2025/07/20

時代を語る車達 ⑬

  出かけた先で撮影した車の写真に、個人の感想的な解説を付けたシリーズです。 数年ぶりに再開したとはいえ、徒歩で出かける機会があまりなくて、ポンポン、撮りまくっているわけではありません。 自転車で出かける事は多いですが、自転車を下りて、スタンドをかけなければならないので、徒歩の場合より、手間がかかり、撮りたい車があっても、諦めてしまう事が多いのです。





【スズキ・3代目アルトラパン】

  2015年6月から、現行車。 基本的に、現行車は批評しない方針なのですが、まあ、販売に支障が出るほど、ひどく貶さなければ、問題ないでしょう。

  「ラパン」は、フランス語で、「兎(うさぎ)」の事で、初代は、確かに兎を連想させるデザインでした。 2代目は、少し、イメージが曖昧になり、兎っぽさは感じなくなりました。 そして、この3代目では、兎とは完全に決別してしまいました。 このデザインを見て、兎を感じ取れる人は、ほとんど、いないでしょう。

  では、何に似ているのか? どう見ても、「猿」ですな。 猿のイメージ、そのもの。 いいえ、私は決して、貶しているわけではありません。 「モンチッチ」とか、「猿ぼぼ」とか、愛されている猿キャラは、いくらもあるのであって、その一類だと言っているのです。

  問題は、猿なのに、兎という名前のままで売っているという点なのです。 フランス語が好きなら、「猿」は、「サンジュ(singe)」ですから、「アルトサンジュ」に変えてしまえば良かったのに。 せっかくの猿キャラが、勿体ないです。

  この車、9代目アルトより、背が低く感じられますが、実際には、同じ、1525ミリです。 私のセルボ・モードよりも、135ミリも高い。 現行車のライバル、2代目ミライースと比べても、25ミリ高い。 近年のスズキの、大容積主義には、根深いものがありますな。 そんなに高くなくてもいいんですがねえ。 いや、高くない方が、むしろ、使い易いんですがねえ。 懲りずに繰り返しますが、車は、乗り物であって、部屋ではないのです。




【VW・6代目ゴルフ】

  輸入車専門の、小さな中古車店で、撮影しました。 フォルクスワーゲンの、6代目ゴルフです。 2008年から、2012年まで、生産・販売されていた車型。 現行のゴルフは、8代目になっており、もう、だいぶ前の型ですが、私の感覚では、この6代目が、最もデザインが優れていると思います。 よほど売れたと見えて、7代目や8代目に比べて、圧倒的に多く目にします。

  前から見ると、それほどでもないですが、幅が広い車で、1790ミリあり、3ナンバー車です。 後ろから見ると、広過ぎる幅を、デザインが持て余しているような感じがします。 前側は、5代目ポロ(2009年~2018年)と似ていますが、後ろ側は、ポロの方が、個性があります。 ちなみに、ポロは、幅が、1685ミリで、5ナンバー。

  このゴルフ、3ナンバーなのに、エンジン排気量の最小は、1200ccだというから、日本車では考えられない組み合わせ。 小排気量エンジンに、ターボをつけて、出力を稼ぐという考え方で、実に、ドイツ人らしい発想です。 市街地や住宅地では、小排気量・自然吸気の低出力でも充分。 郊外や高速道路では、ターボを使い、高出力で対応するというわけだ。 メインが、1400ccのターボ。 その上に、1400ccのターボ・スーパー・チャージャー。 最大だと、2000ccのターボもありますが、それは、スポーツ・タイプのようです。

  なに、この中古車が、65万円? それは、安いな。 もし、うちの車置き場の幅に余裕があって、私が、車通勤している現役社会人だったら、思わず、買ってしまいそうです。 ちなみに、私が勤めていた会社は、トヨタ系で、VWと提携関係にあったので、トヨタ・グループの車種のほかに、VWの車にも、通勤費が出ました。 まあ、そんな事は、どーでもいー、昔話ですけど。




【スズキ・セルボ・モード】

  自分の車ですが、出先で撮る事が滅多にないので、たまにはと思って、カメラを持って行って、撮影して来ました。

  セルボ・モードは、1990年から、1998年まで、生産・販売されていた、旧規格の軽乗用車です。 全長と全幅は、少し小さいですが、エンジン排気量は、660ccで、現規格と変わらず、パワー・ウェイト・レシオ的には、今の軽より、機動性が高いです。 もっとも、昨今、軽の主流になっている、トール・ワゴンやハイト・ワゴンは、車体が大きい分、遥かに重いので、端から、相手になりませんが。

  名前は、正確には、「モード」でして、「セルボ」は、サブ・ネームなので、「モード・セルボ」と言うべきですが、現行だった頃から、習慣的に、「セルボ・モード」と呼ばれ、それが定着してしまいました。 「モード」という車名なのだから、本来、「何代目セルボ」の内に数えるのは、間違い。 ちなみに、「アルトラパン・モード」の、「モード」は、サブ・ネームであって、「2代目モード」とは言えません。 ややこしい。

≪写真上≫
  3月23日の朝、電子レンジが壊れてしまい、大急ぎで買い替える為に、午前の内に、車で、ヤマダ電機・沼津店へ行って来ました。

  ピロー式駐車場に停めた、セルボ・モードです。 普段、スーパーへの買い出しや、母の病院送迎にしか使っていないから、家電を買いに行く用事で乗ると、新鮮な感じがして、妙にワクワクしますな。

≪写真中≫
  4月20日、一人で車で買い出しに行き、スーパー2軒を回りました。

  イオン系スーパーの、ピロー式駐車場に停めた、セルボ・モード。 1997年製の、後期型(5型)。 5ドアで、グレードは、「Мセレクション」。 色は、「1VN マーキュリー・シルバー」。

  人工灯の下だと、劣化した塗装が目立たず、新車のように、ピカピカしています。 前から見ると、エンジン・フードのクリア剥げが分かってしまうので、極力、後ろが見える方向で停めるようにしています。

≪写真下≫
  こちらは、近所のスーパーの露天駐車場。 ほら、自然光だと、くすんだ感じで、パッとしないでしょう?

  塗装し直してもらう事も、よく考えるのですが、全塗装なら、50万円、劣化した部分だけでも、30万円はかかりそうなので、本体8万円で買った車に、そんなに注ぎ込む気にならず、いつも、諦める事になります。


  昨今、旧車趣味人の間で、「生産時の塗装のままの方が、価値がある」という考え方が出て来ているようですが、はっきり言って、再塗装に大金を払う気にならない者の、屁理屈、負け惜しみでして、車を売ろうとすると、劣化した塗装のままでは、安く買い叩かれてしまうようです。 そりゃ、そうですわな。

  そもそも、旧車の塗装をどうするか、というのは、旧車趣味人だけの価値観でして、趣味がない人達は、旧車自体に価値を感じないものです。 塗装がどうだろうが、まるで、興味なし。 持ち主が、再塗装するかどうかで悩んでいるなんて事には、ますます、興味なし。 「そんなの、どーでもいーこったろ」と、相手にされないのなら、まだいい方で、「こんなポンコツに、何十万もかけるなんて、馬鹿なんじゃないの?」と、嘲笑される恐れすらあります。

  ちなみに、セルボ・モードは、90年代の車なので、旧車というには、まだ、新し過ぎます。 やはり、50年は経たないとねえ。




【スバル・R1】

  スバルの軽自動車、「R1」は、2005年から、2010年まで、生産・販売されていた車種。 一代限りで、終わりました。

≪写真上≫
  いいデザインですなあ。 カタ落ちから、15年が経ち、少しずつ、見かける機会が減っているのが、残念です。 今現在、所有している方々には、是非とも、長く維持して欲しいもの。

  名車扱いされている、「スバル・360」のコンセプトを受け継いだそうですが、デザインの完成度で比較すると、こちらの方が、圧倒的に優れています。 デザインのレベルとしては、「フィアット・500(2007)」と比べても、全く負けていません。 ヨーロッパの名車を模倣したわけではなく、独自デザインで、これを作ったというところが、凄い。

  惜しむらく、3ドアであるのは、根本的な弱点です。 先行して世に出た、「R2」が、5ドアなので、こちらは、割り切って、3ドアにしたのでしょうが、5ドアに比べて、使い勝手の悪さは、否定できないところでしょう。 どうして、このデザインのまま、5ドア版を作らなかったのかなあ・・・。 ちなみに、R2は、R1と似ていますが、不思議な事に、R1がもっているようなデザインの魅力は感じないのです。

  2+2だからいいという問題ではなく、3ドアだと、後席を、荷物置き場に使えなくなってしまうのですよ。 前席の背凭れを倒したり戻したりするのは、面倒ですし、後席の背凭れを倒して、荷室を広くすると、広過ぎて、ブレーキのたびに、荷物が滑ってしまいます。 前に寄った荷物を、バック・ドアから引き戻すのは、結構、大変。 で、結局、後席は使わなくなってしまうんですな。

≪写真下≫
  後ろ姿。 いい形ですねえ。 このバックドアの曲面には、惚れ惚れする。 横長のリヤ・コンも、R2より、いいです。

  この写真では、分かり難いですが、真後ろから見た時に、バンパーの下から、マフラーが見えてしまうのは、残念。 それは、スバルの軽自動車の多くに共通する事ですが、「マフラーは、デザインの内に入れない」という方針には、首を傾げざるを得ません。




【日産・4代目マーチ】

  日産の、4代目・マーチです。 2010年から、2022年まで、生産・販売されていた車型。 日本国内向けのマーチは、これが、最終型で、後継車種はなし。 ノートに統一されたようです。 初代は、リッター・カーとして登場したマーチですが、4代目になると、排気量が、最小でも、1200でしたから、ノートと差別化が難しくなったという事でしょうか。

  海外向けは、名前が、マイクラで、そちらは、5代目があるようですが、いかにも、今風の、SUV風デザインでして、これなら、国内で売ってくれなくてもいいかな、という感じ。 私の目には、SUV風デザインは、全部、同じに見えるのです。 フォルムも、グラフィックも、判で押したようで、好んで買う人達が、どこで見分けているのか、不思議でなりません。

  話を、写真の4代目に戻しますが、悪いデザインではないと思います。 VW・ビートルに近い、丸型フォルムなのに、レトロっぽい古さを感じさせないところが、デザイン・レベルの高さを証明しています。 この車のデザイナーは、レトロには興味がなく、未来を向いた丸型を目指していたんでしょうな。

  その点、もっと徹底していたのが、3代目(2002年から、2010年)ですが、まだ、生産・販売終了から、15年しか経っていないのに、ほとんど、見かけなくなってしまいました。 欠陥があったわけでもないのに、不思議な事です。 あのデザインを絶賛した人達は、今、何に乗っているのだろう? 丸型に飽きて、SUV風デザインに鞍替えしているのだろうか?

  惜しむらく、3代目も、4代目も、女性ユーザーを主な購買層に設定していた点は、残念なところ。 同じ丸型でも、ビートルは、性別を選ばなかったのだから、男性でも、気にせず乗ればいいわけですが、車に、自分のイメージをダブらせようとする人が多いので、メーカーから、明確に、女性向けデザインとされてしまうと、どうしても、乗り難くなってしまうのでしょう。




  今回は、以上、5台まで。

  車の写真は在庫があるものの、まだ、文章を書いていなくて、記事が底をついてしまったので、自分の車を足して、何とか、5台にした次第。 来月以降も続けるとすると、一回に、4台に減らすかも知れません。