2024/06/16

時事旧聞 ①

  6月は、日曜が、5回あるので、このブログも更新回数が、例月より、1回多くなります。 他にネタがないから、日記ブログの方に書いた記事から、時事問題を扱った内容のものだけ、出します。 もう、だいぶ、月日が経っているものばかりでして、「時事旧聞」とした次第。




【2023/08/28 月】 「海洋放出問題」

  福島第一原発からの、放射性物質・海洋放出の話。 重苦しい話題なので、気分を暗くしたくない人は、読まないで下さい。

  日本政府は、「処理水」と言ってますが、薄めただけで、処理もなかろうに。 中国政府は、「核汚染水」と言っていますが、それでも、実態を表していない。 ズバリ、「放射性物質」と言うのが、正しいです。 ちなみに、水で薄めても、変質しないので、薄める事自体には、大きな意味はありません。 海水中で、拡散し易くなるだけで、放射性物質が減るわけではないです。

  「規制値の、40分の1以下に薄める」と言いますが、放出は、一回きりではなく、これから、30年間、続けるのだから、40日分流せば、1日分の規制値を超えてしまう事になります。 まあ、誰でも思い浮かぶ、素朴な疑問ですわな。 「安全」だそうですが、本当に安全なら、原発事故直後から、放出しているはず。 薄めるだけなら、新技術なんて要りますまい。 「危険」だから、12年間、タンクに溜めて来たわけで、非常に分かり易い矛盾ですな。

  放出開始の数日後に、海のトリチウム濃度を測って、「規制値以下だ」と発表していましたが、そりゃ、そうでしょうよ。 まだ、数日分しか、放出していないんだから。 だけど、それを、30年間続ける予定なんでしょう? 30年後も、規制値以下なんですか? トリチウムは、変質したり、なくなったりするわけではないのだから、海の中で、濃度は、どんどん高くなるんじゃないのかい?

  どうも、説明が、朝三暮四の猿向けっぽいですな。 というか、説明している方も、猿レベルで、自分が何を説明しているのか、分かっていないニオイがします。 ちなみに、以前にも書いたように、政治家や官僚は、理工系の知識がゼロなので、そもそも、原子力の事なんて、全く分かっていません。 厳密に言うと、医師出身の政治家は、科学的思考ができるから、ある程度は分かっているはずですが、彼らは、政党の中では、発言力が小さいです。

  原子力技術者・学者は、原発が飯の種なので、自分達に都合が悪い事は言いません。 危険だと分かっていても、顔色一つ変えず、「安全です」と言います。 その事は、2011年3月の、福島第一事故の直後に、テレビに出て来た、原子力学者によって、思い知らされました。 建屋が水素爆発で吹っ飛んでるのに、「大丈夫です。 対策は、いくらでもあります」と言っていたあの顔が、忘れられない。 いい加減な事を言いおって。 対策なんて、あるものか。 その結果が、今の事態なんだわ。

  12年半経っても、技術の進歩なんて、全く見られないのは、想像していた事とはいえ、恐ろしい事実ですな。 結局、「薄めて、海に流す」以外に、思いつかなかったんだわ。 言うまでもなく、「やむを得ない」で済む問題ではないです。 もし、事故前に、今のような事態になったら、どうするか、原子力技術者・学者に質問したとしたら、ゲラゲラ笑って、「そんな事には、絶対ならないから、安心して下さい」と答えたでしょう。 この連中のいい加減さは、最初から、一般常識の埒外にあります。 

  考えてみると、日本という国、日本という社会は、2011年3月に、もう、死んでいたんですな。 しばらく、タンクを並べて、致命的に深刻な重大問題から目を背けていただけなんだわ。 道理で、技術的にも、文化的にも、新時代を感じさせるものが、何も出て来ないわけだよ。 死んでたんだものねえ。


  中国の水産物輸入禁止措置は、常識的に考えれば、当たり前の事で、日本政府や日本人が怒るのは、筋違いです。 放射性物質を流しているのは、日本であって、中国ではないからです。 文句を言うなら、流している主体に言うべき。 苦情や、嫌がらせの電話なんて、放射性物質の放出に比べたら、何が有害なものか。 そんなものに食いついて、反中意識を煽っているマスコミもマスコミで、ピント外れも甚だしい。

  ちなみに、中国では、政府要人は、全員、理系出身でして、何が危険かは、分かっています。 日本の政治家で、「丁寧に説明すれば、分かってもらえる」などと言っている人は、思い留まるべし。 自分が分かっていない事を、分かっている相手に、どんなに丁寧に説明しても、説得できるわけがありません。

  放出前から、やめるように主張していた中国に、説明が必要だと考えた日本の政治家は、一人もいなかったようですが、近隣国に、重大な影響が及ぶ事なのに、無視して、それで通ると思っていたんだから、凄い感覚だな。 まして、相手は、経済的な結びつきが強い、大国だというのに。 だから、前に言ったでしょうが。 中国との経済関係を損なう事は避けろと。 どうなっても、知らんぞ。

  問題の根本は、放出にあるのであって、放出を止めれば、一定期間を置いた後、水産物輸入禁止措置は、解除されるでしょう。 放出期間が長ければ長いほど、解除までの期間は、長くなります。

  中国の措置が気に入らないというだけで、放出に理解を示している日本人が、少なからずいる模様ですが、何が、問題の本質なのか、全く分かっていない。 原発関係の人間ではないというのなら、自ら進んで、悪役側の肩を持つなど、馬鹿馬鹿しい事です。 そんな事をして、何の得があるのだ?

「風評被害が出ないように、進んで、○○地方産の海産物を買います」

  それは、奇特な事ですが、そもそも、実際に、放射性物質を流しているのだから、風評ではないです。 安全だと保証できないのに、自分の健康に害が出る恐れがある物を、進んで口に入れるという考え方が理解できぬ。 新型肺炎禍で、思っていた以上に、愚かな人間の割合が多いと思い知ったから、驚きはしませんが。

  非常にまずいのは、海が地球全体で繋がっているという事でして、いずれ、地球上の海が、全て、汚染される事になります。 太平洋は、真っ先に。 放出地点近辺だけでなく、どこで獲れた海産物も、危険になるというわけだ。 今後、トリチウム濃度検査で、徐々に数値が上がり、規制値を超えたとして、それ以上の放出を止める事はできても、すでに放出した分を、回収する事はできません。 どうするのよ、それ?


  笑ってしまうのは、国際原子力機関(IAEA)や、オーストラリア、イギリス、アメリカなどが、「科学的に、安全」と言って、放出を許容した事ですな。 大方、距離があるから、余裕ぶっこきかましているんでしょうが、海は繋がっているから、距離なんて、防壁にならんと言うのよ。 気が知れぬ。 自分達が、放出しているわけでもないのに、日本の肩をもって、何の得があるのだ? これが、放出しているのが、ロシアだったら、金輪際、許容など せんだろうに。

  放射線障害が、どんなものか、分かっていないという見方もあります。 ≪インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国≫という、2008年のアメリカ映画。 何度も、テレビ放送されているから、ほとんどの人が見ていると思いますが、あの中に、主人公が、核実験場に迷い込む場面があります。 サイレンが鳴って、冷蔵庫の中に逃げ込んだところで、爆発。 冷蔵庫ごと、遥か彼方へ吹っ飛ばされて、無事に脱出します。

  あの場面を見て、「あれ? この人、被曝しなかったのか?」と、首を傾げた人は、日本人の中では、多かったはず。 被爆しないわけがない。 爆発の衝撃だけでも、冷蔵庫程度の遮蔽で、核爆発を至近で喰らって、助かるわけがありませんが、たとえ、命が助かっても、重度の被曝で、何日も生きていられないでしょう。

  ジョージ・ルーカス氏も、スピルバーグ氏も、アメリカを代表する、芸術家で、文化人ですが、そもそも、アメリカ人全般に、「核爆発で、放射線被曝する」という、知識がないのだと思います。 ないんですよ。 「核爆発は、火薬爆発の、桁違いに大きなもの」程度の認識しかないのでしょう。 もちろん、放射線被曝が、どういう健康被害を与えるかも、全く知らないと思われます。 ≪はだしのゲン≫を読んでいるアメリカ人なんて、100万人に一人以下なのでは?

  そういう国々なら、放射性物質に対する警戒感が低いのも、不思議はない。 しかし、そういう国々が許容したからと言って、放射性物質の放出が正当化できるわけではないです。 今の所、唯一の核兵器被害国で、被曝の恐ろしさを知っているはずの日本が、放射性物質を海に放出しているというのは、途轍もない皮肉ですが、皮肉で済む話ではなく、先々の心配をすべきでしょう。

  そういえば、アングロサクソン系の国だけでなく、「EU、原発事故後の日本産食品の輸入規制・撤廃を正式決定」なんて、ニュースもありました。 すでに、日本政府が、「処理水を放出する」と発表していた後です。 当然、海産物も、食品に含まれるわけですが、今までより、危険が増えるのに、このタイミングで、規制を撤廃するというのは、どういう判断なのか、さっぱり、分からない。 欧米全般に、合理的な考え方ができなくなってるんじゃないですかね?


  この問題は、いつ考えても、暗い気分にさせてくれますなあ。 唯一、救いと言えるのは、私がすでに、60歳近い年齢で、今後、放射性物質の影響が出たとしても、そちらで健康被害が出る前に、寿命で死ぬだろうと、期待できる事ですな。 一方、若い世代や、子孫がいる方々には、大変、お気の毒だと、お悔やみ申し上げます。


  むりやり、明るい希望を探すなら、もうすぐ、AIが、あらゆる点で、人間を追い越すと予想され、目的を持ったAIが、文明を受け継げば、もう、人類は必要なくなります。 そうなれば、健康被害も何も、問題ではなくなります。 放棄された原発からは、放射性物質が垂れ流しになり、生物の様相も、大変わりするでしょうが、人間がいなくなれば、長期的には、安定して行くでしょう。 放射性物質は、人類の問題ではあるが、地球の問題ではないわけだ。 しかし、こんな事は、何の慰めにもならんなあ。



【2023/12/25 月】 「電気自動車。」

  かつての、≪東京モーター・ショー≫が、改名したイベント、≪Japan Mobility Show 2023≫。 「おぎやはぎの愛車遍歴」で、2回分かけて、紹介されたのを、テキトーに、見流しました。

  事前に、「コンセプト・カーばかり」というマイナス評価を耳にしていたのですが、確かにその通りした。 過去の例から言って、コンセプト・カーが、実際に売り出される事は、非常に稀、というか、ほとんど、ないので、ただ、ショーの為に作っただけなんでしょう。

  日本メーカーの、電気自動車シフトが、まるで、進んでいない事を、改めて、思い知らされました。 まずいな、これは。 今や、家電も、AV機器も、デジカメも沈没し、日本の製造業で、海外からお金を稼げるのは、自動車業界だけになっているのですが、電気自動車化の流れについていけないのでは、最後の牙城も失うのは、時間の問題です。 高度経済成長期以降の日本社会が、経済的にゆとりがあったのは、海外から、お金が入って来ていたからであって、稼げる産業がなくなってしまうと、貧しくなるのは、避けられません。

  半年くらい前までは、日本の車メーカーが、「水素自動車の方が、脱炭素に適している」などと、平気で言っていましたが、さすがに、ここのところ、それは口に出さなくなった模様。 寝言もいいところで、電気自動車が世界的に普及し、主流になってしまえば、水素自動車なんて、誰が買ってくれるものかね。 水素ステーションの整備だけで、莫大な社会資本がかかるのであって、家庭用電源で手軽に充電できる電気自動車と、どちらの普及が容易か、比較するのも、馬鹿馬鹿しい事です。

  日本メーカーが、水素推しだったのは、内燃機関の生産設備や、機械技術者を維持するのが、最大の目的だったと思うのですが、そんなお荷物を抱えていて、電気自動車専門の海外メーカーに、太刀打ちできるわけがないです。 中国のBYDですら、生産台数の半分が、プラグ・イン・ハイブリッド車で、内燃機関の設備・人員を抱えており、今後、そちらが、お荷物になって来る危険性があるのです。 況や、99パーセント、内燃機関車を作っている日本の車メーカーに於いてをや。 大急ぎで、設備や技術者を更新しなければ、全滅必至です。

  ちなみに、従来のエンジン車メーカーが雇っている技術者の専門は、「機械」でして、彼らは、「電気」の事は、ごく基本的な事以外、まるで分からないと断言してしまっていいです。 電気自動車に使う技術は、「電気」の中でも、特に、「バッテリー」でして、近年になって、急に、電気自動車が実用化されたのは、電気自動車に使えるバッテリーが開発されたからに外なりません。 モーターなどは、遥か昔に、完成しきった技術で、特に、近年の進歩があったわけではないです。

  つまり、「デンソー」のような、電気関連装備の専門メーカーがあったとしても、バッテリーの技術がなければ、電気自動車は、作れないわけだ。 日本にも、バッテリー・メーカーはあるのですが、電気自動車用のバッテリーについては、どこが取り組んでいるというニュースを聞きません。

  日本の車メーカーが、外国の電気メーカーから、バッテリー・ユニットを買うという話は聞いた事がありますが、その方式でもいいから、電気自動車に切り替えを急いだ方がいいです。 ただし、「一応、作ってます。 一応、売ってます」というレベルでは、やはり、世界的な競争には、勝って行けないでしょう。 電気自動車を作り始めても、エンジン車も、並行して作り続けなければならない、従来の車メーカーは、その負担で、脱落して行く可能性が高い。 なにせ、電気自動車の専門メーカーは、全資本を、電気自動車に注ぎ込めるのですから。

  従来の車メーカーに、有利な点があるとしたら、自前の販売網をもっている事だけですかね。 自動車は、必ず、整備が必要になるので、販売店や整備工場が揃っている事は、大変 重要な条件になります。 韓国の現代自動車が、2000年代前半に、日本市場に進出したものの、販売店が少な過ぎて、敬遠され、撤退を余儀なくされたのは、知る人ぞ知るところ。 ちなみに、日本市場から撤退した後、現代自動車の車は、デザインに革新が起こり、世界的に、評価が、グンと高まります。 カッコよくなった現代自動車の車を買えないのは、日本だけという、皮肉な現象が起こったわけです。

  そういえば、≪Japan Mobility Show 2023≫で、BYDの車も紹介されていましたが、これから、日本市場に打って出るとなると、電気自動車では、尚の事、整備拠点を確保するのが、難しいと思います。 一県に、販売店が、指を折って数える程では、誰も買いません。 平均的な大きさの県で、販売店が、最少でも、30軒は欲しいところ。 それも、進出当初の話で、その後、どんどん増やして行く事が条件ですが。 従来メーカーの販売店は、一桁多いのですから。

  「そんなに一遍に、販売店を作れない」と言うのなら、全国展開は諦めて、首都圏だけとか、一県だけとか、地域を限定すべきでしょうな。 同じ、100店舗 作るなら、全国に散らばらせるより、首都圏、もしくは、一県に集中した方が、お客の利便は高くなります。 どうせ、テレビCMは、都道府県ごとに違うのだから、車を売っている地域だけに流せばいいだけの事。

  それにしても、電気自動車は、まだまだ、高いな。 1500cc相当の5ドアで、200万円を切るものが出て来たら、ドーンと売れると思います。 航続距離は、そんなに長くなくても、300キロもあれば、充分、使えるのでは? 通勤距離の平均は、往復60キロくらいが、最大だと思うので、毎日、家で充電するのなら、航続距離100キロあれば、不安なく使えるでしょう。 300キロなら、週に二回の充電で済む事になります。

  私個人の望みとしては、航続距離100キロでいいから、軽自動車の規格で買える、100万円以下のが、出て来てもらいたいです。 それの、中古が、30万円を切ったら、購入を検討します。 もっとも、そうなる前に、私の車人生は、終わると思ってますけど。

  そうそう、テスラが始めて、中国メーカーも取り入れている、「車の情報化」、つまり、「スマホのように、ソフトを更新できるようにする」という考え方ですが、そーんなこたー、どーでもいーんだよ! ただ単純に、エンジン車の代わりになる電気自動車が欲しいんだよ。 バカでかい液晶画面なんて、邪魔なだけではないか! そんなもん、なくして、少しでも安くなるなら、そうして欲しいです。 人間が運転している段階では、情報化なんて、気が散って、危険が増えるだけでしょうが。



【2024/02/13 火】 「株価。」

  柄にもなく、経済の話を。

  株価が、バブル後最高値を更新中。 バブル崩壊を経験している世代だと、暴騰の後には、暴落が来ると知っているから、ヒヤヒヤしているはず。 それよりも若い世代は、「行け行け! Go!Go!」気分かもしれませんが、知らぬが仏ですな。 一般個人で株をやっている人は、恐らく、スッテンテンになる事でしょう。

  いずれ、下がるのは分かっているわけですが、どこで、ピークを迎えるかが、分からないのが、株式市場の恐ろしいところです。 今日なのか、数ヵ月後なのか、数年後なのかが、分からない。 「もう、だいぶ、高くなっているから、損しないように、早く売ってしまおうか」と思う反面、「もしかしたら、今日の2倍まで上がるかもしれない」とも思うから、売る事ができないんですな。

  プロの投資家が売り始めると、株価が下がり始めるのですが、一般個人は、「また、上がるかもしれない」と思うから、やはり、売れず、ためらっている内に、どんどん暴落して行って、大損する事になります。 これは、歴史上、何度も、繰り返されて来たパターン。

  今回の株高ですが、原因が分かりません。 漠然と、「企業業績が、好調」と言われていますが、日本で、そんなに、うまく行っている企業があるとも思えないのですがねえ。 バブル時代の頃には、世界に名を轟かす日本企業が、数え切れないくらいありましたが、今は、ほぼ全社、半沈没状態。

  各企業の業績は、売り上げ高や、利益といった数字で出て来るわけですが、業績が上がったわけではなく、インフレのせいで、数字が上がっているだけなのでは? どうも、経済の世界では、「価値」と「価格」が紛らわしくて、本当の好調・不調を見分けるのが難しいです。

  たとえば、不動産バブルですが、開発計画があるわけでもないのに、土地の価値が、突然、2倍3倍になるなどというのは、ありえないのであって、それは、価値ではなく、価格の数字だけが上がっているわけです。 バブルが崩壊すると、実態の価値まで、数字が落ちます。

  アメリカでも、株価が史上最高値になっていますが、アメリカは、日本以上に、猛烈なインフレに見舞われており、価格だけ上がっているのが、企業業績が上がっているように見えて、株価を押し上げている可能性があります。 暴騰とセットでやって来る、暴落が起こった後、どうなるかは、興味深いところ。

  アメリカの株価に関しては、「AI開発企業の、将来性が買われている」なんて、もっともらしい分析をしているエコノミストもいますが、AIと言っても、今の生成AI程度では、そんなに将来性があるとは思えませんな。 目新しさで、騒がれているだけで、その内、飽きられてしまうでしょう。

  話の脱線覚悟で、AI発展の段階について言わせてもらえば、「人間が、使っている」レベルでは、普通のコンピューターと同じ、ただの道具。 「人間を、使っている」でも、まだ、足りない。 「人間など、不要」となった時点で、ようやく、本物のAIと言えます。 それを考えると、生成AIが、いかに、初歩的レベルかが分かるのでは?

  脱線ついでに、もう一説。 世に、「エコノミスト」と呼ばれる人達ですが、正体が良く分かりません。 報道番組やワイド・ショーなどに、しょっちゅう出演して、解説者として顔が売れている人もいますが、言う事がそのつど違っていたり、共演している他のエコノミストと、その場限り、意見を合わせたり、節操に欠ける事、甚だしい。 「この人の言う事だから、間違いない」と思い込んでいると、他の番組では、正反対の事を言っているという案配で、誰を信じていいのか分からなくなってしまいます。

  エコノミストの正体は、「経済学説や、過去の経済事例を、たくさん、知っている人」というだけなのかも知れません。 ネタ知識だけ、豊富で、そのつどそのつど、適当に、時流に合わせた、もっともらしい事を口にしているだけ。 競馬に、「予想屋」と呼ばれる商売がありますが、それに近いのでは? もっともらしい根拠を並べ、人を信用させて、予想代を取るが、当たらなくても、「あくまで、予想」と言い張れば、それ以上、責められないから、涼しい顔をしているという寸法。

  閑話休題。

  株価が暴落した場合、大損をするのは、「ちょっと、小遣い稼ぎに」というノリで、数百万円規模で株を買っていた、素人の個人投資家でして、暴落した株を持ち続け、スッテンテンのカラッケツになります。 勢い余って、身包み剥がされ、スッポンポンまで行くかも知れぬ。 彼らが株に投じたお金は、消えてなくなるわけではなく、株の売り時を正確に見極めて、最大の利益が得られるタイミングで売った、プロの投資家達の懐に入ります。

  という事はつまり、株をやっていない人は、あまり、怖がらなくてもいいわけだ。 バブル崩壊の時には、銀行金利が落ちて、預金が増えなくなってしまうという、大迷惑な余波がありましたが、今は、すでに、金利がゼロ付近なので、これ以上、落ちようがないです。

  また、株価が暴落しても、経済が崩壊するほどの、影響はないと思います。 日本のバブル崩壊も、アメリカのリーマン・ショックも、この世の終わりかというイメージで受け止められましたが、実際には、どちらの国の経済も、不況になった程度で、崩壊などしないどころか、GDPが落ちる事さえありませんでした。 「一度 大きくなった経済は、簡単には萎まない」という、原則がありますが、その通りなんでしょう。 その社会を維持する為だけでも、経済は回り続けるというわけです。

  ただし、株価の暴落で、資金調達ができなくなってしまい、倒産する企業は、うじゃうじゃ出て来ると思います。 まったく、株価の高騰なんて、お後の始末が悪いだけで、いい事なんて、何もありゃしない。 喜んでいるのは、確実に、大金が転げ込む、プロの投資家だけです。

  周囲にいる、家族・友人・知人の中に、株に手を出していて、「バブル後、最高値! 最高値!」と興奮を隠せない輩がいたら、どうせ、人の忠告なんか聞き入れないと思いますから、今の内に、縁を切っておいた方が、賢明だと思います。 暴落で、夢から覚めたら、「金貸してくれ」とか、「今夜だけでいいから、泊めてくれ」とか、泣きついて来ますから。

  「ちょっと、訪ねて来ただけ」と言われても、家に入れてはいけません。 隙を狙って、金目の物を盗んで行く恐れがあるからです。 貧すりゃ貪す。 バブル崩壊直後も、そんな奴はうじゃうじゃいたのです。 一度、投資・投機の夢に溺れた人間が、地道に働く事などできないと思うので、食い詰めて、ほとんど、死んでしまったと思いますが。

  それが別に、大袈裟な物言いでないところが、お金の問題の冷厳なところ。 人は誰でも、一日一日を、お金で生きているのですから、お金がなくなったら、生きていられなくなるのは、人間社会の摂理です。 「金はない、働く気もない」では、死ぬしかないではありませんか。




  以上です。 まだ、在庫がありますが、それは、9月に回します。 どうせ、旧聞だから、問題なし。 先に読みたい方は、ブログ、≪換水録≫の、ラベルリスト、「それにつけても」から入れば、この種の記事が読めます。