国際時事2014.12
「引退生活に入れば、時間があり余るから、週に一回のブログ更新なんて、屁でもなくなるに違いない」
と思っていたのですが、そんな事にはなりませんでした。 沖縄・北海道旅行記を書いている間は、週に三日間を執筆に費やして、ヒーヒー言っていましたし、それが終わったら終わったで、今度は、書きたい事がなくて、まるで、筆が進みません。 仕事をしていた頃は、半日捻出できれば、結構、纏まった量の文章を書けたのですが、今では、一週間あっても、何も書けません。
前にも書きましたが、私自身が、社会の主流から外れてしまったので、社会問題全般に興味が薄れてしまったんですな。 以前は、国際ニュースなんて、テレビに釘付け、被りつきで見ていたものですが、今では、番組そのものを見ない事も多いです。 自分と関係ない所で、何が起こっていても、「そんなこたーどーでもいーわ」という感じです。
私が、国際問題に、どれほど、興味を失ったか、ちょっと、書いてみましょうか。
≪エボラ出血熱≫
小松左京さんの、≪復活の日≫を、小説でも映画でも知っている人なら、致死率が高い感染症が発生するたびに、自分に被害が及ばない事を前提に、「今回は、どこまで広まるかな?」という、背徳的興味を抱くと思いますが、今のところ、人類を滅ぼすまでには、遠く遠く及びそうにないです。 いや、別に、がっかりしているわけではないですがね。
自称先進国の元首どもが、「支援!支援!」と、我鳴り立てていますが、物資を送るだけならともかく、人まで出すとなると、派遣される者にも命の危険が及ぶわけで、もし、死んでしまったら、誰が責任を取るのか、大いに気になるところです。 各元首諸君、そんなに支援したけりゃ、自分で行ってはどうか? 人道主義精神に溢れているんだろう? ほれほれ、遠慮はいらんから、職を辞して、すぐに、個人の立場で、支援に出かけんさい。 みんな、誉めてくれるぞ。
どんなに高尚な行為であっても、命が懸かっているとなったら、話の次元が変わって来ます。 死んだ後、誉められたって、勲章を貰ったって、顕彰碑が立ったって、その人の人生は、それまでよ。 こういうケースでの支援を、「お金の問題」に換算できると思っている人達は、命の価値の絶対性について、考えが、決定的に足りないんじゃないでしょうか。 まさか、あの世だの、来世だのを信じていて、「そっちで、いい思いができればいいだろう」なんて、馬鹿な事を考えているんじゃあるまいね?
≪イスラム国≫
略称を、「ISIS」とか、「IS」とか、言われていますが、どちらも、ト○タの車の名前にあるねえ。 困ってんだろうな、ト○タのディーラーは。 それでなくても、国内じゃ、車が売れないのに。 もっとも、私はもう、ト○タ関係者じゃないから、どーでもいーこってすが。 待て待て、車を買った人は、もっと困っているかも知れんな。 ツイッターで、「やっぱ、ISは、いいですよ」とか、「うちは、家族で、ISISです」とか、呟いた日には、CIAの監視がつきそうです。
で、イスラム国ですが、残虐行為ばかり、注目されていますが、短期間に、広範囲に勢力を広げた点の方が、より興味深いです。 歴史に興味がある人なら、後に大きな国を作る勢力というのが、初期に急激な膨張をした例を、いくつも思いつくのではないでしょうか。 もちろん、最初だけ強くて、その後、失速し、消えて行くケースも、無数に例があるので、イスラム国がどうなるかは、まだ分かりません。 ただ、大きくなる資格だけは、クリアしているわけです。
イスラム国を敵視している諸外国にとっては、むしろ、イスラム国が、残虐行為をしている間は、大きな心配をしなくてもいいとも言えます。 これが、勢いはそのままに、残虐行為をやめて、純粋なイスラム原理主義で、参加者を増やし始めたら、拡大を止めようがなくなります。 イギリスやフランスが引き、アメリカが維持しようとしている、現在の国境線を、完全に無視していますから、どこまで広がるか分かりません。 正に、ムハンマドの時代の再現になりますな。
イスラム国に参加する若者が、どっと出て来た背景には、欧米的価値観が、まるで、魅力を失ってしまった事実が、大きく重く横たわっていると思います。 具体的に言いますと、ヨーロッパ人やアメリカ人の生活に、憧れを感じる人間が、減ったんですよ。 特に、アメリカ人なんて、ただ、喰い過ぎて、ぶくぶく太っているだけで、そんな人生の、どこに憧れろって言うのよ? 覇権を維持したかったら、まず、一人一人が、痩せるべきですな。 それは、予算削減より、遥かに難しいかも知れませんが。
アメリカ映画も、つまらなくなったしねえ。 社会自体がつまらないから、そこに生きている人間の人生も、つまらないのは当然で、人間ドラマが、映画のネタにならなくなってしまったんですな。 かつて、世界を熱狂させたSFも、壊滅状態。 未来を全く描けなくなったのは、日本のアニメと同じ症状で、不治の病です。 アベンジャーズ路線で、世界の注目を引き続けられるかどうか、アメリカの映画人自身が、分かりそうなものですがね。 あんなの、子供も見ない。
環境問題でも、科学技術でも、社会制度でも、人類文明の限界が見えて来てしまったのは、大いに痛いですな。 結局のところ、産業社会は、停滞し、衰退し、人口も減って行って、残った人類は、宗教に縋って、種としての余生を送るようになるんじゃないでしょうか。 そう思うに付け、たとえ、イスラム国が亡ぼされても、次々に、似たような勢力が出て来るような気がするのです。
≪アメリカ、黒人青年射殺事件≫
つまるところ、アメリカでは、人種問題は、全く解決していないわけですな。 奴隷解放は言うに及ばず、公民権運動も、遥か昔の事なのに、まーだ、これか。 陪審制度が関わっている点も、アメリカへの憧れを失わせます。 そりゃ、白人が多い陪審団に決めさせれば、白人に有利な結論が出るに決まっていますよ。 そんな事は、小学生だって分かる事です。 殺された方は、裁判もできないというのだから、人権無視も甚だしい。
アメリカ政府も、自分の国がそんな有様なのに、外国に向かって、よく、人権だの、人道だのを語れるものだと思います。 資格がない事くらい、分かりそうなものですが。 世界のリーダー面をして、えらそうな説教をしたかったら、まず、自分の身を正すべきでしょう。 もっとも、人種問題の解決は、お先真っ暗だと思いますがね。 法律を、いくら弄っても、どうなるものでもありません。 「結婚は、必ず、異なる人種と行なわなければならない」という法律を作れば、50年くらいで、解決すると思いますが、そんな法律は、千年経っても作れないでしょう。
アメリカに移民するとか、留学するとか、今でも、そういう人は多くて、そういう人達のおかげで、アメリカの経済は、成長し続けているわけですが、私に言わせれば、わざわざ進んで、マイノリティーになりに行く人達の気が知れません。 「英語ができるようになれば、アメリカ市民になれる」とかいう次元の問題ではなく、これから、アメリカに行く人間は、一生、マイノリティーのままだっつーのよ。 どこで、撃ち殺されても、裁判も開いてもらえないんだよ。 一体、何に憧れて、行きたがるのかねえ?
≪ウクライナ紛争≫
なんで、こんなに、こじれたかと言えば、大元は、時もあろうに、ソチ五輪の真っ最中に、ウクライナの反ロ派が、クーデターを起こして、政権を乗っ取った事にあります。 ロシアの立場になってみれば、世界中の注目を浴びている、正にその時に、思いっきり、顔を潰されたわけで、そんな連中を許せるわけがありません。 まず、この事を頭に入れてから、その後の推移を見てみれば、この問題で、ロシアが、一歩も退こうとしない理由が分かると思います。
ウクライナの反ロ派にしてみれば、「ソチ五輪の最中だから、今こそ、チャンス!」と思ったんでしょうな。 オリンピックを開催している立場上、ロシアは、軍事行動が取れないだろうと踏んだわけだ。 だけど、オリンピックは、いつまでも続くわけじゃないですよ。 その後の事は、考えなかったんですかね? それでなくても、ロシアのような大国のすぐ隣で、反ロの政権を打ち立てようという発想が、あまりにも、お先真っ暗的だと思いますが。
また、旧西側諸国が、揃いも揃って、勝手なやつらで、クーデターと承知していながら、それを支持したんですぜ。 話にならんわ。 もし、自分の国でクーデターが起きた時、外国が、それを支持したら、どう思う? 相手の立場でものを考える事ができないのは、帝国主義時代の感覚、そのまんまですな。 アメリカに至っては、支持どころではなく、支援までしていたようですが、どうも、アメリカという国は、世界を常に不穏な状態に置いておきたい願望があるように見えます。
旧西側諸国は、事を自分達でこじらせておきながら、ロシアに経済制裁をかけた結果、貿易が滞って、自分達まで損をしているのだから、滑稽至極です。 どこで、間違えたのか? 考えるまでもなく、クーデターを支持してしまったところですよ。 「国境線は変えないのが、第二次大戦後のルールだ」とか、一見、深い事を考えているようでいて、「外国のクーデターは支持する」というのでは、安定した国家関係など維持できるわけがないではありませんか。
その後、ウクライナでは、選挙が行なわれて、「正当な政権として認められた」と言っていますが、クーデター政権が取り仕切った選挙に、正当性があるんですかねえ? どこまで行っても、不当だと思いますけど。 一方、ロシアがクリミア編入の前に行なった住民投票について、旧西側は、「正当性がない」と言っているわけですが、第三者から見ると、両者の違いが分かりません。 人の事をどうこう言えないでしょう。
イギリスやフランスが、わけ知り顔で、手前勝手な事を言うのは、昔からですが、不思議でならないのは、ドイツの態度ですよ。 ウクライナ問題で、やたらと、首相が出しゃばって来るでしょう? 本来なら、そんな事、できるはずがないんですよ。 ドイツは、ナチスの時に、ウクライナを侵略・占領して、反ソというか、反ロのコサック部隊を使って、ソ連と戦わせているんですぜ。
もちろん、ナチス・ドイツ軍自身も、ソ連人を殺しまくっています。 なにせ、ヒトラーは、スラブ人を、全員、奴隷にするつもりでいたのですから。 いや、マジマジ。 「ユダヤ人は抹殺、スラブ人は奴隷に」というのが、ヒトラーの基本方針だったのです。 理由は、「人種的に劣っているから」というもの。 実際には、ソ連側の反撃で、ドイツは、ボコボコにやられて、自分達の方が劣っている事を、実証してしまったのですが。
そういう経緯がありながら、どうして、ウクライナ問題で、ドイツが、ロシアに向かって、ああだこうだと、批判ができるのか、全く以て、信じ難い光景です。 また、侵略するつもりなんですかね? いや、やりかねないですよ。 ドイツ人は、日本人と同じで、今でも、外国人を同じ人間だと思っていないらしいですから。 ただ、ナチスの大失敗に懲りて、大人しくしているだけです。 ここ数年、EU内で、経済が独り勝ち状態になっているせいで、大いに自信を取り戻しているようなので、そろそろ、衣の下の鎧が見えて来るんじゃないでしょうか。
では、旧西側諸国は、どうすれば良かったのか? ウクライナで、クーデターが起こった後、すぐに、クーデターを非難する声明を出した上で、ロシアと協議し、対応を、一緒に検討すれば良かったのです。 たとえ、クーデター政権が維持されない状況になったとしても、ロシアを交ぜて事を決めていれば、クリミア編入や、ウクライナ政府対親ロ派の内戦のような、極端な事態は、確実に避けられたはずです。 こう言えば、ちっとも、難しい事じゃなかったのが分かる思いますが、旧西側諸国は、そもそもが、ウクライナを自分達の陣営に分捕りたくて仕方がない連中ですから、そんな便法など、思いつきもしなかったんでしょう。 大した叡智であることよ。
とにかく、外国政府を転覆させようなどという発想は捨てなさい。 そこから、すでに間違えている。 外国で、クーデターが起きたら、必ず、非難声明を出しなさい。 支持や支援など、以ての外です。 逆の立場になってみれば、分かるだろうに。 普段、「国際社会の主要メンバー」と自称している国々が、自国の都合を優先して、国際ルールを、平気で無視しているのだから、話にならぬ。
≪香港民衆占拠≫
これは、収まりつつあるようです。 指導的立場にあった学生達が、警察に出頭したのには、「ほーお!」と、感心しました。 問題ある行為をしていたという認識はあったわけだ。 死者を一人も出さずに収まったのなら、頂上な話。 中国政府に、「不満がある者が、いるんだぞ」という意思表示をしただけでも、まるっきり、無駄な運動だったわけではないと言えるかもしれません。
学生達は、直截的には、香港政府を相手にしていたので、中国政府は前面に出る事がありませんでしたが、思うに、中国政府は、「軍隊を出して、弾圧」どころか、「もっとやれ。 できる限り、長引かせろ」と、陰ながら、応援していたのではないでしょうか。 香港が混乱しても、別に、中国本土には、損がないからです。 損がないどころか、得がある。 香港の金融センターとしての機能が麻痺すれば、地理的な関係上、自動的に、上海に中心が移るわけで、勿怪の幸いではありませんか。
中国政府にしてみれば、別に、香港は、自分達で資金を投入して作った街ではないですから、衰えたって、さほど、惜しくはないわけだ。 香港政府が、学生達の要求を、徹底的に突っぱねたのは、当たり前と言えば当たり前で、いかに、特別行政区といえど、中央政府の決定を、地方政府が勝手に変更するわけには行きませんから、どちらを断るかと考えれば、学生の要求の方に決まっています。 香港政府は、当然の仕事をしただけですが、物分りがいい似非大人的な、甘い顔を一切見せなかったのは、見事だったと思います。
「民主的な選挙の実現」が目的なのに、民主主義を無視した方法を取ったのは、なんとも、ちぐはぐでした。 「選挙」は民主的ですが、「占拠」は、ただの民衆運動であり、民主主義とは、何の関係もありません。 デモや占拠に参加しているのは、常に、一部の人間に過ぎず、有権者の3分の2どころか、過半数にも、遥かに及ばないのです。 そんな一部の意思で政治が動いてしまうのだとしたら、クーデターと、何の変わりもないではありませんか。
まして、今回の占拠では、タクシーやバス、旅行業界の関係者など、甚大な迷惑を蒙った人々も、厳然と存在しており、民主主義と無関係であるばかりでなく、民衆運動としても、重大な問題があったと言えます。 被害を蒙った業界は、占拠の首謀者に、損害賠償を請求すべきでしょう。 相手が学生だからと言って、泣き寝入りする必要はありません。 他人に損害を与えたら、どういう風に償わなければならないか、社会のルールを教えてやるのは、大人の務めです。
少し前に、台湾でも、学生による同様な占拠事件が起こりましたが、香港の学生がそれを模倣したのは疑いないところです。 それだけでも、オリジナリティーに欠けますが、「雨傘革命」などという軽薄な名前をつけたものだから、私としては、よーく白けてしまいました。 そういう命名は、成功裏に終わってからにしてはどうか? 大方、歴史の1ページを作れると思って、舞い上がってしまったのでしょう。 ちょっと考えてみれば、中国政府が、香港だけに、民主的選挙を認めたりしない事くらい、分かりそうなものです。 そんな事したら、本土の方まで、占拠事件だらけになってしまうではありませんか。
台湾では、学生側に譲歩して、幕が下りたわけですが、悪い前例を作ったものです。 一度成功したからには、今後も、気に喰わない事があれば、また、政府庁舎を占拠しようとするでしょう。 国によらず、学生運動に妥協して、いい事など、何もありません。 そもそも、その学生達にしてからが、首謀者など一部を除き、社会に出たら、まるで反対の主張に転向するのですから。
話を香港に戻しますが、この件で、一番、呆れたのは、やはり、旧西側の政府やマスコミどもの、驚くべき、下司ぶりですな。 中国政府を牽制する声明は出すわ、ヒステリーのキャスターは送り込むわ、全力で煽ってやがんのよ。 だからよー、自分の国で同じ事が起きた時、外国の政府やマスコミが、煽り立てるような真似をしたら、どう思うね? 嫌だろう? 「放っておいてくれ」と思うだろう? 自分がやられたら、嫌な事を、なぜ、やるんだね?
イギリス政府も凄いよなあ。 自分達が香港を植民地にしていた頃には、民主的選挙どころか、香港人の自治も認めず、最後の一日まで、総督統治を続けていたくせに、なんで、香港の民主主義について、意見する資格があると思うのか、皆目、分かりません。 返還は、1997年だよ。 つい、こないだですよ。 自分達が何をやっていたのか、もう、忘れたのか? 信じられん。 国家も、老衰すると、痴呆になるのか?
「では、香港が民主的選挙を勝ち取るには、どうすればいいのか?」
簡単とは言いませんが、誰にも迷惑をかけない、真っ当な方法はあります。 自分が、政治家になるのです。 政治に関わりたいんだから、当人に否やはないでしょう。 香港政府のトップに登りつめるのもいいし、更に上の、中国政府のトップまで登りつめるのもいい。 そうすりゃ、自分の思うように、政治制度を変えられますよ。 一生かかるような遠回りになるかもしれませんが、実際に、そういう人達がいるのですから、不可能ではありません。 中国政府の幹部にしたって、太子党ばかりではないのであって、ペーペーの一党員から、実力でのし上がって来た人が、いくらでもいるのですから。
どうも、非民主主義社会の住人の中には、「民主主義になりさえすれば、何もかも思い通りなる」と誤解している人が多いようですが、そんな事は、全然ないです。 私なんか、選挙権を得て以来、国政選挙は、一度も欠かさず、投票所に足を運んでいますが、私が投票した候補が当選した事は、一度もありません。 つまり、私の意見が国政に反映された事は、一回もないのです。 かれこれ、30年ですよ。 民主主義というのは、そういうものなんですよ。
む・・・、気がついたら、随分、長々と書いていますな。 変だな。 国際問題への興味が薄れているのは、確かなんですがね。 閑で、考える時間が長くなっているから、相殺されてしまっているんでしょうか。
と思っていたのですが、そんな事にはなりませんでした。 沖縄・北海道旅行記を書いている間は、週に三日間を執筆に費やして、ヒーヒー言っていましたし、それが終わったら終わったで、今度は、書きたい事がなくて、まるで、筆が進みません。 仕事をしていた頃は、半日捻出できれば、結構、纏まった量の文章を書けたのですが、今では、一週間あっても、何も書けません。
前にも書きましたが、私自身が、社会の主流から外れてしまったので、社会問題全般に興味が薄れてしまったんですな。 以前は、国際ニュースなんて、テレビに釘付け、被りつきで見ていたものですが、今では、番組そのものを見ない事も多いです。 自分と関係ない所で、何が起こっていても、「そんなこたーどーでもいーわ」という感じです。
私が、国際問題に、どれほど、興味を失ったか、ちょっと、書いてみましょうか。
≪エボラ出血熱≫
小松左京さんの、≪復活の日≫を、小説でも映画でも知っている人なら、致死率が高い感染症が発生するたびに、自分に被害が及ばない事を前提に、「今回は、どこまで広まるかな?」という、背徳的興味を抱くと思いますが、今のところ、人類を滅ぼすまでには、遠く遠く及びそうにないです。 いや、別に、がっかりしているわけではないですがね。
自称先進国の元首どもが、「支援!支援!」と、我鳴り立てていますが、物資を送るだけならともかく、人まで出すとなると、派遣される者にも命の危険が及ぶわけで、もし、死んでしまったら、誰が責任を取るのか、大いに気になるところです。 各元首諸君、そんなに支援したけりゃ、自分で行ってはどうか? 人道主義精神に溢れているんだろう? ほれほれ、遠慮はいらんから、職を辞して、すぐに、個人の立場で、支援に出かけんさい。 みんな、誉めてくれるぞ。
どんなに高尚な行為であっても、命が懸かっているとなったら、話の次元が変わって来ます。 死んだ後、誉められたって、勲章を貰ったって、顕彰碑が立ったって、その人の人生は、それまでよ。 こういうケースでの支援を、「お金の問題」に換算できると思っている人達は、命の価値の絶対性について、考えが、決定的に足りないんじゃないでしょうか。 まさか、あの世だの、来世だのを信じていて、「そっちで、いい思いができればいいだろう」なんて、馬鹿な事を考えているんじゃあるまいね?
≪イスラム国≫
略称を、「ISIS」とか、「IS」とか、言われていますが、どちらも、ト○タの車の名前にあるねえ。 困ってんだろうな、ト○タのディーラーは。 それでなくても、国内じゃ、車が売れないのに。 もっとも、私はもう、ト○タ関係者じゃないから、どーでもいーこってすが。 待て待て、車を買った人は、もっと困っているかも知れんな。 ツイッターで、「やっぱ、ISは、いいですよ」とか、「うちは、家族で、ISISです」とか、呟いた日には、CIAの監視がつきそうです。
で、イスラム国ですが、残虐行為ばかり、注目されていますが、短期間に、広範囲に勢力を広げた点の方が、より興味深いです。 歴史に興味がある人なら、後に大きな国を作る勢力というのが、初期に急激な膨張をした例を、いくつも思いつくのではないでしょうか。 もちろん、最初だけ強くて、その後、失速し、消えて行くケースも、無数に例があるので、イスラム国がどうなるかは、まだ分かりません。 ただ、大きくなる資格だけは、クリアしているわけです。
イスラム国を敵視している諸外国にとっては、むしろ、イスラム国が、残虐行為をしている間は、大きな心配をしなくてもいいとも言えます。 これが、勢いはそのままに、残虐行為をやめて、純粋なイスラム原理主義で、参加者を増やし始めたら、拡大を止めようがなくなります。 イギリスやフランスが引き、アメリカが維持しようとしている、現在の国境線を、完全に無視していますから、どこまで広がるか分かりません。 正に、ムハンマドの時代の再現になりますな。
イスラム国に参加する若者が、どっと出て来た背景には、欧米的価値観が、まるで、魅力を失ってしまった事実が、大きく重く横たわっていると思います。 具体的に言いますと、ヨーロッパ人やアメリカ人の生活に、憧れを感じる人間が、減ったんですよ。 特に、アメリカ人なんて、ただ、喰い過ぎて、ぶくぶく太っているだけで、そんな人生の、どこに憧れろって言うのよ? 覇権を維持したかったら、まず、一人一人が、痩せるべきですな。 それは、予算削減より、遥かに難しいかも知れませんが。
アメリカ映画も、つまらなくなったしねえ。 社会自体がつまらないから、そこに生きている人間の人生も、つまらないのは当然で、人間ドラマが、映画のネタにならなくなってしまったんですな。 かつて、世界を熱狂させたSFも、壊滅状態。 未来を全く描けなくなったのは、日本のアニメと同じ症状で、不治の病です。 アベンジャーズ路線で、世界の注目を引き続けられるかどうか、アメリカの映画人自身が、分かりそうなものですがね。 あんなの、子供も見ない。
環境問題でも、科学技術でも、社会制度でも、人類文明の限界が見えて来てしまったのは、大いに痛いですな。 結局のところ、産業社会は、停滞し、衰退し、人口も減って行って、残った人類は、宗教に縋って、種としての余生を送るようになるんじゃないでしょうか。 そう思うに付け、たとえ、イスラム国が亡ぼされても、次々に、似たような勢力が出て来るような気がするのです。
≪アメリカ、黒人青年射殺事件≫
つまるところ、アメリカでは、人種問題は、全く解決していないわけですな。 奴隷解放は言うに及ばず、公民権運動も、遥か昔の事なのに、まーだ、これか。 陪審制度が関わっている点も、アメリカへの憧れを失わせます。 そりゃ、白人が多い陪審団に決めさせれば、白人に有利な結論が出るに決まっていますよ。 そんな事は、小学生だって分かる事です。 殺された方は、裁判もできないというのだから、人権無視も甚だしい。
アメリカ政府も、自分の国がそんな有様なのに、外国に向かって、よく、人権だの、人道だのを語れるものだと思います。 資格がない事くらい、分かりそうなものですが。 世界のリーダー面をして、えらそうな説教をしたかったら、まず、自分の身を正すべきでしょう。 もっとも、人種問題の解決は、お先真っ暗だと思いますがね。 法律を、いくら弄っても、どうなるものでもありません。 「結婚は、必ず、異なる人種と行なわなければならない」という法律を作れば、50年くらいで、解決すると思いますが、そんな法律は、千年経っても作れないでしょう。
アメリカに移民するとか、留学するとか、今でも、そういう人は多くて、そういう人達のおかげで、アメリカの経済は、成長し続けているわけですが、私に言わせれば、わざわざ進んで、マイノリティーになりに行く人達の気が知れません。 「英語ができるようになれば、アメリカ市民になれる」とかいう次元の問題ではなく、これから、アメリカに行く人間は、一生、マイノリティーのままだっつーのよ。 どこで、撃ち殺されても、裁判も開いてもらえないんだよ。 一体、何に憧れて、行きたがるのかねえ?
≪ウクライナ紛争≫
なんで、こんなに、こじれたかと言えば、大元は、時もあろうに、ソチ五輪の真っ最中に、ウクライナの反ロ派が、クーデターを起こして、政権を乗っ取った事にあります。 ロシアの立場になってみれば、世界中の注目を浴びている、正にその時に、思いっきり、顔を潰されたわけで、そんな連中を許せるわけがありません。 まず、この事を頭に入れてから、その後の推移を見てみれば、この問題で、ロシアが、一歩も退こうとしない理由が分かると思います。
ウクライナの反ロ派にしてみれば、「ソチ五輪の最中だから、今こそ、チャンス!」と思ったんでしょうな。 オリンピックを開催している立場上、ロシアは、軍事行動が取れないだろうと踏んだわけだ。 だけど、オリンピックは、いつまでも続くわけじゃないですよ。 その後の事は、考えなかったんですかね? それでなくても、ロシアのような大国のすぐ隣で、反ロの政権を打ち立てようという発想が、あまりにも、お先真っ暗的だと思いますが。
また、旧西側諸国が、揃いも揃って、勝手なやつらで、クーデターと承知していながら、それを支持したんですぜ。 話にならんわ。 もし、自分の国でクーデターが起きた時、外国が、それを支持したら、どう思う? 相手の立場でものを考える事ができないのは、帝国主義時代の感覚、そのまんまですな。 アメリカに至っては、支持どころではなく、支援までしていたようですが、どうも、アメリカという国は、世界を常に不穏な状態に置いておきたい願望があるように見えます。
旧西側諸国は、事を自分達でこじらせておきながら、ロシアに経済制裁をかけた結果、貿易が滞って、自分達まで損をしているのだから、滑稽至極です。 どこで、間違えたのか? 考えるまでもなく、クーデターを支持してしまったところですよ。 「国境線は変えないのが、第二次大戦後のルールだ」とか、一見、深い事を考えているようでいて、「外国のクーデターは支持する」というのでは、安定した国家関係など維持できるわけがないではありませんか。
その後、ウクライナでは、選挙が行なわれて、「正当な政権として認められた」と言っていますが、クーデター政権が取り仕切った選挙に、正当性があるんですかねえ? どこまで行っても、不当だと思いますけど。 一方、ロシアがクリミア編入の前に行なった住民投票について、旧西側は、「正当性がない」と言っているわけですが、第三者から見ると、両者の違いが分かりません。 人の事をどうこう言えないでしょう。
イギリスやフランスが、わけ知り顔で、手前勝手な事を言うのは、昔からですが、不思議でならないのは、ドイツの態度ですよ。 ウクライナ問題で、やたらと、首相が出しゃばって来るでしょう? 本来なら、そんな事、できるはずがないんですよ。 ドイツは、ナチスの時に、ウクライナを侵略・占領して、反ソというか、反ロのコサック部隊を使って、ソ連と戦わせているんですぜ。
もちろん、ナチス・ドイツ軍自身も、ソ連人を殺しまくっています。 なにせ、ヒトラーは、スラブ人を、全員、奴隷にするつもりでいたのですから。 いや、マジマジ。 「ユダヤ人は抹殺、スラブ人は奴隷に」というのが、ヒトラーの基本方針だったのです。 理由は、「人種的に劣っているから」というもの。 実際には、ソ連側の反撃で、ドイツは、ボコボコにやられて、自分達の方が劣っている事を、実証してしまったのですが。
そういう経緯がありながら、どうして、ウクライナ問題で、ドイツが、ロシアに向かって、ああだこうだと、批判ができるのか、全く以て、信じ難い光景です。 また、侵略するつもりなんですかね? いや、やりかねないですよ。 ドイツ人は、日本人と同じで、今でも、外国人を同じ人間だと思っていないらしいですから。 ただ、ナチスの大失敗に懲りて、大人しくしているだけです。 ここ数年、EU内で、経済が独り勝ち状態になっているせいで、大いに自信を取り戻しているようなので、そろそろ、衣の下の鎧が見えて来るんじゃないでしょうか。
では、旧西側諸国は、どうすれば良かったのか? ウクライナで、クーデターが起こった後、すぐに、クーデターを非難する声明を出した上で、ロシアと協議し、対応を、一緒に検討すれば良かったのです。 たとえ、クーデター政権が維持されない状況になったとしても、ロシアを交ぜて事を決めていれば、クリミア編入や、ウクライナ政府対親ロ派の内戦のような、極端な事態は、確実に避けられたはずです。 こう言えば、ちっとも、難しい事じゃなかったのが分かる思いますが、旧西側諸国は、そもそもが、ウクライナを自分達の陣営に分捕りたくて仕方がない連中ですから、そんな便法など、思いつきもしなかったんでしょう。 大した叡智であることよ。
とにかく、外国政府を転覆させようなどという発想は捨てなさい。 そこから、すでに間違えている。 外国で、クーデターが起きたら、必ず、非難声明を出しなさい。 支持や支援など、以ての外です。 逆の立場になってみれば、分かるだろうに。 普段、「国際社会の主要メンバー」と自称している国々が、自国の都合を優先して、国際ルールを、平気で無視しているのだから、話にならぬ。
≪香港民衆占拠≫
これは、収まりつつあるようです。 指導的立場にあった学生達が、警察に出頭したのには、「ほーお!」と、感心しました。 問題ある行為をしていたという認識はあったわけだ。 死者を一人も出さずに収まったのなら、頂上な話。 中国政府に、「不満がある者が、いるんだぞ」という意思表示をしただけでも、まるっきり、無駄な運動だったわけではないと言えるかもしれません。
学生達は、直截的には、香港政府を相手にしていたので、中国政府は前面に出る事がありませんでしたが、思うに、中国政府は、「軍隊を出して、弾圧」どころか、「もっとやれ。 できる限り、長引かせろ」と、陰ながら、応援していたのではないでしょうか。 香港が混乱しても、別に、中国本土には、損がないからです。 損がないどころか、得がある。 香港の金融センターとしての機能が麻痺すれば、地理的な関係上、自動的に、上海に中心が移るわけで、勿怪の幸いではありませんか。
中国政府にしてみれば、別に、香港は、自分達で資金を投入して作った街ではないですから、衰えたって、さほど、惜しくはないわけだ。 香港政府が、学生達の要求を、徹底的に突っぱねたのは、当たり前と言えば当たり前で、いかに、特別行政区といえど、中央政府の決定を、地方政府が勝手に変更するわけには行きませんから、どちらを断るかと考えれば、学生の要求の方に決まっています。 香港政府は、当然の仕事をしただけですが、物分りがいい似非大人的な、甘い顔を一切見せなかったのは、見事だったと思います。
「民主的な選挙の実現」が目的なのに、民主主義を無視した方法を取ったのは、なんとも、ちぐはぐでした。 「選挙」は民主的ですが、「占拠」は、ただの民衆運動であり、民主主義とは、何の関係もありません。 デモや占拠に参加しているのは、常に、一部の人間に過ぎず、有権者の3分の2どころか、過半数にも、遥かに及ばないのです。 そんな一部の意思で政治が動いてしまうのだとしたら、クーデターと、何の変わりもないではありませんか。
まして、今回の占拠では、タクシーやバス、旅行業界の関係者など、甚大な迷惑を蒙った人々も、厳然と存在しており、民主主義と無関係であるばかりでなく、民衆運動としても、重大な問題があったと言えます。 被害を蒙った業界は、占拠の首謀者に、損害賠償を請求すべきでしょう。 相手が学生だからと言って、泣き寝入りする必要はありません。 他人に損害を与えたら、どういう風に償わなければならないか、社会のルールを教えてやるのは、大人の務めです。
少し前に、台湾でも、学生による同様な占拠事件が起こりましたが、香港の学生がそれを模倣したのは疑いないところです。 それだけでも、オリジナリティーに欠けますが、「雨傘革命」などという軽薄な名前をつけたものだから、私としては、よーく白けてしまいました。 そういう命名は、成功裏に終わってからにしてはどうか? 大方、歴史の1ページを作れると思って、舞い上がってしまったのでしょう。 ちょっと考えてみれば、中国政府が、香港だけに、民主的選挙を認めたりしない事くらい、分かりそうなものです。 そんな事したら、本土の方まで、占拠事件だらけになってしまうではありませんか。
台湾では、学生側に譲歩して、幕が下りたわけですが、悪い前例を作ったものです。 一度成功したからには、今後も、気に喰わない事があれば、また、政府庁舎を占拠しようとするでしょう。 国によらず、学生運動に妥協して、いい事など、何もありません。 そもそも、その学生達にしてからが、首謀者など一部を除き、社会に出たら、まるで反対の主張に転向するのですから。
話を香港に戻しますが、この件で、一番、呆れたのは、やはり、旧西側の政府やマスコミどもの、驚くべき、下司ぶりですな。 中国政府を牽制する声明は出すわ、ヒステリーのキャスターは送り込むわ、全力で煽ってやがんのよ。 だからよー、自分の国で同じ事が起きた時、外国の政府やマスコミが、煽り立てるような真似をしたら、どう思うね? 嫌だろう? 「放っておいてくれ」と思うだろう? 自分がやられたら、嫌な事を、なぜ、やるんだね?
イギリス政府も凄いよなあ。 自分達が香港を植民地にしていた頃には、民主的選挙どころか、香港人の自治も認めず、最後の一日まで、総督統治を続けていたくせに、なんで、香港の民主主義について、意見する資格があると思うのか、皆目、分かりません。 返還は、1997年だよ。 つい、こないだですよ。 自分達が何をやっていたのか、もう、忘れたのか? 信じられん。 国家も、老衰すると、痴呆になるのか?
「では、香港が民主的選挙を勝ち取るには、どうすればいいのか?」
簡単とは言いませんが、誰にも迷惑をかけない、真っ当な方法はあります。 自分が、政治家になるのです。 政治に関わりたいんだから、当人に否やはないでしょう。 香港政府のトップに登りつめるのもいいし、更に上の、中国政府のトップまで登りつめるのもいい。 そうすりゃ、自分の思うように、政治制度を変えられますよ。 一生かかるような遠回りになるかもしれませんが、実際に、そういう人達がいるのですから、不可能ではありません。 中国政府の幹部にしたって、太子党ばかりではないのであって、ペーペーの一党員から、実力でのし上がって来た人が、いくらでもいるのですから。
どうも、非民主主義社会の住人の中には、「民主主義になりさえすれば、何もかも思い通りなる」と誤解している人が多いようですが、そんな事は、全然ないです。 私なんか、選挙権を得て以来、国政選挙は、一度も欠かさず、投票所に足を運んでいますが、私が投票した候補が当選した事は、一度もありません。 つまり、私の意見が国政に反映された事は、一回もないのです。 かれこれ、30年ですよ。 民主主義というのは、そういうものなんですよ。
む・・・、気がついたら、随分、長々と書いていますな。 変だな。 国際問題への興味が薄れているのは、確かなんですがね。 閑で、考える時間が長くなっているから、相殺されてしまっているんでしょうか。
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