2018/04/01

母自のサドルを低くする

   今回も、自転車ブログの方に書いた記事からの転載です。 それにしても、ほんとに、このブログ専用に記事を書く事がなくなりましたねえ。 引退した後、坂を下るように興味が枯れて、世の中に物申したい事が、なくなってしまったんですなあ。

  いずれ、ブログをやめる事になると思いますが、今の所、閉鎖を決断するほど、切羽詰っていないので、他のブログに書いた記事の転載で、続けようと思います。




  私の母ですが、一昨年の夏、父が他界して以降、もしくは、一昨年の秋、自身の狭心症手術をして以降、体力面の衰えが徐々に進んでいます。 以前は、毎日のように自転車で買い物に出かけていたのが、次第に間隔が広がり、いつのまにか、二週間に一度くらいしか、自転車に乗らなくなってしまいました。

  高齢者というのは、運動しない言い訳を、あれこれと考え出すものでして、母が言っていたのは、「体力が衰えて、ケンケン乗りしようとしても、なかなか、勢いがつかなくなり、怖くて、乗りたくなくなった」というものでした。 そんなの、言い訳、言い訳! そもそも、体力が衰えたのは、運動しないからであって、因果関係をすりかえています。

  ちなみに、私の母は、ケンケン乗りしかできません。 昭和20年代後半から、女学校に通うのに、自転車を使い、学校給食の調理師に就職してからも、自転車で通える学校なら、自転車で通っていたという、筋金入りの自転車乗りなのですが、乗り始めの頃に覚えたのが、ケンケン乗りだったので、それで固まってしまったらしいのです。

  そのケンケン乗りが、怖くて、できなくなったので、八十の手習いで、踏み込み乗りに切り替えたいのだけれど、踏み込み乗りの場合、左足がしっかり地面に着いていないと不安。 その為には、サドルを低くしたいのだけれど、母自のサドルは、すでに、限界まで下げてあって、それ以上、低くなりません。

  そこで、私の折自が、月に一度しか乗っていない事に目をつけ、「あれなら、サドルが低いから、乗れるかもしれない」と、事あるごとに、繰り返し、口にするようになりました。 冗談ではないです。 母に、折自の使用権を認めたりしたら、前籠を付けたり、ライトを付けたり、荷台を高くしたり、メチャクチャにしてしまうのは、一点の曇りもないくらい、疑いないところ。

  いやいや、無闇に疑っているわけではなく、前例があるのです。 かれこれ、20年以上前ですが、母が仕事を退職した後、年金受給までの繋ぎに、親戚がやっているローソンで、アルバイトをしていた時期がありました。 その時、ローソンの懸賞で、16インチの折り畳み自転車を当てました。 届いた時には、普通の折自だったんですが、「このままじゃ、使えない」とか言って、ホーム・センターで、前籠、荷台、ライトを買って来て、ゴテゴテとくっつけまくり、折り畳む事もできないようにしてしまったのは、他の誰でもない、母なのです。

  とんっでもない! 以ての外の言語道断! 私の大事な折自を、そんな目に遭わせて、たまるもんですか。 そもそも、母が自転車にケンケン乗りできなくなったのは、運動しない言い訳に過ぎないにも拘らず、自分では、それに気づいておらず、本気で、自転車の方に問題があると思っているのだから、始末に負えない。


  そこで、折自に手を出される前に、母自のサドルを、限界を超えて低くしてやろうと思い立ちました。 ちなみに、普通のサドル・ヤグラは、↓こんな風に、サドルのレールの下側に付いています。


  ビフォー写真を撮り忘れてしまい、旧母自のサドルを撮影しました。 まー、一般車なら、どれも、似たようなものです。 うーむ、レストアで、綺麗にしてから、2年経ちますが、かなり、錆が復活して来ましたなあ。 だけど、もう一度、あのレストアをやる気力はありません。

  それはさておき、母自の方ですが、ヤグラを一旦外し、上下、引っ繰り返して、レールの上側になるようにしました。 ↓こんな感じです。


  レールは、ただの丸棒ですから、ヤグラが下だろうが、上だろうが、問題なく付くのです。 こうすると、ヤグラの高さの分、約3センチくらい、サドルを低くする事ができます。 なに? 理屈が分からない? つまりその、レールの下に付いていた時には、ヤグラがサドルの外に出ていたのが、上に付け替えると、ヤグラがサドルの中に入ってしまうから、3センチ引かれて、それだけ低くなるというのよ。 なに? まだ、分からない? 困ったなあ。 そういう人は、塾の先生に相談して下さい。

  この方法、私が考え出したわけではなく、何かの本に出ていたのを、記憶していたです。 いつか使えるかと思って、記憶したわけではないのですが、今、使えました。 こういう事もあるんですねえ。 自転車好きな人でも、いや、そういう人であればこそ、サドルを高くする事には頭を使っても、低くする事など考えもしないから、知らない人も多いのでは?


  で、母に、「3センチ、低くした」と言ったら、「なに! 低くなった? どうやって? まあ、そんな事はどうでもいい」とばかりに、ホイホイと試し乗りに出て行きましたが、今まで、60年以上も、ケンケン乗りでやって来た人が、いきなり、踏み込み乗りができるわけがないのであって、「どうも、思ったように行かない」と、首を捻りながら戻って来ました。

  電動アシストだから、普通の自転車より、走り出し易いと思うのですが、そうでもないんでしょうか? ちなみに、内装3段レボ・シフトのギアも付いているのですが、母は、使っていません。 軽いギアにすると、「ペダルが、クルクル回ってしまって、怖い」と言い、中間の「2」に固定して、乗っています。 電アシの、せっかくの高性能を、使いこなせていないのだから、勿体ない話ですな。


  母が、踏み込み乗りに転向できるかどうかは、怪しいところですが、とりあえず、私の折自を使わせろと言って来る心配はなくなったわけで、それだけは、私にとって、収穫だったと言えます。 




  自転車ブログからの転載は、以上です。 その後、母は、その状態で乗っていますが、特段、自転車で出かける機会が増えたわけでもないようです。 踏み込み乗りへの転向が成功したのかどうかも、分かりません。