2016/02/14

錆との戦い④ 【車条編】

  これを書いているのは、2月8日でして、すでに、旧母自のレストアは完了し、一日休んで、父自の方に取りかかった初日という事になります。 で、今現在、私の頭は、父自の錆取りを、どうやって進めるかで、満杯でして、ブログの記事に時間を割いている余裕がありません。 というわけで、またぞろ、公開日記からの移植で、お茶を濁させていただきます。 最後に、補足解説をつけます。


≪2016/01/17 (日)≫
  自転車の錆取りですが、今日、ようやく、手を着けました。 前籠と、ハンドル、ブレーキ・レバーなどをバラしたのですが、意外な所に、9ミリのボルトが使われていたりして、工具を用意するのに手間取り、結局、分解までで、時間切れとなりました。 奇数ミリのスパナというのが、なかなか、ないんですよ。 モンキー・レンチが入る所なら、代用できるんですが。


≪2016/01/18 (月)≫
  あちこちで、大雪だったそうですが、沼津は、ずっと雨でした。 もう少し気温が低かったら、雪になっていたと思います。

  寒くて、何もする気にならず、一日中、寝ていました。 昨日バラした旧母自の部品も手付かずのまま。 なんで、よりによって、寒い時に、水仕事をしなければならないのか・・・。


≪2016/01/20 (水)≫
  自転車部品の錆取りを再開したんですが、前ブレーキ・ユニットに布鑢をかけていたら、メッキが健在な部分が全く削り取れず、腕と指の方が、先に参ってしまいました。 いくら、閑人だからと言って、こんな事は、続けていられませんや。 やむなく、「トイレ・クリーナー」に浸けて、様子見。 半日くらいで、だいぶ、錆が溶けましたが、それでも、新品のようにはなりません。

  今日も風があり、外は寒かったです。 こんなガタガタ震えが来るような日に、水を使う仕事はしたくないですなあ。


≪2016/01/21 (木)≫
  家の敷地から、一歩も出ず、チマチマと、自転車部品の錆取り作業をしていました。 酸で錆を落とした後、アルカリ液で中和するのですが、その後、水洗いして、ベランダに干しておいたら、あっというまに、錆が出て、あら、どうしましょってなもんです。 また、一からやり直すなど、とても無理なので、布でこすって、錆をできる限り取り、すぐに、透明錆どめを塗ってしまいました。

  天日で乾かすなんて行程は不要で、水洗いが終わったら、すぐに、布で拭いて、水気をとってしまい、すぐに、錆どめを塗らなければダメなんですな。 一つ、利口になった。


≪2016/01/22 (金)≫
  錆取りの最大の難関、前輪スポークに取りかかりました。 物置に、金ブラシがあったので、ボロボロになった錆を、極力、掻き落としてから、布鑢で、チマチマ削ること、2時間。 寒い中、寒さを忘れるくらい奮闘したにも拘らず、スポークが交叉している所に鑢が入らず、2・3割は、削り残しました。

  だけど、酸を併用しつつ、マメに進めれば、かなり綺麗になるのではないかと思います。 そういう目星がついただけでも、収穫はありました。 スポークを全部抜いて、バラバラにすれば、わけなく、綺麗にできるのですが、一旦バラすと、張り直した後、「振れ取り」ができない恐れが高いので、バラさずに綺麗にできるなら、多少手間が多くかかっても、そちらの方が、確実です。


≪2016/01/23 (土)≫
  夕方から、雪の予報でしたが、沼津は、それほどの寒さではなく、案の定、雨だけでした。

  依然、錆取り中。 昨日に引き続き、前輪のスポークと戦っています。 どうしても、交叉部分の錆が取れないので、もう一度、金ブラシでこすってみたら、だいぶ、取れました。 円筒形の金ブラシがあれば、指が入らない所も、どうにかなりそうです。 今日、買って来ようと思ったのですが、出かけようと思ったら、雨が降り出し、断念。


≪2016/01/24 (日)≫
  終日、物凄い強風。 しかも、寒い。 午前中、バイクで、ダイソーに、金ブラシを買いに行き、道具は揃ったものの、あまりの強風に、屋外で作業する気にならず、今日の錆取りは中止。 布団干しは言うまでもないですが、亀の水換えすらできず、明日に繰り延べです。 明日は、少しは風が収まるんでしょうなあ。


≪2016/01/25 (月)≫
  今日は穏やかに晴れました。 ただし、気温は低い。

  とうとう、錆取り最大の難敵、前輪スポークをやっつけました。 最後に頼ったのは、金ブラシでした。 リムに、ガム・テープでマスキングをして、ニップルの錆まで落としました。 ニップルが回ると、スポークの張力が変わってしまうのですが、幸い、金ブラシでこすった程度では、ニップルは回りませんでした。

  「もう、これ以上は、落とせない」というところまで落とし、ウエスで金属カスを取り、ペイント薄め液で脱脂。 スポークに割り箸を咬ませて、交叉部分に隙間を空けてから、透明錆どめを塗りました。 交叉部分が乾いてから、割り箸を外し、スポークの残りの部分と、ニップルまで塗って、完成。

  錆を落とし終わった状態より、透明錆どめを塗った後の方が、暗い色になり、汚らしくなりましたが、まあ、いいとします。 これ以上、やりようがないし。 さんざん悩まされた前輪が、何とか終わってくれて、肩の荷が少し軽くなりました。



  日記は以上です。 写真は、作業中、ほとんど、撮りませんでした。 錆取りの方法に悩まされ続けで、精神的なゆとりがなかったんですな。 初めて経験する作業ばかりで、先の見通しが立たないと、写真撮影の時間が惜しく感じられるのです。 完成後の写真を、いずれ出します。

  前ブレーキ・ユニットの錆は、だいぶひどくて、バラバラにして、酸に浸けましたが、今思うと、バラさずに浸けられれば、その方が良かったと思います。 組み直した後、スムースに動くように調整するのが大変だからです。

  とにかく、耐水ペーパーや、布鑢を水に浸して、部品を磨くのは、つらい作業でした。 布鑢は、水に浸けても使えるのですが、すぐに研磨剤が剥がれてしまうので、消耗が激しかったです。 耐水ペーパーの方が、耐水と言うだけあって、まだ、もちがいい。 布鑢は、本当は、水に浸けてはいけないんじゃないの? 品によっても、違うんですかね?


  前輪スポークは、錆取りをする前に、新品に交換するか、錆だけ落とすか、さんざん悩んだんですが、結局、張り直した後に、振れ取りをする自信がなくて、新品への交換は断念しました。 ただ張るだけなら、小学生でもできるのよ。 そりゃ分かってるんだけど、その後の振れ取りが、大ハードルなんだわ。 

  ネットで調べると、「素人でも、できます」と、やり方を紹介しているブログが、いくらもありますが、見てみると、どなたもこなたも、振れ取り台を揃えているような本格的な人達ばかり。 こういう人達は、自分の事を、素人だと見做しているだけで、その実態は、「ハイ・アマチュア」であり、何ら特別な技能を持ち合わせていない、「一般人」とは、明らかに、別人種です。

  大体ねー、振れ取り台って、1万円くらいするらしいんですよ。 冗談も休み休み・・・、こちとら、しょっちゅう、ホイールを組み直しているような、二の腕に「自転車 命」と刺青したスポ自乗りではなく、買い物用に使っている軽快車の錆を減らす為に、スポークを換えたいと思っているだけの、もろ一般人でして、恐らく、スポークの張り換えなんか、一生に一度しかやりません。 振れ取り台に、一万円も払うくらいなら、自転車ごと買い換えた方がいいではありませんか。

  更に調べると、専用台がなくても、自転車を上下引っ繰り返して、フォークに目印になる物を付ければ、それでも振れ取りはできるとの事。 うーむ、誘惑がやみませんなあ。 今時の軽快車は、リムがアルミ製なので、リムは、全く錆びておらず、何年経っても、新品同様です。 だから、スポークさえ新しくすれば、ホイール全体が、新品同様になるわけで、それを思うと、やりたくてやりたくて、仕方がない。 この衝動の強さは、思春期の性衝動を上回るのではあるまいか? スポークを新しくしたいというのは、遺伝情報に書き込まれた、本能なのか? いやいやいや、そんなこたーあるわけないわけですけど。

  スポーク張りは、振れが完全に取れたとしても、「張り過ぎ」というのがあるらしく、その状態で乗っていると、スポークが折れ易いのだとか。 逆に、「ゆる過ぎ」というのもあるのかな?と思ったのですが、そちらは、ないようです。 ゆる過ぎると、振れが出るから、振れが取れているという事は、ゆるくはないという事になるわけだ。 何だか、分かったような、イマイチ危ういような理解レベルですなあ。

  つまり、振れが取れていて、しかも、張り過ぎていない、境界線的な精度が求められるわけだ。 結構、シビア。 どこのブログでも、「難しい」とは書いてないので、何回もやって、慣れて来れば、できるようになるとは思うのですが、いくら調べても、「たかが、錆の為に、そこまでやるかね?」と思ってしまうのです。

  自分で挑戦してみて、駄目なようなら、自転車店へ持って行くという手もあります。 で、自転車店のサイトで、振れ取りの工賃を調べたら、1400円でした。 これまた、微妙な値段ですなあ。 だけど、一回で済むんじゃろうか? 組んだばかりのホイールは、「初期振れ」というのが出るらしく、しばらく乗ってから修正してもらうとしたら、それは、別料金になるんですかね?

  自転車店の店主や店員だから、スポーク張りの経験値が高いとも言いきれないのが、また、怖いところです。 彼らが一番得意なのは、パンク修理でして、そちらは、目を瞑って足でもできるくらい慣れているわけですが、スポーク張りなどという特殊な仕事が、年中入るわけはないのであって、一ヵ月に一回もやらないと思われ、練度的には、ハイアマと大差ないんじゃないかと思います。

  強く張り過ぎて、お客から、「何だか、乗り心地が硬くなったんだけど」と言われても、「いやあ、張り換えると、そんなもんですよ」とか何とか言っておけば、客の方は、より無知だから、簡単にごまかせます。 スポーク張りの、真のプロがいるとしたら、ホイール工場で、その工程を担当している工員だと思いますが、そんな人を探し出すのは、まず不可能。 日本国内に、一人もいない恐れすらある。 結局、自分でやれるようになるのが、一番、確実な方法なのか・・・。

  友人・知人の自転車仲間に、振れ取りができる人がいて、「ああ、持ってくれば、やってやるよ」なんて言ってくれれば、勿怪の幸いにして、渡りに舟なわけですが、その人が、本当に振れ取りができるかどうかは、神の味噌汁です。 一応、バランスは取れているけれど、張り過ぎていて、乗っている内に、スポークが折れたりしたら、こちとら、真っ青でんがな。 同じ人にやってもらっている限り、折れ続ける恐れあり。 つまり、その人、振れ取りができると思い込んでいるだけで、実はできねーのよ。

  ・・・と、様々な妄想を逞しくしている内に、すっかり、新品に交換する気が失せて、錆取りをする方に決まったというわけです。 本格的なロード乗りになるのでもなければ、スポークの張り換えや振れ取りが、どうしても、できなければいけないというわけではないです。 そんな特殊な事、一生できなくたって、ちっとも、恥ずかしくない。

  恥ずかしいのは、「どんな事でも、チャレンジする気持ちが大切だ」とか言って、できもしない事に手を出し、結局、物を使えなくしてしまうケースですな。 程度の問題でして、「八割くらいの確かさで、できそうだ」というなら、チャレンジもいいですが、「二割くらいの確かさで、できそうだ」で、チャレンジして、失敗してたら、それは、アホでんがな。