2017/01/15

セルボ・モード補修④

  セルボ・モード補修の、四回目。 もしかしたら、私と同様に、最近になって、セルボ・モードを手に入れた人が、検索に引っかけて、見に来ているかもしれませんが、当方、車の修理方法に詳しいわけではなく、安く買った車の見てくれを、極力 お金をかけずに、少しでも良くしようという、お世辞にも高いとは言えない志で直しているだけなので、あまり、参考にはならないと思います。




【マットガードの洗浄】

≪写真上≫
  前後のマット・ガードが汚れていたので、締め付けを外して、ボディーやバンパーから浮かせ、水洗いしました。 ボディー・バンパー側には、コンパウンドをかけて、垢を除去。 写真は右側ですが、左側も同じようにしました。

≪写真中≫
  ビス・ボルトは、赤く錆びていました。 酸で錆を落としてから、艶消し黒で塗装。 小さい部品は、乾かす時に、いろいろと、小細工が必要です。 全部塗ってしまうと、置くに置けません。 半分ずつ塗るか、吊るす所を準備しておく必要があります。

  トヨタ車では、マット・ガードは、全て、ワッシャー一体型のビスで締めますが、スズキは違っていて、セルボ・モードの後輪側は、ボルト・ナットでした。 前輪側は、ビス。 いずれも、ワッシャーは別になっていました。 前後左右とも、一本だけ、外れ難い所があって、そこは、つけたまま、ボルトやビスの頭だけ黒く塗りました。

≪写真下≫
  締め付け直した様子。 ビス・ボルトの赤錆が見えなくなっただけでも、だいぶ、スッキリした印象になりました。 マット・ガードは、雨の日に乗った後、泥撥ねが乾く前に、如雨露で水をかけておくだけでも、綺麗に保てます。 泥を溜めないようにするのが肝要。



【運転席敷居塗装補修】

≪写真上左≫
  塗装部分を補修するには、ボデーと同じ色の塗料が必要です。 まず、それを調べなければなりません。 セルボ・モードの場合、エンジン・ルームの奥の壁に、プレートがありました。 見え難いので、書き写しますと、

SUZUKI MORTOR CORPORATION JAPAN

TYPE      E-CN22S
CHASSIS NO.CN22S 89…1
ENGINE     F6A 657cc
COLOR     1VN   D05
         BBML-5
        スズキ株式会社

  ボディーのカラー名は、「1VN」です。 その後ろの、「D05」というのは、内装の色らしいです。 とりあえず、「1VN」だけ分かれば良し。

≪写真上右≫
  アマゾンで買ったスプレー塗料、「ホルツ アンチラストペイント180ml スズキ [ 1VN ] マーキュリーシルバーM」です。 税込み、908円でした。 ホーム・センターでは、ソフト99の、300mlのが、1400円くらいします。 そんなに大面積を塗る予定がなかったので、小さい方にしました。 

≪写真中左≫
  最初に塗ったのが、運転席の敷居部分。 なぜか、ここだけ、錆びていました。 スカッフは、割と綺麗でして、前の持ち主は、スカッフに足をつけないように気をつけていたのだと思いますが、その分、ボディーの方に、足が当たっていたんでしょうなあ。

  重傷だったので、応急処置として、車が来てすぐに、コンパウンドをかけて、極力、錆を取り除き、自転車のレストアの時に使った、カラー錆取りグレーを、筆で塗っておきました。 その時の写真は、撮り忘れました。

≪写真中右≫
  1ヵ月半くらい経って、材料が揃ってから、本格的に塗装し直しました。 カラー錆取りグレーの上から、コンパウンドをかけ、テープと新聞紙でマスキングして、1VNを吹き、更に、父の遺品のクリヤーを吹きました。 クリヤーも、ホルツ製品でした。

  結果、元の色と、新しく吹いた色の違いが、かなり、出てしまいました。 写真だと分かり難いですが、肉眼で見ると、はっきり、違いが分かります。 しかし、ほとんどの部分は、ドアを閉めると、隠れてしまうので、私が気にしなければいいだけの事。

≪写真下≫
  ドアを閉めた時に見えるのは、この程度です。 ここまで、目を近づければ、はっきり、塗った跡が分かります。 だけど、わざわざ、しゃがんで、こんな所を眺める人は、いますまい。

  塗装補修の方法を教えるサイトには、元の色と、新しい色の境目をなくす為に、「ボカシ剤」を使えと出ていますが、私に言わせてもらえば、やめた方がいいです。 特に、色の違いが、見た目にも、はっきりしてしまっている場合、ボカシ剤でボカしきれるものではなく、患部を広げてしまうだけで、見るも無残な結果に終わります。

  よその車を観察しましたが、「あ~、これは、ひどい・・・」というのを、何台見た事か。 ボカシ剤というのは、塗装のプロが、様々な条件を整えた上で使うものであって、素人が、技能の低さをごまかす為に使うものではないのでしょう。 そもそも、色を合わせる必要があるわけですが、素人の場合、車の塗料といったら、スプレー缶以外に手に入りませんから、調合など不可能でして、その段階からして、解決できないのです。

  塗装面積が小さい場合や、目立たない場所の場合、たとえ、境目が出来ても、患部ぎりぎりをマスキングして塗る方が、間違いなく、いい結果になります。



【リヤ・バンパー・キズ補修】

  バンパーは、前後共に、左側にキズがついていました。 元からついていたのであって、私がつけたんじゃありません。 まずは、リヤから。

≪写真上≫
  買って来て、間もない頃、水をかけ、タオルで水拭きした後の様子。 この大面積に圧倒され、しばらくは、手を着けられませんでした。 コンパウンドや、スプレー塗料など、補修材料が揃ってから、しげしげ見直したところ、「もしや、キズがついているのは、ほんの一部で、前の持ち主が、テキトーに塗料を塗ったくっただけなのでは?」と思えて来ました。

≪写真中≫
  で、コンパウンドで、少し、しつこく、磨いてみたところ、思った通り、本当にキズがついている部分は、たった、これだけでした。 一体、どういう直し方をしたのよ? だけど、この状態になった時には、嬉しかったです。 このままでも良かったくらいですが、せっかく、塗料があるので、使う事にしました。

≪写真下≫
  バンパー・プライマーを塗り、テープと新聞紙でマスキングしてから、プラサフ、1VNシルバー、クリヤーと吹いて、仕上げたら、こうなりました。 色の違いが、はっきり分かるものの、面積が小さいから、ちょっと離れると、ほとんど、目につきません。 恐らく、普通に車間距離を取っていたら、後続車から見ても、キズの存在に気づかないと思います。 下の方の細いキズに至っては、この距離でも見えなくなりました。

  小さいキズの場合、キズの形に合わせて、ギリギリの所をマスキングし、塗る面積を極力小さくするのが、お薦めです。 円、楕円、陸上トラック形、正方形、長方形、といった、定形に整えようとすると、面積が大きくなり、目立ってしまいます。 ボカシ剤を使うのは、論外の禁じ手。 患部を大きくして、いい事は何もないです。



【フロント・バンパー・キズ補修①】

  セルボ・モード補修の天王山となった、フロント・バンパーのキズ補修です。

≪写真上≫
  これが、買って来た時の状態。 中古車店で、周囲をぐるっと見た時には気づかずに、家に帰って来てから、発見して、相当な重傷である事が分かりました。 ただ、店で気づいていたとしても、このキズを理由に買わなかったという事はないです。

  到底、素人に直せるとは思えず、板金塗装工場に頼む事も検討しましたが、調べてみたら、思っていたより、料金が高い事が分かりました。 この大きさのキズだと、新品同様に戻すとしたら、5万円以下では、とても、できない様子。 本体価格8万円で買った車の、バンパー・キズを直す為に、5万円以上使うなど、馬鹿げているにも程があります。

  プロに頼むのは却下したものの、依然として、自分でどうにかできるレベルとは思えず、修理方法を延々と考え続ける事になります。 買って来てから2ヵ月以上、考えに考えて、ようやく方針が決まり、9月29日から、補修に着手しました。

≪写真中≫
  ソフト99の「99工房」の動画や写真解説を参考にして、まず、150番の紙鑢で、粗削りし、パンパー・プライマーを塗ってから、パテで、抉れた所を埋めました。 2時間待ってから、150番の紙やすりで、パテの盛り過ぎた部分を削り始めたのですが、すでに、コチコチに硬くなっていて、まるで、歯が立ちません。 より粗い目の、120番でも駄目。

  手でやっていたのでは日が暮れると思い、グラインダーを使おうと、ホーム・センターへ、研磨用の回転砥石を買いに行ったのですが、プラスチック用は存在せず、断念。 代わりに、耐水ペーパーの120番を買って来ました。 目詰まりした削り滓を、水で洗い流せるタイプの紙鑢です。 それを、研磨パッドに巻いて、使ってみたら、普通の紙鑢とは雲泥の差で、かなり、効率よく削れました。 餅は餅屋だったんですな。

  120番で粗削りした後、400番と1000番で、表面を滑らかにした後の状態が、この写真です。 黒は、パンパーの素地の色。 白は、パテの色。 シルバーは、塗装色。 この色の斑が問題なのでして、どの程度、滑らかになったのかを、目で確認できないのです。 指の腹で触って、細かな凹凸を感じ取るなんて、とても無理である事を、この後、思い知る事になります。

≪写真下≫
  「大体、この程度で良かろう」というところで、削るのはやめ、おおまかにマスキングしてから、まず、プラサフを吹きました。 灰色になっているのは、プラサフの色です。 プラサフ用のマスキングを剥がし、その周囲に、1.5センチ幅のマスキング・テープを使い、ピクセル・パターンで囲んで行きました。

  デジタル迷彩から思いついて、ピクセル・パターンだけ戴き、新旧の色の境界にしようとしたわけです。 最初は、1.5センチ角でやろうとしたのですが、貼り始めたら、大き過ぎる事が分かり、目分量で半分にして、7.5ミリ角で囲みました。 これらのテープは、予め、直角に切って、用意しておいたものです。

  リヤ・バンパーでやったように、キズの形ギリギリでマスキングしなかったのは、フロント・バンパーのキズが、大き過ぎたからです。 これだけ大きいと、それだけで目立ってしまうので、「目に入らないようにする」という方向でごまかすのには無理があったのです。 で、何かしら、新旧の色の境目を説明する、「哲学」が必要になり、ピクセル・パターンに辿り着いたわけです。



【フロント・バンパー・キズ補修②】

≪写真上≫
  ピクセル・パターンで囲んだ後、新聞紙で、その周囲を覆いました。 大事を取って、少し広めに覆っておきました。 まずは、1VNシルバー、次に、クリヤーをスプレーしました。 一回ざっと塗っては、5分乾かし、また、次を塗るというパターンを繰り返し、1時間以上かけて、塗りました。

  壁にしてあるダンボールは、埃がつかないよう、用心したもの。 塗る時だけ外し、乾かしている間は、写真のように近づけていました。 だけど、この日は、風が弱く、こんなに気を使う必要はなかったかもしれません。

≪写真中≫
  で、完成したのが、これ。 「これは、ひどい・・・」と、溜息が出る、仕上がりの悪さです。 下地の凹凸が、モロに出てしまっています。 指の腹で触れて、滑らかになったと思っていても、実際には、こんなだったんですなあ。 乾いてから、コンパウンドをかけてみましたが、変化なし。 元が凸凹だから、コンパウンドで、どうにかなるものではないのです。

≪写真下≫
  十日くらいしてから、もう一度、耐水ペーパーで削り、やり直したのが、これ。 「おお、随分、マシになったではないか」という感じですな。 しかし、まだ、小さな凹凸が分かります。 もう一度、やり直せば、更に綺麗になると思いますが、もう、その気力がありません。

  ピクセル・パターンの境界は、「まあまあ、こんなものか」というところです。 バンパーの下の方なので、普通の目の高さで見たら、気づかない人の方が、圧倒的に多いと思います。 車の前側というのは、後ろ側と違い、落ち着いて見られる事が多くないから、尚の事。 すれ違う車からでは、一瞬しか目に入らないので、とても、塗り替えた部分を察知できますまい。



【ヘッド・ライトの黄ばみ取り】

≪写真上≫
  ビフォー写真を撮り忘れたので、こんな写真しかないのですが、買って来た直後の、ヘッド・ライトの黄ばみ具合です。 これがまた、車を古ぼけて見せるのに、絶大な威力を発揮するんですな。 黄ばみというのは、表面が紫外線で劣化して、微細な凸凹が出来、そこに汚れが溜まる事で、発生するもののようです。  

≪写真中左≫
  遠くのホーム・センターで買って来た、黄ばみ取り、ウィルソンの「ヘッドライト クリア mini」。 税込みで、615円でした。 表面の微細な凸凹を削り、黄ばみを取ると同時に、紫外線を防ぐコートもしてくれるという触れ込み。 ところが、使ってみたら、黄ばみが強過ぎて、これでは歯が立たない事が判明しました。

≪写真中右≫
  で、面倒臭くなり、コンパウンドを使いました。 これは、すでに買ってあったもの。 惜しげなく塗りたくって、こすったら、だいぶん、綺麗になりました。 最初から、これを使えばよかった。 せっかく買った黄ばみ取りが勿体ないので、綺麗にした上から塗り、コートだけしておきました。

≪写真下≫
  アフター写真。 随分な変わりようですな。 コンパウンドの威力、恐るべし。 専用の黄ばみ取りを買うか、コンパウンドで済ませてしまうか、迷っている方で、これを見て、「よし、コンパウンドで行こう!」と決心した方もいると思いますが、全てのコンパウンドが使えるかどうかは分からないので、自己責任でやってください。 完全な透明部分があるヘッド・ライトも、どうなるか、分かりません。




  今回は、ここまで。 フロント・バンパーの補修という、最大の難関を終えたところで、区切りにしようかと思ったのですが、急遽、組写真を、もう一枚追加する事になり、今回 6枚出さないとまずい事になってしまったので、ヘッド・ライトまでにしました。 次回は、かなり、バラバラな内容の、シリーズ最終回になりますが、車の全体写真も出しますから、乞うご期待。 ・・・、いや、それほどの事でもないか。 そういや、昨今、「乞うご期待」といった言葉を、あまり聞きませんな。 知らない内に、死語の領域に入ってしまったか。