2016/03/06

錆との戦い⑦ 【復活編】

  いよいよ、旧母自を組み立てるところまで来ました。 ちなみに、今現在、自転車関係の作業は、全て終わり、元の生活パターンに戻っています。 また錆びて来ても、一年くらいは、何もしないつもりでいます。 そうそう、錆取りばかりしていられません。 猿にラッキョじゃあるまいし、錆が出るたびに取っていたら、しまいにゃ、自転車がなくなってしまいますがな。

  ・・・・、いや、そーれほどは、取りきれんかな? 大袈裟な事を書いて、失敬失敬。




≪2016/02/03 (水)≫
  台所のポットとジャーの延長コードが壊れたのを交換したり、天気の関係で先延ばしにしていた布団干しをしたりしていたので、朝から何者かに追い立てられるような気分で過ごしました。 勤めていた頃には、一日最低、8時間は肉体労働していたわけですが、今は、ほんの2時間くらい動いただけで、へばってしまうのも、問題。 引退すると、心身ともに、衰えますなあ。


  自転車の方は、ちょこちょこと、できる事を進めました。 旧母自のブロック・ダイナモ・ライトですが、去年の暮れの時点では、全く点かなかったのが、今日、リード線だけでなく、ダイナモ側の接点まで鑢で削ってみたら、なんと、ライトが点きました。 なんだ、ただの接触不良だったのか! 壊れていないのなら、買い換える必要はありません。

  ところが、去年の暮れから今までの間に、自転車を分解する過程で、ライトを落下させて、プラスチック部分が更にひどく壊れており、破片を集めて、復元するのが、大変。 もはや、発掘土器の復元作業のようです。 何とか、くっつけましたが、振動で走行中に分解する恐れあり。 まあ、その時はその時ですが。

  サドルのスプリングは、一晩、酸に浸けましたが、まだ、錆がとれません。 トイレ・クリーナーを、もう一本買って来て、酸を追加し、もう一晩浸ける予定。 ボルト・ナットでなければ、浸け過ぎて、部品が痩せてしまっても、さほど、問題はないはず。



≪2016/02/04 (木)≫
  サドルのスプリングを酸から出しました。 錆は取れたものの、穴だらけでボコボコ。 しかも、クローム・メッキの下から、銅メッキが出て来て、全体が、見事に赤っぽく輝いています。 銅メッキを溶かす方法が分からないので、スプリングの外側はグラインダーで削り、内側は、父が持っていた丸棒鑢で削りました。 えらい手間を喰って、それだけで、昼過ぎまでかかりました。 透明錆どめを塗って、仕上げ。

  これで、部品の錆取りは、全部終わりました。 フレームやフォークの塗装も、乾いたので、明日は組み立てられそうです。 いよいよ、終わりが見えてきたか。 問題は、初めの頃にバラした部分が、どういう順序で組まれていたか、忘れかけている事ですな。 まあ、組み立て始めれば、おいおい、思い出すと思うのですが。

  どこから組むかも、意外と難問。 せっかく塗り直した本体に、キズをつけないように、順序に気をつけなければなりません。 後ろ泥除けを最後に外したので、組み立てる時には、それを最初に着けるわけですが、フレームも泥除けも、塗装した物だから、いきなりキズをつけそうな気がします。



≪2016/02/05 (金)≫
  いよいよ、旧母自の組み立てを開始。 錆どめを塗った部品が、他にくっついてしまわないように、グリスを塗りながら組んで行きます。 前ブレーキのユニットが、スムーズに動かずに、調整に苦労しました。 チェーンをチェーン・ケースに入れるのにも一苦労。 そのままでは入っていかないので、銅線を結んで案内にし、何とか通しました。

  塗って間もない塗装面がまだ弱いので、部品を当てると、すぐに傷が着いてしまいます。 組み終わったら、塗り足して、手直ししなければ。

  最後に残ったのは、サドル。 組み上げたものの、なぜか、ヤグラにシート・ポストが入って行きません。 少し入ったところで、自転車に着けて、試し乗りしてみましたが、サドルが高過ぎて、漕ぎ難いったらない。 やむなく、ポストの下側から、ハンマーで叩いたら、ハンマーの頭が抜けて、泣きっ面に蜂。 他のハンマーで何とか奥まで入れましたが、今度は、叩いたせいでパイプの下の端が捲くれてしまい、シート・チューブに入って行きません。 金属鑢で削ったけれど、やはり入らない。 ここで、時間切れ。 片付けました。

  錆取り作業と違い、組み立て作業は、体力を消耗するらしく、ふらふらになってしまいました。 こんなに疲れたのは、一昨年、北海道旅行で、札幌と小樽を歩いて以来です。



≪2016/02/06 (土)≫
  旧母自ですが、今日の午前中、最後まで残った、前籠とサドルを取り付け、組み立てが完了しました。 正味、20日間くらい、かかったでしょうか。 もし、私自身の手間賃を1日1万円で計算するなら、20万円もかけて、8千円台で買った自転車をレストアした事になります。 なんたる、無駄なエネルギー!

  閑だからやったわけですが、私は、手を着け始めると早く仕上げてしまわなければ気がすまない性分でして、暇潰しとはとても言えないような、苦しい日々になってしまいました。 苦しいだけでは、そもそも、続けられなかったと思うのですが、楽しさ2分、苦しさ8分というところだったでしょうか。

  これで、ペンキや薄め液のにおいとも、おさらばしたいところですが、うちにはまだ、父自という錆の塊があるので、そちらも片付けなければ、私の心に平穏は訪れません。 ま、とりあえず、少し休みますけど。

  ちなみに、午後、シュンの墓参に、お寺まで、試し乗りして来たんですが、行きは良かったものの、帰りに、左のペダルがぐらぐらし始め、途中で、クランクごとが外れてしまいました。 どうやら、クランク・ナットの締め付けを忘れたようです。 油断大敵ですな。 乗り物の場合、命に関わるから怖い。




  日記は以上です。 例の如く、内容を補足しますと、まず、ブロック・ダイナモ・ライトですな。 以前、私は、「リム・ダイナモ・ライト」と呼んでいましたが、正式名称は、「ブロック・ダイナモ・ライト」だそうなので、そちらに変えます。 いや、「正式」って言っても、誰が名称の管理をしているのか分からんですけど。 「名前なんか、通じればいいのであって、何と呼ぼうが、個人の勝手」という言語学的見解も添えておきましょうか。

  そのライトがねえ、去年の暮れに、前後ブレーキ・ワイヤーの交換をした時に、ふと気になって、点けてみようとしたら、点かなかったんですよ。 リード線に紙鑢をかけても、点かないので、てっきり壊れたのだと思って、買い換える為に、ホーム・センターやネットで、安いのを物色していたんですが、最も安くても、1100円くらいする一方で、私は、夜に自転車に乗る事はないので、ライトは無用の重物でして、気が進まず、そのままにしてあったのです。

  錆取りの為に分解している途中、フォークが抜けた拍子に、ライトが地面のコンクリートに当たって、レンズ周りが壊れ、破片が四散。 幸い、ほとんどの破片が回収できたので、保存しておいたのですが、それを、瞬間接着剤で貼り合わせたついでに、ダイナモの下の、リード線を咬ませる部分に鑢をかけてみたら、あら、びっくり、ライトが点いたというわけです。 新しいのを買わない内で良かった。


  サドルは、手強かった。 そもそも、サドルをバラせると思っていなかったので、錆取りを諦めていたんですが、やってみたら、案外簡単にバラバラになりました。 ただ、バラす前に、写真を撮っておかないと、復元できなくなる恐れは、濃厚にあります。 サドルの金属部品は、ヤグラを除くと、コイル・スプリング二つ、横棒一つ、V字棒一つで構成されていて、この内、棒は簡単ですが、コイル・スプリングが難題。

  500ccのペット・ボトルを半分に切って、二つのスプリングを咬み合わせて、その中に入れ、酸に浸けたのですが、クローム・メッキは錆ごと落ちたものの、下から、綺麗な銅メッキが出て来まして、その銅色を落とさなければ、他と色が合いません。 で、グラインダーと棒鑢で、削って行ったのですが、これが手間がかかる割に、甲斐のない作業でして・・・、結局、錆に冒された所は、ボコボコのまま、ただ、鉄の地肌の色を出しただけで、妥協せねばなりませんでした。

  削らなくても、上から、グレーのカラー錆どめを塗ってしまえば、簡単だったのに。 分解する必要すらなかったくらいです。 今、ホーム・センターで軽快車用の交換サドルを探すと、スプリングが、グレーで塗装されている物や、グレーのプラスチックでコートされている物がありますが、それと同じ仕上がりになるわけですから、何の問題もないわけです。


  組み立ては、一日で終わらせるつもりだったんですが、日記にあるように、いろいろと、障碍が発生して、結局、一日半かかってしまいました。 途方に暮れそうになったのが、チェーンの入れ方。 後輪とチェーン・ケースを着けてから、チェーン・ケースの後ろの開口部からチェーンを入れます。 ちなみに、前側の開口部からだと、チェーン・ケースの塗装面をこすりそうで、怖くて、入れられません。 チェーンは、横には曲がらないから、紐のように自在には扱えないのです。

  というわけで、後ろから入れるわけですが、チェーンだけだと、下へ曲がってしまって、入って行きません。 自転車を縦にして、重力を利用すれば、入ったかもしれませんが、塗装したばかりの自転車では、とても、そんな荒技を繰り出す気になれないじゃありませんか。 キズだらけになってしまいますがな。

  で、頭を使う事にし、しばらく考えて、思いついたのが、銅線をチェーンの端に結び付けて、先にチェーン・ケースの中に挿し込み、案内させるという方法です。 一応、その手で、通す事に成功しましたが、なんとも、稚稚拙拙たるやり方です。 これも、工場では、どうやっているんでしょうねえ。 つくづく、一度、自転車の組み立て工場を見学してみたい。 国内には、量産ラインなんて、もうないかな?

  話が前後しますが、チェーンは、分解して外した後、綺麗にしておきました。


  錆は、ほとんど出ていなかったのですが、再組み立てする時に、汚れたグリスがあちこちに着くのが嫌なので、一旦、落とす事にしたのです。 パーツ・クリーナーというスプレー式の洗浄剤が売っているのですが、買いに行くのが面倒なのと、僅かばかりのお金を惜しんで、他に何かで代用できないかと思い、試しに、ペイント薄め液でこすってみたら、落ちる様子。

  チェーンを渦巻状に巻いて、ちょうど収まる大きさの容器を探したら、植木鉢の受け皿にちょうど良いのがあったので、それを使いました。 薄め液が勿体ないから、液量は浅くして、裏表半分ずつ浸けました。 汚れが大方落ちた後、中性洗剤で洗って、干しましたが、水が着くと錆びて来ますから、水洗いはしなくてもいいのかも知れません。

  綺麗にしておいて、応じ合わせ。 グリスで汚れたまま、ガチャガチャやっていたら、せっかくの塗装面が、あちこち、べったべたに汚れてしまうところでした。 備えあれば、憂いなし。 問題は、想定外の事態には備えようがない事でして、自転車の組み立てなどという、普段滅多にやらない作業では、そういう事が、いくらでも出て来るのです。


  実際、塗装面の最大の敵は、チェーンではありませんでした。 部品もあろうに、スカート・ガードだったのです。 旧母自は、もはや、私の所有になったも同然ですから、スカート・ガードなんて、不要なのですが、なぜ、また着けたかというと、塗り替えた本体の色が、軽快車らしくないので、せめて、部品だけでも、元から付いていた物を全部着けて、それっぽく見せようとしたのです。

  あの、スカート・ガードというのが、外し難いなんてもんじゃないし、着け難いなんてもんじゃない。 まー、あーた、いっぺん、やってみんさいな。 外しただけで、後ろ泥除けとシート・ステーが、キズだらけですよ。 それもそのはず、もし、これが、車だったら、塗装面の上に、プラスチック部品を嵌め込むなんて、乱暴な設計は、絶対しません。 キズがつくに決まっているからです。 それが、自転車の世界では、ごく当たり前に行なわれているんですな。

  着ける時が、また、グジャグジャという感じ。 塗装面にキズをつけずに、スカート・ガードを着けるのは、神ならでは不可能と思えるほど、キズだらけになります。 だけど、自転車の組み立て工場には、その「神」がいるんでしょうなあ。 だって、新品の自転車では、スカート・ガードを着けた後で、塗装の修正なんてできないものねえ。 神が毎日、出勤して来て、タイム・カード押して、安全体操して、社食でうどん食ったりしてるわけだ。 なんとも、フレンドリーであることよ。


  他に、組み立てで手こずったのは、ヘッド・チューブの上下に付く、ベアリングのワンですかね。 特に、下側が入らなくて、往生しました。 外す時には、ヘッド・チューブの中に長いマイナス・ドライバーを差し込んで、ワンに当て、ハンマーで叩いて、割とすんなり取れたのですが、入れようとすると、どんなにハンマーで叩いても、入って行きません。

  たぶん、ワンの錆を取った後、透明錆どめを塗ったから、ワンの方の径が大きくなってしまったんでしょうなあ。 差し込む部分には、塗料や錆どめを塗ってはいけないんでしょう。 大きなハンマーを持って来て、何とか入れましたが、ガンガンガンガン、何回叩いた事か。 近所迷惑も甚だしい。


  それに関連して、日記の最後に出ている、クランクが外れてしまったという問題も、塗ってはいけない所に塗料を塗ったのが原因でした。 クランクが外れた数日後、着け直して、出かけたのですが、また、外れてしまい、ナットの締め忘れが原因ではない事が分かりました。 二回連続で起こると、「自分の力では、直せないのではないか・・・?」と思って、顔色が真っ青になりますな。

  思い当たる事というと、ボトム・ブラケットのシャフトが赤錆色になっていたので、黒の水性塗料を塗ったのですが、それが抵抗になって、クランクが入っていかないとしか考えられません。 で、スクレイパーで塗料を掻き落としてから、着け直したら、今度は、外れなくなりました。 やはり、嵌め込む部分に、塗料や錆どめを塗ってはいけないのでしょう。


  そうそう、サドルのヤグラに、シート・ポストが入って行かず、ハンマーで叩き込んだら、もう一方の端が広がって、今度は、シート・チューブに入っていかなくなった件は、広がってしまったシート・ポストの下端を、鉄鋸で切り落として、解決しました。 元々、資材用のパイプを自分で切ったものだから、こういう荒っぽい対策が取れた次第。 市販されているシート・ポストの場合、そもそも、ハンマーで叩くこと自体、薦めません。


  日記には出て来ませんが、前ブレーキ・ユニットの調整にも苦労しました。 一度、バラバラにしてから、酸に浸けて錆を落とし、透明錆どめを塗って、組み直したわけですが、一番先頭の回り止めナットを除いて、全ての部品が、スムーズに動かないと、ブレーキがうまくかからないのですよ。 片側に寄ってしまったり、戻らなくなってしまったりします。 全ての部品が動くように、部品を別にしてあるのだから、当然といえば当然なのですがね。

  透明錆どめを塗った部品同士は、くっついてしまうので、間にグリスを塗って、動くようにし、何とか、使えるところまで調整しましたが、ナットが緩んで来る恐れがあるので、注意しながら乗らなければならなくなりました。 そういうわけで、「バラさない方が良かったかな」と、後悔したのですが、先に立ちませんでした。


  「それはいいから、いい加減、塗り替えた後の写真を出さんかい」と、もはや、怒髪天を衝かんばかりの諸兄よ。 全く申し訳ないのですが、今回、長くなり過ぎたので、それは、次回に回します。 もう、しばらく、お待ち下さい。

  結局、今回は、写真が一枚きりになってしまいましたな。 作業中、ほとんど、撮影しなかったんですよ。 初めての体験で、うまく行くかどうか分からない事に取り組んでいると、全神経が作業の方に集中して、記録を残すどころではなくなってしまうのです。