどもが・・・」と、腹の底でせせら笑っていたような人でも、自分が一人になると、のしかかって来る負担に耐えられず、「どうして、あいつらは、一人で暮らしていられるんだ?」と、軽蔑と羨望が入り混じったような、複雑な眼差しで見始めるようになります。

  まあ、途中で一人になってしまった人というのは、それ以降、どうしても、廃人っぽくなりますねえ。 一方、生涯独身者は、若い頃から、死ぬ寸前まで、生活テンションは、ほとんど変わりません。

  歳を取ってから、配偶者に先立たれた場合も、落ち込みは激しいです。 「後を追うように亡くなる」というケースが、不思議なくらい多いのは、その夫婦の精神的な相互依存度が高かったからでしょうなあ。 生涯独身者から見ると、そういうのは、何となく羨ましいような感じがするかもしれませんが、客観的に見れば、人が死んだのを羨むのは、変な話です。


  結婚のデメリットというと、こんなところですかねえ。 探せば、もっとあると思いますが、もう疲れたので、勘弁して下さい。 これだけのデメリットを、「合法、且つ、無料の性交渉ができる」、「子供を作れる」、「ほぼ死期が同じくらいになる家族が出来る」という、たった三つのメリットだけで、相殺しているのです。 かなり、無理あり。 だから、離婚がうじゃうじゃと発生するのですよ。

  いや、それでも、相手が見つかって、他の条件が許すなら、結婚はした方がいいと思います。 自然な事ですから。 それは、認めます。 だけど、もし、相手が見つからないのであれば、莫大なお金を注ぎ込んだり、犯罪まがいの事をしたりしてまでして、実現しなければならないような事ではないですよ、結婚というのは。

  冒頭にも書きましたが、隣の芝生は青く見えるのであって、既婚者の方が、独身者を羨んでいる事も多いのですから、殊更、劣等感を抱く必要はありません。 人生なんて、人それぞれなんです。 価値観からして違うのに、同じ土俵で勝負したって、意味ないでしょう?

「それでも、子孫を残せるかどうかは、生物の本能として、重大だ」

  そりゃ、そうとも言えますが、そういう大きな話をするなら、人類という生物種は、あと、一万年も続かないと思いますよ。 一万年なんて、宇宙の時間スケールで言えば、一瞬ですが、たったそれだけの間に、現在、地球上で生きている人間の子孫は、一人もいなくなると言うのです。

  人類全体ですら、そんな儚いものですから、あなた一人の子孫が続くか続かないかなんて、無いも同然の悩みじゃありませんか。