2005/09/14

オープンカー

BMW Z3  オープンカーは、ロードスター、コンバーチブル、スパイダーなどとも呼ばれます。 あの屋根が畳める車の事です。 時折、無性に、あの種の車に乗ってみたくなる事があります。

  はっきり言って、日本の環境にオープンカーは不適です。 雨が多い上に、スコールのように定期性が無く、不意打ち的に降るので、屋根を開けっ放しで乗っていられません。 降りそうな時は早目に屋根を掛ける必要がありますが、そんなマメな事をするのは最初の内だけで、大抵の人は、開け閉めの労を嫌って、屋根を掛けっ放しで乗るようになります。 通勤に使っている人などは、ほぼ100%締めっきりです。 私は乗った事が無いんですが、あのキャンバス地の屋根は、決して快適なものではないらしいですね。 言わば、雨の日にテントの中で不安な夜を過ごしているようなものですから。

  また晴れた日でも、屋根を開けて走っていると、埃や汚れが凄いらしいです。 私はバイクに乗っているから分かりますが、服なんか洗濯すると水が真っ黒になります。 オープンカーも同じで、半日ドライブして帰ってくると、体がベタベタして、風呂に入らなければいられなくなるそうです。 本来はイタリアのように乾燥した気候の土地で楽しむ車なんですな。

  それでも、乗りたいと感じるのは、屋根を開けて走っていると、とにかく目立つからです。 私ももう結構な歳ですから、そんな自己顕示欲は枯れ果てたはずなんですが、心の片隅に人目を引いてみたいという気持ちが残っているんですねえ。 実際、周囲のドライバーや歩行者の目がオープンカーに集中する光景はよく目にします。 オープンカーを買っただけでは注目に値しませんが、本来日本に不向きであるにも拘らず、屋根を開けて乗る勇気に、粋を感じるんですな。

  その代わりと言っちゃなんですが、身だしなみには気を付けなければなりません。 バイクの場合、ヘルメットで顔が隠れますし、服も小汚い格好が許されますが、オープンカーに乗るには、まず紳士でなければならず、周囲の好奇な視線を満足させる『伊達』が要求されます。 細かい事を申さば、ポロシャツに半ズボンで乗るような車ではないのです。 少なくとも日本に於いては。 挙措も大切で、ラジオを聴いてゲラゲラ笑うなどオープンカーの運転手としてあるまじき行為。 音楽を聴くのも控えるべきでしょう。

  やはり、オープンカーを持つなら、セカンドカーでしょうねえ。 月極め駐車場に停めておくような車ではありません。 自宅に二台分の駐車スペースがあるのは当然として、屋根も壁もあるしっかりした車庫に入れたいものです。 天気のいい日に、ドライブやちょっとした買物の目的だけに使えば、より粋です。 通勤に使うなどというのは以ての外ですな。 ええい、分を弁えよ、貧乏人どもめが!
 オープンカーに乗るなど一億年早い!

ホンダ・ビート  巷で最も多く見るのは、何といっても、ユーノス・ロードスターです。 このほどフルモデルチェンジして、三代目になりましたが、未だに道路上では初代が圧倒的に多いです。 初代は世界的なヒット作になっただけあって、大量に出回っているんでしょうね。 二人しか乗れない割と小型の車なのに、値段が高い事でも有名になりました。 三代目になっても、相変わらず高価で、最低グレードでも220万円します。 220万といえば、セダンなら、マークXクラスが買える値段ですから、ちょっと高すぎるような気もしますが、マツダはこの車をブランド品として考えているのでしょう。

  昨今は『メタルトップ』といって、金属の屋根が開閉するものがあります。 ベンツのSLKは有名ですが、プジョーの206CCやトヨタのソアラなどもそうです。 ボタン一つで開閉しますから便利この上ないですが、値段が高すぎるのがネック。 その中で、ダイハツのコペンは手頃な値段です。 徳大寺有恒さんが、ベタ誉めしていましたから、本当に面白い車なんでしょう。 実際、コペンのシルバーあたりが、屋根を開けた状態で店の駐車場に停められているのを見たりすると、実にメカニカルな印象があり、「ああ、こりゃ、粋だなあ」と感じ入ります。

  ただ、私としては、オープンカーはオープンで使うべきだと思うので、メタルトップは欲の掻き過ぎではないかと思います。 ユーノス・ロードスターの三代目は幌の屋根を乗ったままの状態で畳めるらしいですが、そのくらいで充分なんじゃないでしょうか。

  私は貧乏人である上に、由緒正しい吝嗇家なので、今の所、オープンカーを買う予定は全く無いですが、一生に一度くらいは乗ってみたいものだと夢見ています。