2014/11/30

軽快車で運動



  岩手で会社を辞め、6月24日に、沼津に帰ってから、かれこれ、5ヵ月になります。 最後に、有休消化期間があったので、正式な退職日は、8月25日でしたが、それから数えても、もう、3ヵ月ですな。 月日が経つのは、早いものです。

  沼津に戻って来た頃には、「落ち着いたら、アルバイトでも探そう」と思っていたのですが、退職手続きで、市役所や年金事務所とやり取りする内、中途半端に働くのは、国民年金でも、健康保険でも、市県民税でも、却って不利になりかねないという事が分かって来て、働く気力が失せてしまいました。

  つくづく痛感したのは、正規雇用されている間、会社が、給与・賞与以外に、いかに多くのお金を払ってくれていたかという事です。 その分を自腹で払おうとしたら、バイトで、月に10万円程度の収入を確保したとしても、とても追いつきません。 むしろ、さっさと、無収入になってしまい、年金・健保・税金の基準になる金額をゼロにしてしまった方が、得なのです。

  で、バイトを探すのはやめ、本格的に、貯金取り崩し生活に入る事にしました。 「無職」と言うと、聞こえが悪いですが、「引退者」になったわけです。 常識的に見ると、引退するには、明らかに早過ぎる年齢ですが、それはまあ、人によって、事情は異なるという事で・・・。

  幸い、私は独身で、両親は年金暮らしですから、扶養家族がいるわけじゃなし、誰にも、迷惑はかかりません。 追い出し部屋で、地獄の憂き目に遭いながらも、妻子を養っているばかりに、勤めを辞められない人が多い事を思うと、私は、幸福だと言えるでしょう。 あまり、実感はありませんが。

  「早々と、働くのをやめてしまって、これから、大病でもしたら、治療費なんか、どうするのだ?」と思うかもしれませんが、これまた、私の場合、特殊な事情がありまして・・・。 何せ、「突然死の恐れがある心臓」を抱えているので、むしろ、働き続けている方が、大病への早道になってしまいかねないのです。 それに、大病になるなら、尚の事、体が動く内に、余生を楽しんでおきたいと思うのです。

  世間体を気にして、突然死の恐怖に怯えつつ、60歳まで働いたとしても、誰が誉めてくれるわけじゃなし。 この歳になると、他人の評価というものが、いかに、いい加減で、気まぐれで、無責任で、手前勝手なものであるかという事が、つくづく分かります。 他人の目線など、無視していればいいのです。 どうせ、模範的人生を送ったところで、他人から見れば、それは正に、他人事なのであって、悪く言おうと思えば、いくらでも、悪く言えるのですから。 たとえ、人に誉めてもらっても、自分が納得できなければ、何の意味もありません。 自分の人生の価値を決められるのは、結局、自分だけなのです。

  ただ、私がこういう考え方をするのは、すでに、人生の後半に入り、余生の帳尻合わせに取りかかっているからであって、若い人達には、全く勧められません。 そもそも、最低限、年金を受給できる年齢まで喰い繋げる蓄えがなければ、生きていけませんから。 また、仕事に生き甲斐を見出している人達にも、こんな考え方を押し付ける気は、毛頭ありません。 積極的に働くつもりがあるのであれば、働いていた方が、肉体的にも精神的にも、ずっと健全だと思います。


  唐突に話題が変わりますが、仕事をしなくなって、一番最初に、ぶちあたった問題が、運動不足による、肥満です。 毎日毎日、喰っちゃ寝喰っちゃ寝を繰り返しているのだから、当然といえば、当然でして、具体的に言うと、腹が出て来ました。 ズボンのウエストがきつくて、前のボタンを留めると、苦しくていられません。 どうにかせねば・・・。

  一応、家の中で体操はしていたのですが、今まで、一日10時間くらい、肉体労働をしていたのに、その代わりになるほどの運動量を、体操だけで賄うのは、不可能です。 やはり、外に出なければ、無理か。 しかし、若い頃に、ギックリ腰をやってから、ずっと、腰痛持ちですし、二年ほど前に、仕事で膝まで痛めて、もう、足腰ガタガタなので、ジョギングはできません。 となれば、自転車を漕ぐ以外、残された手はありますまい。 やれやれ、ようやく、自転車の話になったか。

  折自は、普段、カバーをかけているので、毎日出すのは、面倒です。 そこで、私が使っている、もう一台の方の、軽快車で出かける事が多くなりました。 この軽快車、元は、2004年8月に、母が買った物ですが、母が、2010年4月に、電動アシスト車に乗り換えたので、御役御免となり、その後、放置されていたのを、2012年5月に、私が復帰させて、以来、買い物用にしていたのです。

  この自転車の事を、私は、便宜的に、「旧母自」と呼んでいます。 メーカーは、「出来鉄工所」。 この会社、大阪府堺市にあったらしいのですが、2004年6月には、倒産しており、母は、倒産後2ヵ月経ってから、買った事になります。 値段は、8000円台だったとか。 大方、処分価格だったんでしょう。 商品名は、「フレスコ」。 イタリア語で、「新しい」という意味だそうです。 英語の、「フレッシュ」ですな。 倒産処分品なのに、フレッシュとは、皮肉な名前。

  24インチ、変速なしの、ごく普通の軽快車で、サドルの後ろに、「DEKI Bicycle」と書いてあります。 前籠は、早々と壊れてしまったらしく、随分前に、父が交換して、今は、ブリジストンのプラスチック製の籠が付いています。 何せ、放置されていた期間が長かったので、修理歴が、はっきりしないのですが、後輪タイヤも、父が一度換えたと言っていました。

「DEKI Bicycle」、のロゴ(上)/ ブリジストンの前籠(下)


  折自のシート・ポストを、資材用パイプを使って、長くした話は、以前に書きましたが、その時、余ったパイプがあったので、この旧母自のシート・ポストも長くして、サドル・ポジションを出しました。 それが、2012年5月の事だったわけです。 サドル・ポジションが出せたので、乗り始めたんですな。 私が、使うようになってからは、2013年6月に、後輪のタイヤを交換しています。 つまり、後輪タイヤは、二回換えているわけだ。

  軽快車ですから、ハンドルを下げるには、限界があり、折自ほど、前傾姿勢になりませんが、逆に言うと、腕の方に体重がかからないので、近距離ならば、姿勢は楽です。 遠距離になると、体重のほとんどを、サドルに載せているせいで、腰が痛くなって来ます。 だけど、そもそも、そんなに遠くまで、買い物に出かける事はありません。


  その、旧母自を、退職後、運動に使い始めたというわけです。 「軽快車で、運動になるのか?」と思うでしょうが、思ったよりは、なります。 しばらく続ける内に、「サドル・ポジションさえ出せば、どんな自転車でも、運動用に使えるのではないか?」と、思えて来ました。 むしろ、大腿筋を活動させて、カロリーを消費したかったら、軽いスポ自よりも、重い軽快車の方が、向いているのではないかとさえ思います。

  家から、西に向かい、我入道という所から、狩野川の土手に上がると、その上を走って、川を遡って行き、香貫大橋の手前で下りて、香貫山の麓を回り、家に戻って来るのが、基本的なコース。 大体、30分くらいですかね。 港大橋、永代橋、御成橋、三園橋、黒瀬橋と、狩野川左岸の橋の袂を通りますが、この内、黒瀬橋以外は、車が通る道路を横切らなくても、土手道が、橋の下を潜るようになっているので、信号待ちで止まる必要がありません。 歩行者の便の為に、こうなっているのですが、自転車にもありがたいです。

狩野川左岸の土手道(上)/橋の下を潜る道(下)


  沼津市には、海岸線に、津波対策の防潮堤があり、遠く、富士市の田子の浦港まで続いています。 その上も、自転車で走るには、気持ちがいい所なのですが、私の場合、走って行くと、どんどん、家から遠ざかってしまうので、毎日行くには、不向きです。 また、海岸線には、潮風があり、鉄部品が多い軽快車には、大敵となります。 穏やかそうな日でも、結構、吹いているもので、知らない内に、錆びて来ます。 それは、以前、父の自転車で、田子の浦まで往復していた時に、経験済み。

  で、結局、無難なところで、狩野川の土手になってしまうんですな。 歩行者が多い時は、てれてれ走りますが、前方クリアになると、結構、力を入れて漕ぎます。 折自より、輪径が大きく、ペダルが重いので、漕げば、かなりのスピードになります。 土手道は、交差道路がないから、突然、横から、人や車が飛び出して来る心配がないのは、実にありがたいです。 運動に出て、事故ってたんじゃ、格好がつきませんからのう。

  「自転車を、いくら漕いでも、腹は凹まない」と、何かの本で読みましたが、確かに、それは正しいようで、ウエストの方に、大きな変化はありません。 ただし、太腿は、明らかに、硬く、太くなりました。 筋肉というのは、年齢に関係なく、使えば、鍛えられるんですねえ。 お陰で、体重の増加は、免れています。 自転車趣味が、こんなところで、役に立つとは、全く予測していませんでした。

  運動に使う上で、自転車が、ジョギングより優れているのは、かなりの距離を走っても、カロリーを消費するだけで、関節や筋肉に、過度な負担がかからない事ですかね。 狩野川の土手道でも、汗みずくになって、ジョギングしている人を、多く見かけますが、確かに、運動にはなると思うものの、あれは、膝や腰には、決して、よくは働きますまい。 それ以前に、脳溢血で死ぬ可能性も高い。 ウォーキングの方が、まだ、安全に見えます。

  自転車は、靴が減らない点もいいですな。 代わりに、タイヤが減るわけですが、靴ほどではなく、毎日30分ずつ乗っていても、2年以上はもつんじゃないでしょうか。 ちなみに、タイヤは、千円くらいで売っています。 足が、汗臭くならない点も、良いです。 ジョギングやウォーキングから帰って来ると、すぐに、風呂かシャワーを使わねばならないと思うのですが、自転車の場合、そういう事はありません。 普通に、夜を待って、入れば宜しい。

  メリットが多い割に、自転車で運動している人は、少ないわけですが、もしかしたら、ロードやクロスといった、スポ自を買わなければ、運動にはならないと思い込んでいるのでは? いやいや、なりますなります。 要は、思い切り、漕げればいいんですよ。 低いサドルで、思い切り漕いでいると、膝を痛めてしまいますが、サドル・ポジションさえ出せば、折り畳み自転車でも、軽快車でも、シティー・サイクルでも、何でも行けますって。

  30センチのシート・ポストなら、一般車用の、太さ25.4ミリ(1インチ)のが、ホーム・センターなどで売ってますから、試しに、自分の自転車に着けて、乗ってみるといいと思います。 それでも、高さが足りない場合、自作するしかありませんが、そうなると、面倒過ぎて、簡単には試せないか。 興味がある方は、このブログの、≪シート・ポスト延長計画≫の記事を参照の事。 一度、サドル・ポジションで乗ってみれば、低いサドルじゃ、二度と乗れなくなるくらい、快適なんですがね。

サドル・ポジションを出したシート・ポスト


  ついでながら、シート・ポストを長くしたお陰で、店や公共施設の駐輪場に停めた時、その中から、自分の自転車を探すのが、いとも容易になりました。 こんなにサドル位置が高い軽快車は、まず、ないからです。 私の身長は、175センチで、中背ですから、逆に考えると、ほとんどの人が、サドル・ポジションを出さずに、自転車に乗っている事になります。

  もう一つ、ついでに書いておきますと、スカート・ガードを外してないのは、私の所有物ではないからです。 使っているのは私だけですが、買ったのは、あくまで、母で、防犯登録も、母の名前でなされています。 今現在、電動アシスト車を使っている母が、今後、「返せ」とは言わないと思いますが、用心して、いつでも、元に戻せるようにしているというわけです。