2013/07/21

小松左京・文庫本リスト

  例の、小松左京・文庫本、買い揃え計画ですが、沼津、三島、長泉、函南のブックオフを回って、105円の古本を7冊手に入れた後、また、ネットの1円本を週に1冊買うパターンに戻り、進捗ペースがガクンと落ちました。

  沼津の店の内、一軒は、自転車で行ける距離にあるので、その後、もう一度、足を運んでみたのですが、たった一週間で、新しい古本(形容矛盾?)が入っている可能性は、極めて低いのであって、案の定、収穫はゼロでした。 単行本で、≪やぶれかぶれ青春記≫があったものの、550円もしたので、パス。 それに、単行本は、大きくて、置き場所に困るんですわ。

  古本屋の難点は、欲しい本があるとは限らない事と、店舗ごとに運営しているため、一度、そこで買ってしまうと、しばらくは、同じ作家の本が入らない事の二点で、どちらも、コレクションを目的に本を探している者にとっては、極めて、厄介な問題となります。

  昔ながらの古本屋はもちろんですが、システム化が進んだチェーン店であっても、店頭に置いてある古本のデータ・ベース化までは成されておらず、他の店舗にある本を調べてもらう事はできませんし、まして、取り寄せてもらう事など、到底、無理。 105円の捨て値本なら、尚の事・・・。

  最初に行ってから、一週間後、二週間後・・・、くらいまでは、見に行くのですが、新しい古本が入っている事は稀で、その内、面倒になって、諦めてしまいます。 というか、時間が経つと、蒐集熱が冷めてしまうんですな。 随分前に、横溝正史さんの文庫本を集めていて、同じような経験をした事があるので、分かる次第。

  横溝正史作品には、大人になってから嵌まったので、書店で新本を買った事が一度も無くて、全て、古本でしたが、20冊くらいはあると思われるものの、今では、ベッド下の仰向け本棚にお蔵入りしています。 コレクションが、古本だけというのは、あまり宜しくなくて、状態が悪い本の比率が高くなるので、普段目に付く場所にある本棚に並べておくと、貧相、と言うか、汚らしく見えてしまうのです。

  今現在、青年期にあり、好きな作家の文庫本を集めている方々に、老婆心の進言ですが、生涯の宝にするつもりなら、新本を定価で買っておいた方が、後々、嫌気がさす事が無くて、良いかもしれません。 もっとも、今は、文庫本と言っても、値段が高いからなあ。 新本の定価だと、最低でも、500円。 高ければ、1000円以上するのであって、私が若い頃なら、ハード・カバーの単行本が手に入った値段です。

  物価の感覚からすると、バブル後の長期デフレのおかげで、30年前も今も、さほど、変わっていないような気がするのですが、どうして、本の値段ばかりが、こんなに上がってしまったのか、不可解千万です。 相変わらず、国内工場で印刷・製本していて、人件費の高騰分を、全部、価格転嫁して来たんとちゃうか? いや、電子書籍版でも、値段は大差無いから、そういう事情でもないのか。

  今の子供の小遣いは、30年前に比べたら、ずっと上がっていると思いますが、それでも、一冊、千円もする文庫本を、ほいほい買えないでしょう。 私が青年期だった頃は、平均して、300円くらいでしたから、その差は、歴然。 私だったら、500円でも、買う気にならんなあ。 実際、新本の文庫本は、もう、20年くらい買ってませんが。

  本来、文庫本というのは、お金の乏しい青少年に、安価に本を提供し、知識・教養を身につけさせようという目的で創刊されたものだと思うのですが、こんなに高くなってしまったのでは、その趣旨から逸脱してしまっているのではないですかね?


  それらはさておき・・・。 先日、ネットで、安い古本が無いか、渉猟していたところ、些か、ギョッとするような体験をしました。 「小松左京 文庫」で検索していたら、なんと、このブログの記事が引っ掛かってしまったのです。 うーむ、ネットは、広大なようでいて、思わぬところで、狭小だな。 いきなり、「心中宵更新・・・」などと出てくると、驚くではないか。 何となく、後ろめたいではないか。

  で、ふと心配になったのが、その記事に載せていた、文庫本リストです。 あれは、あくまで、私が所有している本のリストでして、小松左京さんの文庫本に、どんなものがあるかを調べている人にとっては、不完全なばかりか、私が購入した日付のような、余計な情報まで載っていて、混乱の元になるような代物。

  まあ、ブログの記事だから、「資料性なんて、あって無いようなもの」と言ってしまえば、開き直るのはわけないこってすが、それではあまりに不親切なので、今回、改めて、小松左京さんの全文庫本リストを載せておこうかと思います。 ただし、私は全てを把握しているわけではないので、やはり、完全な資料とまでは行かないのを、予め、断っておきます。


≪新潮文庫≫
地球になった男
アダムの裔
戦争はなかった
闇の中の子供
時間エージェント
夢からの脱走
物体O
春の軍隊
おしゃべりな訪問者
はみだし生物学
空から墜ちてきた歴史


≪角川文庫≫
日本アパッチ族
ウインク
明日泥棒
見知らぬ明日
ゴエモンのニッポン日記
果しなき流れの果に
牙の時代
最後の隠密
復活の日
見えないものの影
宇宙漂流
青い宇宙の冒険
継ぐのは誰か?
エスパイ
怨霊の国
御先祖様万歳
時の顔
鏡の中の世界
神への長い道
旅する女
模型の時代
青ひげと鬼
三本腕の男
短小浦島
結晶星団
地には平和を
蟻の園
明日の明日の夢の果て
こちらニッポン…(上)
こちらニッポン…(下)
ゴルディアスの結び目
空中都市008
氷の下の暗い顔
雑学おもしろ百科 第1巻
雑学おもしろ百科 第2巻
雑学おもしろ百科 第3巻
雑学おもしろ百科 第4巻
雑学おもしろ百科 第5巻

おもろ放談―SFバカばなし
霧が晴れた時(角川ホラー文庫―自選恐怖小説集)
召集令状
日本アパッチ族 (角川文庫―リバイバルコレクションエンタテインメントベスト20)


≪ハルキ文庫≫
果しなき流れの果に
復活の日
継ぐのは誰か?
エスパイ
ゴルディアスの結び目
首都消失(上)
首都消失(下)
見知らぬ明日
こちらニッポン…
結晶星団
時の顔
物体O
日本売ります
男を探せ
さよならジュピター(上)
さよならジュピター(下)
くだんのはは
高砂幻戯
夜が明けたら
明日泥棒
ゴエモンのニッポン日記
虚無回廊Ⅰ
虚無回廊Ⅱ
題未定
ホクサイの世界 小松左京ショートショート全集1
月よ、さらば 小松左京ショートショート全集2
役に立つハエ 小松左京ショートショート全集3
ふかなさけ 小松左京ショートショート全集4
午後のブリッジ 小松左京ショートショート全集5
虚無回廊Ⅲ
日本アパッチ族


≪文春文庫≫
空飛ぶ窓
夜が明けたら
日本沈没(上)
日本沈没(下)
流れる女
題未定
虚空の足音
時空道中膝栗毛
アメリカの壁
華やかな兵器
恋愛博物館
人間博物館―「性と食」の民族学


≪集英社文庫≫

サテライト・オペレーション
夜の声
一生に一度の月
まぼろしの二十一世紀
猫の首
一宇宙人のみた太平洋戦争
コップ一杯の戦争
遷(せんと)都
ある生き物の記録
小松左京のSFセミナー
偉大なる存在
五月の晴れた日に
読む楽しみ 語る楽しみ
机上の遭遇
明烏 落語小説傑作集


≪徳間文庫≫
飢えなかった男
さよならジュピター≪上巻≫
さよならジュピター≪下巻≫
湖畔の女
ハイネックの女
大阪夢の陣
おれの死体を探せ
日本沈没≪上巻≫
日本沈没≪下巻≫
シナリオ版さよならジュピター
黄色い泉
本邦東西朝縁起覚書
あやつり心中
首都消失[上]
首都消失[下]
神への長い道
果しなき流れの果に
ゴルディアスの結び目
虚無回廊Ⅰ
虚無回廊Ⅱ


≪ハヤカワ文庫≫
エスパイ
果しなき流れの果に
御先祖様万歳
時の顔
鏡の中の世界
継ぐのは誰か?
ある生き物の記録
復活の日
蟻の園
本邦東西朝縁起覚書
神への長い道
結晶星団
五月の晴れた日に
偉大なる存在


≪ケイブンシャ文庫≫
機械の花嫁
犬の犬なら猫も猫
地球文明人へのメッセージ
題未定
夜が明けたら
こちら“アホ課”
ぬすまれた味
黄色い泉
保護鳥
おえらびください
見知らぬ明日
タイムトラベル大阪
こちらニッポン…
継ぐのは誰か?
エスパイ
明日泥棒
ゴエモンのニッポン日記
アメリカの壁
やぶれかぶれ青春記
復活の日
さよならジュピター〈上〉
さよならジュピター〈下〉
遷都
小松左京ショートショート全集①
小松左京ショートショート全集②
小松左京ショートショート全集③
時空道中膝栗毛〈前の巻〉
時空道中膝栗毛〈後の巻〉


≪小学館文庫≫
日本沈没(上)
日本沈没(下)
日本沈没第二部(上)
日本沈没第二部(下)


≪河出文庫≫
小松左京セレクション1 日本
大震災'95
小松左京セレクション2 未来


≪光文社文庫≫
日本沈没[上]
日本沈没[下]
日本アパッチ族
旅する女―女シリーズ完全版


≪講談社文庫≫
妄想ニッポン紀行: 高天原-伊勢-出雲
さらば幽霊―自選短編集
宇宙人のしゅくだい


≪講談社 学術文庫≫
絵の言葉
学問の世界―碩学に聞く


≪講談社 青い鳥文庫 ≫
宇宙人のしゅくだい
おちていた宇宙船
空中都市008
青い宇宙の冒険


≪ポプラ文庫≫
小松左京セレクション1 宇宙漂流
小松左京セレクション2 時間エージェント


≪中公文庫≫
わたしの大阪


≪旺文社文庫≫
やぶれかぶれ青春記


≪双葉文庫≫
日本沈没(上) 日本推理作家協会賞受賞作全集(27)
日本沈没(下) 日本推理作家協会賞受賞作全集(28)



  疲れた・・・。 ハルキ文庫は、角川春樹事務所のサイトで調べたので、確実。 それ以外は、手持ちの本の既刊リストと、アマゾンのデータから抜き出したものなので、これだけではないかも知れません。 一応、各文庫ごとに、発行年月順に並べましたが、それも、確実とは保証しかねます。

  ネット上に、個人の方が作った、小松左京さんの全作品リストが存在しますが、あまりにも、膨大・詳細過ぎて、その中から、文庫本のタイトルだけ選び出すのは至難の業と思い、そちらは、参照しませんでした。 作品数が多過ぎるのも、考えものですなあ。

  各出版社のサイトにも行って、一応、全部、検索をかけましたが、ネット時代の到来以前に絶版になっている本がほとんどなので、データそのものが無いのか、全く、役に立ちませんでした。 自分の所で出した本くらい、全データをネット上に出しておいても、罰は当たらないと思うんですが・・・。

  各社全般に、タイトルごと重複している本が多く見られますが、個別作品では、更に重なり捲り倒しており、これを全部、買い集めると思うと、さすがの私も、道楽気分に興醒めを感じぬでもなし。 やはり、ある程度、選別すべきなのか・・・。 作品が読めればいいと割り切るか、あくまで、完璧なコレクションを目指すか、それが問題だ。

  厄介なのは、短編集の中に、タイトルが同じ本でも、収録している作品が異なるものがある事です。 たとえば、≪時の顔≫の場合、ハルキ文庫版には、角川文庫版には入っていない、【ホムンを故郷を見よ】が含まれています。 この作品、他の文庫には、収録例が無いので、大変貴重なのですが、その事を知らなければ、手に入れられずじまいになりかねないです。

  ハヤカワ文庫は、全て、他社の本と、タイトルが重複していますが、どうも、ハヤカワの方が先に出していたようです。 SFの本舗なので、これは、ちっとも不思議ではないのですが、私個人の経験では、第二次・小松左京ブームの最盛期でも、ハヤカワ文庫の小松作品というのは、本屋で見た事がありませんでした。 出したのが早過ぎて、その頃すでに、絶版になっていたんでしょうか。

  ケイブンシャ文庫が、こんなにあったとはねえ。 他の出版社で絶版になった本を、復刻していたようですが、よほど、小松作品が好きな編集者がいたんでしょうなあ。 うむうむ、気持ちはよく分かりますよ。 そういう、趣味に走った事をしているから、倒産してしまったのかもしれませんが・・・。 いやなに、虎は死んでも皮を残す、出版社は潰れても古本を残す、あなた方のやった仕事は、決して、無駄にはなりませんぞ。

  ちなみに、文庫に拘らないのなら、 城西国際大学出版会が出している、≪小松左京全集完全版≫で、全作品を読む事ができます。 ただし、全47巻で、一冊5000円くらいするので、よほどの金持ちでなければ、とても個人では揃えられますまい。 図書館になら、置いてある所があります。 現在は、まだ、32巻までしか出ていませんが。

  ところで・・・、≪小松左京全集完全版≫で思い出しましたが、これから、小松作品を読むという場合、ショートショートや、評論、紀行文は、後回しにした方がいいです。 ショートショートは、前にも書いたように、面白くないからですが、評論や紀行文も、小説とは全く違う趣きでして、最初にあまりたくさん読むと、うんざりしてしまいます。 また、小松作品には、評論や紀行文が、半端無く多いんだわ。

  お薦めコースは、短編→長編→大長編→ショートショート→評論・紀行文でしょうか。 小松左京さんの事を、長編作家と見做している評者が多いようですが、そういう人は、≪日本沈没≫や、≪復活の日≫、≪継ぐのは誰か?≫あたりから、先に読んだんでしょう。 私は、短編集が最初だったせいか、短編が、最も優れていると思っています。