2016/02/21

錆との戦い⑤ 【琢磨編】

  前回と同じような書き出しになりますが、これを書いているのは、2月18日で、父自の方のレストアが終わり、旧母自の再解体をした日です。 なぜ、再解体したかについては、いずれ書きますが、混乱するので、とりあえず、その事は忘れて下さい。 何が言いたいかというと、まだまだ、レストア作業が続いていまして、ブログの記事を書く時間がないという事です。 で、またしても、日記の続きという事になります。



≪2016/01/26 (火)≫
  朝から、錆取り。 そろそろ、うんざりして来ました。 本体を塗り替えるかどうか、悩んでいたのですが、昨夜の段階では、金と手間がかかり過ぎる塗り替えは、やめようと思っていました。 錆が出ている所だけ、コンパウンドで落とし、透明錆どめを塗っておけば良かろうと思っていたのです。

  ところが、今日、フォークを外し、コンパウンドをかけ始めたら、とてもじゃないが、コンパウンド程度では、錆を取り切れない事が分かり、金ブラシ、布鑢、金束子、クレンザーを駆使して、錆だけでなく、塗装もプライマーも全て削るという、途轍もない大仕事に突入してしまいました。 一日かかって、フォークだけは、削り終わり、錆びない内に、透明錆どめを塗って、何とか、終了。


  金属の地肌が見えている状態で仕上げるのを、「ポリッシュ仕上げ」と言うそうで、それに近い事をやったわけです。 ただ、普通は、アルミ・フレームを、鏡面仕上げにする事を指すそうで、鉄でやる人は、あまりいないかも知れません。 これなら、また錆びて来ても、見えますから、そこだけ、削って、直せばいいわけです。

  問題は、フレームの方を、同じようにポリッシュ仕上げにするかどうかという事。 片手で持てる大きさのフォークだけでも、死ぬほど疲れてしまったというのに、遥かに大きなフレームを、同じ方法で丸裸にするのは、とても無理です。 塗装を剥がす、剥離剤というのがあるのですが、安いのでも、2000円と、結構高い。 それに、気温が低いと、効果が出難いとの事。

  とりあえず、ポリッシュ仕上げはフォークだけに留め、フレームの方は、錆びた所にシルバーのペンキをさして、ごまかし、春になってから、どうするか決めようと思います。 もう、錆取りで大仕事をするのには疲れました。 ちなみに、元の色がシルバーですから、フォークだけ、鉄の地肌が出ていても、さほど、違和感はありません。


≪2016/01/27 (水)≫
  錆取りですが、スタンドと荷台を外し、金ブラシ、コンパウンド、布鑢で、今日も奮闘しました。 荷台は、今月の始め頃、錆取りをいい加減にやって、透明錆どめを塗ってあったのですが、その錆どめの膜を取り除くのに、えらい苦労をしました。 中途半端な事はするもんじゃありませんな。 接合部分の隙間の錆がどうしても取れず、酸に浸けておきましたが、全部は取り切れないかもしれません。

  スタンドの方は、思っていたより楽で、金ブラシだけで、ほとんどの錆が取れてしまいました。 メッキ面を金ブラシでこすっても、メッキが剥がれる事はないようです。 綺麗にして、透明錆どめを塗っておきました。 スタンドは、形状が複雑なので、錆が取れない場合は、買い替えも覚悟していたのですが、これで、買わずに済みました。

  明日、荷台の処置が済めば、とりあえず、旧母自の錆取り作業は終わります。 しかし、透明錆どめが完全に乾くのを待たねばならないので、明日中に組む事はできません。 それに、一番存在感があるフレームは手付かずですから、そんなに見違えるように綺麗にはならない予定。

  そうそうそう、前輪のタイヤをアマゾンで注文しました。 今のも、まだ使えるのですが、中心に赤い線が入っていて、前々から、気に入らなかったのです。 前輪よりも後輪の方がタイヤの減りが早いから、前後を入れ替えて、さっさと使い切ってしまおうかとも思ったのですが、見たら、後輪の方も、だいぶ減っていたので、後輪はそのままにし、前輪を新しくして、外したタイヤは、後輪が擦り切れた時の交換用にとっておく事にしました。 これなら、無駄遣いにはなりませんから。 

  そうそう、父自用の前籠も注文しました。 今ついているのが、ボロボロに錆びていて、塗り替えても、どうせまた、すぐに錆びると思われたので、父に言って、プラスチック製のに換える事になったという次第。 しかし、父自は、前籠だけでなく、前籠ステーも、前籠ブラケットも、前輪スポークも、クランクも、あらゆる所が錆びており、籠だけ換えて、「はい、おしまい」というわけには行きません。 旧母自が終わったら、父自と戦う日々が待っているわけです。

  正直な感想、もう、錆取り作業には、うんざりしていまして、父自の方は、新品部品を買ってしまいたくて、仕方ありません。 自分の自転車にお金をかけると、無駄遣いになるだけど、父の自転車なら、親孝行という錦の御旗があるから、4・5千円くらいはかけてもいいのではないかと・・・。 いや、まだ、決定はしていませんが。 ステー類は、ステンレス製にしてしまった方が、後々、絶対、楽なんですよ。


≪2016/01/28 (木)≫
  図書館へ行った後、ダイソーに寄って、グラインダーに使う、ナイロン・ディスクを216円で買いました。 塗装や錆を落とせるらしいのですが、問題が、三つあります。 まず、グラインダーの音がうるさくて、近所迷惑だという事。 次に、一枚買えば、いつまでも、もつというわけではなく、消耗品であるという事。 最後に、狭い所には入らないので、結局、剥離剤も買わなければならないという事。 とりあえず、使い勝手を試してみようと思って、買って来た次第。

  ついでに、父自用のタイヤ・チューブも前後二つ分、購入。 324円商品ですが、ホーム・センターだと、一つで、980円くらいしますから、安いものです。 現在、父自のタイヤには、米式バルブのチューブが入っているのですが、これが、ここ一年ばかり、ゆっくりと空気が減っていく症状に悩まされていまして、乗る度に空気を入れるのが面倒で、それでなくても出不精の父が、ますます出かけなくなっているのを憂慮して、普通の英式バルブに換えてしまおうと目論んだわけです。 作業するのは、まだ先ですが。 


  アマゾンに注文した父自用の前籠と、旧母自用の前輪タイヤが届きました。 前籠は、OGKのプラスチック製で、1100円。 これは、父が、お金を出しました。 旧母自に付いているのも、OGKのプラ籠で、似ているんですが、現物を見たら、こちらの方が、少し大きかったです。 それは、問題なし。

  タイヤは、共和という会社の、「MILION」という製品で、907円。 これは、私が以前、旧母自や母自の後輪につけたのと同じ品なのですが、ホーム・センターでは、1370円もします。 送料込みで、どうして、こんなに安くなるのか、不思議でなりません。


  錆取りは、荷台に取り組み、金ブラシでこすり倒して、何とか、錆の色が見えない程度にまでもって行きました。 もう、金属をこするのには、うんざりです。 すぐに、錆どめを塗っておきます。 メッキが残っている部分と鉄の地肌が見えている部分が混在していますが、パッと見では分からないでしょう。

  昨日やったスタンドですが、スプリングがきつくて、外す事ができず、つけたまま、作業をしました。 ところが、今日になって、スプリングを外す方法を思いつきました。 スプリングの端の輪に、直接、金属の棒を挿して引っ張ろうとするから、力が入らないのです。 ビニール紐を輪にして、スプリングの端の輪に通し、紐の上に金属棒を通して、引っ張ったら、あっさり外れました。

  この方法、ネットでも出ていませんが、もしや、大発見なのでは? スプリングの大きさから考えて、人間の力で伸ばせないなんて事はありえないのであって、やり方次第だったんですな。


≪2016/01/29 (金)≫
  予報では、午前9時頃から雨という事でしたが、6時頃、目が覚めたら、もう、音を立てて降っていました。 結局、一日中、雨。

  昨日届いた新しいタイヤを、旧母自の前輪に着けました。 今まで付いていたのは、外して、保管しておきます。 後輪タイヤが磨り減ったら、そちらに着け替える予定。 外す時には、タイヤ・レバーを使いましたが、着ける時には、手だけでやりました。 工具を使わなければ、チューブを傷つける恐れがないんですよ。 できれば、外すのも、手だけでやりたいんですが、なぜか、できませんでした。 何が問題なのか、分からない。

  錆を落とした前輪に、新品のタイヤが着いたわけで、まずまずの綺麗さです。 だけど、新品同様とは、とても言えません。 スポークが、鉄の地肌に透明錆どめを塗っただけですから。 自転車に着ければ、多少は見栄えがするんでしょうか? 自信がありません。



  日記は以上です。 うーむ、この頃の事は、もう、遥か大昔の出来事のように感じられますなあ。 その時、リアルタイムで錆取り作業をしている旧母自と、それが終わってから取り組むつもりでいる父自の事が、ごっちゃに書いてあるので、書いた本人の私でも、頭が混乱してしまいます。


  フォークを丸裸にしたのは、今思い出しても、きつい作業でした。 その頃はまだ、スクレイパーを試していなくて、金ブラシから始めていたから、どえらい無駄なエネルギーを使っていたんですな。 錆びている部分は、一見、頑固なようでいて、その実、脆いから、スクレイパーが一番、効率的に掻き落とせるのです。 それに、早く気づいていたらなあ。 スクレイパー自体は、持っていたのに。

  スタンドと荷台は、メッキを全て落としきる事が、とても無理だと分かったので、メッキが生きている部分は残す事にし、鉄の地肌が出てしまった所と混在する事になりましたが、錆の赤茶色が見えなければ、それほど、気になりません。 新品同様には程遠いですが、妥協できる、ギリギリの線だったわけです。


  ところで、日記の中では、鉄の地肌の上に、水性のエポキシ透明錆どめを塗って、仕上げにしてしまっていますが、これは、その時点では、問題ないと思っていたものの、その後、事情が変わりました。 旧母自のレストアが、一応の完成を見た後、暴風雨の日があり、横殴りの雨に長時間、叩きつけられて、透明錆どめが溶けてしまうという椿事が出来し、仕上げには使えない事が分かったのです。

  その件については、いずれ、その日の日記を出しますが、もし、今からやろうとしている人がいたら、手遅れになるとまずいので、今回、先行して、書いておきます。 ちなみに、今回の前文で、父自のレストアが終わった後、旧母自を再解体していると書いたのは、その錆対策を施す為です。


  今回分の日記で、他に、特筆事項と言うと、スタンドのスプリングの、脱着方法を発見した事ですかね。 そんなに大きなスプリングではないですが、手指では全く歯が立たず、ドライバーを突っ込んで、引っ張っても、やはり、ビクともしません。 こんなに手強いとは、思っていなかった。

  ネットで調べたら、スプリングの脱着方法については、ほとんど、出ていなくて、辛うじて見つけたのが、「ドライバーを梃子にして、スプリングの端の輪を持ち上げ、ずらし落とす」というもの。 それでは、支点になる部分にキズをつけてしまうので、あまり、気が進みませんでした。 工場では、どうやっているのか、一度、見に行ってみたいものです。

  考えること、数日。 ふと思いついたのが、日記に書いてある、紐を使う方法です。 スプリングの大きさから考えて、人間の力で伸ばせないとは、どうしても思えないので、たぶん、力がうまく伝達できない点に問題があるのだろうと考え、紐を媒介にしてみたら、うまく行ったという次第。


  ↑こんな感じになります。 外す時も、着ける時も、コツは同じ。 この写真では、紐が一重なので、着けた後、紐を外すには、結び目を解くか、紐を切るかしなければなりませんが、紐を半分に折って掛ければ、後で、横から引き抜く事ができます。 文章だけだと伝わらないと思いますが、まあ、やってみれば、すぐ分かります。

  紐は、スプリングの端の輪に、楽に入る細さで、切れ難ければ、何でもいいです。 紙紐のように切れ易い物や、細過ぎて千切れてしまう物は、危険なので、使わない方がいいと思います。 結構、力を入れて引っ張るので、途中で、ブチッといかれると、姿勢が崩れて、転倒する恐れあり。

  作業中の事故は馬鹿にできないものでして、特に、後ろに倒れるのは、どこが何にぶつかるか分からず、危険極まりないです。 こういう作業は、最初から、壁に尻を当ててやるくらい、用心した方がいいかも知れません。 自転車の錆取りをしていて、後頭部を強打し、半身不随など、馬鹿丸出しで、見舞いの言葉も思いつきゃしない。

  スプリングの脱着は、スタンドを自転車に付けたままでもできますが、全部、分解するのなら、スタンドだけにしてからやった方がいいです。 スプリングが外れると、スタンドが腰折れして、自転車が倒れるからです。 単に、外れてしまったスプリングを着けるだけなら、自転車にスタンドを付けたままでも、できるという意味。

  スプリングには、上下や、場合によっては、右側と左側の違いもあるので、外す前に、写真を撮るか、よく観察して、覚えておく必要があります。 端の輪の立ち上がっている位置が、異なるんですな。 着け直した後、スプリングがスタンドに当たったり、妙に、外側に飛び出していたりしたら、それは、上下か左右が違っているのです。

  ホーム・センターや、ネット通販で、交換用のスプリングというのが売っていますが、長さが、車種によってマチマチなようなので、店にある品を買って来れば、必ず着けられるとは限りません。 一本、300円前後しますから、左右のスプリングを買い換えるくらいなら、スタンドごと買い換えてしまった方が、割安という見方もあります。