時代を語る車達 ⑪

トヨタの、「ファンカーゴ」。 1999年から、2005年まで、生産・販売されていた車。 一代のみで、終了。 この写真を撮った2019年には、まだ、走っているのを見かけましたが、その頃でも、もう、だいぶん、昔の車という感じでした。 今では、ほぼ、姿を見なくなりました。 時代は、どんどん、過ぎ去っていく・・・。
大きな道具を使う遊びや、移動販売に使うイメージあり。 しかし、元が、小型の車ですから、実際に移動販売に使うとしたら、大した量は積めないと思います。 エンジンは、1300と1500で、充分、ゆとりがありますけど。
テレビCMの、前向き、開放的で、明るい雰囲気が印象に残っています。 音楽まで覚えている。 変り種グルマを、限定車ではなく、普通のラインナップに入れて、堂々と売っていたのが、面白かったです。 後継車になった、ラクティスには、そういう雰囲気が、全く残っていませんでした。
日産の、「2代目ステージア」。 2001年から、2007年まで、生産・販売されていた型。
ステージアは、初代(1996年-2001年)の方が、印象が強いです。 発売前に、当時の社長が、「こんな大きな車が売れるか」と文句を言ったけれど、いざ売ってみたら、人気車種になったという逸話つき。 その結果、その社長は、デザインや企画について、何も言えなくなってしまい、日産の衰退を早めたのではないかと・・・、いや、それは、私の想像に過ぎませんが。
で、この2代目ですが、私は、こういう、ダイナミックなデザインが、あまり好きではなくて、売っていた当時は、ピンと来ませんでした。 しかし、今、見ると、悪くないと思います。 ステーション・ワゴンが流行らなくなり、目にする機会が減ったから、希少価値で、そう感じるのかも知れません。
遠くから撮ったので、写りが悪くて恐縮ですが、日産の、「2代目ノート」です。 2012年から、2020年まで、生産・販売されていたモデルで、当時、日産の屋台骨を背負っていました。 巷にある日産車の、半分は、ノートだったと思いますから、ちょっと出歩けば、いくらでも、見かけました。
現物を見ていただければ、感覚的に分かると思うのですが、最先端の鏃形フォルムをもつ、大変、存在感があるデザインで、しかも、適切なサイズで、スポーツ・ユースも、ファミリー・ユースも、何でも来いという感じ。 欠点が見つかりません。 この車、常に販売台数ランキングの上位を占めていましたが、売れて当然、ちっとも、不思議だと思いませんでした。
日産は、この車を売っていた頃すでに、企業イメージが、地を這うがごとき、最低の状態になっていましたが、この2代目ノートの、開発、生産、販売、整備などに関わった人達は、それに関してのみ、胸を張り、自尊心をもっても良いと思います。
白いポールが邪魔ですが、この角度からしか撮れなかったのです。 なかなか、街なかで、他人の所有物を撮影するのは、難しいのです。
ダイハツの、「ミラ・トコット」です。 2018年から、2023年まで、生産・販売されていた車種。 いつまにか、現行から外れていたんですな。 現行車種については、下手にケチをつけると、販売妨害になってしまうので、基本的に評価しない方針です。 この車は、現行ではなくなったから、オーケーになった次第。
モデル・チェンジはせずに、一代限りで終わった模様。 それでも、5年間、売っていたわけで、一モデルとしては、特に短いとは言えません。 この車、出て来た時には、あまりにも、地味なデザインなので、顔を顰めてしまいました。 ただの箱。 デザイン・レスと言ってもいいくらい。 ダイハツのデザインは、ヨーロッパの往年の名車から戴く事が多いのですが、「どうしてまた、この車は、こんなに特徴がないのだろう?」と、不思議に思っていました。
ところが、先日、ネット上で、昔のヨーロッパ車を見ていて、「フィアット126」というのを見つけました。
「トコットのモデルは、これだろう!」
本国イタリアでは、1972年から、1980年まで、ポーランドでは、1973年から、2000年まで、生産・販売されていたもの。 ちなみに、私は、現物を見た事は、一度もありません。 写真でなら、大昔に見た事があったのですが、すっかり、忘れていたのです。 どんな車か、検索すれば、すぐに画像が見つかりますから、見てみてください。
≪ルパン三世≫で有名な、「ヌオーバ・500」の後継車種ですが、時代の変化に合わせたとはいえ、実につまらないデザインで、「ほんとに、イタリア車か?」と、首を傾げずにはいられないレベル。 今でこそ、歳月が経っているから、味を感じて、「可愛い」と思う人もいるでしょうが、当時の人達は、何の感動も覚えなかったんじゃないでしょうか。
126を真似たのなら、トコットが、同じくらい地味になっても、不思議はないです。 126も、往年の名車と言えなくはないですが、どうせ、パクるなら、ヌオーバ・500にすれば良かったのに。 あまりにも、特徴があり過ぎて、パクリがバレバレになってしまうから、駄目かな?
トコットと、126を比べると、トコットの方が、遥かに使い勝手がいいです。 126は、リア・エンジンですから、買い出しなどで、多くの荷物を積むとしたら、後席しかありませんが、2ドアなので、前席の背凭れを倒さなければならず、かなり、面倒です。 車の機構レイアウトというのは、理由もなく、長い歳月をかけて進化して来たわけではないわけだ。 126は、旧車の不便さを楽しむ洒落心がなければ、とても、普段使いにはできないと思います。
≪写真上≫
フォルクスワーゲンの、「up!」。 2011年から、2023年まで、生産・販売されていた車種。 日本では、2012年から、2021年まで、販売されていたとの事。 すでに、現行ではないので、批評してもいいでしょう。
排気量、1000ccで、VWの入門車種という事になりますが、この車を買うような人は、それより大きな車種には、興味を示さないような気がしますねえ。 ポロとゴルフでも、事情は同じ。 それぞれ、全く、客層が重ならないのでは? 次第に大きな車に乗り換えて行くという考え方が、廃れてしまった感があります。 外国車では、とりわけ、尚の事。
5ドアもあるらしいのですが、私は、現物を見た事がありません。 何度か書いているように、3ドアと5ドアでは、5ドアの方が、圧倒的に、使い勝手が良いです。 3ドアの後席なんか、普段、全く使えません。 荷物を入れるのも、出すのも、大変。 買い出しで、ごっそり買って来るような人は、何とか前席の背凭れを倒さずに、荷物を出し入れできないかと無理をして、腰を悪くしてしまいます。
「たまに、3人以上で乗る時に、使える」のは事実ですが、それなら、5ドアの方が、より適しています。 3ドアを、わざわざ選ぶ理由がないと言うのよ。 マイ・カーの普及初期なら、ドアの枚数を少なくすれば、安くできるので、需要があったと思いますが、そんな時代はとっくに過ぎ去っています。
デザインは、大変、卒なく纏まっていると思いますが、ちょっと、スッキリし過ぎていて、物足りないと感じる人もいるんじゃないでしょうか。 些か、オモチャっぽくて、質感に欠けるとでも言いましょうか。 あくまで、ポロやゴルフと比較しての話ですが。 それにしても、この形が、日本の軽自動車に出て来なかったのは、不思議。
≪写真下≫
同じ車ですが、後ろを撮りました。 バック・ドアの窓下が、ガラスでブラック・マスクされているのが、特徴。 スマホをイメージしたらしいのですが、馬鹿馬鹿しいアイデアだと思います。 スマホの画面には、情報表示という機能がありますが、この車のブラック・マスクは、ただの飾りに過ぎません。 鉄板塗装の方が、ずっと、いいと思います。
今回は、以上、5台まで。
ファン・カーゴは、2019年に撮ったもの。 2代目ステージアと、2代目ノートは、2020年に撮ったもの。 文章は、時制を現在からみたものに修正しました。 トコットと、upは、ごく最近、2025年に入ってから、撮ったものです。
新型肺炎が流行し始めてから、外出を極力控えるようになったので、車を撮影する機会がなかったのですが、去年の秋、糖尿病を宣告されて、否が応でも、運動しなければならなくなったせいで、徒歩で出かける事が増え、自然と、車も目につくようになったという次第。
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